クロノスからの贈り物 ~ Story of Umi 作:Kohya S.
「穂乃果ちゃん、もしかして、空港に向かっちゃったの?」
海未はうなずく。
「毬穂ちゃんも一緒に?」
「はい」
「どうしよう……」
ことりは青ざめた顔で海未を見つめた。
これ以上電話しても、らちがあきませんね。そうこうしているあいだに、本当に飛行機に乗ってしまうでしょう。そうなったら、もう取り返しはつきません。
海未の頭を最悪の事態が駆け巡る。
もしふたりが勝手に東京に戻ってしまったら…。大問題になること、間違いありません。
「追いかけましょう!」
海未は携帯電話を握ったまま、きっと顔を上げた。
「ええっ! わたしたちも、無断外出になっちゃうよ」
ことりが目を見開く。
「穂乃果たちが、勝手に東京に帰ってしまったら、それどころではありませんよ」
「でも、先生にいわないと」
「そんなことをしていたら、間に合いません!」
海未は大きく首を振る。
「そっか、そうだよね」
ことりも顔を引き締めた。
「バスで移動してるようでした。タクシーなら、空港で追いつけるかもしれません。いきましょう、ことり」
「うん!」
海未たちは財布と携帯電話だけを手にホテルの外に出た。
広い通りまで行ってしばらく待ち、流しのタクシーをつかまえる。
「那覇空港まで、お願いします。安全運転で、急いでください!」
「……そりゃまた、難しい注文だね」
初老の男性運転手は、そういいながらもできる限り急いでくれた。
車窓に流れる夜の沖縄の海は、こんなときでもなければ心躍らせてくれたはずだが、海未の目には入らなかった。
どうか間に合いますように……。それだけを祈る。
「あ、ヒデコちゃん? ちょっとお願いがあるんだけど……」
ことりがスマートフォンを手にしていた。
「あの、どうしても外出する用事ができちゃって……。すぐ戻るから、それまで先生に見つからないように、なんとかしてもらえないかな?」
ああ、なるほど、と海未は思う。
「……うん、ごめんね。よろしく」
ことりは電話を切った。
「ありがとうございます、ことり」
「ううん、ちょっと思いついたから」
ことりはかすかに笑みを浮かべたが、すぐに心配そうな顔に戻った。
途中、渋滞に巻き込またりしながらも、二十分ほどでタクシーはターミナルビルの前についた。
「ありがとうございました」
海未は急いでタクシー代を精算して下りる。
ビルの前の路上、タクシー乗り場のすこし先には何台かの路線バスが止まっていた。
「穂乃果ちゃんたち、どこかなあ」
「あまり遅れていないはずですから……。とりあえずチェックインカウンターに、行ってみましょう」
「うん」
ふたりはビルに入った。エスカレーターで二階、三階へと上がる。
三階には航空会社各社のカウンターが並んでいた。今朝まで欠航していたせいか、かなりの混雑だった。
穂乃果と毬穂はどこでしょう……。ふたりはあたりを見回しながら、フロアを探していった。
・
「あっ、あそこ!」
やがて、ことりが指さす。
カウンターで毬穂が職員と会話しており、そのうしろに穂乃果が立っていた。
海未は一目散に走った。ことりもあとを追う。
「穂乃果! 毬穂!」
海未の大きな声にふたりが振り返る。
「海未ちゃん」
驚いた表情の穂乃果。
「あなた、なにを考えてるんですか!」
海未は、気づいたときには穂乃果の頬を平手打ちしていた。乾いた音があたりに響く。
列に並んでいた客たちが、なにごとかとざわめいた。
「……穂乃果ちゃん、海未ちゃん。毬穂ちゃんも」
ことりが三人をフロアの端まで連れていった。
海未とことりは、ふたりに向き合った。
「穂乃果、あなたは身勝手すぎます。もし、ここでふたりだけで戻ったりしたら……問題になるのは、わかってるでしょう」
海未はそういって首を振った。
「でも、ライブが……」
穂乃果は片手を頬に当てたままつぶやいた。
