ご注文はうさぎです! 作:兎丸
それにしても、文章が短くて申し訳ないです......
更衣室で、チノから渡された制服を受け取る。
この制服は、ここの先代のマスターが着ていた物を着させてもらっている。少し俺には大きいかもしれない。先代のマスターは中々身長が大きかったのだろう。
俺自身はそこまで身長が高いわけではないが、小さいというわけでもない。
あとよく目付きが悪いとか言われるが、そこは全く気にしていない。というか、もう開き直って、これが俺のチャームポイントだということにしている。
「にしても、お姉ちゃんって......」
ココアの奴、チノが寂しそうに見えたみたいで、お姉ちゃんになるとか言い出しやがった。挙げ句の果てには抱きつきもしたし......よく初対面の人間にあんなことできるな。
若干チノも嫌そうな顔をしていたが、まあ当然と言えば当然だろう。
着替えを終えさせ、更衣室から出るとココアも着替えが終わったようで更衣室から出てくる。
「あ、ジンくんの制服似合ってるね!」
「そうか?ちょっと堅苦しい感じがするけど......」
ココアの制服もよく似合っていると思う。けど、個人的にはチノの制服姿の方が好きだが。
ココアの後からチノともう一人知らない少女が更衣室から出てくる。制服を着ているあたり、彼女も同じバイトなのだろうか?
「あ、紹介するねジンくん。この人は、ここのバイトのリゼちゃんだよ~」
「ジンとか言ったな。同じバイトとしてこれからよろしく頼む」
「えっと......よ、よろしくな」
ツインテールと紫色の髪に、容姿端麗でスタイルがいい。一言で言うのなら美少女。
彼女のような人と同じ職場で働けるなんて光栄だ。主に下心が中心的に。
「それじゃあ、まずはこのコーヒー豆が入った袋をキッチンまで運ぶぞ」
俺達は、コーヒー豆を運ぶべく倉庫の中に入る。
コーヒー豆が置かれる倉庫は、それ以外にも色々と置いてあるが気にする必要はないだろう。
「お、重い......!これは普通の女の子には無理だよぉ~!」
ココアが袋を一つ持つと、重そうに声をあげる。俺も一つ袋を持ってみるが、持てないことはなくとも結構重い。
(リゼも持つのはキツいだろうな......)
と、リゼの方を見てみると、軽々しく持ち上げるリゼの姿があった。
俺と目があった瞬間、すかさず袋を下ろして一言。
「あ、あぁ!確かにキツいな!普通の女の子には無理だ!普通の女の子には......」
いや、無理があるだろ。
見たぞ、軽々と袋を持ち上げるたくましいお前の勇姿を。
それを見た俺は、一体どう反応すればいいんだ?
とりあえず、見なかったことにして、リゼとココアの二人は、小さい袋へと手をかける。
「小さい袋も重いぃ......!一つ持つのでやっとだよぉ......!」
小さい袋も、どうやら普通の女の子には重たいらしい。
リゼは軽々と持ち上げてるけどな。二つ。
案の定、リゼはその袋も重たそうに振る舞い始めたが、時すでに遅しというやつだ。
やめてくれ.......こっちを見るな。
お前が普通の女の子だということは分かったから、「何も見なかったことにしろ」なんて視線を送るんじゃない。
視線だけで殺されそうだ......。
「とにかくこれ、運ぼうか......」
目の行き場を無くした俺は、俯きながら小さく呟いた。
袋をキッチンへと運び終えた俺達は、カウンターでメニューを覚えさせられた。
「二人とも、メニュー覚えとけよ?」
そう言って、リゼからメニューを渡される。
コーヒーの種類が多すぎて、覚えるのがややこしそうだ。
暗記は得意な方だが、ここのメニューは名前も地味に難しく量も多い。
「コーヒーのメニューが多くて難しいね.....」
「そうか?私は一目で暗記したぞ?」
「ひ、一目で!?これをか!?」
俺は思わず声をあげて驚く。
全部を暗記するにも数日以上は必要そうなのに、これをたった一目で暗記だって?
「訓練されているからな」
「く、訓練?」
「リゼちゃんはね、お父さんが軍人さんなんだよ~」
成る程。
色々と仕込まれているせいで、あの重たい袋も持ち上げられたんだな。
にしても、父親が軍人って。ウェイトレスというよりも用心棒の方がしっくりくる。
「チノなんか、香りだけで銘柄を当たられるし」
「私より大人っぽい!」
「ただし砂糖とミルクは必須だ」
「なんか今日一番安心した~」
持っているノートで顔を隠しながら照れている。年相応なところもあるらしい。
まあ、俺も砂糖がないと、とてもじゃないが苦くて飲めん。
逆にコーヒーをブラックで飲むことができる人間は味覚がおかしい。どうしてあんなに苦いものを美味しそうに飲めるんだ?
角砂糖は四個でも入れないとな。
「リゼちゃんやチノちゃんみたいに、私も何か特技あったらな~」
二人が羨ましそうに頬杖をするココア。
俺もこれといった特技があるわけでもないので、チノとリゼが羨ましい。
「そういやチノ、そのノートなんだ?」
チノが手に持っていたノートが気になったので聞いてみる。
「春休みの宿題です。空いた時間にこっそりやっています」
「宿題やりながら仕事とか、キツくないか?」
「いえ、やりたくてやっているのですから、へっちゃらです」
そう言ってノートを開いて中身を見せてくれる。
えぇ......仕事もこなしつつ勉学にも励む。なんて偉い子なんだよチノは。
「その答えは128で、そのとなりは367だよ~」
ココアがチノのノートを覗き、分からない答えの計算を暗算で解いた。
待てよ、今の問題計算式が少し複雑だったぞ?
リゼも気づいたのか、試しにココアに問題を提示する。
「こ、ココア。430円のブレンドコーヒーを29杯頼んだらどうなる?」
「12470円だよ~?」
ココアはなんなくその問題も暗算で解いた。
「私も何か特技あったらな~」
な.........!こ、コイツって意外な特技を持っているんだな......。
いやいや、ちょっと待てよ。
本格的に特技がないのは俺だけなんじゃないか?
「こ、ココア......!お前だけは仲間だと思ってた......!!」
拳を握りしめ、悔しそうに歯を食い縛り遺憾の意を表する俺を、三人は不思議そうに見つめていた。
早くも心が折れそうな時、店内の扉を開ける音が店内に響く。
どうやら早速お客さんが来たみたいだ。
客に早足で近づき、接客をするココアは手慣れたように感じた。ココアのような性格なら、接客業はもってこいかもしれない。
客を席へと案内し、こちらへと興奮した様子で戻ってきた。
「やったぁ~!ちゃんとご注文とれたよ!」
「偉い。偉いです」
喜ぶココアへと、小さい拍手で誉めてやるチノ。
俺も不本意ながら、ココアの功績を拍手で讃えてやった。
俺も早く何かやらないと............!
なんだか不自然なところがあったらご報告おねがいします!
誤字、脱字、意見も含め、こうしたらいいんじゃないか?といった具合で、感想のほどお待ちしております!