本格的なジュエルシード集めを初めてから数日後、学校帰りだったなのはは、ジュエルシードの反応を感知したユーノと、バイトを抜け出して来たミロと合流して神社へと向かっていた。
神社の階段の前まで来ると、なのはは目の前に存在する階段に愕然としたが、急ぐということでミロに抱きかかえられ、一気に階段を駆け上がることになったが割愛。
「いた!」
ミロの肩の上に乗っていたユーノが叫ぶ。
彼らの視線の先には、犬のようなものがいた。正確には、犬という存在を黒く塗りつぶし、全長2mにまでしたような存在だが。そのそばには一人の女性が倒れている。
一気に二人と一匹の緊張が高まった。
ユーノがすぐに結界を張り、空間を隔離する。
「ジュエルシードが暴走してます。気をつけt」
ユーノの言葉が終わる前に、ミロが動く。
「リストリクション!」
放たれた技は黒い犬ような何かを素早く拘束した。
「GYA!?」
完全に動きを止められたことを確認すると、ミロは隣に立つなのはに呼びかける。
「いいぞ、ナノハ!」
なのはは頷くと、手に持っていたレイジングハートを掲げた。
「はい! レイジングハート、お願い!」
なのはの願いに応えて、レイジングハートが魔法を発動させる。
『Sealing』
そして、対象に抵抗を許さないまま封印を成功させた。
「…」
流れるような素晴らしい連携によって、ジュエルシードはあっさりと回収される。
「どうだ? ナノハ」
「はい、大丈夫です。ちゃんと封印できました」
「よし。…どうした? ユーノ」
「い、いえ、何でも…」
ユーノは言葉を濁しながらも(い。いいんだ、何もできなくても…。大きな被害が出なかったんだから)と己に言い聞かせていた。
犬は元の姿に戻り、目を覚ました飼い主らしき女性をごまかしながら帰し、二人と一匹の仕事は終了である。
士郎たちにはなのはの携帯で無事終わったことを伝えると、
「なら、ミロさんたちは家で休んでいてほしい。今日は疲れただろうからね」
と、言われたため、彼らは高町家へと帰ってきていた。
激しい戦闘があったわけではないのだが、なのはは緊張していたらしく、疲れた様子を見せていたのもあり、その言葉に甘える。
そして、家に帰ると同時に緊張から解かれたせいか、なのはのテンションが高くなっていた。
ひとまずは落ち着かせるためにリビングで会話をしていると、その会話はなんとなく魔法についてになっていく。
「ならば、魔法はあらかじめ作ってある設計図がなければ使えないんだな?」
「はい。その
ミロの問いかけにユーノが答える。
なのははキョトンとして口をはさんだ。
「イ、インテリ何?」
「インテリジェントデバイス。いうなれば、レイジングハート自体が意志をもってるってことだよ」
「え? 普通はおしゃべりできないの?」
てっきりレイジングハートのような存在が普通だと思っていたなのはがユーノに質問した。
「うん。一般的なデバイスは『ストレージデバイス』っていって、人格はないけどその分処理が早いのと誰にでも扱いやすいっていうものかな。インテリジェントデバイスっていう部類だと個人用とか専用機って感じになる。どうしてもその持ち主にあわせていくから、ほかの人には使いづらくなっちゃうんだ」
「じゃあ、レイジングハートはちょっと特別なんだね」
『(そのとおりです)』(That's right.)
