「いやぁ……困った」
先程から一向に動く気配の無い電車の中、今日がデュエルアカデミアの入学試験じゃなかったらまったく問題なかったのだが……どうしようか、アカデミアでトップ取ってこなきゃウチには入れないとか言われてるんだよなぁ……待てよ、電車が動いてないんだったら……。
思いつくや否や、オレは一気に窓を全開にして飛び降りた。周りの乗客が唖然としているが気にしないことにした。
「まったく、何てことをしてくれたのよ」
「すみません、みどりさん」
「先生を付けなさい」
そういって拳骨を落としてきたのは響みどり先生、両親の昔馴染みでオレ自身もよくお世話になった人だ。この人も凄いが弟さんも凄い、なんたってプロデュエリストの響紅葉さんといえば知らない人は居ないほど……。
「はぁ……まさか、動いていないからって止まっている電車から飛び降りて警察と鬼ごっこしながら来るとはね……」
「警察は偶然ですって、ほんと」
嘆息しながらそう言うみどりさんにそう反論するも、再び鉄拳制裁で黙らさせられた。
「もう良いわよ、それより里桜が実技試験中よ」
え、里桜が?そう思い会場を覗き込むと確かに彼女が試験をしていた。桃色の髪をたなびかせながら、カードを操る様は一般的な可愛い系の女子というよりはカッコいい系統だと思った。
「そういえば里桜って筆記何番だったんですか?」
「2番よ、あんたら二人ともう一人はほとんど点数に変わりは無いわ」
「へぇ、オレらの知識に及ぶヤツが居たのか」
そこまで言うとみどりさんは呆れたのか、大きく溜息をついた。
「それより、デッキの準備は出来てるわよね?」
へっ、みどりさんの方を見るともう一人男性が立っていた。まさか……
「実技試験ですか?」
「そうよ里桜はもう終わるからね、準備しておきなさいよ」
そこまで言って、みどりさんはオレの前から姿を消した。
「勝者、試験番号2番の桜咲 里桜(さくらざき りお)」
「ありがとうございました」
里桜の相手をしていた試験官は歯噛みをしながら、次の相手であるオレを見据えている。おいおい……オレは関係ないぞ、とこの時だけは本当に言いたかった。
「次、試験番号1番の柊木 恭賀(ひいらぎ きょうが)」
「はい」
こうして、オレの試験が幕を開けた。
To be continue……