クロノスからの贈り物 ~ Story of Umi 作:Kohya S.
21. 私たちが決めたこと
年が明けてもμ'sは「ラブライブ!」本大会へ向けて練習を続けた。
そして二月。
「ラブライブの本大会まであと一か月。ここからは負荷の大きいトレーニングは避け、体調を維持することにつとめます」
部室に集まった部員たちに、海未はそう告げた。
二年生の三人のなかでは、海未が武道などで体力づくりの基礎知識があったため、トレーニングのメニューは以前から海未が決めることが多かった。
「練習、ずいぶんすくないんだね」
凛が海未の配った練習メニューを見ていう。
「うん、完全にお休みの日もある」
花陽も意外そうだ。
「はい、A-RISEの
ここまでで体力は十分できている、あとはそれを維持するだけでよい、というのが
ただ、むしろメンタル面に気を使わないと、とも彼女はいっていた。
そちらについては、すこし荷が重いですね、と海未は自戒する。
修学旅行のこと、ことりや穂乃果の離脱の危機もありましたから、気を付けなくてはなりません……。
「そういえば……」と真姫。「亜理紗ちゃんと雪穂ちゃん、合格したんでしょ?」
μ'sの活躍もあり、穂乃果の妹、
「あ……うん、ふたりとも、春から音ノ木坂の新入生」
穂乃果が一瞬遅れてうなずく。なにかに気を取られているようですね、と海未は思った。
「亜理紗ちゃん、ずっと前からμ'sに入りたい、っていってたもんね♪」
ことりが微笑んだ。
「じゃあ、もしかして新メンバー?」
「ついに十人目誕生? ん、
花陽と凛を真姫がたしなめる。
「ちょっと、そういう話は……」
自然に全員の視線が、絵里、希、にこに集まった。
花陽がぽつりともらす。
「卒業、しちゃうんだよね……」
しんみりとした空気が流れた。
「……ラブライブが終わるまでは、そのさきの話はしない約束よ」
暗くなった雰囲気を払うように絵里が笑いながらいった。
「さぁ、練習しましょ」
「はい!」
・
部員たちは校庭に出て運動を始めた。毬穂も加わっている。
今日のメニューは会話ができるくらいのごく軽いトレーニングが中心だった。
「穂乃果、なにかあったのですか?」
トレーニングのあいま、海未は穂乃果に聞いてみる。
「えっ?」と穂乃果。
「顔、見たらわかるよ」
ことりも気になっていたようだった。
「雪穂にね、三年生卒業したらどうするのって、聞かれちゃって」
穂乃果は静かに話した。
「そっか……」とことり。
「穂乃果は、どう思うんですか?」
海未の質問に穂乃果はこたえる。
「スクールアイドルは続けていくよ。歌は好きだし、ライブも続けたい。でも……」
「μ'sのままでいいか、ってことだよね?」
ことりがあとを引き取った。
ふたたびトレーニングを再開する。
「私も同じです」ランニングをしながら海未はいった。「三人が抜けたμ'sを、μ'sといっていいものなのか……」
「そうだよね」
「なんで卒業なんてあるんだろう……」
ことりと穂乃果にも迷いが見えた。
「でも、もったいなくないですか、せっかくここまで来たのに」
三人のうしろから毬穂が声をかけた。
「A-RISEみたいに、受け継いでいっても、いいんじゃないですか」
「毬穂のいう通りよ」
さらににこが追いついてきた。
「メンバーの卒業や脱退があっても、名前は変えずに続けていく、それがアイドルよ」
「アイドル……」
ことりがつぶやく。
「そっ。そうやって名前を残していってもらうほうが、卒業していく私たちだって嬉しいの。だから……うわっ!」
にこはコース上に立っていた希と正面衝突していた。思い切り尻餅をつく。
「いったぁーっ!」
「その話は、ラブライブが終わるまではしない約束よ」
