ご注文はうさぎです! 作:兎丸
女性の方はあんな男性を好きになるのでしょうか......妬ましい!!
誰かの耳に吐息がかかりくすぐったい。
ベットに寝ているのは俺一人の筈なんだが、どうして寝息が隣から聞こえてくるのだろうか?見るのが少しだけ怖い。が、勇気を振り絞って隣に寝てるであろう人物の顔を確認。
そこで寝ていたのは――――テイッピーだった。
「なんでだよ......!」
思わずティッピーにチョップでツッコミを入れてしまう。しまった、ティッピーって結構老けてるんだったよな?
呻き声を上げるテイッピーの頭を撫でてやると、また気持ち良さそうな寝息が聞こえてきた。
可愛くて抱き締めたくなる衝動に駆られるが、絵面的に誰得でもないので自重する。
しかし、一体どうしてティッピーがここで寝ているのだろうか......?
寝起きでぼやけている頭に思考を巡らせていると、ふとあることに気づいた。
寝息は一つだけじゃない。ティッピーを向いた俺の後ろから、もう一つの寝息が聞こえてくる。
予想からしてチノなんじゃないだろうか?
チノはティッピーをいつも頭に乗せている。それで俺を起こしに来たけど、布団に入ったら居心地がよくてそのまま寝てしまったのでは?
膨らむ期待を胸に、ゆっくりと後ろに寝返る。
と、そこには、渋い髭が似合う一人のハンサム――――もとい、タカヒロさんが、普段見せたことのない心地良さそうな寝顔で眠っていた。
「なんでだぁぁぁぁぉぁぉ!!」
ガバッと布団から勢いよく起き上がると、こちらの様子に驚くタカヒロさんが、俺を起こしに来てくれていた。
ゆ、夢......だったのか?
「大丈夫かい?変な夢でも見たかな?」
心配そうに声を掛けてくれるタカヒロさん。その優しい瞳が、今は何故だか見たくなかった。すみませんタカヒロさん......。
「だ、大丈夫です......ありがとうございます......」
きょ、今日も一日頑張るぞい......。
「おはようジンくんっ!」
制服に着替え、店に降りていくとチノとリゼとココアの三人が既に働いていた。
最近寝坊が多くてマズイ。これじゃあ、いつかラビットハウスから追い出されかねない。
そんな不安をよそに、三人はなにやらコーヒー占いをしているみたいだ。ココアがチノとリゼを占っている。
コーヒー占いとは、コーヒーを飲み終えたカップの底にできた模様で運勢を占うといったもので、母さんも俺が小さい頃よくやっていた。
不幸体質である俺への占いは、今日もツイてないの一言で片付けられていたが。
「丁度良かった!ジンくんも占ってあげるよ~」
「じゃあ折角だし頼んでみようかな?」
カップに注がれたコーヒーを飲み干して、それをココアに見せるとココアの顔が急に険しくなった。俺の顔とカップを交互に見ながら。
「ど、どうした?なんかマズイことでも?」
「じ、じじじじジンくん!大変!ナイフが飛んでくるよ!頑丈なものを持っていかないと!」
「お前マジメにやったんだよなぁ!?」
ナイフが飛んでくるって、俺は今から戦場にでも行くのか?
それはそうと、ココアの運勢占いは全く役に立たないことが分かった。
「ん?ティッピーどした?」
「ティッピーも占いたいみたいです」
「............占えるのか?」
ココアの下らない占いを受けている俺の隣で、チノの頭でそわそわ落ち着きなく動いているティッピー。ココアが占っているのを見て占いたくなったのだろうか?
いや、うさぎに占うことが出来るのだろうか?