なのはの首にかけられていたレイジングハートが肯定の言葉を入れる。
しばらく魔法について話をしたあと、落ち着いたなのはがテレビを見ようと誘い、昨日美由紀から見せてもらっていたDVDを取り出す。
「…ナノハ、それは何だ?」
「? DVDですよ?」
見たことのない円盤のような何かに、ミロは首をかしげる。
「えっと、これに映像とか音とか入ってるんです」
「…ビデオテープは?」
「あ。そっか」
ミロは一応は10年以上前の人間であることを思い出し、なのはは納得の表情になる。
「えっと、今は技術が進んでこういうのに記録できるようになったんです。ビデオテープよりも映像が劣化しにくいし、大きさも小さくなったんですよ」
「…ぬぅ…。これにか…」
ケースごと渡されたDVDを恐る恐ると行った様子でちょいちょいとつついてみるミロの姿に、思わずなのはは笑ってしまう。
「ここをぐっと押して外して…。キラキラした方を下にしてデッキに入れるんです。あ、キラキラした方は触っちゃダメです。そっちに映像とか記録されてるんで」
「む」
イラストが書かれた面を手のひらに乗せて持っていたミロは、ならどこを持てばいいのかと考え、
「なら、こう持つのか?」
「普通の人はそう持てませんよ!?」
「その発想はありませんでした…」
念力で浮かせて運び、なのはに盛大にツッコミを入れられ、ユーノに若干呆れられるのだった。
テレビのちょうど向かい側のソファに3人で座る。
ミロをはさんで右側になのは。左側にユーノがちょこんと座った。
なのはが慣れた様子でリモコンを操ると、映像をスタートさせた。
これは…特撮か? はい、今流行ってるらしいです。何かこの赤いキャラクターの声、ミロさんに似てますね。ユーノ君もそう思う? 俺は思わんが…。ミロさんミロさん、俺、参上って言ってみてください! む? …俺、参上! わぁ、すごい本物だ! いや、違うぞナノハ、落ち着け。あ、アハハ…。
そんなこんなの会話をしながらストーリーを追っていく。
「…この主人公はなかなか根性があるな」
「僕もそう思います」
「あ、モモタロスが謝りながら飛び出してった」
最初のうちはお互いに感想を言い合っていたのだが、気がつけば完全にストーリーにのめり込む二人と一匹。
やがて、DVD2枚目の最後の話が終わり、EDが流れ始める。
「もう、この巻も終わりか」
なんだかんだで一番夢中になっていたであろうミロが残念そうに言った。
「ナノハ。この続き―――」
「どうしました?」
妙なところで途切れたミロの言葉に、ユーノが不思議そうに聞き返す。
ミロは静かにとジェスチャーをしてみせてなのはの方を見る。ユーノがそちらを覗き込むと、
「…スゥ…」
「ね、寝てる…?」
「疲れたんだろう。昼間は学校と魔法の修行で、さっきまでは気を張り詰めていたからな」
荒事に慣れているミロや、戦闘の経験があるユーノとは違い、なのはは普通の少女なのだ。
そして、そのなのはは年相応の表情で眠っている。
「…しっかり、寝かせたいんだが…」
「完全に掴んでますね…」
そして、そのなのはは無意識にかミロの金髪をしっかりと抱きしめるようにして眠っていた。無理に手を離させれば起きてしまいそうだ。引っ張られているわけではないのでミロは痛くはないのだが。
ユーノが納得したように言う。
「まあ、ミロさんの髪、モフモフですからね」
「なんだその妙な形容詞は…」
「いつも肩に乗ってるとそう思います」
そういえばそうだったな、こいつ。とミロは思いながら、周りを見回す。
そして、視界に入ったのは桃子がたたんでおいたであろう洗濯物。朝、片付ける時間がなかったのか、その中には大きめのバスタオルも置いたままだった。
ミロは、あとで事情を説明すれば良いかと思い、
「何もしないよりはマシか」
「…」
幸い、なのはの眠りは深いのか、タオルをかけられた時に若干モゾモゾと動いただけで、再び寝息が聞こえてくる。
ユーノは無言のままそれを見ていたが、やがて、ゆっくりと口を開く。
「あの…」
ミロは視線をなのはからユーノに移す。
ユーノはそれを受けて一度言葉を止めるが、再び緊張した様子で口を開いた。
「お願いがあるんです、ミロさんに」
「突然、どうした?」
改まった様子に、ミロは少し驚きながらも聞き返す。
ユーノは数度深呼吸をしたあと、言った。
「僕は…
「無茶を言うな。小動物」
「…」
「…」
「…」
「…」
「え?」
「え?」
ユーノの直訴は直後にミロに持ち通り一刀両断され、しばらくの沈黙。
そして、ユーノは首をかしげ、ミロもまた何故聞き返されたのか分からずに聞き返す。
「あ、あの。今、なんて?」
「人間ならまだしも、小動物のお前にどうやって
ミロは律儀にも理由を教える。
「ただいまー…って、あれ? 何かあった?」
そこへ帰宅した美由紀が顔を出し、思わず二人と一匹を見る。
ユーノがおそるおそるといった様子で口を開く。
