ご注文はうさぎです!   作:兎丸

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ごちうさ、アニメ三期やるんですか?

え……?は……?え?歓喜


3お話をするお話とお話

 学校帰り。先生からプリント類を大量に運ぶよう頼まれて、帰宅するのが随分と遅くなってしまった。途中で、前にココアが世話になった小説家の姿を見たが、声を掛ける必要もないので見てないフリをして通り過ぎた。

 

 それは置いといて、ココアには遅れると伝えてあるし、少し甘兎庵にでも立ち寄ってみるか。

 

 石畳の道を数十分歩き、甘兎庵に到着する。開店してると言うことは、千夜はもう仕事中みたいだ。久し振りに甘兎庵の扉を開けると、シャロが勢いよく飛び出してきた。

 

 「リゼ先輩に妹なんて信じないからぁ~!!」

 

 そのまま大声を出しながら走り去って行った。

 

 な、何だったんだ……?

 

 「あ、ジンくん。いらっしゃ~い。今日は随分と帰ってくるのが遅かったわね?」

 

 扉の向こうにはいつもの接客スマイルを浮かべる千夜の姿。

 

 「ちょっと先生に仕事を頼まれててさ」

 

 「頼りになるっていうのも大変ね~」

 

 「随分と他人事だな」

 

 千夜と他愛もない会話をしていると、ふと、あることに気付く。

 

 「ど、どうも……」

 

 律儀に頭を小さく下げ、挨拶をするチノがいた。しかも制服を着て。

 

 「よ、ようチノ」

 

 こっちも返事を返す。

 

 チノが一人でここにいるのは珍しいな。いつもココアがセットでいるせいか、ちょっと違和感を感じつつもチノと向き合う形で席に座る。

 

 「チノが一人でいるなんて珍しいな。何してるんだ?」

 

 「ちょっと、千夜さんに相談を……」

 

 「へー、相談かぁ」

 

 特に興味をそそられる話題でもないので適当に流す。

 

 「では、私は先にお店に行ってます。ジンさんもなるべく早く来てくださいね」

 

 「はいよ~」

 

 チノは俺にそれだけを言い残して、甘兎庵から立ち去っていった。

 

 「千夜、注文良いかな?」

 

 テーブルに置かれたメニュー表を手に取って羊羮と緑茶を注文しようと千夜に声を掛ける。ただ、千夜からの返事がない。メニューから目を離して、千夜の方へ視界を移すと、頬を少し膨らませていた。

 

 たぶん、俺に対してなんだろうけど、千夜の感情が分からない。表情が険しくなってるわけでもなく、ただ頬を膨らませているだけ……。

 

 「えっと……千夜?」

 

 「ジンくん、冷たいのね……」

 

 「え、何が……?」

 

 別にいつも通りにしてたけど、何か千夜の気に障るような事でもしただろうか?

 

 「てっきり、ジンくんならチノちゃんの相談にのってあげると思ってたのに……」

 

 なんだよ。そんなことか。

 

 「モヤモヤしてるのはチノだけじゃないと思うけどなぁ」

 

 「あら?どうしてチノちゃんの悩み事を?」

 

 千夜の態度は先程と打って変わって、驚く様な仕草を見せる。

 

 「そりゃあ、いつもラビットハウスの皆の事を見てるからな。すこし不自然な所があったら直ぐに分かるし、チノの場合は分かりやすかったしな」

 

 最近、マヤとメグが店の手伝いに来るようになって、リゼやココアと仲良くしてるのをチノが見て様子がおかしくなった。まあ、そりゃそうだ。いつも仲良くしてる友達が、別の人達と仲良くしてりゃあ自然と人は不安になる。

 

 「悩み事が分かるなら、尚更どうしてチノちゃんの相談にのってあげないの?」

 

 「相談にのってどうする?俺はチノと一緒に仕事してるけど、まだ彼女の事をそこまで知らない。ただ差し出がましくなるだけだ」

 

 「確かに、それもそうね…………」

 

 俺の言葉に千夜が同意を示す。

 

 「それに、俺は男だ。性別が違えば考え方だって大きく変わってくる。相談に乗るにはもっと適任がいるだろ?」

 

 「ジンくんって、実は結構考えてるのね。感心したわ!」

 

 「な、なんで上から目線……?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 あれから少し日が経ち、チノも調子を取り戻してきたみたいで良かった。お兄ちゃん凄く心配だったよ。

 

 チノと二人で皿洗いしながらそんなことを思う。

 

 すると、不意にチノが、

 

 「ジンさんは、悩み事とかありますか?」

 

 「え、急だな………いきなりどうした?」

 

 「いえ、私も悩み事がある時、相談にのってもらって少し心が軽くなったので、良ければジンさんの相談にのってあげようと思って」

 

 いきなり悩み事なんか聞かれてもなぁ。別にこれといってあるわけじゃないし。

 

 「いや、特にないよ。気使ってくれてありがとな、チノ」

 

 「いえ、ジンさんには良く働いてもらってるので」

 

 うっわ、なんて良い子なんだ……感極まって泣いちゃう。

 

 「俺、チノのそういう優しい所が好きだよ」

 

 自分でも驚くほど、自然な笑みが溢れているのが分かった。

 

 「ッ…………!?」

 

 俺の笑顔を見たチノは急に顔を反らして一言も喋らなくなった。

 

 俺のさっきの笑顔、そんな気持ち悪かったか?

 

 良くチノの顔を見てみると、少し赤いような…………気のせいか?

 

 (なんでしょうかコレは……ジンさんの言葉を聞いて、笑顔を見た途端に胸がキュンとして、恥ずかしくて、嬉しくて………この気持ちは何なんですか……!?)

 

 

 

  

 

 

 




ここまで読んでいただきありがとうございます!

遂にジンくんの魔の手がチノちゃんにまで迫っちゃいしたね~

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