「ライブがなんです。修学旅行は、授業の一環なのですよ。それに、勝手に戻ったりしたら、先生たちやクラスメイトに、どれだけ心配と迷惑をかけるか……」
海未は穂乃果を見つめる。その目の端には涙が光っていた。
「あなたは生徒会長なのですよ。それに、部活だって……ここで問題を起こしたら、どんなことになるか、わかりません」
穂乃果はここに至って重大さに気づいたようだった。顔色がすっと青白くなる。
「……ごめん、海未ちゃん、ことりちゃん」
穂乃果は顔を落とし、つらそうにいった。
海未は毬穂に向き直る。
「毬穂もなんです。あなたはしっかりした人だと思っていましたが……穂乃果と一緒になって、こんなことをするなんて……。穂乃果を止めるのが、マネージャの役目でしょう」
「ごめんなさい、海未さん」
毬穂も肩を落とした。
「海未ちゃん、早く戻らないと……」
ことりがあせりをにじませる。海未はうなずいた。
四人で一階まで下りて、タクシー乗り場からタクシーに乗った。
・
ホテルに戻るタクシーの車内は重苦しい雰囲気に包まれた。
「ごめんなさい、私が、夕方からの便は飛ぶみたい、なんていうから」
「ううん、穂乃果が悪いんだよ。ふたりだけでもいいから、戻ろう、なんていったりして……」
「でも、私、止めなきゃいけなかったのに。穂乃果さんにいわれて、ライブ、せっかくだから、成功させたくて……」
だいたいのところはわかりました、と海未は思う。穂乃果が暴走して、毬穂を巻き込んだのですね。
穂乃果と毬穂は、どこか似たところがありますが、それが悪いほうに出てしまいましたね。
とりあえずなんとか引き止めることはできましたが、これからどうなることやら……。
海未の不安は大きくなりこそすれ、すこしも小さくはならなかった。
「でも、チケットはどうするつもりだったの?」
ことりが聞く。
「毬穂ちゃんが、マイルがたくさんたまってるから、なんとかなるって」
穂乃果がちらりと毬穂を見ると、毬穂はうなずいた。
タクシーはやがてホテルに着いた。毬穂がタクシー代を払った。
四人は先生に見つからないように、注意して部屋まで戻った。
海未がひそかに危惧していたように、部屋で先生が待ち受けている、というようなことはなかった。
しかし、海未の安堵はつかの間だった。
「えー、三班の諸君は、先生の部屋まで来るように」
ドアのところにあらわれた担任の山田が、無慈悲につげた。
立ち去った山田にかわって、ヒデコが顔を出す。
「……ごめん、ばれちゃった……」
四人は重い足取りでフロアの端、教諭たちが宿泊する部屋のひとつへ向かった。
そこでは担任の山田と、もうひとりの男性教諭――本条が待っていた。
部屋の中央に座るよう指示される。
「なにをしたかは、わかってるな」と山田。「どうして、こんなことをしたんだ。正直に話しなさい」
「えっと……」
穂乃果は、飛行機が飛ぶと聞いて、居ても立っても居られなくなったことを話した。毬穂も自分が航空券をなんとかするといい出したと説明した。
「……すみませんでした」
ふたりは声をあわせて頭を深く下げた。
「なるほどな。……それで、園田と南は」
「はい、私たちは、ふたりが出ていったことを知って、止めなくてはならない、と……」
「無断外出になると、わかっていて、か」
「……はい。すぐに止めなくては、と思って……。短絡的でした。申し訳ありません」
「そこはすぐに、先生に相談するべきだったな」
それは……いわれてみれば、その通りですね。海未はそう思う。
穂乃果と毬穂がいないとわかって、追いかけることだけで頭が一杯になってしまいました。ことりが、止めてくれたというのに……。私も、どうかしていたのですね。
「まあ、ライブだからって、舞い上がってしまうのは、わかるよ」
本条が口をはさむ。
「本条先生、甘すぎますよ」
「いや、すまんすまん」
はあっ、と山田はため息をついた。
「だいたい毎年、無断外出があるんだ。オトノキの校風のせいだと思うんだが……。しかし、無断帰宅は、もし成功していたらオトノキ史上初めて、だな」
