東方寝夢寝夢(東方キャラとの睡眠短編集)   作:くるくる雛

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どうも皆さんくるくる雛です。
投稿記念ということで2日連続投稿です!
次からはたぶん亀更新になります。

それでは今回は完璧で瀟洒な従者こと紅魔館のメイド、十六夜咲夜の添い寝です。
顔には出さないと思うけど結構ストレスとか抱えてそうな人ですね。
そんな彼女はどんな感じに添い寝をするのか、それは中を見てご確認を!
それでは今回もどうぞ!


十六夜咲夜

私の住んでいるこの場所…紅魔館に新しい使用人が来て早くも一年と半年がたった。

その男性は雇った当初こそ妖精メイドたちと大差の無い…はっきり言うと足手まといな存在であったがまるでスポンジのように仕事の知識を吸収していった。

その結果今では食材の在庫の管理、図書整理の手伝い、そこに加えて妹様の遊び相手などもまかせっきりにすることができる位に成長していた。

ただ…やはりというかなんというか吸血鬼、魔法使い、妖怪等が住むこの紅魔館で彼がただの真面目な好青年で済むはずがなかった。

実は彼には少々いたずら好きな面があり、こちらを驚かせることをしようとしてくる。

けれどその脅かし方が俗にいう駄目な事をして脅かすのではなく例えばお嬢様にお出しするワインを少し上等なものに入れ替えたり、妹様の人形が壊れていたら寝ている隙に直して枕元に置いたりなどをした時の反応を見ているのだ。

だけどしていることは皆にとって良いことしかしないのであまり強く言えないのである。

…まさかそうなることまでが悪戯の範疇なのだろうか。そうだとすれば彼は相当の知恵者だ。

けれど多分…悪戯が成功した時の笑顔を見ていると感じるのだが、きっと彼はそんな打算は考えていない。

だからこそ皆彼の事を往々にして好きになるのだろう。

……なぜだろう、皆に好かれることはいいことのはずだ。

なのに何故こんなにも胸が騒ぐのだろう、落ち着かないのだろう。

何故こんな気持ちになるのかわからないが私はそれらを仕事に意識を傾けることで無理やりにでも沈め、今日も今日とて自分の仕事をこなすだけだ。

私は少し寒くなってきた秋もそんな一日を過ごし、仕事も終って部屋着であるジャージに着替えて今日はもう休もうかとしている時にコンッと自室の扉をノックする音がして誰?と声を発する。

その言葉に反応した声から察するにそこにいるのは件の彼のようだった。

はて、何か彼に指示し忘れたことがあっただろうかと首をひねりながら扉を開けるとそこにはバスケットを持ったラフな姿の彼が立っていた。

どうやらバスケットの中身は未開封のワインとグラスが2つ、そこにチーズなんかのおつまみがはいって完全にお酒を飲むためのセットだった。

私は彼がこの部屋にこのセットを持ってきた意図が読み取れずになぜ持ってきたのかを訪ねた。

すると彼は明日は私が『十六夜咲夜』となった日だとお嬢様から聞いたらしくそれの祝いだと説明をしてきた。

明日ではなく今日に祝いに来た理由は明日では行動が読まれるかもしれないからというのともう一つの理由があるらしい。

そしてそのもう一つの理由は彼が指さした先を見ることで納得することができた。

彼の指刺した先には時計があり、その短い針はもう12時を指そうとして長針は50分代をもう終えようとしていた。

 

「なるほど…確かに今日はもう終わって明日になりますね。」

 

