ご注文はうさぎです! 作:兎丸
どうぞ読んでいってください。
あと、ココアファンは覚悟して下さいませ
鬱々とした雨の日、俺はデパートへと買い出しに来ていたんだが傘を持ってきてないがために帰ることが出来ないでいた。
パンの材料が切れたと思ったら、今度は大雨かよ。来るときは晴れていたのに、急に降ってくるなんて本当にツイてない。
雨が止むまでデパートで暇潰しでもしていようか?
いや、それだとラビットハウスの面々に心配をかける。もう濡れること覚悟で走るか......。
諦めて濡れながら帰ることにした時、聞いたことのある声に名前を呼ばれた。
「あのぉ......ジンさんですよね?」
声の方に振り向くと、傘を持ちながら首を傾げたメグが立っていた。片方の手には食材が入ったビニール袋が握られている。
何故こんなところに?中学校の制服は着ていない。
「メグか。こんなところで何してたんだ?」
「夕飯の買い出しに来てたんです~」
「買い出しか。偉いなぁ~メグは」
チノみたいによく出来た娘だ。俺の中学校の頃なんて、今みたいにお使いなんてしたこと一度もないぞ。ましてや家事の手伝いも全くしていなかった。
ヤバイ、中学生のメグにスペックで負けた......。
チノにも負けてるけど。
「帰らないんですか?」
「実はさ、傘持ってきてなくて、もう走って帰ろうかな、なんて思ってたところなんだよ」
行く前に午後の天気を見ておけばよかった。そしたら傘を持ってきていたのに。後先考えずに行動するのは駄目だよなぁ......。
自己嫌悪に陥っていると、メグが傘を俺の方に傾ける。
「だったら一緒に入っていきます?」
「え、いいのか......?」
「遠慮しないで下さい、猫を助けた仲じゃないですか」
ニコニコと屈指のない笑顔で傘に入れてくれるメグ。ダメだ、天使に見えてきた。ありがたく傘に入れてもらう換わりに、メグの荷物を俺が持つ。
遠慮するメグだが、入れてもらうだけなんてカッコ悪い。
そのまま雨の中を二人で歩き出す。
端から見たら、仲の良い兄妹に見えるだろう。
まさか中学生に借りを作ってしまうなんて。
少し歩いて、ラビットハウスに続く裏路地にさしかかった。ここから走っていけば多少は濡れるが、ずぶ濡れにはならないだろう。
「メグ、ここらで大丈夫だ。ありがとな、傘にいれてくれて」
「だ、大丈夫ですか......?」
「全然大丈夫!こっから近いし、走ればすぐつくよ」
メグは少し残念そうな表情をするが、すぐに笑顔に変わる。
「それじゃあまたな、メグ」
「はい、さよならです」
傘から飛び出て、ラビットハウスまで全速力で走っていった。
「た、ただいま......」
「びしょ濡れですね、これ使ってください」
近いところから走ってきにも関わらず結構濡れた。チノからタオルを渡され、それで濡れた髪の毛を拭く。
チノが使っている物だからなのか、柔らかくて良い匂いがする。
そのまま堪能していたかったが、流石に拭く以外の目的で使ったらただの変態だ。さっさと拭いてチノにタオルを返すと、さっきから気になっていたことを口に出す。
「どうしたの、コイツ......」
シャロのテンションがやたらと高くなっていた。確かカフェイン酔いするって前に聞いた気もするが、飲んだのか?コーヒーを。
チノに抱きついたり、ココアとなんだかよく分からずに盛り上がっている。
「イェーイ!お帰りジーン!」
「うん、ただいま......」
ダメだ、このテンションにまったくついていけない。まるでココアが二人になったみたいだ。面倒なことになったな。
と思ったが、しばらくして疲れたのか眠りに落ちる。嵐のような出来事だった。
「外は大雨だし、家から迎えに来させるよ」
「大丈夫よ!私が連れて帰るわ!」
ご丁寧にリゼの奴が迎えを呼ぼうとしているが、何か不都合でもあるのか千夜が送っていくと言い出した。この雨のなか、人を担いで帰れるのか?しかも女の力で。
シャロを担いで、店から出ていく千夜。ヨタヨタと不安定ながらも歩いていく。
だが、案の定店から20メートルもない地点で力尽きてしまった。
「ち、千夜ちゃ~ん!!」
ココアと俺で急いで二人を店の中へと戻した。
「ったく、無理なら無理と言えよ......」
「ごめんなさいね」
二人は今日ここに泊まっていくらしい。風呂に最初に二人を入れないと、ずぶ濡れでかなわない。チノと二人で風呂場に案内すると、チノの部屋へと戻る。
そうそう、実はというとチノの部屋に入るのは今日が初めてだ。
「チノの部屋って、チノって感じだよなぁ」
「なあココア、この制服着てみろよ。似合うんじゃないか?」
「チノちゃんの制服?ちょっと着てみよっかな?」
俺が部屋にあったチノの制服に指差すと、意気揚々と着替え始めた。
しかも男である俺の目の前で。しかも三人とも気づいていないのか、特に咎めてこないので反応に困る。
とりあえずココアに背を向けて着替え終わるのを待つ。なんだこれは?何故だれもツッコまない?
