ちょっと投稿の時に事故りました。
御迷惑、御混乱をお掛けしてしまい申し訳ございません。
主人公と鬼と月の聖杯戦争~いきなりクライマックスだけど、大丈夫だよね?~
「ふふふ...本当にここまで残っているとは、驚いたよ」
最後の闘争。そのステージに行くまでの途中で、並走した向こうの舟に乗っているソレは、愉悦に歪んだ顔でこちらを見てくる。まるで、
「どうだった?偽りの友を殺した気持ちは」
間桐シンジ...決して良い性格では無かったが、彼は間違いなくこの聖杯戦争の被害者である。消える直後に見せた顔は、今なお強く頭に焼き付いている。
「どうだった?老いた騎士を殺した気持ちは」
ダン・ブラックモア...自身のサーヴァントの独断行為を、自分の為であるにも関わらず決して許さず、それに対して令呪すら使った高潔なる騎士。彼のその姿は、俺に心の強さを教えてくれた。
「どうだった?哀れで幼き幽霊を殺した気持ちは」
ありす...幼くして亡くなり、電脳世界に閉じ込められていた幽霊。その言動は全てが純真無垢であり、そのまま消えていった。彼女の存在は、俺に命の尊さを教えてくれた。
「どうだった?弟の為に影に生きた兄を殺した気持ちは」
ユリウス・ベルキスク・ハーウェイ...若き王であり、弟でもあるレオの為に、様々な裏工作をしていた男。その有り様は酷く歪に見えた。けれど彼の在り方は、俺に想いの大切さを教えてくれた。
「どうだった?■■■■を殺された気持ちは」
■■■■...あれ?どうしてだろうか。これまで一番近くにいた仲間のはずなのに、何も思い出せない...なんで...
その時であった。突然、サイレンの音が響き渡る。
『緊急事態発生、緊急事態発生。原因不明の現象が起きました。原因不明の現象が起きました。ムーンセル内の全ての機能が巻き戻っていきます。ムーンセル内の全ての機能が巻き戻っていきます...』
放送の内容はとても信じられるものではなく、しかし目前にまで迫ってきている、全てを覆うかのようにして流れてくる黒い何かは、見間違いではない。
「ふうん...存外やるもんだな、アイツも」
ソレがそう言うと同時に、抵抗する暇もなく俺達は黒い何かに飲み込まれた。
『システムが巻き戻りました。異常は発見されていません。よって本選第一回戦より再開されます。なお、認識の齟齬を除去するため、全プレイヤーの記憶を一部、消去します。』
◆◆◆
ここは...どこだろうか?確か...■■■■を■していた筈...うん?何をしていたのだろうか...思い出せない...
「ーーーー?ーーーー?」
声が聞こえる...聞いたことがある声だ...確か...
そうだ。彼女は私の相棒。月で行われているこの聖杯戦争を生き抜く為の
「ようやく起きはりましたね、旦那はん」
開いた目に最初に映ったのは、濃紫の瞳を持った美少女。
私の相棒であり、日本において大抵の者がその名を聞いたことがあるほどに有名な反英雄。真名を酒呑童子という彼女は此処、月で行われている聖杯戦争において、アサシンのクラスとして召喚されている。
「ありがとう、アサシン」
「かまへんよ、旦那はんは寝顔もかわいらしいなぁ」
どうやら、彼女は彼女で楽しんでいたようなので大丈夫そうだ。
まあ、それはさておき。これからの事に関して酒呑童子と話し会わなければいけない。
「とりあえず、すでに対戦相手の発表をしているらしいから、一回戦の相手を見に行こう。その後に改めて私達の動き方を考えたいと思っている。それから、ステータスは十分に良いが、鍵を入手しなくてはいけないからな。ある程度アリーナで体も動かしておくか?」
「そうどすなぁ。なんぼ生前ん時に近い力を持っていても、今生ではまだ戦ったことがあらへんからなぁ」
酒呑童子も同意した様子なので、まずは2Fにある掲示板にて対戦表の確認をする。
『 マスター:ウェイバー・ベルベット
決戦場:一の月想海 』
