まぁ……2桁になったからどうしたって話なんですがね、正直な所。
意味があるとすれば、打ち切りにならなかったという事くらいでしょうか。
それはさておき、今回は本校舎の体育館の方で行事となります。
若干蕾姫の出番は減ります、何故なら彼女は……
おはよう、今日は曇り一つ無い晴天だ。 でも、天気は良いのに出来事のせいで気分は台無し。
何故台無しかって、今日は月に1度の全校集会があるからだよ。
E組にはただ気が重くなるだけの、完全に無駄なイベント。
だから私は2階の理科室に隠れてる、遅刻したフリをしてみんなと合流するつもり。
まぁ毎月こんな事をしていたら、合計して12回も遅刻をすることになっちゃうけど……
別に構わない、裏切り者の
「あれぇ? 新木田さんじゃん、こんなところで何してんの?」
「えっ、今扉空いた音がしな……うわっ!?」
窓を見れば、カルマが逆さになって私の事を見ていた。
驚いた姿が滑稽だったのか、小悪魔のようにニヤニヤと笑っている。
軽々と窓の外から理科室に入ると、窓の縁に座って意地悪そうに笑った。
「……え、おかしいな? 私登校早々隠れていた筈なのに」
「上手い具合に気配を消してたみたいだけど、俺や殺せんせーにはバレバレだよ?」
「うぅ……あれ? じゃあ、なんで殺せんせーは私を連れ戻しに来なかったんだろ」
バレていたとしたら、その辺の理由がわからない。
成績優秀なカルマはともかく、私サボったら連れ戻されそうなのに。
「今頃みんな本校舎に着いた頃じゃない? 床なんかに座ってないで、教室に戻りなよ」
「でも、殺せんせーは職員室で待機しろって烏間先生が……」
「あの先生が、あの下らない全校集会でじっとしてると思う?」
……思わない、E組というクラスは今月も集会で嫌がらせを受けるだろう。
カルマの言う通りだ、そんなイベントあったら殺せんせーならじっとしていられない。
それなら遠慮なく教室に戻ろう、カルマは窓から出て屋根に戻っていった。
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「渚くぅ~~ん」
「おつかれぇ~~! わざわざ山の上から本校舎に来るの大変でしょ?」
横に並ぶD組が僕らをバカにする、それにさえ僕らは慣れなきゃいけない。
E組の差別待遇はここでも同じだ、僕等はそれに長々と耐えなければならない。
早く終われと何度思っただろう、校長先生の話がまるで遠くに聞こえた。
「要するに 君達は全国から選りすぐられたエリートです。
椚ヶ丘中学校に勤務するこの校長が保証しますが、慢心は大敵です。
油断してると……どうしようもない誰かさん達みたいになっちゃいますよ」
この時の校長先生の視線は、完全に僕らの方を向いていた。
画面越しの寸劇を歯を出して笑うかのように、僕らの方を見ている。
E組以外の生徒達が一斉に笑う、僕も耐えるしかない。
「渚、そういやカルマは?」
ふと、僕の後ろに並んでいる菅谷君がそう聞いてきた。 僕はその答えを知っている。
「サボリ、集会フケて罰喰らっても痛くもかゆくもないってさ。
成績良くて素行不良ってこういう時羨ましいよ……そういえば新木田さんは?」
「まだ来てねぇみたいだな、寝坊でもしてるんじゃないか?」
「寝坊……そうじゃないような気もするんだけどな」
だって新木田さんの頭には、いつも音楽を鳴らすヘッドホンが着いているから。
きっと音に過敏に反応してしまうのかもしれない、目覚まし時計でも着ければ起きると思う。
もしサボりだったとしたら理由があるのかな……そんな事を考えながら、僕はこの時間を耐える。
「この手はいつも効果的ですね理事長! これのおかげで、
3-E以外の一流高校大学の進学率は非常に高い」
「いわば、これは『大人社会の予習』です。
落ちこぼれまいとする意識を今のうちから、強く育てる悲しい人間は……
差別し、軽蔑をする
その面では、彼女らの例は生徒たちにとって模範的な象徴となるでしょう」
[私は常に合理で動く、学校経営も暗殺さえも……理に適っていればそれでいい]
「続いて生徒会からの発表です、生徒会は準備を始めて下さい」
そんな事を聞くと、ステージ上でホワイトボードを運び出したりと準備が始まった。
その間は余所見や私語も多くなる、他のクラスの女子生徒は真っ先にある人物を見た。
「誰だろ、あの先生?」
「シュッとしててカッコいい〜〜!」
「あんな先生見た事ないね」
注目を浴びていたのは烏間先生だ、烏間先生は他の先生の所に行っている。
「
「あ……はい、よろしくお願いします」
こんな真面目に挨拶をされるとは思わなかったのか、挨拶をされた先生方は呆気に取られている。
「烏間先生〜〜! ナイフケース、デコってみたよ」
「かわいーーっしょ」
「っ!? かわいいのはいいがここで出すな! 他のクラスには秘密なんだぞ暗殺の事は!!」
「「は〜〜い」」
倉橋さんと中村さんが取り出したナイフケースを見て、烏間先生は小声でそう叱っていた。
確かに、僕から見ても可愛いけど……暗殺の武器をデコっても大丈夫なのかな?
