言い争う二人を宥めて無事にサイトとも契約を終えたルイズ。
「それでは、春の使い魔召喚の儀は終わりです。学院へ戻りますよ」
コルベールの指示に従い、生徒達は浮遊の魔法、フライを唱え、次々浮かび上がる。
浮び上がる生徒達を見てサイトは驚くが、セツナは
(
やはり世界が違えば種類とあり方も違うのだろう。
「ゼロのルイズは歩いてけよ、フライも出来ないんだからな」
生徒にコケにされているルイズは浮かび上がる生徒達を睨み付ける。
「気にしちゃダメよ、ルイズ」
「そうですよ、言わせておけば良いのです」
そんなルイズに声をかける二人の生徒を見てルイズは
「バーバラ、チャモロ」
心許せる友人の名前を呼び、心を落ち着けた。
(え?もしかして)
懐かしい名前聞いて視線を向けるとよく知った仲間が居た。
「
「グルルル」
「うおっ!デケェ!」
大きな二足歩行のドラゴンで、背中に飛べそうにない小さな翼があり、手にはこれまた大きな斧のような武器を手にした変わったドラゴンだ。
才人もドラゴンをこんな間近に見て驚く。
あたかも初対面のように自己紹介をするバーバラ。
セツナも意図を分かっているので
「見ていただろうけど、ルイズの使い魔になった、セツナ・レイドックです、よろしく」
にこやかに自己紹介をする。
「同じく使い魔になった平賀才人だ、才人って呼んでくれ」
「チャモロ・ゲントです。チャモロって呼んでください。
こっちは使い魔のホイミスライムのホイミンです。よろしくセツナさん。才人君」
「ホイミ~ン」
「へえ~愛嬌あるな」
才人はホイミンを見てそう感じた。
「さて、自己紹介はこれくらいで学院に帰りましょう、今日の授業は終わりとはいえ、いつまでもいる必要はありませんからね」
「そうね、帰りましょうか」
「わかったわ」
チャモロの提案に同意するバーバラとルイズ。
「じゃあ、ちょっと待ってて、ファルシオン」
セツナは愛馬のファルシオンを呼び、
「ヒヒィーン」
ファルシオンは鳴き声をあげる。
「さ、ルイズとサイト君も乗って」
「お、おお、馬何て初めて乗ったぜ」
「普通の馬より大きいわね」
セツナにファルシオンにのせてもらうルイズとサイト。
「あたし達はフライで帰るわね、また後でねルイズ」
「では、後程」
チャモロとバーバラは先程の生徒達同様にフライで浮かび上がり、学院へ向かった。
「さて、二人ともしっかり掴まってて、行こうファルシオン!」
因みにセツナの前に才人、ルイズと並んで乗っている。
「ヒヒィーン」
パカラッパカラッ
軽快な蹄鉄の音を鳴らし、徐々に速度を上げるファルシオン。
「よし飛べ、ファルシオン!」
「「飛ぶ?」」
セツナが手綱を打ち付けると
バサァ
ファルシオンに翼が生えた。
「「ええー!?」」
ファルシオンは大空へ飛び立つ。
「ちょ、この馬、ペガサス!?」
「スッゲー!」
ファルシオンは優雅に空を飛ぶ。
「どうだい?凄いだろ?」
「バーバラやチャモロに飛ばして貰ったこともあるけど比べ物にならないわ」
飛行の魔法フライが使えないルイズは友達のバーバラとチャモロにレビテーションで浮かせて貰ったこともあるがはっきり速度が段違いだろう。
「あ、バーバラとチャモロだ、おーい」
先に飛んでいったバーバラとチャモロを見つけたサイトは二人に手をふる。
「セツナ達だわ、やっぱりファルシオンの飛ぶ姿は綺麗ね」
「そうですね、手を振り返しましょう」
飛びつつ手を振るバーバラとチャモロ。
「先に行くね、ハイヤッ」
セツナはファルシオンの飛行速度を上げる。
「ヒヒィーン!」
それに応えて速度を上げるファルシオン。
そして先に飛んでいった生徒達をぐんぐん抜いていく。
「嘘だろ!あのペガサスに乗ってるのゼロのルイズと使い魔じゃないか!?」
生徒達は驚愕していた。
「ねぇルイズ、この国じゃペガサスってやっぱり珍しいのかい?」
「ええ、トリスティンにはいないけどロマリアって国じゃ神獣だとか神の使いとか言われてるわ」
「それに、風竜っていう空を飛ぶ竜より速さは劣るけど、この馬、風竜より速いんじゃないかしら?」