そういうこと、と彼は言うと続けて中に入ってもよいかとたずねてくる。

わざわざお祝いに来てくれたのに帰すのも変な話なので私は自身の本くらいしか不必要なものがない部屋へと招き入れて窓側の小さな丸いテーブルのある席へと案内した。

彼は机の上にバスケットを置くと自分の懐からソムリエナイフを取り出してワインの封を開け始める。

私はその間にジャージから着替えようかとも思ったが自身の部屋なので問題ないだろうとそのままにした。

完璧で瀟洒なメイドなんて言われても所詮は人間、常に気を張っていてはいつか潰れてしまう。

なので私は仕事終わりとかの時は気軽な服装で周りからはあまりそう思われていないが割と適当に過ごしている。

と、誰にしているかもわからない説明をしているうちにテーブルの準備ができたようなので席に座ろうとすると彼は椅子を引いて私が座りやすいように配慮をしてくれた。

そして彼はいつの間にかデキャンタージュしていたワインをテイスティングして味を確認した後に私へと注ぐ。

私はその白と名称される液体の香りを楽しみ、口に含んだ。

そのワインは甘口でフルーツ感がとても強く、口当たりも軽い飲みやすいワインだった。

しかし紅魔館にあるワインはすべて私が作ったもので、こんなワインは置いてはなかったはず。

そこで私は疑問に思い

 

「このワインはどうしたの?私が作ったものではなさそうだけど。」

 

と聞くと彼は香霖堂で買ってきたと答えた。

 

「でも香霖堂は雑貨屋でしょう?こんなワインが置いているともおもえないのだけれど…?」

 

と、話の続きを促すように彼に話を振って彼に続きの言葉を言わせた。

どうやらこのワインは幻想入りした品のようで木箱に詰めてあったものを店主がろくに確認せず家具か何かと思って家主が回収してきたものだったらしい。

だがあの店の店主はどうやらワインは好みではないらしくどうしようかと悩んでいたところに彼が店に来店したらしい。

 

「それで買ってきたってわけね。」

 

私がそういうと彼はその通りですと素直に答えた後に向こうでテイスティングした時にどうしても私に飲んでほしかったからと少し恥ずかしそうに答えていた。

その時に彼はもともと私の為に買ってくれたのかと気付いた。

いままでプレゼントなんて名前やお嬢様からいただいた懐中時計等指で数えられる程度の数で、しかも形に残るものだけだったのでこういう今を楽しむための消耗品はもらったことがなかった。

そのことに少し気をよくしてクイッとグラスを傾けて彼にもう一杯注いでもらう。

彼がこの時間を私と楽しむ為に自分のお金を、ひいては働いた時間を消費したというのなら彼の想いに甘えて精一杯今を楽しませてもらうとしよう。

 

 

 

 

 

「そうやって私が指示しても妖精メイド達は仕事しないし、むしろ彼女達の食事を用意しないといけない分私の仕事が増えているのよ。」

 

あれから数十分くらい飲み交わして私は柄にもなく酔ってしまい、彼に日頃の鬱憤を吐き出してしまっていた。

何時もならば心にも時を止めてしまったかのようにとどめておけるのにお酒の魔力とでもいうのか、とどめておくことができずにいた。

けれど彼は嫌な顔一つせずに私の愚痴を受け止め、私のグラスにワインを注いで

 

「美鈴だって本当はやればできるはずなのにお庭の手入れをしたら門前で眠ってしまうし。本当、頼りになるのは貴方だけね。」

 

するりと私の口からでた賞賛の言葉に彼は少し小恥ずかしそうに頭をかいていた。

そんな風に逐一リアクションを起こしてくれる彼に私は気をよくして楽しんでお酒の入ったグラスを開けていった。

でもそんな楽しい時間は時を操る私でも止める事はできずにむしろいつもより早く針が回ってしまう。

そして互いに明日の事を考えるとそろそろ寝むらなければいけない時間となってしまう。

彼は手早くグラス等を片づけて自分の部屋へと帰る準備を整え、それに対して私は酔っているせいかそれともこの秋の寒さのせいか人肌が恋しくなってしまい彼の服の袖を掴んで彼を引き留めた。

彼は私に疑問の目を向けるがその視線に対し私は自分の想いを吐露する。

 

「その…せっかくだしもう少し一緒にいてくれないかしら?」

 