「すみません……」
穂乃果はますます小さくなった。
「本格的な処分は帰ってから、だ。とりあえず四人は、あそこで正座。よしというまで、動かないこと」
山田はそう宣言した。
四人は入り口と、バスルームや洗面台とのあいだの狭いスペースに並んで正座した。
本条は四人にすまなそうな顔をしてから出ていった。
海未は背筋を伸ばして静かに座った。
やはりこうなってしまいましたか……。いえ、このくらいで済めば、
ちらりと横を見ると、穂乃果は暗い顔をしているものの、正座は苦にはなっていないようだった。ことりも同様だ。対して毬穂は、足がしびれ始めたのかさかんに親指をもぞもぞやっていた。
「あら、生徒会長が正座なんて、初めてじゃないかしら」
別の女性教諭が笑って通りすぎた。
やがて、一時間ほどたっただろうか。
「よし、園田と南は、戻っていいぞ」
山田が声をかけた。海未とことりは立ち上がり、山田に向かって頭を下げた。
部屋を出る前、海未はちらりと穂乃果と毬穂に、はげますような視線を送った。ふたりはうなずいた。
消灯時間はすでにすぎていた。
それからさらに一時間ほどあと。毬穂が穂乃果に担がれるようなかたちで、ふたりが戻ってきた。
「あ、あしが……もう、だめです……」
毬穂はそのままベッドに倒れこんだ。
「おつかれさま」
海未はふたりに声をかけた。
「うん」と穂乃果。
彼女もさすがに言葉すくなだった。
ふたりがベッドの上で着替える音が聞こえた。
「それでは、寝ましょうか」
海未は小声でささやく。
「うん、おやすみなさい」「おやすみ」「おやすみなさい」
四人は静かになった。
・
翌朝。東京ではファッションショーのライブがおこなわれるはずの日。
海未が最初に起き出して洗顔をすませてくると、穂乃果が目覚めていた。二段ベッドの下段でぺたんと座っている。
「穂乃果、おはようございます」
「あ、海未ちゃん。おはよう。……昨日はごめんね」
彼女は気の抜けたような顔で微笑んだ。
「いいえ、私たちも悪かったのです」
海未はかぶりを振った。
「おはようございます」
穂乃果の上の段から、ことりが下りてくる。
「お、おはようございます」
続いて穂乃果の向かいのベッドから毬穂が顔を出した。
「あ、あしが痛くて……」
毬穂は眠そうにしながら、ベッドから脚を投げ出した。
「あらまあ」
ことりが近づく。
「ちょっと、すりむいちゃってますね」
そういって毬穂の脚をとった。甲のすこし上のあたりが赤くなっていた。
「正座、慣れていなくて……」
「
ことりは自分の荷物から小さな救急箱を取り出すと、なにかの薬と救急絆創膏を用意した。手際よく毬穂の脚に薬をぬり、絆創膏を貼った。
「はい、これでよし」
「ありがとうございます、ことりちゃん」
「いいえ」
ことりは優しそうに微笑んだ。
海未は、昨日からの重苦しい雰囲気がすこしだけ明るくなったような、そんな気がした。
朝食のために食堂にいくと、無断外出のことはすでに生徒たちに広まっているようだった。
「穂乃果なら、やるんじゃないかと思ってたよー」
「いやあ、あはは……」
穂乃果はクラスメイトからの冷やかしに力のない笑いでこたえた。
ただ無断外出の理由までは知られていないようで――海未はすこしほっとしたのだった。
食事が終わりチェックアウトまでのあいだに、海未は
数時間後、海未たちは機上の人になった。
「いまごろ、ライブだね」
穂乃果がぽつりとつぶやいた。
「そうですね」
海未はうなずいた。
穂乃果は無表情で機外を眺める。海未はその横顔をずっと見つめていた。
――――――――
ライブの日の朝。宏未は海未からの電話を受けた。
『あの、予定通り、というか、一昨日お話ししたとおり、今日の昼ごろの便で帰ります』
海未の声は沈んでいた。やっぱりライブが気になるのかな、と思う。
「うん、わかった。おつかれさま。ライブは予定通り?」
