平凡目指して暗殺教室(更新停止)   作:ハピナ

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はい、おはようございます。 出かける前のハピナですよ!

今回はカルマ編基、序盤カルマ編を完結させたいと思います。

いわゆる、今回はカルマ編[後編]というわけになりますね。

若干のオリジナル注意報、後半の文章は完全に自己解釈。

それじゃ、この前の続きを始めていこうか。



(5)先生の時間

おはようとも言えない時間帯、今はホームルームが始まる前の休憩時間だ。

 

 

天気は若干の曇り、涼しげな風が山の中で優しく吹いている。

 

こんなに静かな状況なら、ヘッドホンを付けるまでもない。

 

私がダメなのは人の声……周囲を気にしない、たくさんの人の声。

 

それが今となっては自然の音しかない、逆にすがすがしい位だ。

 

本当はずっと付けないで過ごせるのが一番なんだけどね……

世の中そんなに上手くいかないらしい、まぁ音楽鑑賞は好きだし別にいいか。

 

 

しばらく森の中を歩けば崖に着く、その眼下を見下ろせば街の景色。

 

 

「新木田さん?」

 

「あぁ渚、やっぱりこっちの方に来てたんだ」

 

 

水色の髪を結った生徒がこっちに気がついた……渚だ、カルマを追いかけて来たのだろう。

 

現にカルマもそこにいた、崖から生えた孤独な木に座って爪をかじる。

 

その顔には隠せない程の悔しさが滲み出ていた、目を見開いて明後日の方向を見る。

 

 

「わっ私は、殺せんせーを探しに来ただけだよ? いいからカルマに話をしてあげて」

 

「?……うん、ありがとう新木田さん」

 

 

私、だいぶ大事な場面に首を突っ込んでしまったみたい……

邪魔にならないように、早いとここの場から離れよう。

 

崖を後にする間、渚はカルマに声をかけていた。 カルマも、渚の言葉を聞いている。

 

邪魔してはいけない、殺せんせーはここにはいない。

別の所を当たってみよう……そんな考えの傍、ふとした幸運。

 

 

「おや? 新木田さん、教室にいたのではなかったのですか?」

 

 

森に入ろうとすると、ちょうど森から出てきた人影があった。 いやヒトじゃないけど。

 

黒のアカデミックドレスに黄色の身体と触手、彼は殺せんせーその人だ。

 

今までどこにいたんだろう? とにかく、宿題とみんなのノートを採点してもらおう。

 

 

「探しましたよ殺せんせー、みんなの課題を採点して下さい」

 

「ここまで探しに来させてすみません、もう少しだけ待ってもらえますか?」

 

 

え、待つの? 次に殺せんせーは()()があって来たとも言った。

 

最初は待つ事に疑問を持った私だったけど、今の状況でなんとなく察する。

 

多分の事を追ってここまで来たんだろう、放課後にはまだなっていない。

 

 

「……カルマ君、ですか? また手入れをしにここまで?」

 

「少し話をしたいと思ってね、手入れをするかどうかは彼次第ですよ」

 

 

……よくわからない人だ、殺せんせーはヌルフフフと軽く笑って崖の方へ向かう。

 

私も殺せんせーについて行く、だってまだ採点してもらってないもん。

 

 

「カルマ君!」

 

 

カルマはふと何かを呟いたような気がしたが、内容までは聞こえない。

 

2人とも特に驚いたような様子は無く、訪れた殺せんせーを見ている。

 

 

「今日はたくさん先生に手入れされましたね、まだまだ殺しに来てもいいですよ?