「へ~」
生徒達を追い抜きながら話していると
「お?なぁ、風竜ってあれか?」
サイトが前を飛ぶドラゴンを見つける。
水色の背に大きな翼があるドラゴンが背に青い髪と眼鏡の小柄な少女と赤い髪と褐色の肌の少女の二人を乗せて飛行している。
「ええ、そうよ、タバサとツェルプストーだわ」
背の二人を確認したルイズは
「おっ先~」
二人に満面の笑みで手を振った。
ペガサスの出現に驚く二人
「嘘!?ペガサスじゃない!」
「初めて見た」
赤い髪の少女と青い髪の少女は目を見開いていた。
「キュイ!」
追い抜かれたドラゴンは速度を上げる。
「ダメ、落ち着いて」
勝手に速度をあげたドラゴンに主人である青い髪の少女は落ち着かせようとするが効果はなく
「キュィィィ」
なおも追い縋るも一向に追い付けず、なおも引き離される。
どうやら自分より速く飛ぶ相手に対抗心が出たらしい。
「…好きにして」
青い髪の少女は諦めたのか手にしていた本を読み始めた。
「見えてきたわ、あそこがトリスティン魔法学院よ、広い庭があるからそこに降りて」
学舎が近づいて来たのでルイズは学院の庭に降りるよう指示をする。
「わかった、ファルシオン」
「ブルル」
指示に従い、塀を越えると速度を落として降下していく。
地面に降り立つとファルシオンは翼を縮めて消した。
これで見た目は普通より大きな馬にしか見えなくなる。
おもいっきり飛べたことで機嫌が良いファルシオン。
ただの馬に戻ったファルシオンからセツナは降りると先にルイズを降ろしてからサイトを降ろす。
「どうだった?ファルシオンに乗って空を飛ぶのは?」
「サイコー!飛ぶのってあんなに気持ちいいのね」
「俺もっす」
「ふふ、気に入ったようだね、幌馬車があれば荷物の運搬や大人数で移動もできるけどね」
バサァバサァ
大きな羽根音が聞こえた方に目を向けると、先ほどの風竜が着地してきた。
風竜の背にいた二人が降りてきた。
風竜の主人である青い髪の少女は身の丈よりも長い杖でボカ!と風竜の頭を叩く。
「言う事を聞かなかった罰」
「キュィィ」
使い魔の躾は主人の仕事だ、当然と言えば当然だ。
そして件の二人はセツナ達の元へやって来た。
青い髪の少女は風竜を、赤い髪の少女は赤い大きな蜥蜴を連れて来た。
「貴方、ペガサス何て凄い馬を持ってるのね?初めて見たわ」
「速かった」
「自己紹介がまだだったわね、私はキュルケ・アウグスタ・フレデリ カ・フォン・アンハルツ・ツェルプストーよ、キュルケでいいわ、こっちは使い魔のサラマンダーのフレイム、このこは親友の」
「タバサ」
「よろしく、僕はセツナ・レイドック、旅人さ」
「俺は平賀才人だ」
自己紹介をする四人。
「それにしても良い男ね、ヴァリエールには勿体無いわ~」
そう言いつつ顔をセツナの間近に近づけるキュルケ。
「ちょっとツェルプストー!人の使い魔に色目を使うなー!」
そこから言い合いに発展して行く。
「何時もあの二人は喧嘩してるのかい?」
こっそり二人から離れたセツナは傍観していたタバサに訊ねた。
「何時ものこと」
「そうなんだ」
実際は噛みつくルイズをキュルケは余裕であしらっているような感じだ。
「それよりは、貴方の馬を馬舎に預けた方が良い、馬舎はあっち」
「そうだね、ありがとうタバサ、サイト君僕は馬舎にファルシオンを預けて来るってルイズに言っておいて」
「わかりました」
「ミス・ヴァリエールの部屋はメイドにでも聞くと良い」
「ありがとう、そうするよ、それじゃ」
セツナは学園の馬舎へとファルシオンを預けに行った、その後ろ姿をタバサはずっと見つめていた。
(あの人、相当な修羅場を潜っている、私以上に)
タバサはセツナがただ者ではない事を見抜いた、自分より多くの修羅場を潜っている事も)
(彼の強さを知ることが出来たら)
アイツへの復讐が出来ると考えていた。
次回 勇者と虚無と仲間と再会の喜び
バーバラとチャモロの系統がわかります。
指摘がありましたがハルケギニアでは風竜の方が速いらしく、
ファルシオンが特別だと思ってください。