希は腕を組んでさとすようにいった。
「わかってるわよ」
にこは顔をそらした。
「……本当に、それでいいのかな?」
花陽がぽつりと口にした。
「だって、亜里沙ちゃんも雪穂ちゃんも、μ'sに入るつもりでいるんでしょう? ちゃんと、答えてあげなくていいのかな? ……もし、私が同じ立場なら、つらいと思う」
凛が花陽の顔をのぞき込む。
「かよちんはどう思ってるの?」
「えっ?」
「μ's、続けていきたいの?」
「それは……」
口ごもる花陽。
「なに遠慮してるのよ。続けなさいよ! メンバー全員、入れかわるならともかく、あなたたち六人は残るんだから」
にこは同じ意見を主張した。毬穂が隣で首を縦に振る。
「遠慮してるわけじゃないよ。ただ、私にとってのμ'sが、この九人で。ひとり欠けても、違うんじゃないか、って」
「私も、花陽と同じ」と真姫。「でも、にこちゃんのいうこともわかる。μ'sという名前を消すのはつらい。だったら、続けていったほうが、いいんじゃないかって」
「でしょ。それでいいのよ」
にこは我が意を得たりというようにうなずいた。
「絵里ちは?」
希が首をかしげる。絵里は首を振った。
「……私は決められない。それを決めるのは、穂乃果たちなんじゃないかって」
「え?」
穂乃果は疑問を浮かべる。
「私たちは必ず卒業するの。スクールアイドルを続けることはできない。だから、そのあとのことをいってはいけない、私はそう思ってる」
そして穂乃果を見つめた。
「決めるのは穂乃果たち。それが私の考え」
「絵里……」とにこ。
「そうやね」
希はにこに笑顔を向けた。
・
「なんか結局、話すことになっちゃったね」
帰り道、三年生をのぞいた七人で学院の前の長い階段を下りながら、ことりが苦笑する。
「でも、仕方がなかった気がします。あいまいな気持ちのまま大会に挑むのは、よくなかったですから」
海未はそうこたえた。
メンタル面というのは、こういったことも含むのかもしれません、と思う。
全員が、自分自身に納得してのぞまなければ……。よい結果は出ないのではないでしょうか。
「どうするつもり?」と真姫。
「私たちで決めなきゃ、いけないんだよね」
「難しすぎるよ……」
花陽と凛は顔を見合わせた。
「うん、でも、絵里ちゃんがいうことは、正しいと思う。来年、学校にいるのは私たちなんだもん……。私たちが決めなきゃ」
「ですね」
穂乃果の言葉に海未はうなずいた。
翌日の練習後、どこかに集まって話そう、ということになった。
「あの、私、明日は遠慮しておきます」
階段をくだり終えて、毬穂が静かにいった。
「えっ、毬穂ちゃんも来て、意見をいってくれていいんだよ」
穂乃果は意外そうに話す。海未もそれは同じだった。
毬穂は瞳に迷いを浮かべてうつむいた。しかし毬穂の考えはかわらないようだった。
「私がいくのは、やっぱりμ'sのために、よくないんじゃないかなって……」毬穂は首を振る。「μ'sのみなさんで決めてください」
「毬穂、遠慮することはありませんよ」
海未もそういったものの――。
「いいえ、止めておきます」
毬穂はきっぱりと告げた。
毬穂も考えがあってのことでしょうから……。無理に誘ってはいけませんね。
七人は歩き出した。
「でも……」
毬穂がふたたび口を開く。
「μ'sがどうなるにしても……。二年後には花陽ちゃんたちも卒業です。そうしたら、また九人で集まっても、いいんじゃないですか。その、スクールアイドルの枠を超えて」
毬穂は重い空気を意識してか明るくいった。
「そっか……。そうかもしれないね」
穂乃果はどこか吹っ切れたようにこたえた。
花陽は難しい顔になる。
「うーん、それはそれで、どうなのかな……」
