十一番隊第四席の世界の楽しみ方   作:二重世界

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第七話 自称妹

「おー、これが虚夜宮(ラス・ノーチェス)か……」

 

俺は昼食を終えて本屋に寄った後、漫画とラノベを片手に市丸に案内されて虚達の本拠地である虚夜宮にやって来た。

ちなみに市丸は俺が薦めた初心者にも分かりやすい漫画を自腹で買った。その金をどこで稼いだのか気になる。虚圏では金という概念がないだろうし。

隊長時代に稼いだ金が残っていたのだろうか?

とりあえず市丸のことは置いておくとして周りを観察してみる。

 

「何とも殺風景な場所だな」

 

俺はそう感想を漏らした。

予想していたよりも立派な建物だが、ひたすら真っ白な道が続くだけで何の面白味もない。色ぐらいはもっと工夫しろよ。

 

「だから言うたやろ?退屈やって」

 

前を歩いていた市丸が顔だけ振り向かせて言う。

本当、よくこんなところで普通に住めるな。俺なら即逃亡するか、それが無理な場合は建物全体の模様替えをするぞ。暇で何もすることがない世界なら良い暇潰しになるだろうし。

 

「……そんなことより気になることがあるやんけど」

 

「何だ?」

 

「誰、その娘?さっきまではおらんかったはずやけど」

 

市丸が気付いたらまるで恋人かのように俺の腕に抱き付いていた女を指差す。

女はスラッと伸びた美脚に綺麗なくびれ、巨乳というほどではないがそこそこ大きく美しい形の胸をしている。顔も非常に整っており、現世の三大美人とかいうのよりも美人だろう。少なくとも俺が今まで見てきたなかでは一番の美人だ。

服装は死神と同じ黒い着物だが下半身の部分が異様に短く、そこから見える足が艶かしい。

何でこんな姿をしているんだよ……。俺の理性が持たないだろ。

 

「俺の愛人だ」

 

「響也お兄ちゃんの妹の天宮真夜です!」

 

「っ!?」

 

女が元気よく手を上げながらした自己紹介に驚く。変な声を出すのだけはギリギリ我慢できたが、心の中を何とも形容し難い感情が支配する。

俺はそんな設定をした覚えはないぞ。勝手なことを言うなよ……。俺が変態だと思われるだろ。

まぁ、変態だと言うのはよく言われるから認めるが、それでもそこまでじゃない。

市丸がキョトンとしているのを無視して自称妹を問い詰める。

 

「……おい、いつから俺の妹になったんだ?」

 

「う~ん……今から?」

 

自称妹が可愛らしく首を傾げる。

言動や態度とは裏腹にむしろ姉と言った方が納得できる凛とした容姿をしているが、その見た目と仕草のギャップが何とも言えないほど素晴らしい。

 

「何だ、その曖昧な答えは?」

 

「でも、そうとしか言いようがないし」

 

それはそうなんだけど。昨日は容姿も性格も違ったし。

いや、どっちにしろ妹ではないな。変わったのは容姿と性格だけだ。

 

「後、その名前は何だ?」

 

「昨日、読んだ漫画のキャラから取ったの。お兄ちゃんの妹という設定だから苗字は天宮ね」

 

こいつが昨日読んでいた漫画というとアレか。妹キャラもこれが原因だな。だったら容姿も真似ろよ、と思う。

実際にお兄ちゃんと呼ばれるなら年下の可愛い女の子が良い。

そんな俺の心を読んだのか自称妹が何も言っていないのに説明を開始した。

 

「ついでだから見た目はお兄ちゃんのエロ本の趣味から推察した理想の姿にしてみました!」

 

だからキツ目のお姉さんみたいな見た目をしているのか。俺のコレクションはSM関連の美脚のお姉さんが特に多いからな。

その足で踏まれたいとかよく想像して……今は関係ないな!

