ご注文はうさぎです!   作:兎丸

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悩みに悩んだ結果、とりあえずifの話を出してみました

どうぞ最後までご覧あれ!


起こりうる幸せな可能性のお話

 雪がしんしんと降りだしてきたある夜の事。

 

 今日は娘を早く幼稚園から帰宅させた。

 

 なんせ今日は彼女にとっても、私達にとっても特別な日なのだから。

 

 「ははうえ、まだよるごはんのじゅんびはよいのですか?」

 

 「うん、まだあの人が帰ってくる時間じゃないからね。もうちょっとしたら支度するよ~」

 

 娘がこんな口調になってしまったのは、きっと生真面目なあの父親のせいかもしれない。

 

 けれど私は、必死に女の子らしくしようと試みてるのだが、それも上手くはいかず、結局この口調に戻ってしまうのだ。

 

 仕方ないか。娘が好きでこんなしゃべり方をするのなら、止める必要もない。それに、好きに生きて欲しいなんてあの人が言うものだから......全く。

 

 「もし、じゅんびをするのであればおもうしつけください。わたしもてつだうゆえ」

 

 されど礼儀をわきまえ、作法を心得る。

 ずっとあの人が娘に言い聞かせてきたことだ。

 

 男の子じゃないのに。堅苦しすぎるよ。

 

 今のところ準備がないと知って、暇そうに算数ドリルを開き始めた。

 

 え、我が娘ながら真面目すぎないかな?

 

 「ちょっとユマ、そんなに根詰めすぎないのっ」

 

 問題を解こうとする娘の手を止め、開かれた算数ドリルを閉じる。娘は複雑な表情で私から視線を外す。

 努力家なのは良いことだが、ここまでとは思いもしなかった。

 

 「し、しかし、つぎのテストではもうすこしよいけっかをだしたくて......」

 

 テストとは、幼稚園のレベルに合わせた簡単な筆記テストの事。

 

 この子は毎回100点満点の記録を叩き出していると言うのに、それ以上とはどういう事だ。ここまで出来た子に育つとは予想外だ。

 それも昔の私が裸足で逃げ出すレベルの優秀さだ。別に私がポンコツな訳じゃないよ?

 

 さて、娘は算数ドリルという手を封じられて、余程暇なようだ。ここは母親である私が先手をうとう。

 

 「ねぇねぇ、ユマ。どうしてそんなに頑張るの?もしかして、好きな人に認めてもらいたいとか~?」

 

 「ふみゅっ!?そ、それはぁ......」

 

 顔を赤くして縮こまる超絶可愛い娘。

 

 ビンゴ!これはきっとそうに違いない!この子は恋をしているよ!絶対だよ!私の長年の経験がそう告げている......!

 

 変だとは思っていた。

 

 いつも率先して勉強したりしてはいたが、最近の娘の頑張り具合には疑う点が多すぎた。

 

 まさか、その原因が『恋』だったとは。

 

 「ユマは誰が好きなの?お母さん気になるな~。タカくん?あ、ケンジくんもカッコいいよね!」

 

 幼稚園内ではトップクラスにモテる二人の名を上げてみたが、娘は首を横に振った。

 

 「ちがいますははうえ。わたしのこいは、きっとかなわぬものなのです......まだ、おふたりのことをすきになっていたほうがよかったかもしれません」

 

 なんだか落ち込み気味の娘。

 言葉の意味はよく理解できないが、たぶんそれは手が届かない人の事を言っているのだろう。

 

 例えば、年上の人に恋をしちゃったとか。

 どうしよう、そんな恋愛漫画の主人公みたいな娘に倍増しで萌えちゃう。

 

 娘の可愛さに悶絶寸前の私は、そっと手を握りしめて言った。

 

 「大丈夫だよユマ、この世に叶わない恋なんてない。私だって、お父さんのハートを掴むのには苦労させられたよ~。でもね、頑張ればなんとかなる!」

 

 彼には本当に苦労させられた。乙女心をあんなに理解していない男の子が本当にいるなんて......もう絶滅危惧種だよあの人は。

 

 「ありがとうございますははうえ......わたし、ガンバってみます!」

 

 娘の瞳に闘志の炎が燃えている。メラメラと燃えたぎっている。

 

 何度もゴメンね?娘が超可愛い。

 

 不意に玄関の扉が開く音がリビングにまで届く。

 

 「ただいま~。うぅ、滅茶苦茶寒かった......」

 

 いつのまにか話に熱中していたのか、気付けば夫が帰宅してきてしまった。

 刹那、リビングまで歩いてきた父親目掛けて娘が抱きついた。

 

 「うおっ!?ど、どうしたユマ?」

 

 「ちちうえは、ユマのことスキです?」

 

 「ん?あったりまえだろ?ユマ以上に可愛い娘、世界のどこ探したって居ないぞ?」

 

 「ははうえとユマ、どっちがスキです?」

 

 「え?そりゃあ、どっちも同じくらい愛してるよ」

 

 愛してる。その言葉は私にも向けられていることを理解し、頬が赤くなってしまう。

 

 しまうのだが......まさか!

 

 「では、わたしのこいがかなう『かのうせい』はあるということですねっ」

 

 満面の笑みを浮かべながら私の夫に頬づりをし始めた。

 

 なんてこったい......我が娘ながら、同じ人を好きになってしまうとは......!

 

 「うぅ!ユマ!じ、ジンくんは私の物だよぉ~!」

 

 「いえ、ふたりのものです!」

 

 負けじと張り合う娘。可愛いが、それだけは認めない!ジンくんは渡さないもん!娘だろうと関係ないもん!

 

 「こ、ココア!?だ、抱きつくなって.....二人とも!?ど、どうしたの!?なんか今日は変だぞ!?」

 

 バタバタした昔みたいな日常。

 私には夫がいて、娘がいて、愛する者がたくさん増えた。

 

 

 

 

 

 私、保登 心愛は今――――とっても幸せです!   

 

 

 

 




今回は二人が結婚したら、どんな家庭になっていたのだろう?という私の妄想話でした。はい、すみません

ここまで読んでいただきありがとうございます!
また、誤字脱字がありましたら報告、お願い致します!

そして皆様、遅くはなりましたが、新年、明けましておめでとうございます!

良いお年を!
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