提督LOVEな艦娘たちの短編集   作:あーふぁ

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59.ゴトランド『幸福のロッキングチェア』

 ノルウェー育ちの私にはとても暑く、じめじめとした息苦しい日本の夏が終わり、涼しい秋が始まってきた9月後半。

 段々と涼しくなってきたけど、今日のように雲が少なく太陽がさんさんと照らしてくる海の上だと水面の照り返しでまだまだ暑さが辛い時期。

 私ことゴトランドは軽巡洋艦の神通と1対1の演習を終え、提督の元へレポートを届けるために歩いている。

 演習で汚れた制服は整え、紫がかっている青い髪もクシを通して汗も拭いた。もちろん制汗スプレーも使って。

 提督の前に行くんだから、きちんとしなきゃいけないし。変な姿を見せて好感度が下がったら大変だから。

 そうして見た目を良くしてから私は提督がいる執務室にへと向かい、暑さのせいか、風通りをよくするために扉を全開で開け放っている部屋の前へと着く。

 その執務室は、エアコンがなく広くもない部屋に本棚がたくさんある。

 本棚には仕事と趣味の本(提督が言うには1000冊ぐらい)がぎっしりと詰め込まれていて、執務室の隅っこには執務机がある。

 

 その部屋の主である提督は机の前にはいなく、キャスター付きのひじ掛けがない椅子を本棚にくっつけて固定し、白色の軍服を着ている提督は哲学書を読んでいた。

 補給基地であるここは、秘書の子がいなくても仕事が1人でできるぐらいに人員が少ない。だから、今のように仕事の隙間ができたときは本を読んでいる。

 仕事の時間中だけど、やることがないなら趣味をやっていてもいいと今の私は許している。出会った頃の私なら、不真面目だと怒っていたけれど。

 それに私は提督の本を読んでいる姿が好き。

 その理由はこういうリラックスをするのがそれほど見ることができないから。

 彼が提督となった時から、最初の部下である艦娘となって今年で5年が経つ。

 仕事に関してはすごく真面目な提督の表情はあんまり変わることはなく、そのぶん今のリラックスしている姿には見惚れてしまう。

 そして一緒に過ごしていくうちに、あまり変わらないけど色々な表情を見ていくほど好きになった。一緒にいて落ち着く、体の線が細く守ってあげたいという理由もあるけれど。

 

 そんな私にとっては魅力的な提督がこっちに気づくまでは、その姿を見ていようと思った途端、椅子に座っている提督が顔をしかめて椅子の座る姿勢を変えた。

 あの椅子はつい先日、壊れた椅子の代わりに新しく買ったオフィスチェアが原因になっていると思う。

 見た感じ、どうにも気に入っていないみたい。リラックスはしているけど、時々座り辛そうになるのが見ていられない。

 だから、集中していない今なら邪魔にならないと思って私は開いているドアをコンコンと軽くノックすると、提督は私に気づいて笑みを浮かべてくれる。

 この瞬間、私だけを見てくれているというのが嬉しくて、私も同じように笑みを浮かべてしまう。

 

「レポートを持ってきたのだけど、入っていいかしら?」

「ゴトランドなら、いつ来たって問題ないさ」

「あら。そんな嬉しいことを言っていると、ゴトは勘違いして襲っちゃうわよ?」

「お前は強引にする子じゃないと知っているぞ?」

 

 私の性格を知り、私に信頼を置いてくれるのはすっごく嬉しい。

 笑みを浮かべながら提督の前に行ってレポートを渡すと、提督は読んでいた小説を膝の上に置いてレポートを読み始める。

 そんな中、私はさっきから気になっていることを聞く。

 

「椅子、使いづらいの?」

「ん、あぁ。肘置きもなく、座面は固いしキャスターで転がりすぎるのがよくない。……よくないんだが、支給申請したばかりだからなぁ」

「提督の権限で補給物資を接収もできるのに」

「補給拠点を任されているんだ。そんな物資の横領なんてしたら、罪悪感で精神が病んでしまいそうだ」

「ふふっ、そんな仕事に真面目な提督が私は好きよ」

「俺も心配してくれるゴトのことを好きだぞ」

 

