「儂は黒崎一護の友である、狛村左陣と申す。この兜を着けたままですまぬが、どうか宜しく頼む。」
狛村はロキ・ファミリアの主要メンバーに自己紹介をしていた。
「はーい!よろしくね!!私はティオナだよ!」
「私はその姉のティオネよ。よろしく。」
「れ、レフィーヤです!宜しくお願いします!」
「チッ、ベートだ。」
「ガレスだ。よろしく頼むぞい。」
「ロキ・ファミリア副団長のレヴェリアだ。」
「そして、僕が団長のフィンだ。」
「前にも言った通り私はアイズ…。ねぇ、聞きたいことがある。」
「何だ?」
「一護の友達ならどれくらい強い?」
「アイズ。失礼だろ。」
アイズの言葉にフィンが反応し、叱る。
「構わぬよ。団長殿。強さか…。それは難しいな。スピードでは黒崎一護が上だ。だが、パワーでは儂が勝っている。調子次第で儂達の対戦結果は変わるであろう。」
「なら…私と戦ってほしい。」
「こら!アイズ!いい加減にしろ。」
アイズの言葉にリヴェリアまでもが叱る。しかし
「構わぬ。」
「左陣さん…。」
「それで?どこでやれば良いのかな?」
こうして狛村は、アイズに案内されるがまま鍛錬場へ行き、中央にたつ。他のメンバー達が見守る中、アイズは剣を抜き構え、狛村は獲物を持たずに向かい合う。
「そう…。貴方も剣を使わないんだね。」
「儂の刀は敵を斬る為にある。貴殿との鍛錬で抜くつもりはない。」
「うん…わかった。」
リヴェリアがアイズと狛村の間に立つ。
「全く。狛村殿、誠に申し訳ない。」
「構わぬ。良き目をしている。儂が少し導くとしよう。」
「アイズ。後で説教だ。」
「う…。」
アイズは苦い顔をするがすぐに心を落ち着かし、相手を見据える。両者の用意が完了し、リヴェリアは開始を告げる。
「それでは……始め!」
アイズは一直線に突っ込む。狛村はそれを受け流す構えを取るが、アイズは魔法で急転換し、狛村の頭を越え、背後から突きを放つ。
「成る程筋が良い。だが、甘い。」
狛村はアイズの突きを腕につけている小手で逸らす。
「そんな…完全に虚をついたはずなのに…。」
「儂に攻撃を入れたくばその程度で裏をかいた気になってはいかんな。」
狛村はアイズに技をかけ、その場に倒し、僅か数十秒で模擬戦が終わる。アイズは顔を俯かせ、小さく呟く。
「…なんで…。」
「……貴殿の才能は確かに見張るモノがある…。しかし、貴殿の刃には決定的に意思がかけている。目的と言い換えても良い。攻撃に関して言えば、貴殿は諸刃の剣だ。敵を斬るにはこの上なく強力だ。だが、味方を傷つける可能性もある…。覚えておくといい、目的なき力はただの暴力だ。」
「…貴方も…一護と同じ事を言うんだ…。なら、貴方の目的はなに?意思ってなに?」
「儂の目的はただ1つ、儂が尊敬する方のために死ぬことだ。」
「死ぬことが…目的…?」
「そうだ、儂が儂足り得るのは、そのお方のお陰だ。そのお方に死ねと言われれば、いつでもこの命を散らす覚悟がある。そのお方が生きろと言うのであれば、他の何を失おうと生き通す覚悟がある。」
「なんで、そこまで…。」
「分からぬか、若者よ。それが儂と貴殿の差だ。」
「っ…。」
アイズは唇を噛み締め、俯きながら立ち上がる。
「ありがとう…ございました…。」
そして、狛村に礼を言うと、そのまま部屋へと戻っていった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「私は……どうすれば…。」
コン コン
落ち込んでいたアイズの元に、扉をノックする音が聞こえ、返事を返す。
「誰?」
「俺だ。」
一護の声が聞こえ、慌てて扉を開ける。
「な、なに?」
「いや、何つーか…アレだ。気にすんなよ?狛村さんはかなり強え人だからよ。お前は十分強えよ。」
「……ありがとう。慰めてくれて。」
アイズは微笑み、一護に礼を言う。
「べ、別に慰めた訳じゃねぇさ。事実お前は強いからな。まぁ、そんだけだ。」
一護はそのまま振り返り。自室へと戻っていった。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「今日は遠征か…。」
「いやぁー、待ちに待った遠征だねぇー!!」
一護の呟きにティオナが反応する。
「芋虫型のモンスターの調査だったな。」
「うんうん。アイツ超ウザかったよ!私の武器も溶かされたし!」
「まぁ、今回は俺たちに任せとけよ。」
「でも、道中のモンスターはアタシたちが貰うからね!」
「わかってるっつの。」
一護はティオナと共に遠征の集合場所へ向かった。
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「これより、新種のモンスターの調査に向かう!今回の上層の混雑を避けるために二班に分ける。一班は僕、二班はガレスが指揮を取る。合流は18階層で合流し、そこから一気に五十階層まで行く。それでは一班から行こう!」