重要なのはこいつが歩いているだけで俺の性癖がモロバレだということだ。さすがに恥ずかしい……。

 

「何を言うてるか全く分からんけど、結局どういうことやの?愛人で妹ってことなん?」

 

不意に市丸が口を挟んできた。ビックリし過ぎて市丸のことを忘れていた。

 

「愛人という言葉と妹という言葉は共存しない」

 

もし共存したら論理的にマズイ。……憧れはするが。

 

「じゃあ、どっちやの?」

 

「……そうだな。やっぱり愛――」

 

「妹!」

 

俺が答える前に自称妹がハッキリと答えた。

……う~ん、まぁ……こいつがそれを望むなら別にいいか。どっちにしろ嘘だから妹でも困らないし。

市丸が俺に「本当は?」みたいな視線を向けてきたので答える。

 

「妹で」

 

「分かった。妹ということにしておくわ」

 

俺の腰元に斬魄刀がないのを確認した後、明らかに信じていないのが丸分かりの態度で頷く市丸。

さっきの俺達の会話を聞いていて信じる方が難しいから仕方ない。もし信じられる奴がいたら、そいつはよっぽどの馬鹿だ。

 

「あ、ちなみにこの名前、気に入ったから戦闘時以外は固定ね」

 

歩きながらそう言う自称妹――もとい真夜。

名前が増えてきて覚えるのが面倒臭くなってきたところだし気に入ったと言うなら俺もそう呼ぶとしよう。でも、その前に容姿と性格を一致させなといけない。今夜にでも話し合うか。

容姿を性格に合わせるか、性格を容姿に合わせるか。どっちにしようか迷っていると真夜が更に補足してきた。

 

「鬼灯丸とか可愛くない名前ではあんまり呼ばれたくないんだよね」

 

……そう言われても困るな。俺が考えた名前じゃない。ていうか、可愛いのが好みだったんだな。知らなかった。俺の影響だろうか?俺も戦闘時はともかく普段は可愛い方が好きだからな。

 

道を真っ直ぐ進んでいると目の前から顔の右下半分に割れた虚の仮面がある不良みたいな見た目をした男が歩いてきた。

……これが破面か。初めて見たけどかなりの霊圧だ。戦ってみないと正確なことは分からないけど副隊長レベルでは相手にならないのは間違いない。

戦ってみたい。

 

「あぁ?何でこんなところに死神がいやがるんだ?」

 

男は俺を見ると不機嫌そうな顔をしながら絡んできた。見た目だけじゃなくて性格も不良みたいな奴だな。

 

「僕も死神やけど?」

 

「てめぇはどうでもいい」

 

「どうでもいいとか酷いわ」

 

市丸が男に一蹴されてわざとらしく悲しそうなフリをする。うん、どうでもいい。

 

「で、てめぇは誰だ?見たことのないツラだけど藍染の野郎の仲間か?」

 

「仲間じゃない」

 

「じゃあ、何だ?」

 

「ただの協力者だ。……今のところは、だが」

 

俺の言葉に男が表情を苛立たせる。遠回しな言い方が苦手なタイプか。こういう奴は策を弄するような戦い方はしない。初めての破面の戦闘相手としてはちょうど良さそうだ。

 

「訳の分からんことを言ってんじゃねぇ!」

 

「市丸、こいつは誰だ?」

 

眼光を鋭くする男を無視して市丸に質問する。

 

「君が会いたがっていた十刃(エスパーダ)の一人。第6十刃(セスタ・エスパーダ)グリムジョー・ジャガージャックや」

 

ほぉ……、こいつが十刃。虚夜宮に来てすぐに会えるとは運が良い。

俺は挑発とグリムジョーの実力を確かめるために霊圧をぶつける。すると見た目通り好戦的なようでグリムジョーも霊圧をぶつけ返してきた。

 

「……っ!」

 

ぶつかり合う二人の霊圧で大気が揺れる。

凄いな。隊長達と同等……いや、それ以上か。少なくとも俺より上だ。

6番でこれかよ。1番だとどうなるんだ?

俺は挑発的な笑みを浮かべながらグリムジョーに宣戦布告する。

 

「よぉ、十刃。俺は十一番隊第四席の天宮響也。ちょっと戦おうぜ」

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