フランスの地で悠馬たちの前に出現した謎のバイク。
しかし、悠馬はそのバイクを見た途端脳裏に映像が流れていた。
瓦礫の山となった町の中、怪人や怪物がはびこり人々は怯え逃げまどっている。
また、怪人や怪物は人を襲うだけでなく共食いをしながら街を破壊していた。
(なんだ、これは?)
そんな中、一人の少女が街の中を走り回っていた。
死にたくない、という一心で怪人や怪物から逃げていたのだ。
そんな少女の前にバイクに乗る男が通りかかり、少女の目の前で止まる。
(あれは!?)
男は悠馬と同じようにピンクを基調に黒のラインが入った鎧を身に纏っていた。
(俺が変身したのと同じ姿だ。
一体誰が?)
そしてバイクも同色でまるで、その男専用のバイクに思えた。
『乗れ、□□□□□!!』
『○○○君!?
その姿は!?』
男と少女はお互いに名前を呼びあう。
しかし、どういうわけか悠馬には聞こえなかった。
(なんなんだ?
あの二人、今なんて言ったんだ?)
悠馬が困惑している間に、男は少女を強引にバイクの後ろ座席に座らせその場を速やかに去った。
(あの男は一体?)
悠馬が考えている時に映像が真っ暗になり、現実に戻る。
「今のは一体?」
「先輩、大丈夫ですか?
ぼおーっとしてるみたいですが」
マシュが心配そうに声を掛けてきたので悠馬が我に返る。
「何でもない目の前のバイクを見て驚いてただけだ。
とにかく、今はあの火が出てるところに向かうぞ!!」
「え?
あ、はい!
でも先輩、なぜそのバイクに近づこうとしているのですか?」
悠馬がバイクにためらいもなしに歩み寄っていくことにマシュは疑問を抱き質問する。
「わからない。
でも、なんとなく俺のバイクだから、っていう風に思うんだ」
「先輩ってバイク乗れるのですか!?」
「乗ったことないけど、今はこれに乗っていった方が早いと思うんだ。
マシュも乗るぞ!」
「え、ですがヨシヒコさんたちはどうするんですか?」
「あ、そうだしまった!」
悠馬が乗ろうとしているバイクは見た感じだと二人乗りが限界だった。
しかし、メレブは不敵な笑みを浮かべる。
「ふふ、そんなことは気にしなくても俺たちにはそれに代わるものがあるのだ、マスターにマシュ」
「代わるもの?」
「それって何ですかメレブさん?」
「メレブさん、また新しい呪文が使えるようになったのですか!?」
ヨシヒコはキラキラした目でメレブに問いかける。
しかしメレブは不敵な笑みを浮かべながら首を横に振り、懐に手を入れて探り出した。
「今回は期待しているところ申し訳ないがヨシヒコ、呪文ではなく昔俺たちが使ってた道具の披露だ!
これを使えばバイクがなくても長距離移動ができるのだ」
メレブは懐からあるものを取り出す。
それはバスマット、どこにでもあるバスマットだった。
「っ!!
そ、それは!」
「ヨシヒコ、お前このバスマットのこと知ってるのか?」
悠馬はヨシヒコに質問するが、ヨシヒコは驚いたまま答えようとせず、代わりにメレブが答える。
「マスター、これはかつて我々が魔王の居城に向かう時に使った魔法の絨毯だ。
これを使えば我々は長距離を素早く移動することができるのだ」
「つーか、何でお前がそれ持ってんだよ?」
「ムラサキ、それはわからないんだ。
とにかくこれに乗るぞ!」
「よし、俺たちも乗るぞ!
ヨシヒコ、お前も行くぞ!」
「は、はい!
行きましょう!!」
ヨシヒコたちが魔法の絨毯と呼ばれるバスマットのようなものに四人で乗る。
どう見ても四人が一枚の魔法の絨毯に乗っているところを見ると誰かが落ちそうで不安なのか、マシュが悠馬に尋ねる。
「先輩、あれって大丈夫ですか?」
「さあな、かつてって言ってたから何とか乗れてんじゃないのか?
とにかく、俺たちも急ぐぞ、マシュ、フォウ!!」
「は、はい!
フォウさん、しっかりつかまっていてくださいね」
「フォーウ!」
マシュは手に持っている盾の中にいるフォウに声を掛けてから悠馬と一緒にバイクに乗り、悠馬はまるでやり方がわかっているかのようにバイクを走らせ、ヨシヒコたちは魔法の絨毯を浮かして悠馬たちのバイクの後を追うように動かす。
現代とは違って森に囲まれ道路や平地などが普及していないとはいえ、まるで揺れを感じることなく、バイクは走る。
(初めて乗ったのに、何で俺はこのバイクの使い方がわかるんだ?
さっき頭の中に流れ込んだあの映像や俺と同じ鎧姿の男といい、一体何なんだ?)
悠馬はバイクを運転しながら思う。
確かに何となくこのバイクは自分のものだと思った、しかしそれがなぜなのかということがわからなかった。
もっと疑問に思っていることはバイクを見た瞬間の謎の映像だ。
このバイクに乗っていた男は自分が変身したときと同じ姿であったことであり、その男は何者でなぜ自分と同じ姿なのか、自分と何か関係があるのかと疑問に思った。
ふと、そんなことを考えている時にマシュが正面に指を指す。
「先輩、見えました!