 提督は読んでいるレポートを途中で止め、私たちはお互いに好きだといって相思相愛を確認する。

 でもこれは恋愛感情じゃない。私はそうだけど、提督からは友人という意味だ。

 いつか、友人から恋人へと感情を上にあげるのが現在の目標だ。

 でも、友人としか思ってくれなくても好きと言ってくれるのは嬉しく、つい提督の首筋あたりまで伸ばしている黒くまっすぐな髪を撫でてしまう。

 こうすることで高ぶった気持ちを抑えることができる。……時々、ぎゅって強く抱きしめたくなるけど、それにはまだ少しだけ早い。

 そうやって提督と少しじゃれあったあとに、用事を終えた私はまだじゃれていたいけど読書の邪魔をしたくなて執務室から出ていく。

 

 艦娘寮の自分だけが使っている一室に戻ると、あとは待機時間。

 でも出撃命令が来るまでは自由だから、今日は何をしようかと部屋にあるベッドに座って考えた瞬間にひらめいた。

 提督の椅子を私が作ればいいじゃない! と、そんな名案が浮かぶと一気にテンションが上がってしまう。

 あげる理由は普段からお世話になっているし、提督たるもの良い椅子を使わなきゃいけないと思うから。

 やることが決まったら、まずはどういった椅子を作ろう?

 私が趣味でやっている木工は箸やスプーンといった小物を作ることしかしていない。

 未経験で小物と比べて大きい椅子を作るのはあきらめようとするけど、好きな人のために頑張ろうと思う。

 知らないのなら、今から知って学んでいけばいいんだし。

 

 そうして覚悟を決めたところで提督に似合う椅子は何かと考える。それと同時に私が使って欲しい椅子の理想も少しだけ付け足して。

 提督に必要な要素は本を読むのに必要なひじ掛けに、座り心地を求める台座。がっしりとした安定感のある重さと強度が必要。

 それから椅子の種類を選ぶと、重ね積みができて収納にも便利なスタッキングチェア。

 シンプルにひじ掛けがあるアームチェア、リラックスできるけど本を読むのには不便そうに思えるイージーチェア。

 そして私の最推しであるロッキングチェア。

 ロッキングチェアは椅子の足にカーブしたソリの形状をした部品がついていて、重心を動かせば揺れる椅子。また、背もたれも高くて体をすっかり預けられて長時間座りやすい。

 

 私が好みのデザインを買ってプレゼントすれば、今日にでもできるけど、やっぱり自分の作った物を好きな人に使って欲しいという想いがある。

 そして、自分の作った椅子に提督がずっと使ってくれれば、それはもう結婚したのと同じでしょう?

 あ、さすがにそれは感情が行き過ぎたかしら。正しく言うのなら、恋人も同然というところね。女性からのプレゼントを使うのなら。

 

 そうして段々と素敵な未来を夢見て気分が良くなってくるけれど、実際に椅子が作れるかは難しいところ。

 時間をかければ、そのうちに技術は習得できるけれども提督のためを思えば、冬になるまでの2か月以内には作りたいなと思う。

 それとも自分の理想を求めるよりは、既製品を買ったほうがいいのかな。でも、私の気持ちを伝えるなら手づくりの物をあげたいという気持ちも強い。

 

 ……こういう、どちらを選んでもいい結果になるだろうという時はひとりで悩んでも解決しない。

 このまま悩み続けるよりも、仲がいいガングートに相談したほうがいいと思った。

 ガングートの予定は非番で部屋にいるはずだし、悩んだままよりはすぐに行動するべきね。

 そう判断した私は部屋を出ると隣の部屋のドアを軽くノックする。

 すると中から「あぁ、入っていいぞ」と少し苦しそうな返事が来たのでそっとドアを開ける。

 部屋の中央では、制服である黒いズボンとはだけた赤いシャツを着ているガングートが汗を流しながら片手で腕立て伏せしている途中だった。

 休みなのに、筋トレだなんて熱心ねと感心しながら部屋に入るとガングートはその場であぐらになって座ると私を見上げてくる。

 

