カイゴのお仕事!   作:トナカイさん

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介護のお仕事! 実践①排泄介助 トイレ編

介護士の仕事をご存知ですか?

介護って聞くと、世間的には『キツい』『汚い』『給与安い』……いわゆる3Kの仕事として知られ、社会的に低い扱いをされる仕事だ。

社会的に嫌がられる仕事。『高齢社会』待った無しの日本で、社会的に低い扱いの仕事、それが介護だ。

さて、そんな介護だが、果たしてみなさんは介護士の仕事ってどんなことをするのか知ってますか?

多分、ほとんどの人が『おじいちゃん』『おばあちゃん』の”身の回りのお世話をする誰れにもできる簡単な仕事,,と思うでしょう。

しかし、その簡単な仕事は……実は意外と簡単にはいかないのが、介護なんです。

介護士の仕事がどんなものか、それを赤裸々に語っていこうと思います。

 

 

 

介護のお仕事CASE1

 

認知症で、暴力癖のある困ったおじいちゃんの話。

 

介護度3、男性。

車椅子、自走可。

食事自力摂食可、入浴、排泄一部介助。

認知症で物忘れ、暴言、暴力行為有り。

 

そんな方を介助しようとした場合……

 

 

「◯◯さん、そろそろ一度おトイレ行きましょうか?」

 

声が聞こえるように、出来るだけハッキリと大声で話す私。

普通のご利用者様相手なら、このあと排泄介助を行うだけなのですが……。

 

「うっせんだよ。ああ? 」

 

怒鳴られるのも『仕事』のうち。

基本スルーで、会話を続ける私。

 

「もうすぐ、デイサービスも終わりますし、移動の前にトイレに……「ああん? 何言ってんか、わがんねぇぼ! おぅ、おぅ、わがんねぇ」……そうですか。おトイレ行きませんか。「ああ……トイレか。行く」では、おトイレの方に移動しますね。」

 

内心、また始まったよ、と思いながらもトイレに誘導しようと声をかける私。

そして車椅子のブレーキを解除して、移動を始めて数步歩いたところで。

「おい!」

「え?」

 

気づけば、目の前に迫るグーパン。

その速さはまさに『神速』!

それは一瞬の出来事、普通なら拳が私の顔面に直撃するが……そこは慣れてる私。

『来るな』……という予想をしていた私は咄嗟に体を大きく傾けて後ろに反らす。

ぶん、という空気が切る音が聞こえると、つい先ほどまで、私の顔面があった場所に利用者様の拳が空を切って振られていた。

ああ、よかった。今日は避けられた。

『拳避け』、『状況予測』……私の必殺仕事技。

介護経験一年を経て得た、必須スキル。

介護職員なら誰もが身につく自衛技。

時たま、失敗して目にクリーンヒットするが……それは自己責任になる。最悪のCASEを常に予測して行動しなければならない。

それが介護現場。

『労災』? 『法律』? 何それ?

避けれない貴方が悪いんでしょう、とガチで言われるのがこの業界。

仮に拳が顔面に直撃しても……非は職員にあるとみなされる。相手は認知症。責任能力はないのだから。

施設入居してる以上、『お客様』なんだから……というのがこの業界。

暴力性のある利用者様を介助しなければいけない場合、介護職員は内心……『早く帰りたい』と思ってるだろう。

介護職員が利用者様に暴力を振るえばそれは当然『虐待』。

だが、利用者様から介護職員への暴力、暴言は『なあなあ』にされる。

だから、暴力行為が見られる利用者様に進んで近寄る介護職員はいない。

しかし、介助をしなければ、それはそれで『介護放棄(ネグレスト)』になる。

八方塞がりに立たされるのだ。どーしろと?

『虐待』なんかしたくないし、かといって、『暴力』行為をされるのも嫌だ。

だから、介護職員は利用者の意思を尊重する。

つまり、『利用者様がトイレに行きたくないと暴れたら、黙って引き下がる』のだ。

暴れたら手に負えない。だから、『ご利用者様に声かけをして、嫌がったらやめる』。

無理に押さえつけて介助したら『身体拘束』になり、それも『虐待』とみなされるからだ。

私も入社当時は歩みよって介助しようと、頑張った。

だが、認知症の方には私の頑張りなんて、意味を持たない。

『忘れ』てしまい、『なかった』ことになるのだから。

もちろん、全ての認知症を患う方がこうではないが、大抵、数分前から数十分前に起きたことを忘れてしまう。

だから、どれだけ真摯に接しても、『意味を持たない』。

それが認知症の方を介護する際の現実だ。

多分、賛否両論はあると思うが、少なくとも私はそう思う。

 

「そこの手すりに掴まってください」

 

トイレ内に誘導して車椅子のブレーキをかけたら、いよいよ排泄介助は始まる。

まずは声かけして、利用者に手すりを掴んでもらう。

立ち上がらせる為の第一歩だ!

 

「……ここか」

 

片手で手すりを持ち、立ち上がる利用者。

この時、注意するのは『転倒』だ。

利用者は些細なことで『転倒』する。

足が縺れて、車椅子のフットレストに引っ掛けて。車椅子から滑落して。

いろんなところに怪我をする『リスク』があるのだ。

だから、トイレ介助を舐めてはいけない。

 

「そう、そこです。ゆっくり、立ち上がりますからね」

 

しっかりと支えて手早くズボン、下着を下ろす。

もたもたしてると、『鉄拳制裁』がくるからだ。ガチで。

素早く下ろしたら、便座に座らせる。

そして、収納式の手すりを下ろす。

下ろさない職員もいるが、『滑落防止』に私は下ろす。

入ったばかりの頃、下ろさないでいたら、滑落していたから必ず下ろすようにしている。

『事故』を未然に防ぐのも介護士の仕事だ。

 

 

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