今回からやっと主人公の一部が出てきます。皆さん解りますかね?
順次感想おまちしています。
次回は、登場兵器の解説を送ります。
1996年 6月24日 日本時間0555時 東京 総理専用自宅
朝日がカーテンに差し込み淡い明るさの中、その自宅の主である五河 士道がゆっくりと目を覚まし上半身を起き上げ、腕を伸ばした後首をゆっくり回し柔軟をすると、すぐ横で可愛い寝息を立てている一人娘の士織(しおり)の髪をゆっくりと撫でるとフッと笑みを浮かべると、ゆっくりとベットから出ようとした所を上着を可愛らしい手が掴んでいた。そして、士織がゆっくりと目を覚ました。
「おはよう。パパ」
と目を擦りながら可愛らしい娘が目を覚ましながら言った。それを士道が、
「おはよう。天使ちゃん。良く眠れたかい?」
「まだ、少し眠いよう。でも士織起きる」
「そうかい。えらい天使ちゃんだ」
と言うと、士道は士織抱き起こすと、寝室のドアのノックする音が聞こえ、外からSPの声が聞こえた。
「総理、起きられましたか?」
「ああ、今起きた所だ。何だね?」
「総理宛にお電話です。奥様からです」
「そうか。では此方に回してくれ」
「分かりました」
と言うとベット横に備え付けられた受話器を手に取り外線に繋いだ。
「今、電話を代わった。私だ」
『もう、貴方。もう少しマシな事を言わないの?』
「ああ、スマン。おはよう春香。向こうでよく眠れたかい?」
『ええ、久しぶりにグッスリと、貴方の所の天使ちゃんは、早く眠った?』
「ああ、バッチリ昨日の九時には二人して眠ったよ」
『あら、ホント。じゃあちょっと私達の天使ちゃんとお話しさせて』
「ああ、勿論だよ。士織、ママからだよ」
『はーい。おはよう。私達の天使ちゃん、昨日はよく眠れた』
「うん。良く眠れたよ」
『そうなら良かった。まさか夜更かしと化していないでしょうね』
と言う電話越しの会話を聞きながら、寝室から出ようとした士道を余所に
「ううん。昨日はパパと遅くまでテレビを見てたよ」
と士織が言うと士道は、
「この裏切り者め」
と士織に優しく毒づきながら部屋から出て行き、寝間着のまま玄関の方に歩き、玄関の靴箱の上に置いてある5センチほどのポータブルメディア端末(以下MD端末と呼称)を起動し、最新情報を読もうととしたが、なぜか『通信状況の不具合の為、更新できません。現在復旧作業中です』と表示されていた。仕方が無く士道は、居間に置いて有るだろう定期購読している数種類の新聞を取りに行こうとMD端末を玄関に置くと、踵を返すように今の方に向かった。案の定居間のテーブルに定期購読している新聞が広告塔が判れた状態で置いており、その中の一種類を手に取ると流し読みをすると、中の記事の一部を抜き取り近くに居たSPに手渡した。
「はい、トウジ。スポーツ欄」
「いつもありがとうございます。総理」
とSPの一人である鈴原トウジが軽く会釈をすると、抜き取られた新聞を貰った。すると、士道の朝食を持ってきたまだ若い女性が入ってきた。それと同時に士道は、居間に備え付けていた。家庭用3D立体ホログラム映像受信機の電源を入れ、朝のニュースのチャンネルに合わせた。然しなぜか所々立体映像の受信状況が悪いのか立体映像が乱れていた。
『…なお、昨日までの五河総理の支持率は先週の支持率と比べ5ポイント程低下し、最低値を更新しました。なお与野党内では、これ以上の総理の支持率が低下するのを恐れ早くも解散総選挙の構えを見せています。なお、理由としては総理の決定力不足が主な原因とされて…』
「総理。朝からあまりこういう者は見ない方がよろしいのでは?」
「いや、大丈夫だよ。簪さん」
「それなら良いのですが、やはり世論の風当たりは厳しいみたいですよ。曰く『総理は元戦闘機乗りのせいで、政治には疎い』や『外交等にも余り強気になっていない』等の非難がここ最近盛り上がって来ています」
「そうか、しかし仕方が無いじゃないか。老害共が何かしら介入してきて文句を言っているのだから。しかも奴ら、元々老害達が蒔いた種の癖に出来が悪かったら、全部自分のせいじゃない、総理の責任だとかの賜っているのだから。堪ったものじゃないよ」
「そうですか」
と総理就任前からの古参の秘書官の中でまだ若い女性である更識簪との会話しながら朝食に手を付けようとした所。秘書官の一人が受話器を持ってきた。
「総理。食事中失礼します。国防長官からお電話が繋っています」
「そうか。なら此方に繋いでもらおうか」
「分かりました」
暫くすると、テーブル上の隅にある幾つかのボタンの一つを押すと、士道の目の前に立体映像が映し出された。
「総理。朝早くから申し訳ありませんが、緊急の用件でお電話させて貰いました。[例の件]についてです」
その言葉を聞いた士道は眉間をピクリと動かすと一度モニターを消し、周りに居た秘書官等を全員居間から出て行くように指示を出し、テーブルに設置してある幾つかのボタンを押し、室内をハイランクプライベートモードに設定した。完全に密室と化した部屋を軽く見渡すと、先程のモニターを再起動した。
「申し訳ない。報告を聴こうか。前日までの報告だと、もう打つ手がないとの報告があったばかりだが何か進展したのか?」
「その事ですが、巨大物体の速度が急激に落ちており、このままスピードが落ちた場合、地球月間のほぼ中間地点で完全に停止することが再計算した結果判りました。それと新たに多数の小型物体が巨大物体から別れ、地球の衝突コースに乗ったそうです」
