今回はキャスターの兄貴が登場します。
それでは始まります。
「はぁ・・・はぁ・・・。」
悠馬たちは何とかシャドウサーヴァントに見つからずに教会をあとにすることができた。今は焼き払われた街の中央にある大きな橋のちかくで身を隠していた。
「はぁ・・・、みんな大丈夫か?」
「はい、所長もフォウさんも無事です。」
「・・・それで、まだ聖杯にたどり着かないの?」
『距離的にはまだです。今はシャドウサーヴァントから逃げながらなので、なおさらです。』
「そう・・・。」
遠回しに聖杯のある場所にたどり着くにはシャドウサーヴァントをうまくかわしていかないといけないことをドクターロマンから告げられ落胆するオルガマリー所長。しかし、自分たちは何としてでも聖杯のある場所に向かって原因を取り除かなければならないのだとそれぞれが思っていた。その時である。
「見ツケタゾ・・・!」
「全ク、手間ヲカケサセテクレル!」
いきなり声が聞こえてきたので悠馬たちは声が聞こえた方向に目を向ける。そこにいたのは。
「シャドウサーヴァント・・・っ!?」
「とうとう、見つかってしまいましたか・・・っ!」
突然現れた二体のシャドウサーヴァントに悠馬とマシュは身を構える。この二体のシャドウサーヴァントは先の教会で戦った骨の奴とは雰囲気が違う。おそらく、長期戦を強いられる相手だろうと悠馬とマシュは考える。
「マシュ、ここは戦うしかないみたいだ。行けるか?」
「はい!マシュ・キリエライト、行きます!!」
マシュはそう言って敵に突っ込んでいく。
「所長!今のうちにフォウさんと一緒に安全な場所に安全な隠れていてください!!」
「わかったわ!ほら、こっちに来なさい!」
「フォーウ!」
オルガマリー所長はフォウを抱えて後ろに下がる。そして、悠馬はて敵のほうに向きを変える。しかし、状況はこちらが圧倒的に不利だった。2対1の戦闘をしている上に二体とも動きが素早かった。しかし、マシュは戦いのなかでこの二体のシャドウサーヴァントのクラスを見抜いた。
「先輩!この二体のシャドウサーヴァント、武器や戦い方から見てそれぞれランサーとアサシンだと思われます!」
「えっ!?わかるのか、マシュ!」
「はい!片方は薙刀と思われる長物の武器を使っていて、もう片方は素早い身のこなしにナイフのような武器を使って急所を狙ってきています!ですのでランサーとアサシンだと思われます!」
「・・・!!そうなのか!」
悠馬は言われてはっとした。確かによく見ればそうだった。片方は日本の僧兵を思わせるような見た目で薙刀をもっていて、もう片方は全身を黒い布の覆っていて短いナイフを手に持っていた。どちらも黒い靄に覆われていた間違いなかった。
「ホウ、アレダケ不利ニナッテイタトイウノニヨクソコマデ見破ッタナ・・・。」
「ダガ、見破ッタ所デドウスルコトモデキン、コンナ風ニナ!!」
そういってアサシンは素早い動きでマシュに向かう。しかし、マシュに攻撃すことなくすり抜けてしまった。アサシンはそのまま悠馬を組み伏せ首元にナイフを突きつける。
「なっ!?」
「先輩!!」
「オット、ソコカラ一歩モ近ヅクナヨ。マスターノ命ガ惜シイダロウ?」
「くっ・・・!」
「マシュ!後ろを気を付けろ!!」
「えっ?きゃあ!?」
いきなり後ろから衝撃が走り、マシュは受け身を取れず吹っ飛ばされてまう。
「儂ノコトモ忘レルナヨ?」
ランサーが薙刀の刃先をマシュに向ける。そしてそのまま少しずつマシュに近づいていく。
「マシュ!俺のことはいい、早く所長とフォウさんを連れて逃げろ!」
「でも、そんなことをしたら先輩が・・・っ!」
「逃ガサン!」
「マシュぅぅぅぅぅぅぅぅ!!」
ランサーの薙刀が振り下ろされようとした次の瞬間、どこからか二つの火の玉が飛んできてランサーとアサシンを吹き飛ばす。
「ヌウ!?」
「ナニ!?」
距離を離すことができたので悠馬はアサシンから解放された
「先輩!大丈夫ですか!?」
「・・・ああ、大丈夫だ。でも今のは・・・。」
「2対1で戦ったうえでマスターを人質に取るとは、そこまで堕ちたのかよ。」
悠馬とマシュは声の方向に振り向く。そこにいたのは青いフードをかぶった青髪の男だった。ただ、手に持っている文字らしきものが先端に刻まれた杖を持っていてただものではないことは明らかだった。おそらく二人を助けてくれたのはこの男だろう。
「何者ダ、貴様ハ!!」
「はっ!てめえらに名乗る名前なんぞねえよ、狂ったサーヴァント共め。」
「ナンダト・・・!」
男はランサーとアサシンに挑発する。そして男は悠馬たちに振り向き手を差し伸べる。
「おら、立てるかよ。坊主に嬢ちゃん。今から俺も加勢して戦ってやる。」
「お前は一体・・・。」
「話はあとだ。少なくともキャスターだと言わせてもらうぜ。とにかくあいつらを倒すぞ!」
「・・・ああ!行けるか、マシュ!!」
「はい!いつでも行けます!」
悠馬とマシュは立ち上がりキャスターと名乗る男と一緒にランサーとアサシンと戦うことにした。