『はい、特に連絡もないので……そう思います』
「わかった、見にいくから」
『よろしくお願いします』
海未はしばらく黙った。宏未はそのまま待つ。やがて海未の口から出たのは驚きの言葉だった。
『あの、実は昨晩、穂乃果が、マネージャと一緒にホテルを抜け出して……』
「えっ、それって、どういうこと」
『ライブが気になって、ふたりだけで東京に帰ろうとしたようです』
それから海未は、ことりと――海未は留学に悩んでいた同級生だと紹介した――追いかけて連れ戻したこと、先生に見つかって叱られたことを話した。
「……それは……たいへんだったね。でも、最悪の結果にならなくてよかった、のかな」
もし東京まで来ていたら、もっと問題は大きくなっていただろう。
『そうかもしれません』
「……今日の、家庭教師の予定、疲れてるだろうし……休みにするでしょ?」
『そうですね……。いいえ、お願いします。ライブのこと、お聞きしたいので……』
「わかった。それじゃ、最後まで気を付けて」
『ありがとうございます』
宏未は電話を切った。
毬穂……行動力だけはあるからな。穂乃果さんもそんな感じかな。……でも、どうなるんだろ。部活で問題を起こしたりして、μ'sは……。
・
昼すぎ、宏未はライブの時刻にあわせてマンションを出た。携帯端末でデパートの場所を調べて電車を乗り継ぐ。
会場となる催事場はデパートの最上階だった。ちょうど宏未が到着したのとほぼ同時に開いたようだ。幸い入場は無料で写真撮影も許可されているらしかった。
宏未はステージに近いなるべく前のほうの席についた。
だんだんと会場はうまっていった。ウェディングドレスのファッションショーということで客層は若い女性が中心で、それに相手の男性や母親がついていることがある、という感じだった。
俺、場違いなんじゃないかな……そう宏未は思った。ただ、見渡すとカメラをさげた少年が目に入り、宏未はすこしだけ安堵した。
ほどなく会場は満席になった。
ショーが始まり、古風な――もとい、最新の、と宏未は心のなかでいい直す――ドレスをまとった女性が次々にあらわれた。会場からはそのたびに黄色い声が上がった。
宏未は興味深く見守ったが、思いはどうしても次に予定されているμ'sのライブに流れていった。
『ファッションショーの部は、これにて終了です』
人の流れと音楽に一区切りがつきアナウンスが流れた。
『続きまして、特別参加、音ノ木坂学院スクールアイドル、μ'sのみなさんのライブです。どうぞ盛大な拍手をお願いいたします』
観客たちが拍手する。宏未も加わった。
ステージの袖からひとりの少女が進み出てきた。少女はウェディングドレス風の衣装で――星空凛さんだ、と宏未は思い出す。
彼女はフリルやリボンに飾られた白いワンピースのドレスを身につけていた。随所に黄色いコサージュがあしらわれている。
愛らしい姿に会場が盛り上がった。
凛はステージの中央までゆっくりと進んだ。
「初めまして、音ノ木坂学院、スクールアイドル、μ'sです」
観客たちから上がる「かわいい」「素敵ね」という声。凛が嬉しそうに笑った。
「あ……ありがとうございます」
まっすぐに背筋を伸ばした凛はマイクを握って続けた。
「えっと、本来メンバーは九人なんですが、今日は都合により六人で歌わせてもらいます。でも……残り三人の思いも込めて歌います!」
袖から残り五人のメンバーがあらわれて凛のまわりに広がった。こちらは黒いタキシード風の姿だ。
本当なら海未さんたちもいたはずなのに、と宏未は心が痛んだ。
「それでは、いちばんかわいい私たちを、見ていってください!」
曲が流れ始めた。ゆっくりとしたメロディーにあわせて六人が歌う。その歌詞は運命のときを迎えて生まれ変わる、女の子の夢と希望に満ちていた。
宏未は携帯端末で何枚か3D写真を撮った。
あれ、そういえば海未さんは、なにもいってなかったけど……。海未さんはμ'sの作詞担当、ということは、この曲も……?
