十一番隊第四席の世界の楽しみ方   作:二重世界

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第一話 暇潰し

「あー、退屈だ……」

 

旅禍や藍染元隊長達の裏切りなどの騒ぎから瀞霊廷が落ち着いてきたある日、十一番隊の隊舎の屋根に寝転びながら俺は呟いた。

最近、何も面白いことがない。雑魚虚なんて斬っても暇潰しにしかならないし。

また旅禍でも攻めて来ないかな。もしくは無間の連中が脱走するとかも面白そうだ。かなりヤバいことになりそうだけど。

まぁ、そんなこと考えても退屈は紛れないし、もう一眠りしようか。そう考えた瞬間、下の方から声が聞こえた。

 

「よぉ、響也。退屈なら俺と勝負でもしねぇか?」

 

立ち上がって下を見てみると、そこには厳つい顔をしたハゲ頭がいた。

 

「……なんだ、つるりんか」

 

「誰がつるりんだ、てめぇ!」

 

つるりんこと護廷十三隊十一番隊第三席、斑目一角が顔面に血管を浮かせながら怒鳴る。

そこまで怒らなくていいだろ。せっかく草鹿副隊長がつけてくれたあだ名なんだから。俺は可愛いと思うぞ。

 

「で、何の用だ?」

 

下に降りてから質問する。

一角の話に付き合う理由はないんだが暇潰し程度にはなるだろ。

 

「別に用ってほどのことじゃねぇよ。ただ暇だってんなら俺の運動に付き合ってくれ、ってだけの話だ」

 

なるほど。一角も俺と同じで暇してたのか。

それでたまたま俺を見付けたから暇潰しに付き合わせようってわけね。

暇してたのは事実だし付き合うのはいいけど、素直に一角の言うことを聞くのは嫌だな。少し弄るか。

 

「断る。お前とは何回もやっているから飽きた」

 

「あぁ?お前も暇なんだろ?だったら少しぐらい良いじゃねぇか」

 

「お前と戦うぐらいなら女と遊んでいる方がマシだ」

 

「また女か……。そんなのよりも戦う方が面白いだろうがよ」

 

一角がつまらなそうに舌打ちする。戦闘狂の一角らしい意見だ。

俺も戦闘部隊である十一番隊の所属。戦いが面白いというのは同意できる。だが俺は隊長や一角と違って他にも趣味があるんだよ。ずっと同じことをしていたら飽きるからな。

 

「まぁ、童貞の一角には女の良さは分からないだろうな」

 

「はぁ!?い、いきなり何いってやがんだ!?俺は別に童貞じゃねぇよ!」

 

俺が挑発するような口調で言うと、一角は視線を逸らして目を泳がせる。相変わらず一角は単純な性格をしている。

 

「じゃあ、誰とヤったんだよ?」

 

「……べ、べ、別に誰といいだろ!昔のこと過ぎて覚えてねぇよ!」

 

……この反応、まさか本当に童貞なのか?一角の正確な年齢は知らないが、それでも人間よりも長生きしている。それで童貞はないだろ。

でも、うちの部隊は女っけがないからな……。隊長からしてそういうのに全く興味がないし、弓親あたりは何となくホモっぽい匂いがするし。いや、これに関しては何の根拠もない本当に何となくだけど。

とはいえ、こんな答えでは面白くない。もう少し考えてみるか。

 

「ふむ。その反応からして人には言えないような相手。……となると誰だ?貴族は有り得ないし。……まさか弓親か?」

 

「んなわけないだろ!訳の分からないことを言ってんじゃねぇ!」

 

「別に隠すことないだろ。人の趣味はそれぞれだ」

 

俺は一角の肩に手を置いて諭すように言う。

……え~と、確かこういうのを現世ではBLって言うんだったな。俺にはよく分からないけど、女性に大人気だとか。

 

「だから違うって言ってんだろ!勝手に結論を出してんじゃねぇ!」

 

「いやぁ、前から怪しいと思っていたんだよ。性格とか全然違うのに仲が良すぎるから。そういうことだったんだな」

 

「しつけぇな!」

 

ゼェゼェと息を切らしながら大声でツッコむ一角。

耳元で叫ぶなよ。鼓膜が破れるかと思っただろ。

 

「証明してもらわないと納得できないな」

 

「……証明、だと?」

 

「ああ。今からどこの隊でもいい。女性をナンパしてこい。それで一角が弓親とあんなことやこんなことをしているホモ野郎じゃないと納得してやる」

 

……よく考えたらこれって弓親にも飛び火していないか?まぁ、いっか。

 

「何で俺がそんなナンパみたいな軟弱なことをしないといけないんだ」

 

「何だ、自信がないのか?女ってのは強い男に惹かれるものだ。最強の十一番隊で二番目に強い男なら女の一人や二人落とせると思ったんだが俺の勘違いか」

 

「……いいぜ。そこまで言うなら……ん?何で勝負からナンパする流れになっているんだ?」

 

真実に気付いたようで一角が不思議そうに首を傾げる。

ナンパに失敗してあたふたする一角を見て爆笑するつもりだったんだが失敗か。後少しだったのに残念だ。

だが、ここで諦める俺ではない。

 

「じゃあ、こうしよう。勝負して俺が勝ったら一角はナンパを実行する」

 

「……いや、だからナンパなんてしねぇよ。京楽隊長じゃあるまいし」

 

「もしかして勝つ自信がないのか?まぁ、三席が四席に負けたら格好悪いしな。そういうことなら大人しく諦めて俺がナンパしてくる」

 

このまま一角が挑発に乗らなかった場合は本当にナンパをする予定だ。この前、ちょうど八番隊に可愛い女の子を見付けたところだし。

何か京楽隊長に喧嘩を売るような形になるけど、それはそれで面白い。

だが、そんな展開にはならなかったみたいだ。

 

「……ナメられたままってのも癪だし、その勝負、受けてやるよ。で、俺が勝ったらお前は何をしてくれるんだ?」

 

「女を紹介してやる」

 

「興味ねぇ」

 

一角が俺の提案を即座に切り捨てる。

京楽隊長なら一瞬で話に乗ってくれるんだけどな。

 

「じゃあ、何がいいんだ?」

 

「……そうだな。お前の斬魄刀の本当の能力……で、どうだ?」

 

さっきまでと違って真剣な……でも、どこか俺を煽るような表情をする一角。

う~ん、そうきたか。別に知られて困るような能力でもないんだが、隠している方が色々と出来るから面白いんだよな。

それにミステリアス感の演出にもなって女の子にモテるし。

まぁ、一角のことだから他人にバラしたりはしないだろう。前に鬼道系ではないと説明しているから十一番隊の矜持とかが関係しているとも思えない。

少し迷った後、俺が「良いだろう」と了承すると十一番隊の隊員が訓練するための道場に移動を開始した。

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