ご注文はうさぎです! 作:兎丸
続きをどうぞぉぉ!!
「でっか......」
今日はココア、シャロ、千夜の三人と一緒に図書館に来ている。
この町の図書館は非常に大きく、俺の地元にもこれほどに広い図書館はなかった。
ココアが外の景色がよく見える席を選ぶ。
そこにチノとシャロが隣同士、千夜とココアが隣同士で向かい合うように座る。
俺はそれに挟まれた真ん中の席に腰掛ける。
「ここ、景色が見えるから良いねぇ~」
「勉強しに来たんじゃないんですか?」
教材をトントンっと揃え勉強を始めようとするチノに対し、俺はこの席に来る途中に持ってきた本を開く。
内容はなんでも出来る天才が、落ちこぼれと呼ばれる少女との恋に落ちてしまうといった中々に面白そうなものだった。
だが、ページ数が異様に多くて全部読み切るのに徹夜しても四日は掛かるだろう。
「チノは確か、読みたい本を探しに来たんだよな?」
「はい。正義のウサギさんが、悪いウサギさんを退治するのですが、周りの関係ないウサギまで巻き込んでしまって大変なことになるお話です。けど、テストも近いので私も勉強をします」
「偉いなチノ。なら千夜とココアと一緒に勉強するのか......こりゃ暇そうになるな」
持ってきた本を開き、四人が勉強をするのをよそに読書を始めようとするするが、千夜に止められる。
「ダメよジンくん。ジンくんにはココアちゃんがサボらないようにしっかり監視しててもらわないと。私にちゃんと勉強教えててくれるか見ててね」
「う、うぅ、私サボらないよぉー......」
千夜からの信頼が全くないなココア。
それなら、ココアを監視するとしよう。俺は勉強道具を何一つ持ってこなかったから、ただ見てることしか出来ないしな。
「って、ん?ココアが教える?逆じゃないか?」
千夜の言っていることに疑問が生じる。あのココアがどうして千夜に勉強を教えられるのか?何かの間違いだろ?
「違う違う、私が教えてもらうの~」
「嘘でしょ......!?」
シャロもそれを聞いて信じられないといった表情に変わる。しかし俺はココアが数学と物理が得意なことを知っていた。
暗算での計算処理が異常に速い上に、電卓を使わないとややこしい問題も暗算で解くことが可能だ。
俺はココアの計算速度だけには肝を抜かれた。それ以前から、ラビットハウスで下宿を始めた最初の頃にその片鱗に触れていたのだが。
「それなら、ココアがチノちゃんに勉強を教えてあげたら?」
「私、総合順位でいえば平均くらいだから......」
「そんなに足を引っ張っている科目があるの?」
「これ......」
哀しいかな、所詮ココアはココアだ。
いくら計算が出来てもアホの子だと言うことには変わりない。であって、文学系統の成績は終わっている。
「文系が絶望的......!」
足を引っ張る科目をシャロに聞かれて答案用紙を晒すココア。その点数に目を丸めるシャロだが、それは俺も同じだった。
いや、流石にここまで悪いのは予想外だった......。
「それにココアさんの教え方はアレなので頼りにならないです」
「あれぇ......!?」
残念だなココア。
千夜に教えるのが上手くても妹(仮)に教えてやれないのんてな。
因みに俺も教えるのは苦手だ。
前に一度チノに勉強を教えてやったが、「分かりにくいです」の一言で撃沈。俺には人に何かを教えるのは無理だったんだ......。
思い出しただけで悲しくなる。
ニヒルな笑みを浮かべながら外の景色に視線を移すと、カリカリと筆を走らせる音が聞こえてきた。
四人とも勉強を開始したみたいだ。
千夜がココアに文系を教えたり、反対にココアが千夜に理系を教えたりしている。
シャロとチノの方は上手く勉強をしていた。シャロの説明の仕方が上手いのか、チノも頷きながら問題を解答していく。
その間、暇ではあったがココアの見張り役と言う千夜の命のもと、本を手放してココアの監視に徹した。
それから長い間そんな空間に縛られていると、意外にも千夜が口を開いて無駄話を始める。
「そういえば、チノちゃんはシャロちゃんの学校と私達の学校、どっちに行きたい?」
「チノちゃんはセーラー服が似合うよ!」
「ブレザーの方が絶対可愛いわよ」
「袴姿も似合うと思うの~」
「やっぱりメイド服っしょ!」
口々にチノに似合いそうな制服を並べていくと、困ったように悩むチノ。すると、
「袴はともかく、そろそろ決めないといけませんよね、悩みます......ジンさんは死んでください......」
あれ?今、俺にサラッと毒吐いた?
「将来の夢を決めるのは、難しいことよね」
あれれシャロさん!?スルーっすか!?
「将来の夢かぁ......」
うーん、とココアは頭を悩ませている。
「私はパン屋さんか、弁護士さんになりたいな~」
「べ、弁護士って......まあ努力すればなれるだろうけどさ」
なんだか弁護士の格好をしたスーツ姿のココアが頭を過る。しかし、中々さまにはなっているせいかタチが悪い。
仮にコイツが弁護士になったとしても、俺は弁護してもらいたくないな。
「立派な夢ね、ココアちゃん」
「えっへへ~」
手を合わせて微笑み合う二人。
「んじゃあ、千夜の夢ってなんだ?」
「私は、甘兎庵をもっと繁盛させるのが夢」
「わ、私も......」
割り込むように夢を語り始めるチノ。
そういえば、チノの夢ってあまり想像がつかない。直感的に考えて、チノも店の繁盛か?