「…えと、すみません、ミロさん。お話したいことが…」
「まだあるのか?」
「ありますよ!? ちょ、なんで面倒そうな顔してるんですか!? 聞いてくださいよ!」
「聞くから静かにしろ、ナノハが起きる」
「ぼ、僕の扱いって…」
「まあまあ。何があったかはわからないけど、なのはは私が見てるから」
美由紀が空気を読んで、未だ眠ったままのなのはの手を取り、
「よいしょっと」
軽く手を抑えてささっとミロの髪の毛から放す。
なのはは何事かモゴモゴと寝言を言っていたが、結局はソファに完全に横なって眠る。
「あらら。ミロさんの髪ってモフモフなのね」
「お前もか」
美由紀とミロがそんなことを言い合う。
そして、ミロとユーノは庭へと出て行った。
「魔法を使うので、結界を張ります」
ユーノが一言断り、ユーノ自身とミロ以外を隔離する結界を張った。
「…先に言っておきますが、僕のこの姿は、本当の姿ではありません」
「何?」
ミロが何を言い出すのかと聞き返す。
ユーノは言葉を続けた。
「僕たちスクライア一族は、考古学の研究のために変身魔法を学んでいるんです。小さい姿の方が体力や魔力の回復も早いですし、わずかな隙間でも移動が可能ですから」
「…つまり、お前は…」
「変身魔法を、解除します」
ミロの言葉が終わる前に、ユーノの足元に魔法陣が展開され、姿が淡い緑色の光に包まれる。
やがて、その光は大きくなり、フェレット程度の大きさから、なのはと同じくらいの人間の大きさになる。
光が消えると、そこに現れたのは一人の少年だった。
明るい色の髪を肩で切りそろえ、どこか民族衣装を思わせる服装にマントを着用している。
「…」
完全に言葉をなくすミロに対して、ユーノは頭を下げる。
「に、人間だったのか、お前は…!」
驚きの声を上げるミロに対して、ユーノは身を縮こませながらも答える。
「すみません。黙ってるつもりはなかったんです。ただ…」
「回復のため、か?」
「そうです。それに…その、お話するタイミングもなかったので…」
ミロの言葉を、ユーノが引き継ぐ。
ミロは思わずといった様子で額に手を当てながら、
「…一応聞くが、俺以外にこの事を知っているのは?」
「あ、なのはは知ってます」
「そうか。なら良いが…」
ミロは同じ部屋に寝ていることを思いながらも、合意の上で子供だから大丈夫か、などと考えながら答える。
後日、それが誤解だとわかった時に何が起こるか…。
今は、読者諸君の想像に任せよう。
「ミロさん。改めてお願いします」
ユーノはもう一度頭を下げた。
「どうか、僕を弟子にしてください! 僕は、守られるだけなんて嫌なんです!」
「…」
改めて放たれた言葉に、ミロは今度は即答せずに黙した。
しばらくして後、ミロはゆっくりと口を開く。
「貴様、本気か? …いや、正気か?」
今までとは違う厳しい声音と言葉に、ユーノは息を飲んだ。
「以前にも話したが、修行は貴様の想像を絶するものだ。死んでも文句は受け付けん」
「それでも」
「黙れ」
反論しようとしたユーノは、殺気すら伴ったミロの静かな命令に口をつぐんだ。
ミロは一度は耐えるかのように深い呼吸をすると、
「…良いか? よく聞け、ユーノ」
再び、いつもどおりの声音に戻り、話を続ける。
「そもそも、どうやって修行をするつもりだ。ジュエルシード集めはどうする? どちらかを片手間でやるつもりか? 修行する期間は少なくとも年単位だぞ。明らかにジュエルシード集めには間に合わん。今からの実戦にすぐに使えるとでも思っているのか?」
「
「甘いな」
「そんなこ」
ユーノの言葉が再び止まる。否、止められる。
目の前に立つミロは一歩も動いていない。それどころか、指先をわずかにすら動かしていない。
それでも、ユーノは自分がミロによって言葉を止められたのだと理解した。
「甘いと言っている。それに、どうやって修行を続けるつもりでいる。お前はジュエルシードを集めたあとは、それを持ってこの世界を立ち去るのではないのか? 俺は世話になっている場所から、恩も返さずに去るつもりはないぞ。お前にはお前のなすべきことがあるはずだろう」
言っておくが、とミロは続ける。
「基礎だけ教えてもらえれば、あとは自分でなどといった考えを持っているのではないだろうな?」
「…っ!」
図星だったのか、それともミロの殺気に当てられてか、ユーノが震える。
「修行で死ぬことがあるという事実を、貴様は自分の一族に説得できるのか? 貴様が死んで迷惑を被るのはごめんだ。
「不可能なんかじゃありません! どっちもやってみせます!」
ユーノが叫ぶ。ミロの瞳に怒りの火が灯る。
「ならば、試してみるか」
感情が高ぶり、ゆらりと陽炎のように、ミロの体から黄金の光が立ち上る。
ユーノが目を見開く。
「歯を食いしばれッ!」
それはミロの情けだったのだろう。ユーノは咄嗟に言われたとおりに構えた。
「スカーレット・ニードル!」
カッ!