フィンの掛け声に主要メンバーのガレスとレフィーヤ以外のメンバーと一護はダンジョンへと向かった。
「狛村さんは連れて行かないのか?」
一護は前を歩くフィンに質問する。
「一護の友人といえど、恩恵を持っていないからね。強いのは理解したけど、それだけじゃ他の冒険者を納得させられないからね。」
「仕方ねぇか。」
「それより…ん?あれは…?」
フィンが視線を向けると、冒険者が三人倒れていた。
「おい!どうした!?」
一護が近くへ駆け寄り、声をかける。すると倒れていた三人の内一人が声を発する。
「み、ミノタウロスが…。」
「こんな階層あの牛がいんのかよ!?」
「いや、本来こんな階層にいるはずがない。」
「この先に…白髪のガキが襲われていた…。今頃は…」
「クソ!ベルか!」
一護はその場から全速力で走り去った。
「ちょっと一護!!今は遠征中だよ!?」
「仕方ない…。行くぞみんな!」
フィンの掛け声に皆が頷き、一護を追った。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「ベル!!大丈夫か!?」
「一護…さん…。」
一護がベルのもとへ駆けつけると、そこにはボロボロになってミノタウロスと対峙しているベルがいた。
「下がっとけベル!」
「いや、下がるのは貴様だ。黒崎一護。」
「っ!!?」
一護が声のした方を見ると、物陰からウルキオラが出てきた。
「そいつを助けたくば、俺を倒したからにするんだな。」
「クッ……。今回のことはテメェの仕業かよ…。」
「さぁな。」
「くそ…。」
(ウルキオラ相手に余所見する余裕なんてねぇ…。今はとりあえず場所を変えるのが先決だ…。ベルにはアイズたちが来てくれるはずだ…。信じるしかねぇ…。)
「場所を変えるぜ…。ウルキオラ。」
「好きにしろ。」
一護とウルキオラは高速歩法でその場から姿を消し、広い場所に出る。
「こんな広い場所があったなんてな。」
「俺が作った。」
一護の驚きの言葉にウルキオラが答える。
「なんの為にだ?」
「それを言う必要はない。」
「なら何でベルを狙った!」
「取引の条件だったからだ。俺にあのガキへの興味などない。」
「取引って誰とだ?」
「さぁな。聞きたくば俺を倒してからにしろ。」
「あぁ、そうしてやるさ!!!」
一護は斬月を抜きウルキオラに斬りかかる。ウルキオラはそれを素手で受け止め、一護の横腹を蹴り飛ばす。一護はそれを腕で防ぐが勢いに負け、壁に突っ込んだ。
(くそ…。腕が折れたか…。いや、そんなことより、どういうことだ?何で………切り込んだ側の斬月の刃が折れてんだ!?今までどれだけアイツにぶっ飛ばされたって欠けたことすらなかったはずだ…。力も跳ね上がってる。間違いねぇ、前より段違いに強くなってやがる)
「どうした。何を驚いている?」
「……驚いてねぇよ。」
「腕も刀も折れた。もう貴様に勝ち目はない。」
「うるせぇよ。まだ…終わってねぇ。」
卍解 天鎖斬月
風が一護の回りを渦巻き、姿が変わり、折れた斬月が直り、黒い日本刀へと姿を変える
「卍解か…。」
「最早貴様に勝ち目はない。諦めろ」
「前にも言ったろうが、勝てる勝てないじゃねぇ、勝つんだよ!」
一護はウルキオラの周りを飛び回り、残像を作り出すほどの超スピードでウルキオラを翻弄し、背後から斬りかかる。しかし、
「なっ!!」
ウルキオラは一護に目を向けずに指一本で攻撃を受け止める。
「この程度か…。残念だ。」
ウルキオラは反対の手の指を一護に向ける
「っ!!」
虚閃
一護は咄嗟に瞬歩で回避し反撃しようとする
「クソ!!月牙…」
「遅い。」
ウルキオラは響転で一護に背後に移動し、その胸を貫いた。
「グ…ハァ………。」
「これが崩石とやらか。確かに藍染様が持っていたものに酷似している。」
「な…んで…てめぇが…崩石の…ことを…。」
「ほう、まだ息があるのか。成程、崩石と融合していた名残か…。いいだろう、教えてやる。貴様がかつて豊饒の女主人からの帰宅時に襲った女神の名はフレイヤ。俺に恩恵を与えた女神だ。」
「なん…だと…?」
「貴様の主神であるロキから聞いていないのか?記憶を覗けることを。」
「フレイヤは…俺の記憶を…覗いたのか…。」
一護の傷が塞がって行き再び立ち上がる。
「ほう、まだそんな力が残っていたか…。だが、完全には治らなかったようだな。」
(クソ……。胸も腕も見ためだけで、全然治ってねぇ…。)
「貴様の負けだ。そして……終わりだ。」
虚閃
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「全く一護はどこに行ったのよー!!」
「ティオナ、ぼやぼや言ってないでさっさと走る!」
ティオナの独り言にティオネが突っ込む。
グオオオオオ!!!