街が焼け野原になっています!」
「ちっ、遅かったか・・・!」
森を抜けて悠馬たちは素早くバイクと絨毯から降りて街に入り、街の状況を見る。
「こ、これは・・・」
「ああ、ひどい有様だ」
「そんな、私たちは間に合わなかったのか?」
「くっ、何たることか!」
「な、何だよこれ・・・!?」
「こういうことってあるのか?」
「フォーウ・・・」
悠馬たちは街の状況を見て驚愕する。
街は焼け野原になっており、家屋があったと思われる土地は瓦礫の山になっておりとても人間がやったとは思えないような状態だった。
「一体何が誰がこんな・・・」
「おい、また来たぞ!」
悠馬がつぶやくと焼け野原と瓦礫の山となった街の中から、一人の兵士が出てきて悠馬たちを見た途端、瓦礫の山に目掛けて大声を上げる。
すると、瓦礫の中から何人もの兵士が悠馬たちと速やかに囲みだす。
「おいおい、いきなり何なんだアンタら!」
「だまれ、貴様らも竜の魔女の手先だろ!!」
「竜の魔女?」
「しらばっくれるか、皆こいつを捕えるぞ!」
「「「おおおお!!!!」」」
兵士は聞く耳を持たんとばかりに取り巻きの兵士に号令を送り武器を構えて悠馬たちに襲い掛かる。
「先輩、このままだと危険です!
どうか指示を!」
「私たちもお願いします、マスター!」
「わかった、皆この兵士たちを殺さないようにしてくれ!」
悠馬は指示を出した途端マシュたちは動き出し、兵士たちを次々と叩きのめし気を
失わせていく。
具体的には、ダンジョーが拳でマシュが盾で殴りつけてヨシヒコは剣で兵士たちを斬っていく。
なぜかヨシヒコの剣で斬られたものは傷口一つもなく気を失っているが。
また、メレブとムラサキは戦うどころか避けることに専念していた。
「な、なんだこいつら!?
化けもんじゃないのか!?」
取り巻きの兵士に号令をしていた兵士は腰を抜かしながらつぶやく。
「俺たちは化けもんじゃないよ。
それで、竜の魔女の手先ってのはどういうことなんだ?」
「く、来るな!!」
悠馬は兵士に聞こうとするが、兵士はすぐさま立ち上がり街の奥に逃げていった。
「ふん、他愛のないやつだ。」
「マスター、今のは一体何でしょうか?」
「わからないけど、竜の魔女っていうのも気になるし追いかけるぞ!」
悠馬たちは兵士が逃げた道を後を追うように走る。
すると、奥から悲鳴が聞こえてきた。
「先輩、今のは!」
「ああ、何かいるみたいだ!」
悠馬たちは足を急がせ奥へと突き進む。
すると、複数の竜が空を飛び人を襲っている光景が見えてきた。
「こんな時代に竜なんているのか!?」
「先輩、驚くにはわかりますが兵士たちを助けましょう!」
「ああ、行こう!」
悠馬はベルトを腰に巻き付けカードケースからカードを取り出す。
「相手はどう考えても普通じゃない!
俺も行かせてもらうぞ、変身!!」
『KAMEN RIDE DECADE!!』
悠馬はカードをベルトの中に挿入し、ピンク色の鎧姿に変身した。
「ムラサキとメレブは人々の避難を頼む!
ここは俺たちが食い止める!!」
「頼まれたよ!!」
「マスターたちも無事でな!」
ムラサキとメレブは竜から逃げ惑う人々のところへ向かい、悠馬、マシュ、ヨシヒコ、ダンジョーは竜たちに体を向ける。
「よし、行くぞ!」
「了解です、先輩!」
「はい、私も勇者として竜を退治して見せます!!」
「その翼、切り裂いてくれるわ!」
悠馬たちは武器を構えて竜たちに攻撃を仕掛ける。
「皆、早く逃げて!」
「あの竜は俺たちの仲間がどうにかしてくれる!
だから逃げろ!」
メレブとムラサキは人々の避難させようとするが、皆腰を抜かしているのか動けずにいた。
「くっ、これじゃあ埒が明かないよ!」
「すぐに嘆くなよ、ムラサキ!」
「ええそうです。
こんな状況で嘆いていても何も変わりません、ですから戦える人は立ち上がってあの人たちとともに戦ってください!」
メレブとムラサキが言い合っている時に一人の少女が奥から姿を現し、人々の前に立つ。
その少女は膝まで届く長さの金色の髪を三つ編みに束ね、修道服と鎧を掛け合わせた服を身に纏い、手には大きな旗が握られていた。
「え、だれ?」
「自己紹介はあとでします。
皆さん、どうかあの人たちと一緒に戦ってください!
そうすれば、主はあなた方を導きます!」
金色の髪の少女の言葉を聞いた人々の中から何人かが立ち上がる。
「そ、そうだな。
こんなところで、それもあんなよくわからねえ連中にいいところ取られちまうのはなぁ・・・」
「よし、皆行くぞ!」
立ち上がった人々は武器を持ち、金髪の少女に先導されるように悠馬たちの下へ走る。
「すみません、そこの皆様!
我々も力になります!」
「はあ!?
相手は竜だぞ!」
悠馬は金髪の少女に言われて驚いたが、今はそれを咎めている場合ではないと判断したのかすぐに首を横に振る。
「わかった、なるべく気を付けてくれよ!」
「はい、主の導きがあらんことを!」
悠馬たちは金髪の少女と共に竜と戦う。
しかし、この時の悠馬たちは知らなかった。
その金髪の少女がサーヴァントであることを。