遥が一人、誰もいない場所を歩いていると、何かの気配を感じ、ディスクを取り出した
影胤「ヒヒヒ、そう身構えなくても良い、薊島君」
遥「テメェか…変態仮面野郎…」
影胤は遥歌の背後から話しかけ、遥は嫌そうな顔をしていた
影胤「ヒヒヒ、済まないね、こんな夜分に」
遥「何の用だ、蛭子影胤…」
影胤「単刀直入に言おう、私の仲間にならないか?」
遥「仲間…?」
遥は疑問に思い、振り返った
影胤「君は、この東京エリアの在り方に不満はあるかね? 人を超えた力を持つ我々機械化兵士や呪われた子供達、そして君というイレギュラーが妨げられるこの在り方に」
遥「…ああ、不満だらけだ…」
影胤「そうか、それなら…」
遥「だからこそ断る!! 俺はただ、子供達の笑顔が見れればそれでいい、あんたがやろうとしてんのはその笑顔を奪う事だ」
影胤「…そうか、小比奈、斬って良いよ」
小比奈「はい、パパ」
その瞬間、遥の背後から小比奈が現れ、遥に斬りかかった
だが、それは突然の乱入者の妨害で阻止された
涙音が何もない腕でバラニウム製の小太刀を受け止め、蹴りを放った
小比奈はとっさに躱し、距離を取った
遥「涙音、お前何時の間に…」
涙音「マスターの帰りが遅かったのでマスターの匂いを辿ってきました」
小比奈「斬れなかった…」
影胤「普通の人の腕で小比奈の斬撃を防ぐとは…おや?」
影胤は小比奈の斬撃で切れた涙音の服の袖から何かが見えた
影胤「成程、鱗か…ということは、君のイニシエーターはモデル・クロコダイルかな?」
遥「それは教えられないな…」
遥は竹刀袋から一本の模擬刀を取りだし、肩に担いだ
涙音「マスター、如何します?」
遥「そうだな…涙音、あの変態仮面野郎を殴り飛ばすぞ…」
涙音「イエス、マスター」
二人は同時に影胤に襲い掛かった
影胤「小比奈、おやり」
小比奈「はい、パパ」
涙音「邪魔です」
小比奈が前に出たが、涙音は小比奈の小太刀を二つとも掴み、そのまま小比奈を投げ飛ばした
遥はディスクを影胤に投げつけ、影胤はそれを斥力フィールドで受け止めた
その時、遥の顔は不敵に笑っていた
遥「かかったな…」
ディスクからまばゆい光の帯が立ち上り、そこから河豚の姿をしたガストレアが現れた
影胤「何!?」
遥「その河豚、衝撃が加わると爆ぜるから視界には気をつけな」
その言葉と共に河豚のガストレアが爆発を起こし、影胤の視界が遮られた
小比奈はそれに一瞬だけ気を取られ、涙音に殴り飛ばされた
涙音「マスターの邪魔をしないでください」
小比奈「なんかむかつく!!」
小比奈はもう一度、涙音を切ろうとしたが、硬い鱗に阻まれ、小太刀が弾かれ、涙音は追撃の如く、まわし蹴りを放った、小比奈はとっさに回避して距離を取った
涙音「…マスター、少しだけ本気を出すことをお許しください」
遥「『構わない、やれ…俺もやっているからな…』」
その言葉が聞こえると、影胤に向かって、何かが飛びかかってきた
影胤はとっさに斥力フィールドで防いだ
煙が晴れると、そこには人の形をしているが、人とは言いがたいものが立っていた
身体は蒼白色の外骨格で覆われ、右腕には赤黒く脈を打ち、刃が骨のように乳白色の大剣を構え、顔の部分が青白い外骨格で覆われた単眼の異形がそこに立っていた
影胤「ほお…それが君の本性かな?」
遥「『黙れ…言っておくが、この姿は短い間だけなんでな…お前を一発殴ってから帰らせてもらうぞ…!!』」
外骨格からスキマが現れ、そこから空気が噴き出し、加速した
それと同時に、涙音の顔に淡い桜色の鱗が浮かび上がり、腕の鱗も桜色に染まった
遥は大剣を構え、影胤に斬りかかった、その際、大剣からもスキマが現れ、空気を噴出し、加速した
影胤は斥力フィールドを展開したが、その勢いは止まらず、斥力フィールドを切り裂き、遥はそのまま影胤を大剣を握っていた手を片方はずし、殴り飛ばした
影胤は少しだけふっ飛ばされたが、体制を立て直し、着地した
影胤「何と出鱈目な…」
遥「ふぅ…」
遥が大剣を手放すと外骨格が朽ち果てるように崩れ、本来の姿の遥が立っていた
小比奈は影胤が殴り飛ばされるのを見て、標的を遥に変えた
小比奈「パパを虐めるなぁぁぁぁ!!!」
遥「…しまった!!」
遥は今無防備で、防御する暇もそのための武器もない丸腰の状態だった
そんな状態で襲われたらいくら遥でも対処できずに最悪の場合死亡してしまう
小比奈は小太刀で遥の首を切ろうとした
涙音「マスターに近づくなァァァァァ!!!!」
涙音の怒号が響き、小比奈は驚き、硬直してしまい、その隙に涙音は小比奈を体当たりでふっ飛ばした
遥「はぁ…始まったか…涙音!!そこまでだ!!」
涙音「マスター、そこにいる女を殺すことを推奨します、ご命令を…」
影胤と小比奈は涙音から今までに感じたことの無い何かを感じ、恐怖を感じていた
小比奈に至っては震えていた
遥はそれを見逃さなかった
遥「涙音…よく見て見ろ…そいつ、怯えているぞ…」
涙音「…」
涙音の鱗が剥がれ落ち、大人しくなった
遥は小比奈の元に来た
遥「助手が迷惑かけたな…これはそのお詫びだ…」
遥はそう言って紫色の包み紙に包まれた飴玉を小比奈に渡し、涙音と共にその場を去って行った