少し、中途半端かもしれません。その点を踏まえてお読みください。
「ざっと、50はいるか……」
列車の周りをガジェット・ドローンがうじゃうじゃと埋め尽くしている。遠くから見ていると、どうにも虫みたいに見えてきて気分が悪い。加えて、この他にも列車内にまだいるのかと思うと気分も下がる。
「早速こいつの出番かねぇ」
俺は手に持っている黒塗りのカードを見ながら独りごちる。
外にいるガジェット・ドローンを破壊しないと4人が安全に降下できない。この4人には中で頑張ってもらうのだ。余計な力は使わせたくない。
「お前ら、俺が合図出すまで大人しくしてろよ」
「「「「了解(です)」」」」
俺は4人の返事に一度、大きく頷くと、ヘリの外に目を向ける。
「セットアップだ『罪と罰』! 行くぞ、ギンガ!」
「了解!」
そう言うと俺は一気にヘリから空へと飛び出した。
空中から落ちて行くという浮遊感。あまり、何回も味わいたくない感覚だ。
先ずは一発……ッ!
それでも、安全に降下する確率を上げるために少しでもガジェット・ドローンを破壊しなければならない。俺は空中でバランスを取りながら、狙いをつけ、引き金を引く。
撃てば当たる。そう思うぐらい次々と黒い魔力弾はガジェット・ドローンへと吸い込まれていく。その威力はAMFを最も簡単に貫き、ガジェットを撃破していく。
シャーリーさんが自信作って言うほどはあるよな……
思い出すのは数時間前、警戒態勢が引かれる前のことだ。
「最後にライトのデバイスについてね」
「はい」
シャーリーさんが一人一人のデバイスについて説明している中、ついに俺の番が来た。
「ライトのデバイス『罪と罰』はティアナの『クロスミラージュ』そっくりだけど、『クロスミラージュ』がセンターガードを意識した作りにしているのに対して、こっちはどんな距離にも、どんな状況にも対応できるように設計してあるの。具体的には3つのモードと様々な弾丸のことね」
そう言うとシャーリーさんは3つの書類を画面に表示させた。
「これを見てくれればわかると思うけど、3つのモードって言うのは近距離のハンドガン、中距離のアサルト、遠距離のスナイパーのことね。ちょっと質量兵器に形が似ているから色々大変だったけど……。まぁ、それは置いておくとして、ライトに頼まれていたことも解決済みだから、後で確認しておいてね」
「本当ですか!? ありがとうございます!」
ーーーー
なんとか列車へ乗り移り、その場にいたガジェット・ドローンを約半数破壊した俺は4人に降りてくるよう指示を出した。
「ライト! そっちに3機向かった!」
「あぁ、クソッ! どんだけいんだよ、こいつら!」
それでも、まだ半分。先はまだ長かった。また、こんな開放的な空間では俺の得意な戦法が使えないのがなんとも歯がゆい。
『モーリス陸曹、スターズ3、4、ライトニング3、4、全員、降下完了しました』
「了解。作戦通り頼むぞ」
そんな時、後方で列車への降下を完了させたティアナから連絡が入る。これには安堵の溜息を漏らしそうになるがぐっと堪え、ガジェット・ドローンに向き直る。
これで一先ず、第一目標はクリアか。
まだ、俺たちがやるべきことは残ってる。俺はガジェット・ドローンを破壊するために再び考えを巡らせるのだった。
▽▽▽
「ティア、ティアってば!」
「なに、スバル」
私は走っていた足を止め、後ろにいるスバルと向き合う。既にスバルと合流してから結構な時間が経っている。残りの車両も3つになっていた。
「無駄話なら後にして。私たちは早くレリックを見つけ出さないといけないんだから」
「それは……そうだけど……」
上ではまだ、あいつとギンガさんが戦っている。後ろの車両にいるエリオとキャロは新型と戦闘に入ったと報告も来ている。なら、私たちぐらい、早く終わらせないと……
「ほら、あと3両なんだから、早くして」
私がそう言っても、スバルは何か納得していない様子だった。
「スバル、私に何か言いたいことでもあるの」
「その、えっと……」
「あるのなら早く言って」
