ブラック・ブレット 記憶の覇者   作:在原昴

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久々の投稿です


第12話

その後、涙音のポーチに入れていた救急キットで止血をした後、包帯を巻くと、ガストレアウイルスの恩恵で傷の再生が始まった

だが、速度は延殊よりも遅かった

 

治療中、敵の接近を警戒するため、延殊と銀二たちは外に出て警戒していた

その間、延殊は文句を言っていた

 

蓮太郎「お前、名前は?」

?「千寿夏世」

遥「…夏世か…俺はあの時名乗ったが…」

夏世「覚えています、薊島遥さんですね…それと、七星涙音さん…」

 

夏世は落ち着いた口調で言い当て、蓮太郎はそんな夏世を見て少し考え事をしていた

 

夏世「あなたの相棒を怒らせてしまったようですね…」

 

夏世は延殊を見た

延殊は銀二達に愚痴を言い、腕を上下させながら話していた

 

蓮太郎「っち、何で彼奴不機嫌なんだよ…? …まさか、もう反抗期なのか…?」

夏世「理由は明確だと思います」

 

夏世はまるで感情がないような口調に蓮太郎は困惑していた

数日前、蓮太郎と会った時、蓮太郎はユーモアのある人物なのだが、

 

遥「そう言えば、お前のモデルは何だ? こんな状況で落ち着けているということは…それなりのやつだろう…」

夏世「私はモデル・ドルフィンのイニシエーターです、直接的な戦闘は苦手ですが、普通のイニシエーターよりIQが遥かに高いのと記憶力があるのが特徴です…因みに、IQは210くらいあります」

 

それを聞いた蓮太郎はギョッとした

遥は表情を一切崩さず、冷静だった

 

蓮太郎「俺の倍近くあるのかよ…」

遥「…別に驚くことか…?」

涙音「いえ、それほど大したことではありません…それよりもマスター、彼女、あの将監と言うプロモーターと一緒にいたイニシエーターと推測されます…」

遥「…そうか…だとすると、あのプロモーター…お前が後衛と言ったところか…それよりもお前に聞きたい…この森で爆発物を使ったのは…お前だな…?」

 

遥は一切声色を変えずに夏世に問いただした

 

夏世「何故、私だと…?」

遥「お前から火薬の臭いがしてな…そして、お前の怪我…それを含めて考えれば…」

夏世「お見事ですね…」

蓮太郎「凄いな、それで、何で爆発物を?」

夏世「私達はガストレアに騙されました…そのせいで将監さんとはぐれてしまいましたが…」

 

夏世の言ったガストレアに騙されたということに蓮太郎たちは気になり、詳しく聞くことにした

 

夏世「将監さんと影胤の捜索に当たっていた時、森の奥から短く光るライトパターンが見えまして、見方だと思って無警戒で近付いて行きました…ですが、よく考えてみれば鬼火のように青白いライトなんてだれも使っていないことなんてわかったでしょうが…」

涙音「…マスター、千寿から火薬の他に動物の腐敗臭がします…」

夏世「よくわかりましたね…確かに、あの時、あのガストレアから動物の腐敗臭がしました…」

遥「…動物の腐敗臭…そのガストレア、外見的にはどんな特徴があった?」

夏世「体中に不気味な花が咲いていてそこから酷い腐敗臭がして蝿が集っていましたあとは…尾部が発行していました…こちらを見ると気持ち悪くプルプルと震えて歓喜みたいなものを表していました」

 

夏世は震えていたが、すぐに落ち着きを取り戻し、話をつづけた

 

夏世「色々なガストレアを見てきましたがあれは足が竦みました…殺されるかと思って榴弾を使って…後は皆さんのご想像通りです…」

涙音「森のガストレアに襲われてあの脳まで筋肉の無礼極まりない馬鹿とはぐれて腕を嚙まれた…というところでしょうか…」

夏世「…はい、幸い注入された体液は極少量だったので影響はありません…」

遥「…そうか」

 

遥はただ静かにそう呟いた

その時、無言だった蓮太郎が口を開いた

 