いつの間にか赤く伸びていた、ミロの右手の人差し指の爪。そこから真紅の閃光が走った。
それは狙い通り、ユーノの左肩に突き刺さる。
「!?」
ユーノがたじろいで、肩を覗き込む。
だが、そこにあるのは小さな針のような穴。僅かに血が流れていはいるが、それほどひどい傷ではない。
が、そう考えられるのは一瞬だった。
「ッアアアアアッ!!?」
激痛がユーノの体を蝕む。
立っていることもままならず、膝を付き、傷口を抑えた。口からは勝手に悲鳴が漏れる。
必死に治癒魔法を使おうとするも、痛みのせいか集中できない。
「…どうした? 不可能ではないのなら、何かやってみせろ」
痛みに苦しむユーノに対し、ミロは非情にも言い放つ。
だが、それでもミロにしては有情だった。
たった今放たれた彼の技、『スカーレット・ニードル』も、
だが、それでもユーノには衝撃的だったようで、維持している結界も集中力が途切れかけているせいか、今にも消えそうだ。
「っくぅっ。っぐっ、あ…あああ!」
ユーノはいかにも必死という形相で治癒魔法を傷口に施す。
「ッハア、ハア…」
魔法が効き、若干傷みが和らいだおかげかユーノはなんとかもう一度立ち上がる。
「…なるほど。口だけではないようだな」
ミロは、それだけ言う。
「まだ続けるつもりか?」
「続けます!」
「ほう。それで、ジュエルシードは今、探せているか?」
「ッ!」
ユーノは思わず歯噛みする。
痛みに悶絶していた時、自分にできたのはかろうじての結界維持と治癒魔法の行使だけ。
優秀な魔道士として
『痛み』という思考だけで自分がいっぱいいっぱいになっている。ユーノはそれを痛感した。
「…理解したようだな」
「……」
ジュエルシードの危険性を教え、その上でジュエルシードの探索と封印の手伝いを頼んだユーノ。
彼にとっては、最優先事項は『ジュエルシードの捕獲』なのだ。
ならば、どちらをなすべきか、それはユーノにも痛いほど理解できた。
「…僕は…ずっと、貴方やなのは達に頼ってばかりで…何も出来ていないんです…。なのはは、普通の女の子なのに、戦わせて…本当は、僕がやらなくちゃいけないのに…」
「…」
ミロは、黙ったまま、ユーノの言葉を聞く。
そして、気がついた。
大人びてはいるが、どう贔屓目に見てもユーノは子供なのだ。
しかも、自分が知る
今のところ、彼の口から自分に、同じようにこの世界に来た仲間がいるということは聞いたことがないのだ。
さらに言うならば、ジュエルシードを預ける先である『管理局』なる場所の人間もいないし、連絡も取れていない。
ユーノは、この世界で独りだったのだ。
「…僕は…これ以上強くなれないんです。魔力値が限界で…攻撃魔法にも適性がなくて…」
白くなるほど握られた拳には、どれほどの力が加わっているのか。
「でも…それでも…!」
強くなりたいんです。
拳を握り締めたまま、ユーノが呟く。その先の言葉は声には出せない。
しばらくの沈黙が二人のあいだに落ちる。
「顔を上げろ」
ミロがそう声をかけると、いつの間にかうつむいていたユーノははっとして顔を上げる。
「動くな。血止めの真央点を突くぞ」
ミロは片膝をついて視線をユーノに合わせる。そして、トン、とユーノの胸のあたりを人差し指で突いた。
それだけで、ユーノの肩から流れていた血が止まり、先ほどの間での傷みが嘘のように軽減する。
「痛みも、半日もすれば取れる」
「…はい…」
「それと」
「?」
まだ何かあるのか、とユーノは思う。
ミロは立ち上がると、告げた。