もっと ピ カ ピ カ に磨いてあげます」

 

 

そう言って、殺せんせーは片手で指にあたる細い触手をすり合わせた。

 

その顔色は黄色と緑の縞模様……渚曰く、これは相手をなめている顔らしい。

 

捉え方を間違えればそれは煽りだけど、カルマは怒らずふと笑った。

 

 

「確認したいんだけど、殺せんせーって『先生』だよね?」

 

「……はい」

 

 

いや当然殺せんせーは先生なんだけど……質問の意味が私にはちょっとわからないかな。

 

渚も同じような疑問を持ったようだ、まぁ見た感じの様子からだけど。

 

それでも殺せんせーは真剣だ、表情はわからないけど声で大体わかる。

 

 

「先生ってさぁ……()()()()()生徒を守ってくれる人?」

 

「もちろん、『先生』ですから」

 

「そっか、よかった。 なら、殺せるよ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「 確 実 に ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カルマは後ろ向きに倒れたかと思えば、そのまま崖の下に落ちていった。

 

銃を……しっかりと前に向けたまま、そのまま。

 

 

「 カ ル マ あ あ ぁ ぁ ! ! 」

 

 

私は思わず大声を出した、渚のとっさの行動もカルマには届かない。

 

あぁ……自分の声が遅く聞こえるのを感じる、場面はスローモーションになる。

 

カルマが、赤羽カルマが…… 死 ぬ ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さぁ! どうする?

 

助けにくれば救出する前に撃たれて 死 ぬ !

 

見殺しにすれば先生としてのあんたは 死 ぬ !

 

ぁ……ふははは! あぁすっげぇ!! 走馬燈っぽいの見えてきた!

 

 

『大丈夫? 先輩……3-E、あのE組? 大変だね、そんなことで因縁つけられて』

 

『ぁ……!? でも、こ……こんな事したら君が……!!』

 

『うん? 俺が正しいよ、いじめられた先輩助けて、何が悪いの?』

 

 

 

 

『いいや赤羽、どう見てもお前が悪い!!』

 

 

 

 

……え?

 

 

『頭おかしいのかお前!? 3年トップの優等生にケガを負わすとはどういうことだ!?』

 

 

……えぇ? 待ってよ 先 生

 

 

『E組なんかの肩を持って、身なりある者を傷つけた!

彼の受験に影響が出たら、ぉ俺の責任になるんだぞ!!』

 

 

……『味方』とか言っておいて、そんなこと言っちゃうんだ。

 

 

 や ば い 、 死 ぬ

 

 

『お前は成績だけは正しかった、だからいつも庇ってやったんだ!

俺の経歴に傷が付くなら……話は別だ!』

 

 

 俺 の 中 で 、 先 生(こいつ) が 死 ぬ

 

 

 

 

『俺の方からお前の転級を申し出たよ!

 

おめでとう、赤羽?

 

君も3年から…… E 組 行 き だ ! ! 』

 

 

 

 

『っぐわあああああぁぁぁぁ!!?』

 

 

そいつに絶望したら、俺にとってそいつは死んだと同じだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

殺せんせー! あんたは俺の手で殺してやるよ!! さぁ、どっちの死を選ぶ!?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

……それは意識も追いつかない一瞬の出来事、突然その場から殺せんせーが消えた。

 

次の瞬間、下の方から粘質な着地音とカルマが唖然となる声が聞こえてくる。

 

崖から落ちないように下を覗けば……そこにあるのは黄色の蜘蛛、いや触手の巣。

 

 

「カルマ君!」

 

「ぁ……!?」

 

「自らを使った計算ずくの暗殺、お見事です!

 

音速で助ければ、君の身体は耐えられない。 かといって、ゆっくり動けばその間に撃たれる。

 

そこで先生、ちょっと ネ バ ネ バ してみました!」

 

 

見れば、カルマは大の字で寝たまま動かないと思ったけど……()()()()のか!

 

必死に銃を持った腕や足を上げようとするけど、黄色の糸を引いてくっついている。

 

 

「っくそっ! なんでもアリかよこの触手!?」

 

「これでは撃てませんねぇ? ヌルフフフ!」

 

 

というか、短時間でこの方法を思いついた殺せんせーも殺せんせーだ。

 

私なんて叫ぶことが精一杯だったのに、思考回路どうなっているんだろう?

