大鴉の羽搏き 作:カバ
ルーシィとグレイは現状に対して思考するのが怠くなり揃ってカウンター席に突っ伏していた。その間、ジュビアが藁人形に金槌を打ち付ける回数が徐々に加速していく。
鬱状態になっている二人の下へ、更に二人の人物が姿を現す。
「――おいおい、グレイ。負けて苛立ってるからって
一人は先程グレイと勝負を行っていた桜髪とマフラーが特徴のナツ。
「――そうだよ、グレイ。あんなに応援してあげた
もう一人はナツを応援していた、顔立ちがミラと似通っているリサーナ。ルーシィは後になってミラとリサーナが姉妹だと知り、密かに羨ましがったりだとか。
彼女達の登場にグレイはチラッと視線だけを向けるが、突っ伏した身体はそのままで気だるげに発言する。
「いや、大丈夫だろ。アイツ、俺から冷たくされんのも愛情だって解釈してその日に夜這い紛いの行動に出るんだぞ? 寧ろ何を心配してやれば良いのか、俺自身が教えてほしい位だぜ……」
「「………………」」
「オイ何か言えよ」
グレイとジュビアの関係を聞いた二人は若干引いて発言を控える。しかし、そんな彼等の反応にグレイが即座にツッコむ。
「ミラさん、ジュースのお代わりって貰えますか?」
「そして
ルーシィは開き直りミラにジュースのお代わりを注文する。そんな対応に初対面のグレイでさえツッコミを入れざるを得ない。グレイの言葉にリサーナがルーシィのことを思い出す。
「そうそう、ミラ姉! この子って新人さん?」
「ええ、そうよ。名前はルーシィって言うの。可愛い名前よね~」
リサーナの言葉に笑顔で答えるミラ。ルーシィは”えっ”と自分の耳を疑う。
「……あれ~? おかしいな~? 私、いつ
「今よ」
良い笑顔で断言するミラ。ルーシィの表情が若干歪むが、諦めずに抗議する。
「……あの~、私って一応、観光目的で
ルーシィは最初についた嘘をここぞとばかりに言い訳に使用する。
しかし、ルーシィを気に入ったミラは強めに勧誘を行う。
「大丈夫、初めては誰だって怖いものよ。女の子なら特に、ね?」
「ミラたん! 今のセリフをもっと情欲的にお願いします!」
「悪い子にはお仕置きよ♪ サタンソ~ウル♪」
「ブヒィィィィィ!!!!」
「……いや、今の誰だよ?」
変な邪魔が入ったが、ルーシィは何故ミラが自分をギルドに入れたのか理解できなかった。
「……何で私なんかを入れたいんですか? 別に私って強力な魔導士じゃありませんよ?」
「ん~……私が貴方と一緒にお仕事をしたいって理由じゃ、ダメ?
話してみて、ルーシィは良い子だと思ったの。
だから、これからも一緒に居たいって考えちゃった♪」
普通の人なら恥ずかしくて言えないこともミラは惜しげ無く伝える。
「えぇ!? あー、いや、そう言われると……えぇぇ??」
ルーシィは困惑の極みに陥る。そんな困惑する彼女の疑問にグレイが応える。
「――ミラちゃんは寂しいんだよ」
「――えっ?」
グレイの言葉をルーシィは理解できなかった。彼女の心境など知らずに……いや知っているかのように彼は話を続ける。
「――数年前、一つのギルドが解散した。癪だが、俺達のギルドと同じ位人気があったギルドさ」
「……それって、
ルーシィはグレイが話すギルドを言い当てる。グレイは首を縦に振って肯定する。
「
比喩じゃねぇぞ? いつも出合ったら殴り合い一歩手前の状態だったからな」
未だにその話とミラの関連性を見出せないルーシィだったが大人しく話を聞く。
「……それで?」
「
問題はファントムが潰れた後に起こったことだ」
この問題にミラがルーシィをギルドに入れたがる理由があると何となく確信する。
「問題?」
「問題って言っても厄介事じゃねぇ。
アイツ等の所に流れてた仕事と所属してた魔導士の殆どこっちに来ただけの話さ」
「……ん? だから何?」
グレイの言いたい事がいまいち理解できないルーシィ。
彼も頭をガシガシと掻きながら続きを語る。
「つまり、この数年で
「??? ミラさんが寂しいって話じゃなかったの?