「もし、ジュエルシードを集め、あるべき場所に返してもなお、お前の気持ちが変わらなければ…。その時はもう一度言え」
「そ、それって…」
「お前の一族にはお前から話しておくことだ。死んでも俺に文句はつけんとな。無論、お前自身もだ」
そう言い終えると、ミロはユーノに背を向ける。
「はい! あ、ありがとうございます!」
ユーノはその背中に頭を下げる。
ミロは振り返らずに結界の外へと出て行き、玄関から家の中へと入って行った。
「…」
それを見送ると、ユーノは再び姿をフェレットに変えて、結界を解除する。
「あ、ユーノ君!」
そこへ、縁側から出てきたなのはが声をかけてきた。
「ごめんね、私、途中で寝ちゃって…」
すまなそうな表情で、なのははうなだれる。
「謝らなくてもいいよ。なのはは疲れてたんだし」
「うん…。ありがと、ユーノ君」
ニコッとなのはは笑うと、周りを見回した。
「あれ? ミロさんは? 一緒じゃないの?」
「あ、さっき戻っていったよ。玄関から入ってったから、すれ違ったんじゃないかな?」
「…」
なのはの疑問に答えるユーノだったが、そのなのはの視線がどこか厳しいことに気がつく。
「ね、ユーノ君。ケガしてない?」
「あ、あー…。うん。ちょっとね」
「ミロさんとケンカした?」
「し、してないよ! 全然! ちょっと、僕がワガママ言っちゃっただけなんだ」
「…ミロさんにケガさせられたの?」
「なのは。それは違うよ」
悲しげななのはの言葉を、ユーノは否定する。
「僕は、さっきミロさんに
「えぇ!? で、でも、それって…。ものすごーく厳しいって…」
「うん。ミロさん、どのぐらい厳しいか、って少し教えてくれたんだ。だから、ケンカとか、ケガさせられたとか、そんなんじゃないから」
「…うん」
なのははそう言われても、納得がいかないのか、再び問いかける。
「ユーノ君、魔法だけじゃ足りないの?」
「まあ…。僕は、そう思ったんだけどね…。でも、怒られたよ。まずは、ちゃんとジュエルシード探しに専念しろって感じで」
「そうなんだ」
そう言ってから、なのはは首をかしげる。
「じゃあ、ジュエルシード探しが終わったら、その、修行が出来るの?」
「う、うーん。どうだろう。修行のお願いができる、ぐらいかなぁ…」
「そっか。じゃあ、ジュエルシード早く集めよう。そしたら、ユーノ君も自分がやりたいことできるもん」
なのはの言葉に、ユーノは驚きの表情になった。
「な、なのは。なのはは反対しないの?」
「うーん…。そりゃあ、心配だよ。ものすごい厳しいって聞いたし」
「厳しいっていうか…その…死ぬかもしれないって言われてるんだけど…」
「…うん。それも、聞いてる」
死、という言葉に、なのはは悲しげな表情を深くした。
「でも、ユーノ君は、それでも、修行を、やりたいんだよね」
一言一言、丁寧になのはは言葉を紡いだ。
「なのは…」
ユーノはその言葉に対して、驚きに目を見開く。
なのははニコッと笑うと、
「ユーノ君が死んじゃうって決まったわけでもないもん。それに、ミロさんだって、そんなことしたいなんて、絶対思わない。だから、私は反対しないよ」
なのはの声は、強く確信した声音で響く。
「あ、ありがとう、なのは」
「どういたしまして」
フフッと笑ってみせるなのはに、ユーノは思わず見とれていた。
ユーノ君修行フラグ回。
そして、頼まれると声ネタをやってくれるミロ氏マジ紳士の回。
日常回もそろそろ終わり。
フラグ立てるだけ立ててどこまで回収できるのか…(;´Д`)