ご注文はうさぎです! 作:兎丸
どうぞ見ていってください!
木組みの家と石畳の町。
この落ち着いた雰囲気を見せる町には、ついこの間引っ越してきたばかりだ。
高校入学の際、下宿先も決定したのだが――――場所がまったくわからない。
「母さんの奴、せめて地図くらいよこしてとけよな......」
よく分からない町に放り出された挙げ句、地図すらも渡してもらえない始末。
こんな同じような建物が並ぶ町中で、下宿先を見つけるなんて無理な話だろ。
かれこれ一時間はこの町をさ迷っている。同じ景色だって何度見たことか。
というか、これってグルグル同じところを歩いてきてるんじゃない?もしかして俺、帰り道すらも分からなくなったんじゃない?
不安と疲労で、生きるために必要な筋肉しか兼ね備えてない俺の足は、すでに限界を迎えていた。
「腹減った......何処かで一休みしたいな......」
どこか休めるような所を探していると、近くに『ラビットハウス』と書かれた看板がある店を発見。
休憩がてらそこで小腹でも満たそうと考え、木で作られたさわり心地のよいドアを開ける。
店内は穏やかな雰囲気に包まれており、コーヒーの良い香りが鼻をくすぐる。もしかしたら、この店は当たりだったかもしれない。
「いらっしゃいませ」
青く、長い髪が特徴の少女が俺をもてなしてくれる。頭の上には、見たことがない珍しいうさぎを乗っけている。
すごく触りたいという欲求にかられてしまう。それほどさわり心地のよさそうなうさぎだ。
いや――――そもそもアレはうさぎなのか?
適当な席に腰を下ろすと、俺はコーヒーと軽い軽食を頼んだ。
せっせとカウンターまで向かい、コーヒーを淹れる少女。見たところ年齢はまだ中学生位だろうか?
親の店の手伝いかは知らないが、よく働く良い子だという印象が根強く染み付いた。
というか、ここの店長らしき人が見当たらない。
まるで彼女が一人でこの店を切り盛りしているようなものじゃないか。
座りながらのんびりとコーヒーが出来るのを待つ。思えば、母さんもコーヒーには精通していた記憶がある。そのせいで色々とコーヒーのことを仕込まれたな......。
まあ、そんな昔のことはとっくに忘れてしまったが、何かを必死になったのはそれだけかもしれない。
「お待たせしました」
テーブルの上に、コーヒーとサンドイッチが乗った皿が置かれた。
コーヒーに口をつけると、香ばしい匂いとほどよい苦味が染みでる。癖になってしまいそうな味だ。
彼女は本当にコーヒーを淹れるのが上手い。そうとう仕込まれたのだろうか?
店を任せられているのも、これなら納得がいく。
俺がコーヒーを嗜んでいると、店内の扉が開けられる音が聞こえた。
扉の先には、目をキラキラと輝かせる少女が佇んでいた。
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