ご注文はうさぎです! 作:兎丸
よっしゃ!張り切って見ていってください!
石畳の上を、ココア、千夜、俺の三人で歩く。今は高校へと向かっている最中だ。
ココアと千夜は同じクラスみたいだが、俺は二人と別のクラスになってしまった。女だらけのクラスの中に、男一人だけで知り合いがいないのはキツい。
前にも言ったが、俺が通う高校は去年まで女子高だったせいか女子が多い。そしてもう一つ衝撃な事実を知らされた。
この高校に受かった男子生徒は俺だけ。
いや、なんのラノベだ。というか、この高校受けた男どもはそんなに馬鹿だったのか?
さほど偏差値の高くない俺でも入れたんだぞ?下心で入ろうとしたのだろうか?
いやぶっちゃけ、俺の入学動機は全て下心だ。
しかし、いざ受かって通ってみると、すごく気まずい。周りが女子しかいないと、話の話題にまったくついていけない。
「良い匂いがするね~」
「パン屋さんの匂いかしら」
途中、鼻をスンスンと動かすココア。確かに良い匂いがする。
香りの正体は、近くにあるパン屋の匂いだ。
ガラス越しのケースに、動物を模したパンなどが置かれている。俺たち三人は、その店に誘われるよう近づいていく。
「最近作ってないな~」
「へ?お前パンとか作れるのか?」
「うん。実家がパン屋さんでね~。お手伝いしてたから、ちょっとね」
知らなかった。
ココアがパンを作る姿とか想像できないんだけど。材料の分量間違えて爆発とかしそうだな。
「そういえば、千夜は駄菓子屋なんだよな?やっぱり駄菓子は千夜が作るのか?」
「ええ、だけど一番駄菓子に名前を付けることが好きなの。このパンも見てると、どんどんアイディアが浮かんでくるわ」
ニコニコしながらパンを見つめる二人。
二人には似た趣味があるもんだな。こういう趣味の話とか見てると、二人とも女の子って感じがする。
考えてみると、この町に来て友達が出来たのって、若干ココアのおかげかもしれない。
少しパン屋で足を止めた後、俺たちは再び歩みを進めた。
「と言うわけで、パンを作りたいんだけど大きめのオーブンとかないかな?」
高校から帰宅し、店で仕事をしているとココアが朝の話をチノに持ち出す。
「大きいオーブンならありますよ。昔おじいちゃんが調子のって買ったやつが」
そこで何故ティっピーが頬を染めるんだ?
というか、ティッピーって人間よりも人間らしく感じる。
大きめのオーブンということは、結構な人数で出来るな。
「ほんとー!?なら今度の休みの日、みんなで看板メニュー開発しない?焼きたてパン美味しいよ~」
「喋ってないで仕事しろよ」
リゼが食器を運びながら、仕事を専念するよう口をはさむ。と、リゼから腹の虫が聞こえてきた。
食べ物の話をしていたから腹が減ってきたのだろう。なんだか俺も減ってきた......。
リゼが顔を真っ赤にしてるところへ、追い討ちをかけるかの如く、ココアがパンの魅力を語る。
すると、またリゼの腹の虫が鳴った。
もう勘弁してやれよ......リゼの顔から火が吹き出そうだぞ。
「んじゃ、今度の休みは皆でパン作りか?」
「そうだね~。あ、ジンくん!ジンくん!頼みたいことがあるんだけど......いいかな?」
「ん?別に......いいけど............?」
俺はこのあと、パンの材料を買うために、おつかいへと駆り出されたのであった。
「同じクラスの千夜ちゃんだよ~」
「千夜です。今日はよろしく」
「誠にどうでもいい話だが、入学式当日、ココアは千夜が卒業した中学校に行っていました」
「本当にどうでもいい話だよ!?あれは二人が騙したのが悪いよ!」
いつ言おうか迷っていたので、とりあえず知り合いが集結したこの場を借りて言ってみた。
「よろしくです......」
「よろしく~」
そう言ってチノが頭を下げると、ティっピーが落ちそうになる。慌ててそれを押さえるチノ。
「あら?そのワンちゃんは?」
「ワンちゃんじゃないです......」
「この子はただの毛玉じゃないんだよー」
「確かに。ティっピーってなんか美味しそうだよな。焼けば食えるんじゃないか?パンと一緒に」
「てぃ、ティっピーは食べ物じゃないです!怖いこと言わないでください!」
頬を膨らませて怒るチノと、顔面が蒼白になっているアンゴラうさぎ......この絵は中々に希少なものだと思う。
一生に一度見れるかどうかだぞ。
(誰かアンゴラうさぎって品種だって説明してやれよ......)