「家の仕事を継いで、立派なバリスタになりたいです」
「バリスタか......なんかカッコイイな」
「そうだね~。あ、なら私、町の国際バリスタ弁護士になるよ!」
「とりあえず、町の国際から離れろ......」
そんなこんなで、日が暮れるまで俺達は無駄話に興じていた。
「見当たんねぇな......」
勉強も一段落――――というよりか無駄話をしていただけだったが、今はそれも終えてチノが読みたがっている本を探している最中だ。
ココアとチノは、遠目だが見える範囲にいる。
向かいの本棚の方で、ココアがチノの手を引いて楽しそうに歩いている。
遠くから見ると、やはりココアも女の子で微笑ましい。
少し二人に夢中になっていてハッとする。
こっちはこっちで探さなくては。
そう思い立って本棚を探し始めるが、タイトルも分からないため、一冊一冊中身を覗いてみないと探せない。
一冊手に取り、少しページをめくる。しかし、チノの言う内容とは一致せずに本棚へと戻す。これの繰り返し。もう数十分と調べてはいるが、それらしい本は見当たらない。
それから、さらに時間を重ねて調べてみるが、見付かる気配はまるでなく、気になった本を取って立ち読みしてしまう始末。
そんな俺にココアが歩み寄ってきた。本は見付けたのだろうか?
「チノちゃんがタイトル思い出したみたいで、探してくるからジンくんと先に下に降りててだって~」
「思い出したのか......」
溜め息を一つ吐いて本を戻す。
なら俺達が今まで探してきたこの時間は一体何だったんだろうか。
まあ良いだろう。
借りてた本は、家に帰ってからゆっくり読めばいい。
と、その時、ココアが目を見開いた。
「じ、ジンくん大変......け、怪我してるよ?」
ココアに言われて気が付いた。
人差し指から血が出ている。本を読んでる時にでも紙で切ったのだろう。
全然痛みが襲ってこなかったせいで分からなかった。
「こんなん大したことないって、消毒しとけば治るだろ?」
「うぅ......で、でも消毒液なんてないし......そ、そうだ!」
「な、何して......」
ココアの手が俺の指を掴む。
そのまま自らの口に運ぶと――――それをくわえた。
「――――――――!?」
「はむ......んちゅ...........」
気付けばココアの口の中で、舌で、俺の指が蹂躙されていた。
傷を撫でるように舐められ、ココアの舌の感触が俺の脳を刺激する。
唐突な状況にも関わらず、情けない俺はこの状況に少なくとも興奮していた。
「んむ......ひゃんほひょうろくひないほ......」
くわえながら言葉を話す。
官能的で妖艶なココアの声に、鼓動が早くなるのが分かる。それにつれて俺の顔は紅潮していく。それは自分でも分かるほどだった。
必死に俺の指を舐めるココアにゾクゾクしてしまう。だいぶ変態だな......俺。
ゴクリ、と固唾を飲む。
こんなに色っぽいココアは今まで見たことがない。
「ぷはぁ......血は止まったね。痛くなかった?」
「い、痛くなかった......」
やっと指から口を離した。
俺はそう一言を返すので精一杯だった。緊張で声が震えているのが分かる。
俺の言葉に俯くココアだが、すぐに顔を上げるココアも顔を赤くしていた。
「もう一回......じ、ジンくんの指......消毒していい............かな?」
「だ......大丈夫だ!もう十分!......うん、もう十分......!」
ココアから妙なフェロモンが出てるのを感じ取った俺は、慌てて遠慮の言葉を口に出す。
こんな風に女の顔をしているココアを見るのは初めてだ。
俺の返答を聞いてココアは、残念そうな表情を浮かべた後に、にへらと笑った。
「ジンくん、顔赤いねっ」
「そ、それはお前もだろ......!?」
変な沈黙が流れる。その沈黙を破るように口を開いたのは俺だ。
「ありがとな、しょ...消毒してくれてさ」
ココアの行動に驚きはしたが、少なくとも善意で俺の指を消毒してくれたんだ。
素直にココアに礼を言わないとな。
「あ......う、うんっ!言ってくれればいつでもするよ!」
「調子に乗んなっつの......」
いつものように、ビシッとココアの頭に軽くチョップをかます。イテッと言って笑うココア。
「ココア~、ジーン、何してるのよ~?もう行くわよー」
下から声が聞こえる。シャロの声だ。
降りてくるのが遅い俺達に声を掛けたのだろう。
「は~い、今行くよ~。ほらジンくん、行こっ」
まだ顔が赤いココアが、俺に手を差し出す。
いつもなら、適当にあしらって流す俺だったが「そうだな」と言って、出されたココアの手を握る。
階段の方へトタトタと小走りで駆けていくココアに合わせて足並みを揃える。
俺の手を引くココアは、何かを達成できたような充実したと言わんばかりの笑顔を浮かべていた。
最近、朝マックにハマっていましてね~
聞きたくない?すみません調子に乗りました。
そして!読者の皆さま方のおかげでお気に入り50を突破いたしました!本当にありがとうございます!!
この先も、色々と至らないこの小説をどうぞよろしくお願いいたします!!
それでは感想や誤字、脱字等のご指摘、心よりお待ちしていますね!