「一緒に筋トレでもするか?」

「あなたと違って、筋トレバカじゃないからしません」

 

 ガングートの匂いがこもる部屋で、私はあきれたため息をついてからガングートの前で正座をして同じように座る。

 私より大柄で背中まである綺麗な銀髪で、胸が大きく大人の色気を持つガングート。

 彼女は私の次に提督と仲がいい子。男と女として仲がいいわけじゃなく、なんだか男同士という感じに私は見える。

 でもロシア語を提督がわからないからと言って、時々愛の言葉をささやくのは許せないけど。

 と、恋のライバルであっても数少ない海外艦娘同士であり、提督のことを除けば面倒見がよくさっぱりした性格に私は好感を持っている。

 

「普段は部屋まで来ないお前が来たんだ。悩み事でもあるのか?」

「ええ。あなたになら相談できるから」

「それは嬉しいな。私で役に立てるなら相談に乗ろう」

 

 にんまりと自信ある笑みを浮かべるガングートに、彼女なら私の悩みが解決できるかもと希望の光を持つ。

 そんなガングートに私は悩みを言った。

 提督が今の椅子に不満があるみたいだからプレゼントしたいけど、それは愛情を込めた手作りか、すぐに悩みを解決するために既製品を送るかということを。

 ガングートは私が提督に恋心を持っているのを知っていて、それを前提として1分ほど悩んだ彼女はすっきりとした表情で口を開いた。

 

「なら、私も何か手作りをやるか」

 

 そんな言葉を聞いて、ついガングートの頬を軽くとはいえ、平手で叩いた私は悪くないと思う。

 悪いわけがない。

 急に叩かれたのか、私ににらまれているガングートは私に視線を合わせないようにして早口で言い訳を始める。

 

「私もあいつには世話になっているから感謝の気持ちとして手作りを贈っても問題ないと思ってな!?」

「ふぅん……それで私の真似をするという結論に?」

「ほら、私とあいつは親友だからな! お前のように感謝の気持ちとかなんかを表現したくてな? 誕生日ではないが、別にいいだろう!?」

「そういう理由だけなら、いいと思うけど」

 

 ため息をついて言う私の言葉を聞き、ガングートは安心したように疲れた笑みを私に向ける。

 ガングートが言ったとおりの意味でなら私は許してあげる。でもね、だからこそ聞かなきゃいけないことがあるの。

 

「ねぇ、ガングート。あなたがロシア語で愛の言葉を提督に言っているのを私は知っているのよ?」

「…………あいつの隣は居心地がよくてな。ずっと一緒にいたくなるんだ

「そうね、私もそれには同意見よ。私とあなたは仲のいい友達だけど、提督のことだけは譲れないの」

「だが、あいつが恋人を選ぶのは自由だろう?」

「そうね。でも、私が悩みを相談したのに助言もなく、同じことをしようとするのは許せないの。それに……」

 

 私は膝立ちになってガングートへ2歩近づき、耳元に口を寄せてはいらだちを乗せた小声でささやく。

 

「ゴトの好きな人を奪おうとするのなら、相応の覚悟をすることね」

 

 そう言うと硬直して動かないガングートの頬を撫でると、私は満面の笑みを浮かべてからゆっくりとガングートの部屋を出ていく。

 そして思う。

 やっぱり大事なことは時間がかかっても自分の中でゆっくり考えないとダメね、ということを。

 誰かに意見を聞くのもいいけど、一番は自分が相手のことを考えて何が嬉しいことかを考えること。

 

 そうなると、やっぱり手作りがいいと思う。

 時間はかかるし、作っている間に提督が新しい椅子を買って、私がプレゼントする意味がなくなるかもしれない。

 だとしても私はあの人のために、作ってあげたいと強く思う。

 

