十一番隊第四席の世界の楽しみ方   作:二重世界

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第五話 交渉

「そろそろ帰りますね」

 

京楽隊長からの質問が終わったところで俺は立ち上がる。楽しかったけど、これで終わりだな。今回は俺の勝ちだ。

そう確信して足を一歩踏み出した瞬間、京楽隊長が俺を引き止めた。

 

「ちょっと待ってくれないかな?」

 

「まだ何か話があるんですか?」

 

京楽隊長がまだ俺のことを疑っているのは分かるが、これ以上何を言う気だ?

話していて分かったが京楽隊長が俺を疑っているのに特に根拠というものはない。藍染元隊長達との普段していた会話や俺が旅禍騒ぎの時に全く動いていなかったことから、何となく違和感を感じたという程度だ。

そんな状況で話しても情報を得られるとは思えないが。

 

後、どうでもいいけどこの隊長は何で俺の前に座って普通にのんびりしているのだろうか?あまりに自然な流れだったせいで未だに伊勢副隊長は気付いていない。俺も気付いたのは今だし。

サボりのプロだな。油断できない。

 

「……もし情報を教えてくれるなら七緒ちゃんに響也くんのことを踏ませてあげてもいいよ?」

 

「何が聞きたいんですか?」

 

反射的に座って、食い気味に京楽隊長の提案に賛成する。

さすが京楽隊長!相手の心理を読んだ非の打ち所がない素晴らしい作戦だ!

……それにしてもここまで捨て身の方法を取るとは。やはり京楽春水は侮れない。俺が山本総隊長と卯ノ花隊長に続いて警戒しているだけのことはある。

俺と京楽隊長は状況に理解が追い付いていないのか軽くフリーズしている伊勢副隊長を無視して交渉を続ける。

 

「君ならこの話に乗ってくれると確信していたよ」

 

「当然です。こんな美味しい話を逃す俺ではありませんから。でも、その前に条件の確認が先です」

 

「何を確認したいのかな?」

 

「……踏んでくれる足は生足ですか?」

 

これはかなり重要なことだ。生足かそうでないかで教える情報に差が出る。

さすがにこの質問は京楽隊長でも難しかったようで腕を組んで考え始める。

 

「……う~ん、そうだね……。難しいところだけど、まぁ、情報次第と言ったところかな」

 

それが妥当なところか。ただ明確な基準がないとどこまで教えていいのか分からない。

最後までヤらせてくれるんなら俺が知っている情報の全てを教えてもいいと考えている。京楽隊長が知りたいであろう情報を完全に知っているわけではないが。

藍染元隊長といい市丸といい秘密主義なところがあるからな。まぁ、その秘密を暴くのが楽しいんだけど。

 

「じゃあ、次は衣装です」

 

「衣装?裸エプロンとかかな?エプロンの裾を押さえながら恥ずかしそうに顔を赤らめる女の子とか可愛いよねぇ……」

 

それは京楽隊長の趣味でしょう。……俺も好きだけど。

 

「違います。今回、俺が伊勢副隊長に着てほしいのはボンテージ服です」

 

「何だい、それは?聞いたことがないけど」

 

「俺も詳しいことは知らないですけど、現世のその手の店で働く女性が着ている服らしいです。何でも鞭を持って男を虐げるのが仕事で女王様と呼ばれているとか」

 

「へぇ、現世には色々な文化があるんだねぇ……。 全く知らなかったよ」

 

京楽隊長が興味深そうにしながら頷く。

確かに現世の娯楽文化は凄い。しかもどんどん進化していっている。

尸魂界も現世の文化をもっと取り入れるべきだ。漫画とかテレビとかスポーツとかエロいことをする時に使う道具とか……上げていくと切りがないな。

 

「で、どうですか?」

 

「どう、って聞かれても僕は見たことがないから分からないよ」

 

それもそうか。

京楽隊長でも分かる服装だとほとんど紐みたいな水着とか裸Yシャツとかだな。他には何があるかな?

俺が悩んでいると、やっと目の前の状況に理解が追い付いたようで伊勢副隊長が顔を真っ赤にしながら大声でツッコんできた。

伊勢副隊長のこういう表情はレアだな。可愛い……。

 

「何で私がそんなことをしないといけないんですか!?」

 

「僕も七緒ちゃんにそんなことをさせるのは心苦しいよ。でも、これで情報が手に入るなら安いものでしょ?別にどさくさに紛れて僕も踏んでもらおうとか考えてないよ」

 

考えていたのか。気持ちは分かるけど、さすがにそれはないな。

 

「踏みません!それに天宮四席が本当に情報を持っているか分からないじゃないですか!?」

 

「大丈夫です。俺は何でも知っていますから」

 

「そんな適当な態度で言われても信じられません」

 

「じゃあ、証明しましょうか?」

 

「……どうやってですか?」

 

俺がノリで言ったことに、伊勢副隊長が怪訝そうな顔で反応する。

そう言われると証明するしかないな。……でも、どうやるか。正直、何も考えてないぞ。 別に何でも知っているわけじゃないし。

……う~ん。……思い付いた!

 

「伊勢副隊長のスリーサイズを当てます」

 

「何言っているんですか!?」

 

「上から――」

 

「言わなくてもいいです!」

 

数字を一桁も言えずに止められた。せめてバストだけでも言いたかった。

ちなみに俺は見ただけで女性のスリーサイズが分かる特技を持っている。パッドとかで盛っていても百パーセントとまでは言えないが大体分かる。

 

「……ねぇ、後で僕にだけコッソリ教えてくれないかな?」

 

「余計なことを聞かないでください!」

 

京楽隊長が口に手を当てて小声で俺に質問すると、伊勢副隊長がどこから取り出したのかハリセンで激しく京楽隊長を叩く。そしてパシーンと良い音が鳴るな、と思っていると何故か俺も叩かれた。……痛い。

出来ればこんなオマケみたい感じじゃなくて罵倒も追加してくれると嬉しかったんだが。

 

「大体、美人が良いなら私じゃなくて乱菊さんに頼んでください!乱菊さんなら喜んで踏んでくれますよ」

 

「……松本副隊長ねぇ」 

 

俺は頭を押さえながら微妙な顔をする。伊勢副隊長が駄目なら砕蜂隊長に踏んでもらいたいところだ。

同じく頭を押さえている京楽隊長が不思議そうに聞いてきた。

 

「松本副隊長は苦手かい?七緒ちゃんほどじゃないけど、彼女も相当な美人だよ」

 

「確かに美人ですし、あの豊満な胸は魅力的なんですけどね…… 。でも俺、酒が大好きな女性は苦手なんですよ」

 

「君もお酒は大好きだよね?」

 

「男連中と酒を飲んで馬鹿騒ぎするのは好きなんですけど、どうも酒癖の酷い女性は好きになれません」

 

それに俺は胸よりもどちらかと言うと足の方が好きだ。そういう観点で見ると松本副隊長の足は俺好みじゃない。

 

「僕は一緒に飲めて楽しいと思うけどね」

 

まぁ、人の趣味はそれぞれか。

 

その後、もう一度頼み込んだが伊勢副隊長に断固として拒否された。残念だが仕方ない。今後に期待するか。

次に俺が最近、口説いている八番隊の新人の話になった。

……あれ?仕事してないけど大丈夫か、京楽隊長。

 

 

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