普段自分を押し殺して特に願いらしい願いも言わない私のその言葉に彼は目を見開いて驚くが直ぐに何時もの少し優しい目に戻り構わないと言ってくれた。

たったそれだけの事なのに彼が私の我儘に答えてくれたことに心が温まり彼に抱き着いてしまった。

彼はそんな私を見て驚愕の瞳のまま固まってしまった、けれどそれもそうだろう。

何時もなら私だってこんなことはしないし恥ずかしくてできるはずもない。

けれど今はできてしまうとなるとひょっとしたら普段自分を押し殺している反動がでているのかもしれない。

だけど、今の私はそれを押しとめようとは欠片にも思わず、むしろそのまま彼をベッドの方へと押し倒してしまう。

そして押し倒された衝撃でずっと固まっていた彼は少しだけ驚愕から立ち直り、何をしているのかとテンパりながらも話した。

私はその言葉に対して

 

「最近寒いから人肌が恋しいのよ、だから今日は一緒にねてくれないかしら?」

 

と告げた。

彼は顔を赤く染めながらも流石にそれは…と少し渋っている。普段は悪戯好きなのに押されるのにはよわいのだろうか。

ならばと私は彼にとどめの一言を告げる。

 

「ごめんなさい、私と一緒に眠るのはいやだったかしら…?」

 

と、少し瞳を潤ませながら言い放つと彼は急に焦りだし、そんなことはないと必死に弁明をした。

そこで私は表情を飛び切りの笑顔にしながら彼に

 

「じゃあ、一緒に寝てくれるのね!」

 

と言って先ほどよりも深く抱き着いて彼の胸に顔をうずめた。

彼は墓穴を掘ってしまったと感じたのかうっ、と声を漏らして体を強張らさせた。

そして観念したのか彼は体の力を抜いて諦めたように少し息を漏らすとわかりましたと言い、下から布団をかける為に少し投げる形になりながら自分と彼の上に載っていた私にも布団をかけた。

少し布団が冷えていて冷たかったが反対側からの彼の体温のおかげでそんなに気にはならなかった。

…とはいってもそれは布団の冷たさが、であってこの季節特有の寒さはやはり感じてしまう。

だから私は彼に甘えるような声でもう一つ我儘を言ってみる。

 

「ねぇ、あなたが布団をかけてくれたけれどそれでも少し寒いの。だから、だきしめて…くれないかしら?」

 

これもいつもならば言えない言葉だけど今なら言える…それでも少しだけ恥ずかしさで頬が熱くなっているのを自覚してしまうほどには恥ずかしいけれど。

そんな私の感情を察知してくれたのか彼は私が今まで見たことがないくらい顔を羞恥で染めながらも私の事をふわりと、まるで包み込むかのように抱きしめてくれた。

 

「ん…ありがとう、とても暖かいわ。」

 

そういいながら私から顔を彼の胸におしつけて彼の温もりに触れると少しだけ心が溶けるかのような感覚がした。

さらに、呼吸をすれば彼の香りが私の鼻腔をくすぐって彼の事を意識して少し恥ずかしくなるが何故か落ち着くような感じもする。

その感覚がすぐさま逃げ出したいような、でもこの状況をもっと楽しみたいようなそんな不思議な気持ちに私をさせた。

人に抱きしめられる何てことに慣れていないからだろうか?でも…

 

「人に、誰かに抱きしめられるって気持ちのいいものなんですね。」

 

そういうと彼は誰かに抱きしめられたことはないのか?と聞いてきたので私はハタと気付いて記憶にある限りの記録の図書館を探し荒らして彼に答えを返した。

 

「…記憶にある限りにはないですね。多分数十年…いや、一度もしたことがないかもしれません。ってあら、ということは貴方が私の初めてということに…って、え?え!?」

 

私が問われていたことに話していると彼の顔に少しだけ陰りが見え、私はおどけてごまかそうとしたのだがそんな私に対して彼は突然私の髪をなでるという行動に出てきた。

私は彼の行動にとぼけた声をだしながら固まってしまうが、彼はそれをいいことに私を撫で続けた。

けれど時間が立つにつれて私の行動不能状態も少しづつ治っていき、おずおずと声を出すことができるようになった、

 

「あ、あの…何をしているのですか?」

 

そう問うと彼は少し寂しそうな目をしながら私が悲しそうな表情をしていたと言い放った。

私が悲しそう…?彼は一体何を言っているのだろうか。

 

「私が悲しむなんてそんな事…」

 