「なんか、仲良さそうだね」
「いいなぁ〜〜!」
「うちのクラス、先生も男子もブサメンしかいないのに」
「「…………」」
……うん、この辺りは聞かなかった事にしよう。
「ちょ、なんだ!? あのものすごい体の外人は!?」
「あいつもE組の先生なの?」
「す、すげぇ美人じゃん」
「……何をしに来た? イリーナ」
他のクラスが注目する先は体育館の入口、そこからビッチ先生が入ってきた。
烏間先生の隣に行くのかと
「あぁもう! うるさいわね! 次の計画への情報収集よ、渚。
あのタコの弱点全部手帳に記してたらしいじゃない、その手帳おねぇさんに貸しなさいよ」
「えっ? いや……役立つ弱点はもう全部話したよ」
「そんな事言って、肝心な弱点は隠す気でしょ?」
「でも、だから……」
「いいから出せってばこのガキ! 窒息させるわよ!!」
「苦しっ……!? 胸はやめてよビッチ先生!! ここ体育館なんだよ!?」
「知ったこっちゃないわ! やめてほしいなら今すぐ見せなさい!!」
結局烏間先生が止めてくれて助かった、自分の胸を僕の顔に押し付けるのは色んな意味で嫌だ。
(……うらやましい)
「なんなんだ? あいつら」
「エンドのE組の分際でいい思いしやがって」
男子生徒の反応は女子生徒から白い目で見られたけど……
やっぱり他のクラスからの嫉妬、主に男子の目が痛い。
しばらくして、生徒会に所属する生徒が壇上に上がった。 マイクのスイッチを入れ直す。
「……はいっ! 今、皆さんに配ったプリントが生徒会行事の詳細です」
……生徒会行事の詳細? そんなプリントなんて、僕らはもらっていない。
「え?」
「え……何? 俺等の分は?」
「すいません、E組の分まだなんですが」
戸惑う杉野君と岡島君を他所に、磯貝君がステージ上に声をかけてくれた。
僕らだけプリントは配られていない、忘れているのだろうか?
……忘れていれば良かったんだ、それは明らかな悪意だった。
「えっ、無い? おっかしぃ~~な? ごめんなさぁ~~い!
3-Eの分の忘れたみたいだね、すいませんけど全部記憶して帰って下さい!
ほら、E組の人は記憶力も鍛えた方が良いと思うし?
全部暗記するまで E 組 だ け 体育館に残って下さぁーーい!!」
差別の声とあざ笑う瞳、僕ら以外は黒い爆笑の渦に飲まれた。
下手に反応したらそれも面白がられる……僕らは出来るだけ反応をしない。
無表情で耐え忍ぶしかないんだ、それしかやり過ごす方法は無い。
「……なによこれ、陰湿ね」
ビッチ先生が僕らの扱いを見るのは初めてだったかな?
殺せんせーに手入れされる前に僕らの事をバカにした事があるけど、
ここまでひどい状況とは予想もつかなかっただろうな。
烏間先生も苦い顔をしている、さてと……どうやって暗記していこうかな。
そう思った時だった、起こるとは思っていなかった事が起きたのが。
一瞬の風が僕らE組を横切って、全員の手元にプリントが現れたんだ。
『生徒会だより』……確かに、全校生徒に配られたプリントだ。
「磯貝君! 問題無いようですねぇ、
「……はいっ!」
声がした方を見てみると、そこには頭のてっぺんから下まで変装をした殺せんせーがいた。
指先で器用にボールペンを回している、手書きってことはあのペン1本で書いたのか。
いや、そもそも指って言っていいのかが謎……細かい事を気にしたら負けかな。
不意に殺せんせーと目が合えば、殺せんせーはうなづいて微笑んでくる。
磯貝君がみんなにプリントが行き渡ったのを確認すると、壇上に向かって声を出した。
「すみませーーん! プリントあるんで続けて下さーーい!」
「……は? え、嘘!? なんで!? 誰だよ笑い所つぶした奴!!