腕をまくり、自分の指定された台に立つ。
パン作りは初めてだからワクワクするな。
始める前から、どんなパンを作ろうか想像してしまう。
台の上にパンの材料が並べられる。
どれも俺が買い出しに頼まれたものばかりだ。この材料を一人で持ち運ぶのは本当に大変だった。
途中、見知らぬ女性の方に少し手伝ってもらいもした。本当に情けなくて、申し訳なかった......。
名乗っていたけど、名前を思い出せない......確か、青山ぶ、ぶるー......まあいいか。
考えるのを早々に止めることは、自分のなかで得意な事だと認識している。
誰だ、記憶力ないとか言った奴。
「それにしても、ココアがパン作り出来るなんて意外だなー」
「えっへへ~、でしょ~?」
照れながら応答するココアだが、それは褒めてる訳じゃないと思うぞ。
「パン作りを舐めちゃいけないよ、少しのミスが完成度を左右する戦いなんだからねっ!」
調理器具を片手に、珍しく燃えているココア。
それにリゼと千夜も同調して、なんだか暑苦しい雰囲気になってきた。現にチノが暑苦しそうに三人を見ている。
「んなことより、お前らパンの中身とかなに持って来た?」
全員に、パンの中身を聞いてみた。
「私は新規開拓に焼きそばパンならぬ、焼きうどんパンを作ろうと思うよ!」
「私は自家製の小豆と、梅と海苔を持ってきたわ」
「冷蔵庫にイクラとサケと納豆とゴマ昆布がありました」
「これ......パン作りだよな?」
イチゴジャムとマドレーヌを手に持つリゼと、バターとハチミツを手に持つ俺達二人は困惑した。
コイツら、一体何を作るつもりだったんだ?
たとえそれを具材にして作ったとしても、絶対食べないだろ......。
とりあえず、パン作りを始めるココアの真似をして、次々にボウルの中に粉を入れていく。
いや、すまん。材料の名前が分からんから粉って言っちゃった。
一通りの手順を踏まえ、次はパンをこねる作業に入る。中々に力を使う作業だ。
「パンをこねるのって、すごく体力がいるんですね......」
「腕が......もう動かない......」
苦笑いしながら、肩をくるくると回す千夜。パン作りは長時間こねることが必要であるため、男性でも苦労する作業だ。
と言っても、リゼはまったく疲れを見せていない。コーヒー豆の時から思ってたけど、コイツ一体何者?
「リゼさんは平気ですよね」
「............何故決めつけた......!?」
その様子を見ながら、俺も必死にパンをこねる。結構キツい。腕がつりそうだ。
「大丈夫?千夜ちゃん。手伝おうか?」
「ううん、大丈夫よ」
「頑張るな~」
(ココアちゃんの足を引っ張るわけにはいかないわ。みんなについていけるってところ見せなきゃ!)
「ここで折れたら武士の恥ぜよ!息絶えるわけにはいかんけい!」
「なんでパン作りで命懸けてんだよ」
千夜の世迷い言にツッコミを入れながらこねること数十分。そろそろ固まってきたパンを1時間程度ねかせる。
1時間ねかせた後は、パンを自分達の好きな形に作っていく。みんなよりどりみどりだ。
「チノちゃんはどんな形にしたの?」
チノのパンを見てみると、どこか老人のような顔をしたパンを作っていた。
「おじいちゃんです。コーヒーを容れる姿には尊敬していました......ではこれから、おじいちゃんを焼きます」
よく分からないが、ティっピーが何か嘆いているな。
む......むごい............。
後に、出来上がったパンをみんなで試食してみたが、ココアの作ったティッピーパンが美味しかった。ただ、中にジャムを入れていたせいか、なんかエグいことになっていたのはご愛嬌。
そして、パン作りの後は皆で千夜の店に向かったみたいだけど、俺は行かずに一人で部屋に篭り、新しく購入したテレビゲームを堪能していた。
文章は少し大めにしたと自分は思っております。なにとぞご慈悲を......!
少しはしょってしまいすみません......。じ、次回からはちゃんとやるんでぇ!
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