 そうと決まれば行動しなきゃ。

 椅子を手作りすると決まれば、まずは場所の確保。今までみたいに自分の部屋で木工をするのとは規模が違うから。

 私はすぐに提督のところへ行き、趣味でやっている木工の規模を大きくしたいから部屋を貸してくれない? とお願いするとすぐに「いいよ」と返事が返ってきた。

 その場所は私たちは6年ほど前まで軍の人が使っていた、小さくて古い寮の一室。

 そこを見て、ここなら椅子を作る広さがあるし誰かに見られる心配もない。

 明日からは充実した日々を送れると確信した私は、とても満足して部屋に戻ると椅子の設計や仕事の予定でどれくらい作業時間が取れるか考えていく。

 

 翌日からは椅子の作業を進めていくぞ! と思うけれど、優先されるのは本業である艦娘の仕事。

 訓練、輸送、護衛、巡回という仕事を終えてから、私はこつこつと椅子作りの計画を考えていく。

 椅子を手作りするにあたって、はじめは直線的で作りやすい木製の椅子をやろうと思っていた。

 でも提督に使って欲しい椅子の理想はロッキングチェア!

 椅子にゆらゆらと揺られながら、あのリラックスした顔を見られるのなら私はなんだってやれる!

 それぐらいに情熱はある。でも、だからこそできない部分は作らない。

 ロッキングチェアの足の下にある板。あの曲がっている部分が同じ具合に曲がっていないと、座っている人はとても気持ち悪くなる。

 木工をやってきた私だけれど、加工するととても困難。

 なら、どうすればいいか。

 

 答えは廃材利用をすること。

 いつだったか、倉庫に壊れたままのロッキングチェアがあったから、それを元に作っていこうと思う。

 倉庫から拾ってきたロッキングチェアの曲がっている板部分だけを取り、あとは破損しているので捨てる。

 その板の塗料を落とし、サンドペーパーで綺麗にする。

 そうしてから、ようやく設計に入れる。

 作るのはひじ掛けがあり、直線の木材で作れるアームチェアを元にし、曲がった板を取り付けたシンプルなロッキングチェア。

 それを元にして、A4ノートに提督がゆったりと座れる大きさの寸法をノートへと書いていく。

 想像すると見えてくるの。私が作った椅子に提督がゆったりと座り、リラックスしている姿が! そして、そんな提督の膝の上に乗っていちゃいちゃしたい。

 

 ……一緒に乗り心地を確かめるだという理由でいけると思うの。

 そういう妄想の活力を得て、私は2か月の時間をかけて木を丸ノコで切ってサンドペーパーで磨き、ニスで塗装しては組み立て上げた。

 座る部分の上には、外見に似合わず裁縫が得意なガングートの力を借りてウレタンがある革張りの物にすることができた。

 その代わりとして、私の次にプレゼントを贈っても怒らないという条件があったけど。

 まぁ、私のほうが女性として好まれていると思うからライバルに塩を送るということをしても問題ないからね!!

 

 

 満足できる椅子ができたのは、冬が始まって少ししてから完成した。

 2か月かけてできた椅子は自分で座っても満足の出来で、これを提督が気に入ってくれるといいなと思う。

 提督はいまだ椅子を買い替えていないから、渡したら受け取ってくれるに違いない。

 あとは渡すタイミングだけど……今にしよう。今。悩んでいたら、送るタイミングがなくなってしまう。

 

 そうと決まれば行動ね。

 決意した私は服の身だしなみを整えてから、ロッキングチェアを胸に抱えて執務室へと向かう。

 冬になった季節は、昼間の今でも寒い。特に海の上へ出撃した時には。その分、部屋にいるときは暖房を思い切り使って暖まっているけど。

 私たち艦娘寮の部屋はエアコンだけど、執務室はなんとおしゃれにも暖炉を使っている。

 あの部屋でソファーに提督と一緒に隣り合って座り、ぱちぱちと薪の燃えていく音を聞きながら一緒に読書をする時間なんて最高ね。

 そして、今これからはよりよい時間が演出できると確信している。

 

 そう、私が作ったロッキングチェアに揺られる提督の姿なんて最高だと思うの!