宏未は思わずくすりと笑った。本当に海未さんは、意外性のある、人だよな……。
急遽六人でのライブになり
「……ありがとうございました!」
歌い終えて凛が挨拶した。宏未は拍手を送った。
・
その日の夕方。宏未は海未の自宅を訪れた。
いつものように自室に案内される。
「まずは、おかえり、園田さん」
「ありがとうございます。あの、これ、お土産です」
海未は包装紙のかかった箱を宏未に差し出した。
「なにがいいのか、わからなくて……。ちんすこうです」
「ありがとう」
宏未が笑うと海未も笑みを返した。
「それで、穂乃果さんの件、たいへんだったね」
宏未は気遣うように話した。
「はい。先生に叱られて、さすがの穂乃果と毬穂も……」
毬穂の名前を聞いて宏未はどきりとする。
「あ、部活のマネージャです。ふたりとも、へこんでいるようでした」
「……まあ、大事件、だよね」
「そうですね……」
海未は暗い表情になる。
「部活とか、どうなるのかな?」
「さあ、わかりませんが……。明日、きっとなにか処分があると思います」
「処分……って、大げさな」
「いえ、最悪の場合、休部などもあるかもしれません」
「そっか……。ごめん、なにもいえないけど……なんとか穏便に、すむといいね」
宏未は笑顔を見せる。
「はい。……すみません、こんな話をして」
「いや、あまり力にはなれないけど、相談には乗るから……」
「ありがとうございます」
海未は頭を下げて表情をやわらげた。
μ's、活動休止とか、あり得るのかな、と宏未は思う。
そうなれば、最悪の歴史は避けられたようなものだけど……。ただ、海未さんの話だと、毬穂も原因のひとつなのか。ちょっと後味が悪いな……。
「そういえば、ライブ、行ってきたよ」
宏未は昼間のことを話題に出す。
「重ね重ねすみません。凛からは連絡があって……とりあえず、大成功だと、凛はいっていましたが」
海未は不安そうにいった。
「うん、すごくよかったよ。星空さん、落ち着いてたし……。全員、歌も踊りも、ばっちりだった」
「……そうでしたか」
海未は目に見えて安堵した。
「あ、あの、ありがとうございました」
そういって頭を下げる。
「もともと、いくつもりだったし」宏未は首を振る。「園田さんを見られなかったのは、残念だったけどね」
にこりと笑ってみせる。
「そ、そんな……」
海未は目をそらして頬を染めた。
「曲もよかった。作詞、園田さんなのかな?」
「そうですが」
とても小さな声。
「すごく、女の子らしくて、かわいらしくて、それでいて前向きで……。μ'sにぴったりだね」
「……」
海未はますます顔を赤くして、なにもいわなかった。
宏未は不意にそんな海未が愛らしく思った。
思い出して宏未は携帯端末で撮った写真――ホログラフィはオフにして――を見せた。
「素敵な衣装ですね」
「あれ、園田さんも知らなかったんだ」
「はい、ウェディングドレス風とは、聞いていましたが……。センター、凛が
「そうだね」
海未はしばらく笑みを浮かべながら写真を眺めていた。
その日は結局、勉強はほとんど手つかずだった。まあ、仕方ないよな。
なにかあったら気軽に連絡してほしいと伝えて、宏未は海未の家を出た。
帰り道。満天の星空のもと宏未は思う。
もし、μ'sが活動休止になったら、海未さんはもう、ライブに出ないのかな。
それはとても残念で、悲しいことのように、宏未には思えてならなかった。