十一番隊第四席の世界の楽しみ方   作:二重世界

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第八話 VSグリムジョー1

「四席だと?隊長格ですらない雑魚が俺と戦おうってのか?」

 

グリムジョーは嘲笑を浮かべるが、すぐに表情を変えて顔を近付けると俺を激しく睨む。

 

「ふざけなんよ!てめぇ如きが俺様を殺せるわけないだろ!」

 

『倒す』ではなく『殺す』という単語が出る時点で虚圏の物騒さが伺えるな。

俺は十刃の実力を試すのが目的なだけで殺すつもりはないのに。まぁ、雑魚かったら見る価値なしと判断して殺すが、その心配はないだろう。

俺達の様子を市丸は何を考えているのか分からない表情で、真夜は楽しそうに見ている。

 

「何だ、十刃なのに相手の実力も図れないのかよ。所詮、戦うことしか出来ない獣だってことか」

 

この言葉はウチの隊長にも返ってくることけど気にしないことにしよう。あの人は本能の赴くままに敵を斬る獣――いや、魔物だ。

 

「あぁ?俺より強いって言いてぇのか?」

 

「そこまでは言わないさ。ただ雑魚呼ばわりされるほどには弱くないってだけのことだ」

 

「面倒臭い言い回ししてねぇで言いたいことがあるならハッキリ言いやがれ」

 

「さっき言っただろ?俺と戦いやがれ、十刃!」

 

俺がそう言うとグリムジョーは好戦的な笑みを浮かべながら拳を突き出し、俺はそれを最小限の動きで避けるとお返しに腹めがけて蹴りを繰り出す。それをグリムジョーは後ろに下がって避ける。

ちっ……。タイミングは完璧だったのに、今のを避けるか。

 

「少しはやるみてぇだな!でも、その程度じゃあ俺には勝てないぞ!」

 

グリムジョーは手を前に出し霊圧を集中させる。虚閃を打つ気か。

俺も真正面から対抗するために破道の構えを取ると、市丸が手を叩いて俺達の戦いを制止させる。

 

「はいはい、中断や」

 

「……邪魔するなよ」

 

俺は不機嫌そうにしながら市丸を睨む。せっかく気分が乗ってきたところだったのに……。

お前から倒すぞ。

市丸は俺の視線を気にせず飄々とした態度で言葉を続ける。

 

「別に邪魔するつもりはないで。止めても無駄やろうし。でも、こんな狭い通路で暴れたら崩れて生き埋めになるやろ?」

 

「だったら、どうしろって言うんだ?」

 

「簡単な話や。暴れても問題ない広い場所に移動すればいいんよ」

 

 

 

 

 

 

「……何で青空?ここ、建物の中だよな?」

 

市丸に案内された場所はだだっ広い白い砂漠だった。周りには何もなく勝負するには絶交の場所だ。

市丸が協力的なのはこの勝負を通して俺の力を把握するつもりなのだろうが大した問題ではない。一勝負で全てを理解されるほど俺の力は簡単なものではないからな。

 

ちなみにグリムジョーは移動するのを面倒臭がっていたが、市丸が藍染元隊長の名前を出すと渋々とだが提案に従った。

グリムジョーも藍染元隊長の力が恐ろしいのだろう。さすが藍染元隊長と言ったところだな。

 

「藍染さんが破面の監視のために天蓋の内側に創ったんや」

 

市丸がそう説明した。

ふぅーん、つまり光の届く範囲が藍染の支配下ってことか。だったら何か怪しい行為――例えば裏切りをする場合は光の届かない建物の中に移動すればいいのか。俺も何かする場合は建物の中でやろう。

まぁ、そんな甘い話じゃないだろうが。

 

「そんな話はどうでもいいだろ。さっきあれだけ愉快な挑発をしてくれたんだ。早く戦おうぜ、死神?」

 

グリムジョーが早くも構えながら言う。一旦、中断されたせいで苛立っているみたいだ。

 