「そんな先のこと、今から話しても仕方ないにゃ」
凛は両手を頭のうしろで組んだ。
「まあ、そうよね」
真姫もうなずいた。
海未は部員たちとすこしずつ別れて、最後は穂乃果とふたりになる。
「穂乃果」
別れ際、海未は呼びかけた。
「ん?」
「自分に正直に、本心でどうしたいのか考え、ちゃんと話しましょう」
穂乃果はにこりと笑った。
ひとりになった海未は考える。
μ'sは九人、それは、その通りなのだと思います。三年生の三人が抜けたμ'sは、μ'sと呼べるのかどうか……。
しかし、最後に毬穂がいったこと。スクールアイドルではないμ's……。現実にあり得るのでしょうか。考えたこともありませんでしたが……気になりますね。
・
翌日。海未の自宅に六人は集まった。穂乃果の家は雪穂がいるので避けたほうが良いだろう、という海未の
昼過ぎから夕方まで、海未の自室で話し込み――とうとうひとつの結論に達したのだった。
その翌朝、学院への通学路。ことりと毬穂に、海未、穂乃果が合流して四人になる。
海未は歩きながら、ことり、穂乃果に視線を送る。ふたりはうなずいた。
「毬穂、私たちは……。μ'sを終わりにすることに決めました」
海未はそう話した。
「そう……なんですね」
毬穂は視線を落とした。
「はい。μ'sは九人、それ以上でも、それ以下でもない。そういう結論です」
「……」
「わかってくれますね」
海未は優しくいう。
μ'sを応援したい、そういってマネージャになってくれた毬穂。きっと。思うところはあると思いますが……。この半年、一緒にやってきたのです、きっと彼女も……。
毬穂は顔をあげて、すこし寂しそうに微笑み――。
「……はい」とうなずいた。
海未と穂乃果、ことりのあいだに、安堵の雰囲気が流れた。
「スクールアイドルだけがμ's、じゃないですもんね」
毬穂は自分にいい聞かせるように、そうつぶやいた。
海未にかわって穂乃果が毬穂の隣で歩く。
「それでね、毬穂ちゃん。あとで、三年生のみんなに、結論を話すことにしたんだけど……。毬穂ちゃんも、来てほしいんだ」
「えっ、私もですか? それは、九人のほうが……」
毬穂は首を振る。
「ううん、ぜひ来てほしい。だって、毬穂ちゃんも、一緒にμ'sをやってきた、仲間なんだもん」
穂乃果は笑顔のなかにも真剣さをのぞかせて毬穂を見つめる。それに打たれたのだろうか毬穂は、はっと目を見開き――。
「ありがとうございます」
そういって頭を下げた。
・
数日後。家庭教師の日。
「それじゃ、今日と次回は、二年生の全体の復習をしようか」
新学期が近づいて大学を再開するため、宏未の指導は今回と次回のあと二回で終わりにしようと、先日決まっていた。
「はい、いままでお世話になりました」
海未は頭を下げる。
もう、宏未さんと会えるのもあとわずか、なのですね。そう思うと心がずきりと痛んだ。
「そういえば、μ'sのメンバーも、何人か卒業だよね?」
宏未は心配そうに話した。
「はい」
「みんなは……μ'sは、どうするのかな」
「ええ、それについては……」
海未は話してよいものか迷った。
μ'sの内輪のことですし。いえ、でも、いままでいろいろと相談に乗っていただきました……。ここは話すべきですね。
「……残るメンバーで話しあったのですが、μ'sという名前は、いったん終わりにしようかと思います」
「そっか、そうなんだ」
宏未は深くうなずいた。
「今度の日曜日に穂乃果が、三年生に伝える予定です」
「うん、わかった。μ'sが見られなくなるのは残念だけど……海未さんはスクールアイドル、続けるんだよね」
宏未は微笑む。
「えっ」
海未はいまさらながらに動揺した。
