目が覚めると、そこは真っ白な世界だった。
周りに何もない。
前後左右、上下を見回しても白しか見えない、そんな場所。
いったい、何があった?
このように感覚を遮断された状況に置かれると、精神的にかなりまずい事になるそうだが・・・
幸い、焦る前に状況が変化した。
目の前にいきなり人間が現れた。それも俺自身良く知る人物。
・・・それは俺だった。
酷く現実感が無い状況の中、とりあえず話してみようと思った矢先、そいつから話しかけてきた。
〈やあ。お目覚めのようだね〉
その一言でわかった。そいつは俺じゃない。中身は別物だ!
〈ご想像の通りだよ。僕は何と言うべきか・・・君に分かるように表現すると、この白い世界の管理者、といった所かな〉
そうかい。説明はしてくれるんだろうな?
〈もちろん。まず最初に。君は死んだよ〉
なるほど。まあそんな事だろうとは思っていたが。
〈驚かないんだね〉
そりゃこんな状況だからな。それに長生きしたいとも思っていなかったし。
〈それは本当かな?〉
まあやり残した事がない訳じゃないが。といって世間では大人と見られる年代まで生きたんだし、早死にとは言えんね。
〈・・・実は君の死は、あちらの世界ではイレギュラーだった。それでちょっと困った事になっているんだよ〉
知った事か。死ななくていいはずの人間が死ぬなんていくらでもある話だろう。
〈そうなんだけど。今回は特殊な事情で、どんな形であれ君が生きていないと僕がまずい事になるんだ〉
そうかい。生き返らせるとでも言うのか?
〈それは無理。ルール違反になるので僕も対応できない。同じ世界の同じ時間は不可能だ。ならば他の〉
ん?同じ世界?「世界」だと?という事は・・・まさか・・・
〈気がついたね?そう!異世界転生おめでとー!〉
マジですか。そりゃ最近よく聞くおとぎ話だが。まさか自分の身に降りかかろうとは・・・
〈そういう訳で異世界ツアー1名様ご案内というところです。行先の希望もある程度聞くよ〉
そうかい。じゃファンタジー世界はやめてくれ。
〈いいの?最近じゃ一番人気なのに〉
元日本人サラリーマンが生きていけるとも思えんしな。工業知識はあるが役には立たないだろう。
転生先でも長生きしたいとは思わんが、生活できずに苦しみながら死ぬのもごめんだ。
〈うん、わかったよ。ではどんな所が良い?ある程度方向性を示して欲しいね〉
なるべく現代日本に近い所で!
〈と言われてもまだ範囲広いな・・・そういえば君、最近いい歳してラノベに手を出しているみたいだね〉
おいちょっと待て。何故知っている!?
〈フム、ここなんか良いかな?ついでに少しパラメータいじってさらに面白い事に・・・〉
おいばかやめろ。やめろ下さい!
〈はい決定。じゃあ行ってらっしゃい。もう会う事もないでしょうが、お元気で〉
ってこら!こっちの都合も?うわわ~あ!!!
何かに蹴り落とされたような感覚。意識が無くなる。
でもそれは一瞬だった。
体は動いていない。
とりあえず目を開けてみる。
今度は青だった。真っ青な世界、と思っていたら所々に白が見える。
という事は青空か!青空だ!
息を吸って吐いてみる。異常なし。
そこまでやってみて、自分が何かに座っているのに気がつく。少し体を動かしてみる。こちらも異常なし。という事は重力も1Gからそう大きく外れていないという事。
(とりあえず地球上ではあるかな?周りの風景はどうだ?)
どうも目の前は公園の遊歩道のような印象だ。その先には林のように見える。自分はどうやらベンチに座っているのか。手で触れて観察してみる。
(木でも金属でもない。プラスチック!それをたぶんステンレスのボルトで固定している!)
はい、これでファンタジー世界じゃ無いこと決定です。良かった~。ってそんな事より、自分の服装と持ち物だ。これを調べれば・・・
(白がメインのジャケット?ブレザーか?もしかして制服みたいな?胸ポケットに何かあるな。中には・・・スマホ?いわゆる携帯端末か?それと手帳、こっちを見た方が早いか。表紙に妙なマークと日本語!ええと星導館学園・・生徒手帳?)
慌てて手帳を見直す。自分の服を見直す。
つまりそういう事だ。俺が今いる所、世界は・・・・
アスタリスク!?
よりによって・・・アスタリスクかよ!!