「何だと、それで最初の落下地点は?」
「アラビア沖12キロの地域です。なお、次弾落下地点は、ロシア連邦モスクワから50キロ東方です」
「そんなまさか・・・」
と士道は、画面の向こう側の長官を呆然と見つめた。そして、まだ外の気温は高くない数値だったが、この部屋の中はまるで真冬の氷点下のごとき数値の空気の様だった。
まだ気温が上がらない朝の日と爽やかな海風と潮の香りを浴びて、ランニングする人や部活の為に学校に行く高校生、そして、仕事に向かう人が行き交う海岸公園の一角でチェスを楽しむ人がいる中であるテーブルで静かで白熱した戦いが繰り広げてあった。
「するとなにか。まだ再婚する気はないのか?」
「千冬姉。俺はもう結婚しないと決めたんだが」
と交互に盤上で駒を動かしながらも会話をしている兄姉がいた。
「では、なぜまだ結婚指輪なんてしている?そんなもの早く捨ててしまえ」
「俺なりのケジメだよ」
「ふん。まあいい。ではさっさと駒を動かせ」
「少し考えがあるんだよ」
と少し思案した一夏は、駒を動かした。その後すぐに千冬は対抗するための駒を前進させた。すると、一夏はスッと今まであまり動かしていなかった駒で王手を掛けた。この一手で全てが決まった。
「これで、チェックメイトだよ」
「何だと。待て一夏!まだ終わってないぞ」
「じゃあね。千冬姉」
と言うと席を立ち頬にキスをした後、さっさと、置いてある自転車に乗り走り出していった。残された千冬は、
「まだ何かある筈だ」
と盤を睨む千冬だが、暫く眺めていると、完全に詰れていた盤に溜息が出た。
「チェックメイトだ…」
自転車に乗った一夏は仕事場である放送局の駐輪場に自転車を停め仕事場に行くと、仕事場は何時もよりも喧騒としていた。幾つもの受話器が引っ切り無しに鳴り響き、それぞれの担当者が対応に追われていた。そんな喧騒の中、一人の男性が一夏を見つけると、小走りに向かってきた。男性の名は、殿町宏人と言う。
「一夏、一夏。何でPDAに出ない。何度も連絡しているんだぞ」
「電源を切っていたんだよ。それでこの騒がしさはなんだ?」
「ああ、なぜかテレビ送受信が60年代に逆戻りなんだ。今みほが、何とか対処しようとして要るのだがテンで駄目なんだ。だから一夏お前も出番だから早く来い」
と言うと、部屋の一角が区切られている小部屋に促された一夏が入ると、幾つかのパソコンが並んでいた部屋の中に小柄ながらも目元に隈が出来た女性が自身のパソコンと格闘していた。
「おはよう。西住、何か分かったか?」
「あ、こんばんは。随分遅い出勤ですね」
「いや、まだ朝日が昇った所なんだが..」
「え、そうなんですか。帰ろうとした所、部長に言われて…」
「なあ、部長これ訴えていいか?」
と一夏は冷淡な侮蔑的な目で宏人を見ると、宏人は冷や汗を掻きながら、必死で懇願した。
「すみません上からの指示だから・・・・。給料は私の給料の五分の一差し上げますのでお願いします」
「いや、9割貰う」
「それは出来..「では、訴えよう」判りました。それで手を打ちましょう」
「判ればよろしい。西住、もういい後はおれがやるからお前は帰れ。そして寝ろ」
「え、でも...」
「良いから。な」
「分かりました。では失礼します。あ、後これ良かったら使って見て下さい」
と言うと、パソコンに差し込まれたマイクロカードを一夏に渡した。
「ああ、ありがとう。じゃあ気を付けて」
「はい」
と会話を返した後、一夏は仕事に取り掛かった。すると、
「そういえば、衛星関係はどうなんだ。その不具合じゃないか?」
「それが、なぜか家の所有している衛星の通信になにか入り込んでいるみたいだ。それが通信を妨害しているようなのだが、まさか前の月の一部消失と関係あるのか?」
「いや、まだそこまでは俺も解らないが。まあ、やるだけやってみるよ。それにそれが原因と判ったんなら、それに反発するパルスを送って中和すれば良いことだしな」
「ああ、お願いします。なるほど、それが出来れば、家だけ綺麗に通信状況が回復できるってわけだ!有り難う、愛しているぞ、一夏!給与も随分弾むから」
と言うと、殿町は部屋から出て行った。
「さてと、取り掛かりますか」
と言うと、バックから自分専用に大幅改造したPDAとNTPCを取り出し作業に掛かった。
同時刻 埼玉県 双葉市春日部
静かな住宅街の町にも同じように朝日が昇り住人が動き出す頃一軒の住宅では何時もの様な風景が流れていた。
「しんのすけ!トイレから早く出なさい!幼稚園のバス乗り遅れるわよ!」
「後、60分」
「長いわ。あんた!これで遅刻したら一か月おやつ抜きだからね!」
「ええー。母ちゃんのイケず。オラ、そんなに経ったら死んじゃうぞ」
「死ぬわけないでしょ!ほら急ぐ!」
「はいはい。嘉アたんそんなにお便秘苦しいの」
「そうなのよー。もう彼此1週間…って何言わせるのよ!早くする」
「ホイホイ!」
「おーい。みさえジャア行って来るぞ」
「貴方、行ってらっしゃい」
「たいたーい」
「父ちゃん。おつやヨロシクね」
「ほらしんのすけは早く着替えなさい」
と言う何時もの風景が此処、野原家の何時もの風景が過ぎていった。
しかしこの1時間後、全ての物、人が根底から全て覆されていった…。