オレの名前はライト・モーリス、今年で11歳の男だ。 突然だが、オレは今、恋をしている。いや、今だけではない、ずっと前からだ。その言葉の通り、オレが恋している女の子というのは幼馴染だ。オレの親とその子の親が昔から仲がよく、オレたちは生まれてからほとんど一緒にいるような間柄だ。それは数年前に彼女の親が亡くなり、彼女の兄が管理局に働きに行っている今も変わらない。
オレは彼女のことが好きだ。少し捻くれてるけど、明るくて活発で、何やかんや行って優しくて、オレにとっては暗い夜を終わらしてくれる太陽みたいな子だ。その子の名前はティアナ・ランスター。オレは今日、ティアナに告白する。
「はぁ? 嫌に決まってるでしょう?」
その言葉にオレのハートはボロボロに破壊された。膝に力が入らない。オレはその場に崩れ落ちた。
「なんで、なんで、なんでそんな嫌な顔するんだよーーッッ!!」
「そもそも、あんた、いったいこれで何度目の告白よ。最初はちょっと緊張したりしたけど、 1ヶ月間毎日のように告白したきたら誰だって嫌がるし飽きるわよ」
「そ、そんなぁ〜……」
みっともなくその場で大号泣しているオレ。それを見てティアナは1つため息をついた。
「しょうがないわねぇ。わかった。告白のこと、考えておいてあげる」
「ほ、本当か!?」
「ただし、1つ条件があるの」
「おう! オレはティアナと付き合えるなら何だってやるぞ!」
ティアナはオレの言葉に大きく頷いて満面の笑顔でこう言った。
「それじゃあ…… 兄さんと試合して勝ってきてね」
ピッシャリと、その場にある何もかもが止まってしまったかのような錯覚に襲われる。
ティーダ・ランスター。ティアナの実兄にしてオレの師匠だ。
「マジかよ…… ティーダとやり合えってのかよ……」
ティーダは首都航空隊部隊所属のエリート魔導師だ。おまけに顔よし、性格良しの超人だ。あえて欠点を挙げるとすれば、彼が重度のシスコンであるというところだけだろう。
「まぁ? できないのなら諦めてもいいわよ?」
魔法を習い始めて数年のオレと10年以上修行しているティーダの対決の結果など、火を見るよりも明らかだ。それがわかっているから、ティアナは意地悪そうな顔でオレを挑発している。
そうか……そっちがその気なら、俺だって……ツ!
「いいぜ。やってやろうじゃねーか。妥当、ティーダ! オレは師匠を超えてみせる!」
「せいぜい、頑張りなさいよ」
そのオレの心意気はすぐに儚く消え去ることとなる。
「勝者、ティーダ・ランスター! まぁ、当然の結果よね」
「おい、ライト。いくら俺の弟子だからって、ティアナに近づいていいわけじゃねーぞ? わかってんのか? えぇ?」
「うぅ……」
俺は今、ティーダにボコボコにされ、広い競技場の床に寝転がらされている。試合時間、ものの数十秒。結局、 思い立ったら吉日と仕事帰りのティーダに頼み込んで勝負させてもらった。きっと、この時にティアナの告白のことについて言わなければここまでボコボコにされることもなかったかもしれない。
「ほら、手当てするから、手、出して」
「サンキュ……」
「そのままでいいから、俺の話を聞け。 今日の反省会だ」
「お願いします……」
ティアナの優しさに改めて惚れ直し、ティーダの指導で今日も1歩、前に進んだ。
「次は絶対に勝つからな! 師匠!」
「おうおう、また明日にでも挑んでこい、弟子よ」
「頑張ってねっ! 兄さんっ!」
「え!? ティアナ、オレには!?」
「あるわけないでしょ、バカ」
「そ、そんなぁ〜……」
オレたち3人はそうやって笑いあう。オレがティーダに勝てるのはいつになるかわからない。それでも、オレは絶対にティーダに勝ってティアナと添い遂げてみせる! それと、また明日もみんなで、楽しくやれるといいな。
だが、全てに始まりがあるように、この世には等しく終わりも存在する。
俺にとってあの事件は始まりであり、終わりでもあった。