あの、まだ、しっかりと決めてはいないのですが……。そのようにまっすぐに見つめられると、私……。
「……つ、続けたいと、思います」
海未は赤くなって下を向いた。
「よかった」
宏未は笑みを深くした。
・
次の日曜日。
穂乃果の呼び出しにこたえて、部員たちは秋葉原の
「よーし、遊ぶぞーっ!」
全員を前に穂乃果はいい放った。
「遊ぶ?」
「いきなり日曜に呼び出してきたから、なにかと思えば……」
「休養するんじゃなかったん?」
事情を知らないにこ、絵里、希は
「それはそうだけど、気分転換も必要でしょ? 楽しいって気持ちをたくさん持って、ステージに立ったほうがいいし」
穂乃果はすこしあわてたように早口で話した。
「そ、そうですよ」
海未も援護する。
「今日、暖かいし♪」
「遊ぶのは精神的な休養、って本で読んだことあるし」
「そうそう、家にこもってても仕方ないでしょ」
「新しい発見が、あるかもしれません」
「にゃー!」
残りの一、二年組も口々に話した。
「なによ、今日はやけに強引ね」
にこが怪しむように目を細めた。
「ほらそれに、μ's結成してから、みんなそろってちゃんと遊んだこと、ないでしょ? 一度くらい、いいかなって」
穂乃果はにこりと笑う。
「……でも、遊ぶって、なにするつもり?」
にこは諦めたように聞いた。
「遊園地いくにゃ」「子供ね……私は美術館」「えっと、私はまずアイドルショップに」
部員たちはそれぞれ候補をあげた。
「バラバラじゃない」
「どうするつもりなん?」
にこと希に穂乃果はこたえた。
「んー、じゃあ、全部! いきたいところ、全部いこう!」
穂乃果はひとりずつがいきたいところをあげて、すべてに遊びにいこう、と話した。
「なによそれ」
「でも、ちょっと面白そうやね」
「しょうがないわね」
にこ、希、絵里の三人、それに残りの部員も同意した。
「しゅっぱーつ!」
穂乃果がジャンプして宣言した。
部員たちはまず近くのアイドルショップに行った。それからゲームセンターへ。
電車に乗って上野までいき、動物園に入る。そこからふたたび電車で今度はボーリング場へ向かった。
ひとゲームこなしたあと、いったん上野まで戻って美術館に。
「これ、先に美術館にいけばよかったじゃない」
「穂乃果にそれを期待しても無理よ」
不忍池でスワンボートに乗ってから、地下鉄で浅草へ。浅草寺に参拝してから花やしきへ回った。
「久しぶりに堪能したにゃー」
花やしきを出て、凛が満足そうにいった。
「そうやね」と希。「んー、これで八人やね。毬穂ちゃんは?」
「私は……私は、特にないですよ」
「そんなこといわんと」
「えっ、でも……。じゃあ、穂乃果さんと同じで、お願いします」
毬穂はすぐ隣の穂乃果を見る。
「毬穂はこういうときは謙虚ね」絵里がいった。「それで、穂乃果がいきたいところは?」
「私は……海にいきたい!」
「海?」
絵里が聞き返す。
「うん! 誰もいない海に行って、九人……じゃなかった、十人しかいない場所で、私たちだけの景色が見たい。……だめかな?」
「穂乃果……」
海未は穂乃果の提案の意味が痛いほどわかった。
誰にも邪魔されたくない、そういうことですよね。結論を伝えるのに……。
「賛成にゃ」と凛。
「なんか冒険みたいで、わくわくするね」
花陽もうなずいた。
「今からいくの?」
絵里は不安そうに聞くが――。
「いくだけいってみようよ!」
穂乃果の言葉にとりあえず全員が同意したのだった。
海未は穂乃果と毬穂に視線を送った。穂乃果はどこか決意をにじませた表情だった。そして毬穂も。
穂乃果は、これからのことを考えているのでしょう。しかし、毬穂は……。彼女も、なにか思うところが、あるのでしょうか……。