蓮太郎「…そいつはおそらく蛍のガストレアだな…」

夏世「蛍…?」

蓮太郎「ああ、蛍は花粉や蜜をとって生きているが、中には獰猛な肉食の蛍もいるって知ってるよな? 他のホタルの発光パターンを真似して近寄ってきたホタルを捕食するんだよ、おそらく人間を捕食するために近寄ってきそうな発光パターンを生み出した特殊進化型だろうな」

遥「それと、さっき言ってた不気味な花は恐らくラン科の植物だろうな…カビや尿、腐肉みたいなにおいを出して蝿や羽虫を誘き寄せて花粉を運んでもらう種がある…ふむ、動植混同のガストレアか…ステージはⅢってところだな…」

 

夏世は目を丸くしていた

 

夏世「そんなことがあるのですか?」

遥「あいつらに常識は通用しない…最も、一番常識外れのイニシエーターがここにいるけどな…」

 

遥はそう言いながら涙音を見た

涙音はただ一礼し、遥のそばに立っていた

 

夏世「よく見てもい無いガストレアの種類を当てられますね、里見さんと薊島さんってオタクなんですね」

遥「俺は職業柄動物の知識を得ているだけだ…オタクは蓮太郎だろ…」

蓮太郎「おい、俺も同じだぞ」

遥「…アリの巣を水没させて悦に浸っていた幼少期があったらしいな…『ノアの洪水だ』、『神の怒りを思い知れ』…まあ、楽しいだろうな…」

夏世「分かります…」

蓮太郎「ああ、そうだよ楽しかったよ、悪いか!!」

 

夏世は初めて楽しそうに目を細めていた、すると、黒い受話器のようなものから野太いノイズのようなものが聞こえてきてハッとさせられた

 それは無線機らしく、夏世は飛びついてダイアルを回すと声が鮮明になっていき、聞きたくない声が聞こえた

 

???『い…おい!! 生きてんだったら返事しやがれ!!』

 

夏世は目を配らせ、蓮太郎たちに喋るなと伝えてきた

蓮太郎と遥は頷いた

一から説明するのが面倒だと判断しての行動だった

 

夏世「音信不通だったので心配しました、ご無事で何よりです、将監さん」

将監『ったりめえだろ!! んなことより夏世、いいニュースがある』

 

勿体ぶった将監は言葉を区切り、髑髏のスカーフ越しに笑っているのが頭によぎった

 

将監『仮面野郎を見つけたぜ!!』

 

蓮太郎と夏世は顔を見合わせ、蓮太郎は延珠たちを呼び、遥と涙音は何かを話し合っていた

 

夏世「場所はどこですか?」

 

蓮太郎たちは将監の話を聞いて地図を広げ、将監の言ったポイントを探すとすぐに見つかった

海辺の市街地で今いる場所から近かった

 

将監『今近くにいる民警が集まって総出で奴を奇襲する手筈になってる、ホントは出し抜きてぇがまぁ仮にも序列が上の相手だし肝心のイニシエーターがいねぇ、いま荒れてた手柄の話がようやくまとまったところだ、仲良く山分けだってよら面白くもねぇ話だ、お前もとっとと合流しろ!!』

 

夏世の返答も聞かずに通信は切れる確かに将監の後ろでやかましい声が聞こえていた

襲撃計画が進みつつあることが予想できた

夏世は荷物を持ち焚火を踏み消し始めた

 

蓮太郎「やっぱり行くのか?」

夏世「ええ、あんな人でも私の相棒ですので…里見さん達は?」

 

蓮太郎は自分達が行かなくとも勝てるのではないかと思っていたが、遥が立ち上がり、刀を竹刀袋から取り出していた

 

遥「…夏世、けがは治っているな?」

夏世「はい、見てのとおりです」

 

夏世が包帯を外すと傷はなく、治癒が完了していた

 

蓮太郎「…行こう、結果だけでも見届けないと」

 

蓮太郎の言葉に遥と涙音以外の人物が頷いた

蓮太郎は町のほうを見てぼそりと呟いた

 

蓮太郎「勝てると思うか?」

桂「普通に考えれば戦う前に報酬の話をしている奴に勝算は無いに等しいだろうな」

銀二「早くついても生存者を見つけるのは難しいだろうな…」

蓮太郎「…行こう…」

 

蓮太郎たちは街に向かって歩き出した

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