ギルドの魔導士が増えたのなら、逆じゃないの?」
「……普通はそうなんだろうな……」
グレイはギルド内を見渡す。酒を飲む者。依頼を受ける者。談笑する者。
彼の眼には多くの魔導士の姿が映る。そう、
グレイは遣る瀬無い表情を作る。
「――俺は自慢じゃねぇが、このギルド内じゃちょっとした古株だと思ってる。
ファントムが潰れる前のギルドメンバーだったら、フルネームで言える自信はあるぜ。
だが……今はギルドメンバーの名前を半分も言えれば俺的には満足もんだな」
「………………」
ルーシィはここまで聞いて、グレイの言いたい事がやっと理解できた。
「”家族みたいな
今でもその気持ちは変わらねぇ……って断言出来れば良かったんだがな……」
グレイが見つめる先にはギルドのマークを刻んだ魔導士が居た。しかし、グレイがその魔導士に向ける視線に親愛の情は一切無かった。そこにあったのは他人に向ける無機質なモノ。
自虐気味にグレイは笑う。
「ははは……ここも随分と変わっちまった……」
「……アンタ、寂しいの?」
「俺は違う……いや、寂しいのか?
……そうだな……寂しいんだろうな……。
まっ、ミラちゃん程じゃないがな」
グレイは静かに話を聞いていたミラに視線を移す。彼女は苦笑する。
「――そうね。全部、グレイの言う通り。
私、寂しいの。
だがら、少しでも人の温もりを欲しがっちゃうの♪」
ミラの笑みは何処か儚げであった。
ルーシィはその笑みに何を以て応えれば良いのか分からなかった。
三人の間に微妙な雰囲気が流れる。
そんな中――
「――くっだらねぇ……」
会話に参加しなかったナツが吐き捨てるように呟く。
「ちょっと!! ナツ!!」
「下らないことを下らないって言って何が悪いんだよ?」
リサーナの言葉を無視しながらナツは語る。
「グレイもミラも何言ってんだ。俺達は何処まで行っても
そりゃあ、ガジルやラクサスみたいな気に食わないヤツも居るさ。
でも、それでも、俺達は
なら――絶対に分かり合える。俺が
「「――ナツ……」」
グレイとミラの二人が彼の言葉に聞き入る。
そしてルーシィもナツの言葉を聞く。
「(絶対に……分かり合える、か……私も……パパと……)」
今度はしんみりとした雰囲気が彼等の周りに流れる。
しかし、その空気は居心地が悪いモノではない。彼等の心に優しく浸透するモノであった。
――召喚士は、
「というわけで、グレイ!! もう一回勝負するぞ!!」
「はっ? お前、さっきもう
「こんな変な雰囲気を保つなんて俺には出来ねぇ!! だから戦うぞ!!」
「……はぁ、とことんシリアスには向かない男だな」
「ウッセッ!
「――当然、
「というわけでルーシィもギルド加入、決定ね♪」
「えぇ!? だってさっきの話……えっ!?
皆さん、場の切り替え早ッ!!」
「だって
あっ! 初めまして、私リサーナって言います! 今後とも( `・∀・´)ノヨロシク!」
「あっ、ご丁寧にどうも……って違う!! このタイミングで自己紹介はオカシイ!!」
「ノリツッコミ(人''▽`)ありがとう☆」
「……私、このギルドで大丈夫かな……?」
「えっ!! ジュビアの出番って今回は無いんですか!?
グレイ様に対して