ウェイバー・ベルベット...聞いたことが無い名前だ。これが
「仕方が無い。大人しくアリーナにでも行こう」
知らないのであれば、諦めるしかない。準備期間は6日間あるのだ。どこかで出会すこともあるだろうと考え、潔く監督役を担っている神父からアリーナの認証コードを貰い、アリーナを進んで行く。
アリーナの中は酷く単純であった。エネミーは当然ながら相手にならず、構造も申し訳程度の複雑さでしかない。はっきり言って、とんだ拍子抜けである。
そうこうしているうちに、気がついたら何ら問題は起こらずに一つ目の鍵を入手していた。
「退屈やわぁ...」
酒呑童子はそうぼやきながら、赤子の手を捻るが如く手にした剣を一振りしてエネミーを倒す。流石に、このままでは消化不良にしかならないだろうと思い、別の提案をすることにした。
「どうせもう用は無いんだ。適当に対戦相手を待ってみるか?」
「そら、ええなぁ。さいぜんと違って胸が高鳴るわぁ」
ということで、先程と同様に体を動かしつつ、待つことにした。
暫くすると、遠くから話し声が聞こえてきた。恐らくは来たのだろう。こちらの手を知られないためにも、酒呑童子には霊体化してもらう。
「はてさて、鬼が出るか蛇が出るか」
『ウチはイケメンが出て欲しいわぁ』
結果的には、酒呑童子の望みは叶わなかった。
ウェイバー・ベルベットと思わしき男...だよな?まあ、そんな彼はひょろっとした女顔だったのだ。隣にいる大男は恐らくサーヴァントであろうが、イケメンと言えなくもないが、ダンディーなオジサンの方が当て嵌まるであろう。さらにいえば、上に立つ者特有の暴君らしき雰囲気を醸し出している。かのゴールデンの様な見た目ヤンキーな雰囲気とは全く違う。
「だからって今すぐに来なくても良かっただろう!」
「いやいや。何事も気を逃してはならんのだぞ?それよりもほれ、やっと着いたようだぞ。どうやら、相手も待っておったようだしの」
何やら言い争っているみたいだが、どうせ暴君サーヴァントがやらかしたのだろう。故にどうでも良いことであると考え、彼らの前に出る。
「ウェイバー・ベルベットだな。私の名前は童鬼という。君達の一回戦の対戦相手だ」
まずは自己紹介。例えお互いに理解していたとしても、きちんと名乗っておくのが筋であろう。
「ほう。名乗られたからには、名乗り返さねばならぬな!...しかし、残念ながら我はライダーであるとしか名乗ることが出来ぬのでな。せめてマスターの名乗りだけでも聞いてくれ」
「何言ってるんだよライダー!?目の前に敵が居るのに、そんなこと出来るわけないだろう!」
「ふむ?しかし、だがなぁ...」
何とも相性の良さそうなペアである。臆病者のマスターと暴君のサーヴァントとは、中々に愉快で痛快だ。その様を見ていると、もしも彼らが地球で出会っていたのならば、きっと良い物語が生まれていた筈だろうと感じてしまう。
だからこそ、悲しい事である。彼らの様な良い人達であったとしても、戦争に敗けた者に次はないのだから。
まあ、そんなことはどうでも良いことである。
「無理強いするつもりはない。ウェイバー・ベルベットの方は重々分かっているようだが、私達は敵同士なのだ。それに、こちらは態々こんなところで待っていたのだぞ?先ず怪しむのは当然であろう」
「ふむ...それならば仕方あるまいか。すまんな、童鬼よ」
「別段、良いさ。ウェイバー・ベルベットの警戒は間違っていないのだから」
「なに?」
それでは、鳴らそうか。戦の鐘を、生命の声を、貪欲な、この心を。
「殺っても構わないぞ。
「おおきに。死にはったら、よろしおす」
意外と文字数が書けないと思う今日この頃。
それなりに話数が増えたら、一つに纏めたいと思っています。
感想、批評お待ちしております。
なお、くだーズの名前や出して欲しいキャラ等の提案も受け付けております。ただし、必ずしもご期待に添えるとは限りませんので、ご了承ください。