「この声、近いぞ!」
皆が走って行くと、ベルとミノタウロスが戦っているのを発見した。
「あの子!いつも一護と一緒にいる…!!」
「助けるぞ!」
するとベルがミノタウロスに殴り飛ばされ、アイズが受け止める。
「大丈夫だよ。助けに来たから。」
ミノタウロスに向かって歩き出そうとしたアイズをベルは引き止める。
「…?どうしたの?」
「アレは…僕がやります…。リリをお願いします。」
ベルは気絶しているリリをリヴェリアに渡した。
「無茶だよ!君Level1なんでしょ!?絶対やられちゃうよ?」
「だとしても…。僕がやらなきゃならないんだ…。」
アイズはベルの瞳をみると、その瞳から決意を感じ取っり、アイズはベルに尋ねる。
「…どうして?そうまでして戦うの?」
「憧れている場所があるんです…。そこに辿り着くために、そして、僕自身の為に…貴女に助けられる訳にはいかないんだ!!」
ベルは再び地面を踏み締めミノタウロスの元へと駆けて行った。
「まぁ、人の獲物を横取りすんのはルール違反って奴だな。」
ベルは身軽な体を活かして、ミノタウロスの攻撃を躱し、いなしてことごとくを防ぐ。
「何アレ…。一護の話しじゃLevel1って聞いてたんだけど…。」
「だが、攻撃が軽いな。決定打がない。このままではジリ貧だぞ。」
「大丈夫。」
フィンの言葉にアイズが返す。
「どうしてだい?」
「私も同じ事を一護に言ったけど、一護が心配ないって言ってたから。」
「なるほどね。」
「チッ、一護一護って…。」
「残念だったねベート。」
「うるせぇよ、黙ってろ!」
ロキ・ファミリアの面々が話をしている間に、戦況が傾く。
ベルはミノタウロスの目を徹底して狙い、視覚を潰すことに成功する。
「成る程、考えたね…。ミノタウロスの皮膚は確かに斬りにくい。だが、眼球は別だ。」
「へぇー…。やるじゃん!あの子。」
ベルはミノタウロスの懐に入り込みナイフを腹部に突き刺す。
「チッ、あのバカ!懐で立ち止まったら相手に捕まるだろうが!」
ベートの言う通り、ベルはミノタウロスに肩を掴まれる。しかし、ベルは動じずに言葉を紡ぐ。
ファイヤーボルト
「詠唱かないだと!?」
「だがスピードに優れている分、威力がイマイチだ。体の内部に魔法を使用しても仕留めきれていない。」
リヴェリアの言った通り、ベルが魔法を放っても、ミノタウロスは倒れなかった。しかし、ベルは更に魔法を連続で使い続ける。
「詠唱がないとあんな使い方も出来るのか。」
ベルはそのまま自身の魔法を連発し、許容限界を越えたミノタウロスは、花火の様に血を撒き散らしながら破裂した。
「あいつ…勝ちやがった…。」
「Level1なのに…。あれ?立ったまま…気絶してる?」
「マインドゼロ、だな。」
リヴェリアは側に寄り、ベルの治療を始める。
「全く…無茶をする。それにしても一護はどうしたんだ?」
フィンの言葉に皆が気が付いたように辺りを見回す。
「どーせ迷ってんじゃねぇのか?」
「あるかもねー。一護結構抜けてそうだし!」
「でも、ここまでそんなに複雑な道じゃなかったでしょう?」
「参ったな。まだ上層だからモンスターにやられたとは考えられないけど。」
「私…探してくる。」
「待つんだアイズ。勝手な行動は謹め。一護の探索はベートがしてくれ。」
「なんで俺なんだよ!?」
「アイズだと心配だからね。もし一護がやられるほどの何かが起こった場合、アイズなら後先考えずに突っ込んで行くだろうから、人選としては論外だよ。僕は指揮があるから離れられないし、ティオネもティオナも性格的に少し不安だ。リヴェリアは1人で動くようなタイプではないしね。君が一番冷静に動けるだろ?」
「チッ…。わかったよ!」
「探し物はこれか?」
「「「っ!?」」」
突然物陰から声が聞こえ、何かがこちらへ投げ飛ばされた。その姿を視認した途端に皆の表情が凍った。
「「「一護!!」」」
そこにはボロボロになった一護が倒れ伏していた。
あぁー…ごめんなさい。
次から更新遅れます。