「あのね、ティア。ティアがどうしてそこまで急いでるのか私にはわからないけど、一旦落ち着こうよ。ほら、なのはさんも作戦中の焦りは禁物だー、って言ってたじゃんっ!」
そう言ってスバルは真剣な眼差しで私のことをじっと見つめてくる。そのスバルの真剣な目に、私のことを信じている純粋な目に、私は、目を背けたくなった。
「……わかった。ここからは焦らず慎重に行くわよ」
「うんっ!」
そうは言っても、状況はそんなに良くはない。上の戦闘は今だ続いているし、後方の車両ではエリオとキャロが新型と戦っている。
「もしかしたら、こっちにも新型がいるかもしれないわね……」
「でも、あたしとティアのコンビなら新型だってきっと大丈夫だよっ!」
「……そうね。よし、次の車両に行くわよ」
「はーい!」
……まったく、私はあんな目で見られるようなできた人間じゃないのに。
次の車両へ、私は扉に手をかけた。
「ティア!!」
「なーに、スバル」
さっき、自分で言っておいて、私は完全に油断していた。後ろを振り向いた瞬間、大きな衝撃が私を襲った。吹っ飛ばされ、意識が薄くなっていく中、私が最後に見たのは今にも私を叩き潰そうとしているベルトのようなアームと泣きそうな顔をしながら私に駆け寄ってくるスバルの姿だった。
▽▽▽
『ティア!!』
そんな張り詰めたスバルの声が聞こえてきたのはガジェットの数が残り10体となった時だった。
「ライト、いまのって?!」
「あぁ、ちょっとまずいことになってるようだな」
そう、口では平静を装っても、内心、俺はかなり焦っていた。
二手に分かれてティアナたちを助けに行くか? それとも、このままここでガジェット・ドローンを全て破壊するか? どうする?!
そんな考えがぐるぐると頭を回り、焦りで手元がが狂う。なかなか、ガジェット・ドローンに当たらない。それが一層、俺の焦りを募らせる。
通信から聞こえてくる話によると、新型のガジェット・ドローンにティアナがやられ、トドメをさせられそうになったところをギリギリのところでスバルが止めたらしい。だが、攻撃を止めた衝撃が原因でリボルバーナックルのカードリッジシステムに誤作動が起きていると。
また、エリオは被弾まではしていないが疲労の色が濃く、キャロもエリオをサポートするので精一杯という状況。
気がつくと隣にギンガが立っていた。どうするの、とそんな目で俺のことを見ている。
「ふぅ……」
大きく一度、息を吐く。そうだな、いくら考えたところで埒があかない。結局やることは変わらないんだ。
「よしっ! ギンガ、『ブレイカー』を使う。悪いが少し時間を稼いでくれ」
「了解!」
ギンガがガジェットに向かって走り出していくと同時に俺は『罪と罰』の引き金を2回引く。 収束魔法『ブレイカー』、一撃で全機落とすにはこれしかない。
ギンガが『ウイングロード』を上手く使ってガジェットを一箇所に集めでくれていた。それならば簡単だ、俺はそこに照準を合わせ、再度、引き金を引いた。
「ここまでしてくれるなんてな。ホント、俺には勿体無いパートナーだよ、ギンガは」
発射された黒き砲弾は一瞬でガジェットたちを飲み込み、破壊した。砲弾が通り過ぎた後には何事も無かったかのように全てが消えていた、
「列車外のガジェット・ドローン、全機破壊を確認。これより、援護にまわります」
俺は本部に一度、連絡を入れる。他の者の状況を聞いてみたが、エリオたちの方は大丈夫らしいが、ティアナとスバルの方は危険な状態らしい。
「ギンガ、二手に分かれよう。俺はティアナとスバルの方に行く。ギンガは念のためエリオとキャロの方に向かってくれ」
「了解。……ねぇ、ライト」
「なんだ?」
「一応言っておくけど、列車は壊さないでね?」
「そっちの心配かよ…… わかってるからよ、そっちは頼んだぜ」
俺とギンガはそれぞれ分かれて行動を開始した。ここからが正念場だ。俺は手に持っている『罪と罰』を握りしめ、2人の元へ急いで駆け出していった。
頼むぞ、スバル。俺が行くまで持ちこたえてくれよ……ッ!