あり得ないと言おうとするものの彼は頭を撫で続けながら私を強く抱きしめていいから、と私に言って言葉を封じた。

その言葉に何故か少しだけ胸がトクン、と高鳴るがそんなのは勘違いだと無視して先ほどの言葉の続きを言おうとするが何故か、どうしても言葉が続かずにあ、う、と母音しか出すことができなかった。

そんな私を彼は大丈夫だと、無理をするなと顔を何処か私を見ないように背けながらただただ頭を撫で続けた。

すると一度も自覚したことがなかったこれまでの寂しさが一気にあふれ出した。

けれどそれを暗に受け止めると言ってくれた彼の想いへの嬉しさが寂しさを消していくかのように私の胸を埋めていき、自身でもわからないうちに目じりに水滴が溜めり口からはまた母音が漏れ始めた。

それでもまだどうにか耐えようとしていたのに彼は私に対して私の事は見ていない、誰も見ていないんだと告げたことにより最後の抵抗は崩れ去ってしまった。

 

「う、あ、あ…あぁ…!」

 

うめき声ともとれる声を漏らし、彼の胸に彼自身の胸骨が折れてしまうのではないかと思うほど抱き着くと生まれたばかりの赤子のように鳴き声を上げた。

彼はその大声をまじかに受けながらも嫌な顔一つせずにただただ私の頭を撫で続け、私が泣き止むまで何もない天井を見つめていた。

 

 

 

 

 

「…ありがとう、少し落ち着いたわ。」

 

彼は私の言葉にそうか、とだけ言うと頭を撫でる行為をやめてその手も私を抱きしめる手に加わった。

 

「頭を撫でるのをやめても抱きしめるのはやめないのね。」

 

私がそういうと彼は私自身がそう望んだからだと言い、ただし私が嫌ならばすぐに放すと付け加えた。

泣いたせいで酔いも醒め、私からこんな大胆な事をして顔から火が出そうになるけど私は彼のその提案を拒むかのように彼の胸板に顔を押し付ける。

彼はそんな私の反応が分かっていたのか特に大きなアクションもなく抱きしめていた。

 

「…私がこうするとわかってさっきの言葉を発しましたね…?」

 

そう問いただすと彼はさあ、どうでしょう。と少しおどけながら話した。

 

「やっぱりあなたは少し意地悪なんですね…でも。」

 

甘く優しい人、私はそこまでは言い切らずにううん、と話を区切ってほかの言葉に入れ替る。

 

「やっぱりただの少し意地悪な人です。」

 

そういうと私は彼の頬に軽く口づけをすると彼はまるでその瞬間の事が現実ではなかったことに感じてるかのような表情を見せて私をその開ききった眼で見つめていた。

 

「いつものお返しです、意地悪と…感謝の気持ちのね」

 

そういうと私は彼を寝ている内に離してしまわないように足を絡めて強く抱き着くとそのまま襲ってきた睡魔に身を任せ始めた。

そんな私をみて彼は頬が真っ赤の状態のまましてやられたと言いたげな表情を見せながらもすぐに笑顔に戻りただ、お休みとだけ私に告げた。

 

「えぇ、おやすみなさい…それと、ありが…とう……」

 

最後まで言い切れたか怪しいものの私は襲ってくる睡魔には勝てずにそのまま意識を手放した。

 

 

 

 

 

この日の朝、私が目覚めて彼の事を認識した瞬間昨日の事を思い出して顔が熱くなって少しの間仕事ができないというアクシデントが起こったりもするのだがそれはまた別の話である。




今回もお読みいただきありがとうございました。
個人的に咲夜さんは酔うとあまり感情制御がうまくできない類の人間だといいなという考えのもと作成しました。
あとどうせなら自分の部屋でくらいメイド服を脱いでほかの服を着せてみたかったので今回はジャージに変更しております。
それとお酒を使った理由ですが…咲夜さんが添い寝とかを誘うのってあまり想像できなかったのでつい頼ってしまいました。
お酒って本当に頼りになりますね!私は飲みませんけど。
次回はお嬢様か椛を書こうと思っております。

それではまた次回!
(感想、批評、ネタの持ち寄り等お待ちしております)
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