最近、1話の文字数を増やそうとしているのですが、なかなかうまくいきません。他の方はだいたいどれくらい書いているものなのでしょうか?
「ティア、ティアってば! しっかりして!」
ギリギリのところでティアを救出できたあたしはどさくさに紛れ、1つ前の車両に逃げ込んでいた。
「どうしよう……」
向こう側が見える位置に隠れられたおかげで、あっちの様子がよくわかる。まだ、新型はこっちの車両まで追いかけてこない。運良く見失ってくれたのか、あそこから動かないのか。
「『マッハキャリバー』、リボルバーナックルの調子はどう?」
『ダメです。先ほどの衝撃でカードリッジシステムが不具合を起こしています』
「やっぱりダメかぁ……」
カードリッジシステムが使えないとなると、あの硬そうな新型を破壊するのに、火力が足りないかもしれない。だけど、あたしがやらなくちゃ、ティアも危険に晒されたままだし、作戦も終わらない。
でも、どうしよう。ティアを1人ここに置いておくのは危ない。かと言って、ここにずっと止まっているのも危険だし……
ぐるぐると頭の中を様々な考えが駆け巡る。その時、何かが弾け飛ぶ音とともに、車両間にある扉が壊された。
「ーーッ!」
声を上げそうになるのを口を押さえて必死で耐える。大丈夫、まだ見つかってない、そう自分に言い聞かせながら。
あっちに行って、早くあっちに行ってよ!
今はまだ、仕掛けるタイミングじゃない。ティアの身体を抱きしめながら、あたしはあの赤いアームに気づかれないように息をひそめる。 一体、どのくらいの時間が経っただろうか。しばらくすると、うねうねとその場で蠢いていた赤いアームは徐々に元の位置へと引っ込んでいった。
「ふぅ……」
一瞬にして緊張の糸が切れる。それほどまでに、さっきの状況は心臓に悪かった。
「とりあえず、一安心……かな?」
だが、そうは言っていられない。あたしはすぐさま、気合を入れ直すと、向こうの車両を覗き込んだ。
「なに、あれ……?」
向こうの車両、真ん中を陣取っている新型の前に青く光る球体のようなものが浮かんでいた。一目でわかる。あれはガジェット・ドローンに装備されているレーザーの集合体だ。通常のカプセル型をしているガジェット・ドローンの持つレーザーは単発の威力はそう高くない。だけど、あれは違う。魔法でいう『ブレイカー』。つまり、収束砲だ。
「あんなの喰らったらひとたまりもないよ……ッ!」
拡散か、砲撃か、どっちにしろこちら側に大きな被害が出るのは明白。 それならば、ティアにも援軍にも期待できないこの状況で、あたしがしなければいけない行動。きっと、それはーー
「うおぉッ!」
あたしは駆け出す。今にも発射されそうなあのレーザーを止められるかどうかは神のみぞ知る、あたしにはわからない。だけど、絶対に止める、止めてみせる。
間に合え……ッ!
あと少し、あと3歩も前に動けば拳が当たる、そんな位置。
「へ……?」
その時、後ろから、何かがあたしの耳元を通過し、新型へと突き刺さった。
「止まった……?」
新型のガジェット・ドローンはそれっきりピクリとも反応しなかった。
▽▽▽
「着弾確認っと」
俺はちょうど列車が直線と瞬間を狙ってあの丸いガジェット・ドローンを狙撃した。
「『罪と罰』、モード・スナイパー解除」
洗礼されたデザインの大型な銃が姿を変え、拳銃となって俺の手に収まる。
とりあえず、これで少しは時間が稼げるな。
俺は2人の状態を確認するために歩き出した。
「スバル、無事か?」
「あ、やっぱりさっきの弾丸はライトさんのだったんですねっ!」
「まぁな。それで、ティアナの状態は?」
「見たところ軽い打撲程度で頭を打って意識を失っていますが大きな傷はないと思います」
「そうか」
自然と安堵のため息が漏れる。全員生きて作戦を完了されるとか言っておいて、死人なんて出したら世話ないからな。
「あの、今ティアのこと名前でーー」
「スバル」
「は、はい!」
なんか、スバルが何か言っていたのを遮ってしまったみたいだな。
「悪いな、話を続けるぞ。さっき打った弾はな、機械に着弾すると一時期的に動きを止めるウイルスを流すシャーリーさん特製の弾だ」
試作段階だから一発しか預かってないんだけどな。
「だから、もう時間がない。お前はこの寝てる馬鹿を連れて先頭の車両まで行ってくれ。そこに目的のものがある筈だ」
「りょ、了解です!」
スバルは敬礼を一度すると、テキパキとした動きでティアナを担いで先頭車両まで駆け抜けていった。些か、あのガジェット・ドローンの横を通る時は緊張していたみたいだが。
「さて、流石にもう少し止まってくれたりは……しないよな。残念」
新型のガジェット・ドローンに光が灯る。それと同時にだらんと垂れ下がっていた赤いアームが動き始める。赤いアームを左右に大きく広げたその姿。
「威嚇か。なんとも生物的だな」
相手に自分を大きく見せようとする行為。機械が絶対にしない行動。それは、俺になんとも言えない不安を感じさせる。
くるか……ッ!