ココアが脱いだ服が落ちる音によって耳が刺激される。
落ち着け俺。ココアはただの友人......そう、悪友だ。変なこと考えるなよ......!
念仏を唱えるように「落ち着け」と心のなかで連呼する。
「えっへへぇ~、どうかな?似合う?」
着替え終わったのか、感想を求めてくるココア。俺も恐る恐る後ろを向くと、しっかりと着替え終わっているココアがいた。
ホッとしたと思ったらココアの脱ぎ捨てられた下着が目に入った。
もう手遅れな気もするが、見て見ぬ振りをして乗りきろう。それでしか平常心を保ってられない。
「そのまま中学校に行っても違和感ないな」
「そお?ちょっと行ってくるよ!」
「待ってくださいココアさん、外は大雨です」
「いや、そういう問題じゃないだろ......」
何か茶番をやっているみたいだが、もうそれどころではない。さっさとこの部屋から出ていかないと。俺の理性が持たない。
「ん?どうしたんだジン」
「ちょ、ちょっと具合悪いから先に寝てる......」
「大丈夫ですか?雨に打たれたから風邪引いたんじゃ......」
「だ、大丈夫だから......!」
彼女たちの心配をよそに、急ぎ足で部屋から出ていく。
廊下に出て一息つく。
よく考えてみれば、女子と同じ屋根の下で寝てるんだよな......不健全すぎるだろ、俺。
ココアもココアで無防備過ぎるし。
もう変なことは考えないでさっさと寝よう。たぶん今日は疲れてるんだ。明日になったらこの説明しようのない感情もキレイになくなってるはずだ。
頭の中で必死に忘れようと考えながら部屋へと戻っていく。
「明日どんな顔して会おうか......」
ラビットハウスの店内。チノちゃんの制服を来たままカウンター席に座って口を尖らせる。
「ジンくん、いつも通りだったなぁ......」
あまり私には魅力がないのかな?
ジンくんは私を女として見てくれてないのかな?
わざわざ目の前で着替えたと言うのに、まったく見向きもしてくれない。やっぱり私じゃなくて、千夜ちゃんみたいな気品が大事なのかなぁ......。
「言えないよぉ......ジンくんに一目惚れだなんて............」
あの日、初めてジンくんと会ってこれが恋なんだって言うことを知った。
私に凄く意地悪で、厳しいけど、ちゃんと女の子として扱ってくれる。おなかにパンチされたのはいただけなかったけど......。
さりげなく気遣って、私にお使いに行かせないようにしてたのも、いつも陰でチノちゃんに私の良いところを言っていてくれたことも全部知ってるよ。
だから私は彼をもっと好きになれた。
「よしっ!明日っからたくさんアタックしよう!私が好きだってこと気づかせてあげるんだから!」
恋はいつだって戦争なんだよっ!頑張れ私!
というわけで、シャロも登場して役者が揃ったって感じですね。
そして、なによりもココアの一目惚れ急展開!
たぶんだれも予想してませんでしたよね、すみません
次回からは物語が大きく動き出しますよ!
まあ基本は原作沿いですがね!
質問や意見などがありましたら気軽にお申し付けくださいませ!あと誤字、脱字も!