 そういう妄想しながらも、提督が嫌がらずに受け取ってくれるかという不安感がどうしてもやってくる。でも提督のために作ったのだから、どうしても受け取って欲しい。

 提督が椅子に座る妄想と受け取ってくれない緊張をしつつ、執務室の前へとやってくる。

 寒さを入れないために扉は閉まっているから私はノックをすると、すぐに返事が返ってくる。

 入っていい、とそう言われた私は椅子を持ったままドアノブを握って部屋に入り、すぐに扉を閉める。

 提督は私が椅子を作るきっかけになった日と同じように、紺色の軍服を着た提督が本棚に椅子をくっつけて読んでいた。

 暖炉の薪が燃える音しか聞こえてこない静かな時間。

 本を膝に置いて見つめてくる提督に見惚れてしまい、提督が声をかけてくるまで私は黙ったままだった。

 

「……ゴトランド?」

「え、あぁ、ごめんなさい。えっと、見てのとおり提督のためにプレゼントを持ってきたんだけど」

 

 不思議そうにする提督にそう言うと、私は持っていた手作りのロッキングチェアを提督の隣にいって静かに置く。

 提督は小説を椅子に置いて立ち上がると、ロッキングチェアをじっと熱いまなざしで見てから感心したような声をあげてくれた。

 

「これ、ゴトランドが作ったのか?」

「ええ。提督が椅子を買い替える予算を気にしていたようだから、趣味で椅子を作ろうと思っての」

「これはもらっていいのか?」

「ええ。そのために作ったもの」

 

 嬉しそうに提督が椅子に座ると、気に入ってくれるかが気になって私は緊張し、心臓の鼓動が早くなってくる。

 深く椅子に腰かけた提督は揺られ心地を確かめるかのように、椅子を揺らしながら目をつむっている。

 それが1分か2分ほど続くと、椅子を揺らすのをやめた提督は嬉しそうに笑みを浮かべた。

 私はその笑みで緊張がとけ、大きなため息をついて安心をした。

 

「気に入ったよ。ありがとう、ゴトランド」

「提督のためなら、ゴトはなんだってやりますよ」

「じゃあ、プレゼントのお返しをあげたいんだけど、何が欲しい?」

「提督と、あなたと一緒の椅子に座りたいかな」

 

 好きな人に何が欲しいと聞かれたら、即座にそう返事をした。

 でも、言ったあとから考えると1人用の椅子に対して一緒に座りたいって変態に思われるんじゃないかと思った。

 だって、つまりはね? その、提督の膝の上に座るってことでしょう?

 今までお互いに膝枕をしあった仲ではあるけど、相手の上に乗るなんてことは1度もなかった。

 だから言ったあとに後悔をした。けれど、提督はそれがなんともないかのように優しい笑みを浮かべてくれる。

 

「一緒に? 隣は無理だから……俺の上に座るか?」

「……いいの?」

「いいとも」

 

 私は提督の肩に手を置き、ゆっくりと膝の上へと乗っていく。そうしてすっかりと乗ったあとは体を後ろに倒し、体重を提督の背中へと預けた。

 そうして提督の暖かさや匂いを感じていると、そっと私のお腹へと両腕を回して押さえてくれる。

 

「落ちないようにしたかったんだけど、大丈夫か?」

「ええ! そのまま、手はそのままにしてね!」

 

 突然のことについ声が大きくなってしまい、おまけに耳元でささやいてくれるのなんて、もう最高。

 好きな男性の人に抱きしめてもらえるなんて、私死んでもいいわ、なんて思うほどに幸せだ。

 私は提督に後ろから抱きしめられながら、私の作ったロッキングチェアで一緒に揺られていく。

 この静かで幸せな時間がずっと続けばいいな、なんて思いながら。




pixivリクエストにて書いた作品です。
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