ピタリとガジェット・ドローンを通して何者かと目があったような気がした。実際にはただの赤いレーザー光だったのかもしれない。だけど、俺にははっきり見えた。冷たく、しかし、どこか懐かしい、そんな眼が。
「チッ!」
油断していた訳ではない。4つのレーザーは正確に頭、心臓、両脚を狙って放たれた。それも、上手く少しずつレーザーの間隔をズラして。俺は全てを避けきれず、右足に被弾した。
防御したとはいえ、これは効くな。
大きく横薙ぎに振るわれたアームを天井に向かって打ち出したワイヤーに引っ張られる形で回避し、ガジェット・ドローンを飛び越え、反対側へと着地する。これで、前の方の車両に背を向ける形になった。
「これで、思う存分撃てるな」
足を肩幅まで広げ、『罪と罰』を構え、引き金を引く。1回、2回、3回。
「くらえよ『
見えない弾丸がガジェット・ドローンへ向かって殺到する。それはアームを撃ち抜き、機械の破片を撒き散らす。
「撃破まではいかないか。AMF強くなってんのか?」
『幽霊銃弾』は俺の編み出した幻影魔法の1つだ。その名の通り、幽霊のように見えない、反応しない魔力弾。幻影魔法を使える魔導師でさえ使えない、俺だけの魔法。
「ほら、もういっちょ!」
通常、姿は透明に出来ても魔力弾は透明に出来ないと言われている。極度に動く物体には幻影魔法で姿を隠すことができないからだ。それに、もし魔力弾を透明にしても一定の魔法師なら魔法の反応がわかる。それがこの魔法のみそだ。つまり、この魔法は何もないところからいきなり雷が出来るようなものなのだ。
まぁ、それが俺のリンカーコアが欠陥だということを表しているんだけどな。
そう思うと自然とため息が漏れる。これが原因でシャーリーさんに余計な手間を取らせてしまった。この欠陥が良いことなのか、悪いことなのか、判断に苦しむところだ。
「まだまだ行くぜ!」
ワイヤーを使い、縦横無尽に車内を動き回り、魔力弾を撃ちまくる。ガジェット・ドローンがこちらを狙ってアームを振るたび、空中に浮かんでいる『幽霊弾丸』に当たり爆発する。ところどころに設置した地雷がガジェット・ドローンが移動するたびに爆発する。
「さて、そろそろ終わらせるぞ」
俺の目の前には全身がひび割れ、アームも片方が根元から取れているガジェット・ドローンがいる。こんなボロボロな見た目をしているが、決定打となる攻撃はまだ与えられていない。
「『
炎の魔力変換を宿したカードリッジに入れ替え、一気に突っ込む。相変わらず、発射されるレーザーは正確なものだが、それだけじゃあ、俺を止められない。
『罪と罰』をガジェット・ドローンへとつき立てる。
「いけいけいけッ!」
炎を纏った魔力弾はガジェット・ドローンを突き抜け、列車の壁に大きな穴を開けた。
「全機ガジェット・ドローン撃破完了」
そう一言、本部に報告して俺はその場に座り込んだ。炎などの魔力変換が付与されている特殊弾は魔力をかなり使う。それは幻影魔法である『幽霊弾丸』もそうだ。それに、慣れない『ブレイカー』でも疲れに拍車をかけている。
「しゃあねぇ、行くか」
俺は立ち上がり、仲間と合流するために歩きだした。ここに、機動六課最初の実戦は終わりを告げた。
▽▽▽
「いやぁ、すまなかったね。帰ってきて早々、私の研究に付き合ってもらってしまって」
「いえ、俺の方こそ、ありがとうございました。ガジェットを動かす体験なんてそうできるものではないですから」
「そう言ってもらえると私としても助かるよ。それで、どうだったかい?」
「やはり、試作段階にしてはよくできていると思いますよ。ただ、レーザー以外の反応が少し鈍いですね。いくら攻撃と防御に優れているからと言って、あのレベルの魔導師なら相手にすらならないでしょう」
「ふむ…… ありがとう、参考にするよ。おっと、ウーノから連絡だ」
「そうですか。なら、俺はもう行きます。みんなを待たせているので」
「わかったよ。また何かあった時には君たちに頼み事をする時はよろしく頼むよ。それでは、君たちの旅に幸あることを」
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