 

……あ、そういえばなんの前触れもなく叫んだから喉が痛いや。

 

殺せんせーはまた軽く勝ち誇ったかのように笑うけど、その笑いは短期間で止まった。

 

 

「あぁ、ちなみに……」

 

「……?」

 

 

「『見捨てる』という選択肢は先生には無い、いつでも信じて飛び降りて下さい」

 

 

……不意に聞いた声、優しげな言葉。 それはまるで、天から降り注ぐ暖かな日光。

 

カルマはしばらく先生の顔を見たかと思えば、安心したような顔をした。

 

目を瞑って笑う、身体を委ねて笑う。 もはや脱出しようなんて力は一切入れていない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

こりゃ、ダメだ。 死なないし殺せない……少なくとも、『先生』としては。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして、殺せんせーはカルマを連れて崖を登ってきた。

 

心配になって身体を見たけど無傷、本当に良かったと思う。

 

渚は彼の事をある程度知っていたようで、崖の下を見下ろしていた。

 

 

「かっ、カルマ! 怪我はない? 無事で良かったァ……!!」

 

「新木田さんにはかなりビックリさせちゃったね、

渚君はある程度俺の事知ってたからそうでもないか」

 

「カルマ君、平然と無茶したね」

 

「別に? 今のが考えてた限りじゃ一番殺せると思ったんだけど、

しばらくは大人しくして計画の練り直しかな」

 

「おんやぁ? もうネタ切れですかぁ?

 

報復用の手入れ道具は、まだ沢山ありますよぉ?

 

君も案外、 チ ョ ロ い ですねぇ?」

 

 

殺せんせーの持つ手入れ道具の中には、なんか可愛いネコ耳が混じってる。

 

ホント先生のセンス良いよなぁ、私も暗殺すれば付けてくれるのかな?

 

……って違う違う! カルマは一瞬殺意が沸いたような顔をしたが、すぐ笑顔に戻った。

 

何があったのかは知らないけど、彼の中で確実に何か変わったのはわかる。

 

カルマは爽やかに笑って、親指で首を切るしぐさをしてみせた。

 

 

「殺すよ、明日にでも!」

 

 

(健康的で、爽やかな殺意……もう手入れの必要はなさそうですね)

 

 

殺せんせーは何も言わず、顔がオレンジになって赤い丸が浮かんだ。

 

渚も笑う、私も安心する。 一連の状況は落ち着く。

 

やれやれ……もう大丈夫そうだね、カルマ。

 

 

「んじゃ、帰ろうぜ渚君! 帰り飯食ってこうよ!」

 

 

そう言って、カルマは財布を片手で弄びながらその場を後にしようとした。

 

カルマは渚と仲がいい、私も採点してもらったらお暇しようかな。

 

……あれ、そういやカルマは財布を持っていたっけ?

 

 

「ん? ああぁぁ!!? ちょ、それ 先 生 の 財 布 ! ! 」

 

「だから、職員室に無謀で置いとくなって!」

 

「かっ 返 し な さ い ぃ ! ! 」

 

「いいよぉ?」

 

 

案外カルマ素直に投げて財布を返した、殺せんせーは慌てて受け取る。

 

……あれ? 殺せんせーの様子がおかしい、財布の口を下にして軽く振って指差している。

 

 

「え? なっ……中身抜かれてますけど!?」

 

「あぁ、はした金だったから 募 金 しちゃった!」

 

「ぬ ぅ お あ あ あ あ ぁ ぁ ぁ ぁ ! ! ! ! 」

 

 

殺せんせーは灰色になって悲鳴をあげたかと思うと、カルマに苦情の嵐だ。

 

うわぁ……彼は『悪魔』だ、言葉はそれに尽きる。 大抵の事に動じない私でも苦笑いが出てくる。

 

カルマは笑いながら歩き去る、追いかける殺せんせーの苦情は止まらない。

渚も彼なりに安心した様子で、2人について行って崖を後にした。

 

 

……って、ちょっと!? 殺せんせー!?

 

 

「先生私の採点忘れてるでしょ!? ちょ、みんなの分もあるんだって!!」

 

 

私は慌てて殺せんせーを追いかけた、確かに空気だったけど忘れたら嫌だよ!?

