十一番隊第四席の世界の楽しみ方   作:二重世界

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第三話 甘味処

「……あれ、追ってこないな」

 

人通りが多くなってきたところで止まって後ろを振り向くが更木隊長が俺を追ってくる気配がない。

もしかして代わりに一角が襲われているのだろうか?だったらラッキーだ。

一応、心の中で同情ぐらいはしてやる。

 

「息なんか切らしてどうしたんだい、響也」

 

不意に名前を呼ばれたので見てみると甘味処で団子を食べている弓親がいた。

団子か……。小腹が空いてきたところだし丁度いいな。

 

「隊長に勝負を仕掛けられそうになったから逃げてきたんだよ」

 

簡単に説明をした後、店員に注文をしてから弓親の隣に座る。

 

「そりゃ、気の毒だったね」

 

弓親が他の十一番隊隊員と違い丁寧に団子を食べながら心にもないことを言う。

人と話す時は食べるなよ。本当、十一番隊の連中は礼儀が無さすぎる。俺も含めて。

 

「そういやさっき京楽隊長に会ってね。君のことを探していたよ」

 

俺の注文した団子がきたところで弓親が思い出したように言う。

お、この店の団子、美味い。初めて食べるけどアタリだ。

 

「京楽隊長が?」

 

「ああ。別に急ぎの用じゃなかったみたいだから暇な時に行ってみたら?」

 

まさしく今が暇な時だ。

団子を食べ終わってから行くか。

 

「でも用って何なんだ?心当りはないが」

 

女を紹介してほしいって話だったら直接、俺に会いに来るだろうし。

 

「さぁ?君が伊勢副隊長に手を出して怒っているんじゃない?」

 

「それだったら怒ってすぐに怒鳴り込みにきそうだけどな」

 

京楽隊長の怒っている姿って想像できないけど、それだけに怒ったら怖そうだな。

……京楽隊長ってどんな理由で怒るんだろうな?もし俺が尸魂界と敵対するようになった時のために知っておきたい。怒る部分にはその人の弱点が出ることが多いからな。

十番隊の日番谷隊長が分かりやすい例だ。

 

「……否定はしないんだね」

 

「いやいや、出してないから」

 

正確に言うと何度か声をかけたことはあるけど断れている。あの人、ガードが硬いんだよな。あんなじゃ美人なのに男が寄ってこないぞ。

その分、落ちたら激しそうではあるが。

 

「他の隊員に手を出したとか?」

 

「前に八番隊に可愛い新人が入ったから口説いているところだな」

 

「……それが原因じゃない?」

 

さすがにそれはないだろ。いくら京楽隊長が女好きとはいえ、そんな理由で他の隊の席官を呼び出したりはしないはずだ。

……でも、かなり可愛いからな。有り得るのか?

 

「じゃあ、僕はそろそろ行くよ」

 

そう言って弓親は立ち上がると会計を済ませてどこかに歩いていった。

さて、俺は急ぐ理由もないし、もう少しのんびりしていくか。

 

「店員さん、団子を二つ追加で。後、お茶も」

 

 

 

 

 

団子を食べている途中で可愛い女の子が通りがかったので声をかけて軽く雑談をした後、俺は八番隊の隊舎にやって来て、今は隊首室の前にいる。

他の隊員に確認したところ京楽隊長は隊首室にいるとのことだ。

俺はコンコンと扉をノックする。

 

「入っていいよ」

 

室内から軽い調子の声で返事が聞こえたので扉を開けて中に入る。

 

「失礼します」

 

中にいたのは疲れた表情で大量の書類と戦っている派手な羽織を着た京楽隊長と、その隣で隊長を見張っている伊勢副隊長だ。

今日も眼鏡が似合っていて美人だな。うちの副隊長の幼児体型とは大違いだ。さすがの俺も更木隊長のことを除いても論理的にアレに手を出す気にはなれない。

京楽隊長は仕事中だというのに俺を見て「良いところに来た」みたいな顔をする。

 

「響也くんか……。お客さんも来たことだし少し休憩にしない、七緒ちゃん」

 

……この隊長、俺を理由に休憩するつもりなのかよ。いや、お客が来たのだから仕事を一旦中断して相手するのは当たり前だけど。

 

「駄目です。昨日、隊長が昼間からお酒を飲んで酔い潰れたせいで仕事が溜まっているんですから」

 

「でもさぁ、お客さんがいるのに仕事をしているのは失礼でしょ?」

 

ハッキリと言う伊勢副隊長に対して京楽隊長は更に食い下がる。すると急に伊勢副隊長が俺の方に視線を向けてきた。

そんな情熱的な目で見られると勘違いしてしまいそうだ。

 

「天宮四席もそれでいいですよね?」

 

口調は優しいものだが、目は有無を言わせない威圧的なものがある。……伊勢副隊長みたいな美人に睨まれると体の奥がゾクゾクしてしまう……。

 

「いいですよ。綺麗な女性の頼みは断れませんから」

 

「お、さすが響也くん!分かってるね!」

 

「……何を二人で馬鹿なことを言っているんですか」

 

京楽隊長は俺の言葉に同意して、伊勢副隊長は呆れたように溜め息を吐く。男というのは基本的に美人には弱い馬鹿な生き物なんですよ、伊勢副隊長。

 

「それより天宮四席に話があるんじゃなかったんですか?」

 

話を本題に戻す伊勢副隊長。……いや、戻すとか以前に始まってすらないけど。

 

「ああ、そうだったね。僕は仕事をしたままだけど君は座りなよ。立ったままは疲れるでしょ」

 

「そうさせてもらいます」

 

言われて俺はソファーに座る。普通、隊長が仕事をしているのに座ったりはしないものだが、この俺に常識は通じない。

 

「お茶をお出ししますね」

 

「いえ、お構いなく」

 

伊勢副隊長がお茶の準備をしようとしたので俺は丁寧に断る。さっきの甘味処で飲みすぎたせいで喉は渇いていない。

 

「僕としてはもうちょっと話していてもいいんだけど、仕事も残っているからそろそろ本題に入らせてもらうよ」

 

書類を処理しながら急に京楽隊長が真剣な雰囲気になる。

本当に何の話をするんだ?そう怪訝に思っていると、俺は京楽隊長が次に発した言葉に驚くことになる。

 

「君は藍染隊長達に対して僕らも知らないような情報を知っていたりしないかい?」

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