「マシュ!ランサーを押さえてくれ!キャスターはアサシンを!」
「了解です!」
「ああ・・・!」
悠馬はマシュとキャスターに指示をし、マシュがランサーに盾を向けて突っ込んでいく。
「ムッ!!」
「さっきのようにはいきませんよ!!」
「バカメ、私ガイルノヲ・・・。グアァッ!!?」
アサシンがマシュに攻撃を仕掛けようとしたときに行く手をキャスターの炎が遮る。
「おいおい、お前の相手は俺だぜ?」
キャスターはそう言ってほくそえみながら杖を構える。
「オノレ、ヨクモ邪魔ヲ!!!」
アサシンは怒りに任せてキャスターにナイフを投てきする。しかしそれが届く前にキャスターが炎で焼き尽くす。
「ナッ!?」
「それ、お返しだ!アンサズっ!!」
キャスターが呪文を唱えて杖を振るい炎を吹き出し、アサシンは為すすべもなく炎で焼き尽くされる。
「ガ八ッ!!!」
「どうだい、俺の魔術の焼き加減は・・・ってもう聞こえねえか。おっと嬢ちゃんのほうももうすぐ終わりそうだな。」
アサシンが倒れ消滅したことを確認したキャスターがマシュのほうを見る。
「てやっ!」
「グウ・・・!調子ニ乗ルナ小娘!!!」
形成を逆転されて苛立ちを覚えたランサーは勢いよく薙刀をマシュに目掛けて勢いよく振り下ろす。しかし、その攻撃をよけられ薙刀は地面に深々と突き刺さる。
「今だ!そのままとどめさせっ!」
「シマッ!?」
「これで、終わりです!」
悠馬の声でマシュは勢いよくジャンプし、盾の縁の部分を向けてランサーに目掛けて振り下ろし、ランサーの胴体をたたきつけた。
「グハァッ!!」
「戦闘終了です、何とかなりましたね、先輩。」
ランサーの消滅を確認した後で悠馬に言う。
「ああ、よくやってくれたよマシュ。それとありがとうキャスター、もし来てくれてなかったら俺たちはあのままやられてたかもしれなかったよ。俺は門矢悠馬、こっちはマシュ・キリエライトって言うんだ。よろしく。」
悠馬はそう言ってキャスターに手を出して握手をしようとする。しかしキャスターは照れ臭そうにしてそれを断った。
「よせやい、俺はただお前らが健気に戦っているのを見て放っておけなかっただけだ・・・。まあ、代わりに俺の真名を教えてやるよ、お前らが先に自己紹介したからよ。俺の真名はクー・フーリンだ。今回の聖杯戦争でキャスターとして召喚されたサーヴァントだ。」
「クー・フーリン!?アイルランドの光の御子ですか!?」
マシュは驚いたように叫ぶ。
「ああ、そうだ。まあ俺としてはランサーとして召喚されたかったがな・・・。」
キャスター、クー・フーリンは恥ずかしそうに頬を掻きながら言う。
「ん?なあマシュ、サーヴァントって複数のクラスを持っているのか?」
「はい。サーヴァントには様々な伝承の中で様々な武器を使っていたり、魔術にも精通している方がいますのでそれはありえます。もっとも一つの聖杯戦争で一人のサーヴァントに複数のクラスを持って召喚されることはありませんけどね。」
「へえ、サーヴァントにも色々あるんだ・・・。あっ、マシュ。もう戦闘も終わったし所長たちを呼んできてくれるか?」
「わかりました。すぐに呼んできます。」
マシュはオルガマリー所長とフォウを呼びにその場を離れた。
「なんだ、お前ら以外にも人いたのかよ。そういえば坊主、お前が懐に持っているのはそれは一体何なんだ?さっきからお前のそれから不思議な力を感じて仕方ねえんだ。よかったら、見せてくれると助かるんだが・・・。」
「え?これのことか?」
悠馬は服のポケットの中からバックルとカードケースを取り出し、クー・フーリンにそれらを見せる。
「ああこいつらだ、さっきから感じてた不思議な力は。それにしてもこの力、今まで感じたことのねえやつだ。坊主、お前どこでこれを手に入れたんだ?」
「この時代の教会で見つけたんだよ。俺も最初はなんでこんなものを拾ったのかはよくわからなかったんだ。でも何となくこれは俺にとって必要なもの、俺が持っていないといけないって思ったんだ。」
「へえ、そうかよ。まあ、俺もそう思うぜ。これはほかの奴らが持つよりも、お前が持っておいた良いってな。今のところはまだ何とも言えないが近いうちお前はこれを使う時が来るだろうから大事にしときな。」
「・・・ああ、ありがとう。」
そう言って悠馬はバックルとカードケースをポケットの中に入れる。その時にマシュの声が聞こえた。
「先輩!呼んできましたよ!」
「わかった!今合流する!行こう、クー・フーリン。」
「ああ、行くか。」
こうしてマシュたちと合流した悠馬はクー・フーリンという新しいサーヴァントと一時的に契約することでともに聖杯のある場所に向かうことにした。
そしてのちに聖杯のある場所で悠馬はバックルとカードケースを使うことになるとはこの時には思いもしなかった。
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