細かいことを気にしたら負けだというのも分かっている。けどこれにはツッコミたかった。
「占えますよ、ティッピーですから」
チノの言い分は少しおかしい気もするけど、チノが言うならそうなんだろう。みんなでティッピーにもカップを見せてみる。
「ココアは雨模様、というよりかは水玉模様。正直外出しない方が吉じゃな」
「............だって」
「いや、お前の運勢だから」
お次はリゼの運勢をみる。
「リゼは、将来器量のある良き嫁になるじゃろう」
「私が?まさかぁ~!」
良い嫁と聞いて照れたように謙遜しているが、リゼはきっとそうなると俺は思う。
力も強くて、守ってくれそうで心強い嫁にもなるだろう。女性の褒め言葉にはなってないけど。
それに、リゼの占いは良いことばかりでもなかった。
「昨日は食後のティラミス一つだけじゃ飽きたらず、キッチンに忍び込んだ」
「うっ......」
ギクッとするリゼ。
どうやら図星みたいだな。けど、確かに女子ならばやりそうだ。ココアも以前にやっているところを目撃したことがあるが、俺も一緒に食ってしまったのは咎めないでほしい。
「実は甘えたがり、褒めると調子に乗りこおる。適当に流すのが無難」
「ええい!ただの性格診断じゃないかこの毛玉めぇ!」
「ギャー!」
「当たってんのか......」
容赦ないリゼのチョップがティッピーに炸裂する。あれは絶対痛い。ティッピーの頭が変形するくらいの威力だしな。
そしてお次は俺の番だ。
実はというと、俺は占いというのはあんまり信じない主義なのだが、ティッピーの占いはリゼの様子を見る限り中々期待できそうだ。
「ナイフが飛んでくるようじゃな、硬く身を守れるものを持っていった方が良さそうじゃ」
「真面目にやれよぉぉぉ!!」
「ギャー!」
リゼと同じく、容赦のないチョップをティッピーへとかます。
なんだこのデジャヴは......。
「............今日はなんだかツイてない気がする......」
「本当に飛んでくるとは......」
「そ、そんな日だってあるわよ~」
今日も一日を終え、ココアと千夜の二人と帰宅している。ココアは胸元に甘兎庵のマスコット、通称あんこを抱き抱えている。
ココアは昼飯の最中に、空からカラスに拐われていた黒ウサギ――通称あんこが弁当に落下。
昼飯の代わりにコロッケパンを買ったが、自分の下着を晒していたことに気づかなかったことによりショックを受けて、コロッケパンを床に落として台無しとなる。
俺はというと、調理実習中にナイフを持って歩く女子が転んで、その勢いのままナイフを手放したせいでこちらに飛んできた。
たまたま近くのまな板で防げたからよかったものの、下手したらお陀仏してた。ツイてないとかのレベルじゃない。
二人でブルーになりながら歩いていると、上から水の入ったじょうろがココアに落下してくる。
水がココアにかかり、落ちてきたじょうろが千夜に落ちてきた。それを防ぐため、千夜を退かすが上を見ていた俺の目にじょうろが直撃。
「こ、ココアちゃんっ!?ジンくんっ!?」
「め、目がぁぁぁぁぁぁ!!」
「あんこが濡れなくてよかったぁ!......ってジンくん!?大丈夫!?」
のたうち回る俺を心配して二人が近付く。痛みが引いてくると、そっと立ち上がって涙目であるのを隠すために目を拭う。
い、痛かった......腫れてないよな?
千夜がハンカチで濡れたココアの髪を拭いて、俺の目に怪我がないかどうか確かめてくれる。どうやら軽傷すら負っていないみたいだ。
なんかオーバーリアクションしたみたいで恥ずかしいぞ。いや、本当に痛かったからな?
「二人とも、ありがとう。お礼と言ってはなんなのだけど、シャロちゃんのお店でご馳走するわ」
「本当!?やったねジンくん!」
「いいのか?千夜」
「ええ、私のナイト様が体を張って守ってくれたんですもの。ご奉仕しないわけにはいかないでしょ?」
「ははっ、確かに。違いないな」
この前のやりとりのように、二人でクスクスと笑いながら会話をする中、納得がいかないといった様子のココアが割り込む。
「ち、千夜ちゃん!?な、ナイト様ってどう言うこと!?」
「悪いなココア、それは俺達だけの秘密だ。許せ」
「そうなの、ごめんなさいねココアちゃん」
「ふぇ~!二人ともひどいよぉ!」
「ほら、さっさとシャロのとこ行こうぜ~」
そのままシャロの店へと向かい、千夜にご馳走してもらった。その間、ココアはずっと膨れっ面でいた。
ここまで読んでいただきありがとうございます!
書いてて思ったのですが、ジンのイメージキャラボイスって誰だと思いすかねぇ?書いててまったく想像できないです
ではでは!誤字、脱字などがありましたらご報告お願い致します!