「……ん?斬魄刀は使わないのか?」

 

「死神を殺す程度のことに斬魄刀を使うまでもねぇ。それがムカつくって言うなら抜かしてみろよ!」

 

そうきたか。これは予想外だな。とはいえ、ここでの俺の選択肢は一つしかない。

最近、白打での戦闘回数が少なかったら丁度いい。……勝てる可能性は低くなるが。

 

「真夜、そこで市丸と観戦してろ」

 

「……え?私の出番なし?」

 

「少なくとも最初はな」

 

「でも、私なしで勝てるほど弱い相手じゃないと思うけど」

 

「そんなものは関係ない」

 

もし相手が強いからって信念を曲げたと知られたら更木隊長や一角に笑われる。

それに勝てる相手としか戦わない臆病者なんて十一番隊にはいない。

 

「真夜が綺麗だからって変なことをするなよ、市丸」

 

俺はそれだけ釘を刺すと瞬歩でグリムジョーの真上に移動し踵落しをするが、グリムジョーは軽々と右腕で防ぐ。

硬いな……。攻撃した俺の方がダメージ受けているんだが。どんな体してんだよ、こいつ。

俺は下に着地すると、そのまま足を踏み出して連続で攻撃をする。

 

「舐めてんのか?何で刀を使わねぇ?」

 

グリムジョーが攻撃を避けたり反撃したりしながら不快そうに質問してきた。

……ちょっとマジでヤバいんだが。相手はまだ本気を出してないのに攻撃を食らわないようにするので精一杯だ。防御した腕が痛い。

 

「俺の信念は真っ向勝負。相手を同じ土俵で叩き潰すのが俺の戦い方だ。だからお前が斬魄刀を使わない限り、俺も使わない」

 

斬り合いには斬り合い、暗殺には暗殺、頭脳戦には頭脳戦で戦う。相手を真正面から倒してこそ真の勝利と呼べるからな。

そのために俺は色々な戦い方を覚えてきた。そのせいで一つを極めることが出来なくて器用貧乏みたいなことになっているけど。

 

「そうかよ。ご立派なことだな。でも、早く刀を抜いた方が良いぜ。速さはそこそこあるみたいだが、このままじゃ勝負にすらならなねぇぞ」

 

「……どういう意味だ?」

 

よし、隙が出来た。会話をしているせいで油断したか?

俺は胸に向かって掌底を繰り出す。

 

「こういうことだよ」

 

「……っ!?」

 

俺の全力がクリーンヒットしたのにグリムジョーはノーダメージだ。

嘘だろ……。上位席官以下の使い手なら一撃で倒せるだけの威力があるのに。

ていうか、メチャクチャ痛い!今回は大丈夫だったが下手したら骨が折れているぞ。

グリムジョーはこれを教えるためにわざと攻撃を食らったのか。

 

「良いこと教えてやるよ、死神。破面の体皮は鋼皮(イエロ)って言ってな、それ自体が鎧みたいなもんなんだよ」

 

……何それ。ズルい。

 

「つまり、てめぇの軽い攻撃なんて食らわないんだよ!」

 

グリムジョーが俺を蹴り飛ばす。俺は地面を何回もバウンドしてやっと止まる。結構、飛ばされたな。

……これはマズイ。十刃がここまで強いとは。最高じゃねぇか!久し振りにテンションの上がる楽しい戦いが出来そうだ!

俺は蹴られた場所を手で押さえながら立ち上がる。

 

「……だったら俺も良いことを教えてやるよ、十刃。俺が隊長にならないのは業務が面倒臭いのと席官の方が自由に動けるからだ」

 

「あぁ?いきなり何言ってんだ?頭でも打ったか?」

 

「つまり俺は隊長レベルの実力を持っているってことだ!このまま終わるわけないだろ!さぁ、戦いを楽しもうぜ、十刃!」

 

ウォーミングアップは終了。ここから本番だ。 

 

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