・
海未たちは地下鉄で品川までいき、JRへ乗り換えた。
電車のなかで毬穂は穂乃果とずっと話しこんでいた。海未はふたりのようすが気になったものの、聞く機会は訪れなかった。
だんだんと日は傾いて景色は夕暮れの気配を帯びていった。揺られること数十分。車窓から海岸線が見えてきた。
「そろそろいいんじゃない?」と真姫。
「うん、そうだね。次で降りようか」
穂乃果がうなずいた。
降りた駅は無人駅だった。ホームからも、高速道路の高架の向こうにちらりと海が見えた。
海未たちは海岸まで歩いた。
「うわーっ」
高架をくぐると一気に視界が開けた。
「ちょうど沈むところにゃー」
凛が先頭に立って波打ち際を目指し走っていく。
海も砂浜もオレンジ色に染まっていた。潮の香が鼻をくすぐった。
部員たちは海辺ではしゃぎまわった。しかしそれもしばらくのあいだで、いつの間にか全員でそろって海を眺めていた。
「合宿のときも、こうして朝日、見たわね」
絵里が感慨深そうに話す。
「そうやね」と希。
「そんなことが、あったんですね」
希の隣、一番はじから毬穂がいった。
「……私も、見たかったな」
「こうして今、一緒に見られてるんやから、いいやん」
「はい」
微笑んだ希に、毬穂はうなずいた。
「あのね……」
穂乃果が切り出した。
「あのね、私たち話したの。あれから六人で集まって、これからどうしていくか。希ちゃんと、にこちゃんと、絵里ちゃんが卒業したら、μ'sをどうするか……」
「穂乃果……」
絵里がつぶやく。
「ひとりひとりでこたえを出した。そしたらね、全員、一緒だった。みんなおんなじこたえだった」
穂乃果はちらりと左右のメンバーたちを見る。
「だから……だから決めたの。そうしようって! いうよ。せーの……」
「ごめん、いくよ! せーのっ!」
六人が言葉をそろえる。
「大会が終わったら、μ'sは、おしまいにします!」
「やっぱりこの九人なんだよ。この九人がμ'sなんだよ」
穂乃果は自分にいい聞かせるように話した。
「誰かが抜けて、誰かが入って……。それが普通なのはわかっています」
海未も首を振る。
「でも、私たちはそうじゃない……」
「μ'sはこの九人」
「誰かが欠けるなんて、考えられない」
「ひとりでも欠けたら、μ'sじゃないの」
真姫、花陽、凛、ことりも自分の想いを語った。
「そう……」
絵里が優しく微笑んだ。
「絵里!」
にこは
「うちも賛成だよ」
「希……」
にこの勢いが落ちる。
「当たり前やん、そんなの。うちがどんな想いで見てきたか……名前を付けたか……。九人しかいないんよ。うちにとって、μ'sはこの九人だけ……」と希。
「そんなの……そんなの、わかってるわよ! 私だって、そう思ってるわよ。でも、でも……だって……」
「にこちゃん……」
真姫がたまらずというように声をかけた。
「私が、どんな想いでスクールアイドルをやって来たか、わかるでしょ? 三年生になって諦めかけてて……それがこんな奇跡に巡り合えたのよ!」
にこはかぶりを振って、続けた。
「こんな素晴らしいアイドルに、仲間に、巡りあえたのよ! 終わっちゃったらもう、二度と……」
真姫はにこの正面に立ち、にこを見つめる。
「だからアイドルを続けるわよ! 絶対約束する。なにがあっても続けるわよ!」
「真姫……」
「でも、μ'sは、私たちだけのものにしたい。にこちゃんたちのいないμ'sなんて、いやなの! 私が嫌なの!」
にこは耐えられなくなったように、真姫から目をそらした。
「……あの、もしよかったら、約束しませんか」
いままで黙っていた毬穂が口を開いた。
いよいよ終盤です。引き続きよろしくお願いいたします。