……あ、いや、ゴホン! では続けます」
壇上にいる生徒はそのままプリントを頼りに説明を始めた、
苛立ちでマイクに舌打ちが入ったのに気がついていない。
「全校の場に顔を出すなと言ったろう!? おまえの存在自体国家機密なんだぞ!!」
「いいじゃないですか烏間先生、変装も完璧だしバレやしません」
「……あれ、あんな先生さっきまでいた? 妙にデカいし、関節が曖昧ね」
「しかも隣の先生にちょっかい出されてる……ちょ、なんか刺してねぇか!?」
「あっ、美人の先生がつれてかれた……わけがわからないよ」
一連の光景を僕らも見ていた、あの古校舎で何度も目にしてきた非日常的な光景を。
「ははっ! しょーーがねぇなビッチ先生は」
前原君のそんな言葉を筆頭に、僕らE組はいつもはあり得ない明るい雰囲気に包まれた。
全校集会でこんなに気持ちが楽だった事なんて、今まであったっけ? きっと無いや。
そうして、僕らは暗記をする事無く無事に全校集会を終えた。
差別を受ける事が無くなってしまった僕らに向けられた、冷たい目線に気がつかないまま。
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「先に行ってるぞ、渚!」
「うん! ジュース買ったらすぐ行くよ」
全校集会が終わった後は各自で教室に戻る、僕が通う中学には珍しく自動販売機がある。
変な緊張で喉か乾いたみたいだ……本校舎の水道は使えない、適当な飲み物を買おう。
そう思って僕は自動販売機に向かった、ちょうどジュースを買い終わった人がいる。
その人を見て……僕は何気無く声をかけたんだ、普段通りに。
「あれっ、新木田さんヘッドホンはどうしたの?」
「……えっ?」
「え?」
その時の新木田さんはとても驚いているように見えた、いつもと違う容姿だった。
二つ結びの髪をほどいている、薄桃色の髪が背中まで届いている。
僕、そんなに嫌われていたっけ? 次も僕は言葉を発しようとして
「……おい渚」
「おまえらさぁ、ちょっと調子乗ってない?」
……思わぬ乱入に阻まれてしまう、新木田さんも何故か小走りで逃げてしまった。
「えっ……」
「集会中に笑ったりして周りの迷惑考えろよ」
「E組はE組らしく、大人しく下向いてろよ」
「どうせもう人生詰んでんだからよ、道ばたのゴミみたいに黙っとけ」
「…………」
「「あ?」」
「おい、なんだその不満そうな目」
「なぁ、なんか言えよ! なぁ!?」
その出来事に気がついた理由、それは壁に何者かが叩きつけられる音。
見れば、うちの生徒が胸ぐらを捕まれて別の組の生徒に絡まれている。
「チッ、まったくこの学校は」
このままではどちらか、特にE組側が怪我をしかけない。
そう思い止めに行こうとしたが、不意に肩を掴まれ止められてしまった。
黄色の職種……奴だ、この期に及んでどんな意図があるんだ?
「大丈夫ですよ烏間先生」
「……何故止める? 大丈夫という根拠を聞きたいのだが」
「あの程度の生徒にそう屈しはしませんよ、私を暗殺しようとする生徒達……はね」
「なんとか言えよE組!!」
「それとも何も言えねぇのか? お前の頭は空っぽか? あぁ!?」
いつも通り、耳に入る罵倒をある程度認識しながら聞き流せばいい。
ただ耐えていればいい、そう僕は思っていたんだ……あの言葉が来るまでは。
「なんか言ってみろ!!
[……殺す? 殺す……『殺す』、か]
普通じゃとても物騒で、今の僕らにはとてもありふれた言葉。
思わず笑っちゃったけど、目の前の2人はただ不思議そうな顔をしている。
「殺そうとした事なんて無いくせに」
「「っ!?」」
「なっ……!? 何だよ今の、殺……気?」
「……きょ、今日の所はこの辺にしといてやる!」
「おお思い上がってんじゃねぇぞ! 調子に乗るな!!」
途中から2人は何故かおびえたようになって、僕の前から逃げてしまった。
……まぁいいか、ただでさえ遠いのに早く戻らなきゃ1時間目に遅れてしまう。
「ホラねぇ、私の生徒達は殺る気が違いますから」
「……驚いたな」
「渚君の対応は高得点でしたよ、本当はあのような事が無いのが1番なんですがね」
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1人を除いて、誰しもがその一連の様子を人物がいるなんて思わないだろう。
映像を撮るのは監視カメラ、映し出す機器は理事長室に存在している。
理事長室にいれるのなんて1人しかいない、それは波乱の展開を起こす人物。
嫌な予感がするのは気のせいだろうか? 真相は先に進まなきゃわからない。
[E組……エンドのE組が、普通の生徒を押しのけて歩いてゆく。
それは私の学校では合理的でない、少し改善をする必要がある。
私にとっては……暗殺より重要な、最優先事項だ]
いつもより長めの文章(5000字程度)となってしまいましたが、いかがでしたか?
えぇ逃げました、元より蕾姫は晒し者になるような行事に参加する気は皆無。
その他にもとある因縁が存在するのですが……その話は後に明らかになるでしょう。
しかしD組の2人は口だけ達者だ、実際の体力はどのくらいか気になるところ。
11話は殺せんせーと例の人物が火花を散らす……
こんな状況で蕾姫は大丈夫なんだろうか? それがわかるのはまた次回。