 

……まぁ、時間かかっちやったけど後に採点してもらえたから良いか。

 

 

 

これを期に、カルマは本当にしばらく大人しくなってくれている。

 

やっと静かに戻る……ほんの少し、私の目指す『平凡』に近づいたかな。

 

そんな事を考える傍ら、殺せんせーの苦情は段々と大きくなる。

 

結局、私は外していたヘッドホンを付け直して電源を入れた。 やっぱり、うるさいのは苦手。

 

……あれ? こんな長いことヘッドホン外してたのは久しぶりだな。

 

私もちょっとは成長したのかな、殺せんせーの声も曲越しでもよく聞こえるのはこの時知った。

 

うぅ、殺せんせーの苦情がまだ聞こえる……ちょっとだけ曲の音量を上げよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

曇り空はすっかり晴れて、夕暮れの太陽が影を地面にのばしている。

 

上を見たまま歩いていたせいか、アスファルトのひび割れに足を引っ掻けた。

 

誰もいなくてよかったなぁ……かっこ悪いまでに僕は転んでしまった。

 

 

「痛てて……あ、僕の眼鏡」

 

 

転んで、眼鏡を落として、そして思い出した。

 

あの、地獄のような日々にふと現れた紛れもない希望。

 

そういえば……あの日の天気も、こんな夕方だったなって思い出した。

 

 

僕はあの中学でE組だった、家の手伝いが忙しくて……あまり勉強出来なかったのが原因かな?

 

止まらないE組いじめ……当然だ、そういう立場だったから。

 

そう諦めていた自分もいたからかもしれない、実際諦めていた。

 

あの日もA組の生徒のストレス発散につきあわされていた…… 痛 か っ た !

 

青あざは当然だった、でも……眼鏡を落としたのはかなりの不運。

 

彼がいなかったら、僕の眼鏡はぐしゃぐしゃに踏みつぶされていたと思う。

 

どうでもいいかもしれないけど、僕に取ってはとても重要な話。

僕……生まれつき『弱視』で、眼鏡がないと見えないんだ。

 

あの時も、『どうせ頭が悪いんだから勉強出来ないようにしてやる』って……

 

そこに、赤髪の彼が来たんだ。 当時A組だった、赤羽カルマが。

 

もしあのときに眼鏡が壊されていたら、僕は……

新しい眼鏡を買うお金なんて、当時の僕の家には無い。

 

今僕が通う高校にだって受からなかっただろう、確実に今よりひどい現状になっていた。

 

 

赤羽カルマ、今はどうしているんだろう?

 

あの後、彼は停学になって僕と同じE組になったという話を聞いた。

 

あのときは言いそびれたけど、もしまた会えたのなら言いたい。

 

僕のせいでE組行きになって『ごめんなさい』という、謝罪の言葉と……

 

 

「……助けてくれたお礼、言ってなかったな。 あの時の僕は怯えすぎだよな」

 

 

あのとき僕を救ってくれた事に対する、感謝の言葉。

 

……君の(行為)は忘れない、僕も正義感を持って今の学校生活を過ごそうと決意している。

 

今の学校では風紀委員をしている、まぁ……僕が元E組なことは隠してるけどね。

彼ほど頭は良くないけど、せめて僕なりの正義感をしっかり持って生きよう。

 

 

本当に……『ありがとう』、赤羽カルマ。 あの時君が助けてくれたから、今の僕がいる。

 

 





……はい、というわけでカルマの手入れ完了です。

カルマに助けられた眼鏡の彼に関しては、
この位の後日談があっても良いかなって小話を導入。

じゃなかったら、カルマは一体なんの為に行動したんだ……

まぁその辺はそれぞれの解釈によるでしょう、私は正義感だと思っています。

カルマを意味する業は『不合理だと思ってもやってしまう宿命的な行為』、
その意味のままに原作者さんは彼を動かしたと思いますね。

さて、次回は愛美ちゃん主役回かビッチ教師のどちらかを書く予定です。
どっちから書くかは決まっていませんが、まぁぼちぼちと書いていきます。

それでは皆様、また次回。 土 曜 授 業 ってなんとかならんのか^q^

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