第00話〜退屈な日々〜
「俺が・・・この俺が・・・・・・未来を・・・変えてみせる!!」
「これで・・・全てが変わる・・・・・・。惑星ベジータ・・・・・・この俺・・・カカロット・・・・・・そして・・・・・・
貴様の運命も!!!!!!!!」
「本当に・・・・・・情けねぇ・・・俺に・・・もっと・・・力があれば・・・・・・あの時も!!」
「フリーザ・・・・・・チルド・・・・・・許せねぇ!!!!!!」
「どうなってる!?貴様・・・何者だ!?」
「俺は・・・・・・サイヤ人だ!!!くたばれ!!!!!!」
バーダックに、サイヤ人の邪心は既に無かった。破壊殺戮が、フリーザに良いように利用された事、仲間や故郷を破壊された事を思い出させるからだ。チルド達に破壊された村を見てると、どうにも嫌な事を思い出すので、修復を手伝った。家の再建に必要な石材を運んだり、新しく大地を削り、畑を作り直したりと力仕事が主になってる。ベリーとの関わりで、ここの種族に情が移ったのだろう。
噂をすれば・・・
「バーダックさーん!」
「ちっ・・・また来た・・・・・・」
バーダックがこの時代の惑星プラントに来た時から、ずっと住居として使ってきた洞窟に、この星の住民の子供ベリーがまたやって来た。基本的に一人で居たいバーダックだが・・・
「バーダックさん、今月分のお給料と、僕が作ったお菓子!一緒に食べようよ!」
仕事をすれば、もちろん給金が支給される。ましてや、バーダックの仕事内容は原住民には出来そうにない事ばかり。そこそこ良い値段が貰える。だが、なるべく他人との関係を持ちたく無かったバーダックは、ベリーに洞窟へ届けてもらう事にしている。正直に言って、破壊殺戮をしなくなっても、サイヤ人。ただ話し相手を作るだけでは退屈で仕方がない。時々トレーニングをしてはいるものの、実戦に勝るものは無い。退屈な惑星プラント生活の中、唯一話で時間を潰せる相手が、ベリーなのだ。他の連中は、バーダックを救世主と呼んでいるが、実際に目の前に来られると、少しすくんでしまうのだ。あの強大な力が、自分達にいつか向けられるのでは無いか。と、心の奥で密かに警戒している。だが、ベリーは、バーダックをもう一人の父親の様に慕っている。
「バーダックさん、今日学校で歴史を勉強したよ!この惑星は、他の星と比べても、重力が強いんだ。その重力の誕生を学んだんだけど・・・あ、そうだ!僕が他の星に行ったら、重力が弱い環境で暮らした人達よりは、強くなるのかな?バーダックさんは、ここの重力、どう感じてるの?」
「・・・・・・普通だな。俺の故郷もこの星と同じ位の重力だ・・・」
「うーん・・・じゃあ、バーダックさんの強さは元々か・・・凄いなぁ・・・」
バーダックは、他の星から宇宙船で宇宙を旅してると、事故に遭い、偶然この星に漂流したと嘘をついている。遠い未来、もしくは明日かもしれないが、惑星プラントの原住民を全滅させ、自分達の星に改造したツフル人、そして、そのツフル人を壊滅させ、宇宙中を荒らす種族サイヤ人がいつやって来るか分からない。そのサイヤ人の子孫が自分であるなんて、知られてしまえば、この星はパニックになり兼ねない。そして、ツフル人がやって来たら、自分はベリー達を見捨てる様に、決めていた。無理に歴史を変えると、自分が消えてしまうかもしれないと考えたからだ。
何より、気がかりなのがフリーザである。もし、歴史が変われば、サイヤ人の環境が生まれなくなる。そうなれば、バーダックは存在せず、息子のカカロットもいない事になってしまう。それだけは何としても避けなければならない。惑星ベジータの爆発に飲み込まれる時に見た、1つの未来。それは、フリーザとカカロットが対峙する。事だ。断片的に、ベジータ王子の姿も見えた。他にも、緑色の変な種族と、サイヤ人と同じ人間タイプのチビが2人。カカロットとベジータ王子2人の外見から、惑星ベジータの爆発から、20〜30年後と思われる。カカロットの戦闘力はたったの2。正直に言って、勝てるとは思えない。だが、バーダックには、確信があった。あの未来は、意味があったから見えたのだと。カカロットとベジータ王子の2人が、サイヤ人最後の希望だと。そして、2人のサイヤ人がフリーザと戦うまで、宇宙に安息の時は訪れないとも・・・・・・。だから、フリーザを倒す事のできる最後の戦士を歴史の延長上に存在させなければならない。
「・・・バーダックさん・・・聞いてる?」
「・・・・・・聞いてるよ・・・」
「・・・ちゃんと聞いてよ、もう・・・。それで、重力と磁力の関係は」
あれから、どれだけの年月が流れただろうか。ベリーはもう、一人前になり、村を出て行く事になった。星に点々と存在する村の1つが、大きな技術の発展を遂げ、都市として大きくなってる。そこへ上京するとか言ってた。ベリーは父親イパナとバーダックに別れを告げ、旅立っていった。
この日から、バーダックはある事を決めていた。退屈な野良暮らしから抜け出そうと。退屈すぎて死にそうなほどだ。
「惑星ベジータの爆発で、次元の壁が崩れ、過去に飛ばされた・・・・・・としたら・・・・・・」
バーダックは、空を見上げた。惑星ベジータの夜に存在しないはずの月が1つ浮かんでいる。
「あの月は、過去に寿命で消滅したとガキの頃に教わったな・・・・・・ベリーの話だと、そろそろ寿命を迎えて崩壊するらしいな。あそこにしよう・・・・・・」
バーダックは変身して、月に向かって飛び出した。やはり、変身するとパワーだけでなく、スピードも上がっている。気づけば、フリーザの宇宙船が浮かんでいた高さまで来ている。
「そろそろ、大気圏外か・・・。オーラで空気の層を作るか・・・」
体から漏れるエネルギーを一気に上げ、宇宙空間でも動ける状態を維持して、大気圏外に飛び出した。月に向かって、どんどん加速する。5分としないうちに月面に到着する。空を見上げて、宇宙からの惑星プラントを見つめる。
「・・・・・・清々しい気分だな・・・」
何からも縛られない、自分だけの空間。この瞬間に、自分は死の恐怖も感じない。
「うあああああああああああああ!!!!!!」
バーダックは、巨大なエネルギーを蓄積していく。惑星ベジータを破壊したフリーザのスーパーノヴァとは、桁外れだ。
「あの衝撃で、次元に穴が開いたなら、これでも十分だが・・・・・・失敗すれば、ここで俺も終わりだな。いっその事、全エネルギーを使ってしまうか・・・」
直径200メートルほどのエネルギー弾に、更に上乗せしていく。密度がどんどん高くなり、電磁波が辺りを包んでは周囲を破壊していく。
「さてと・・・・・・準備はできた。上手くけば、またどこかの時代、もしくはどこかの星に飛ばされるだろうな」
失敗は、バーダック自身の死を意味している。だが、恐怖はない。
「じゃあな、惑星プラント・・・ベリー・・・。カカロット・・・・・・お前を信じてるぞ・・・」
バーダックは、エネルギーの中心に突っ込んだ。そして・・・・・・
「弾けろ!!!!!!」
名の無い月は、バーダックを飲み込んで大爆発を起こした。惑星プラントの住民は、いつか来る月の寿命が尽きたと認識した。
宇宙のどこかにある神の宮殿にて、2人の人物が自分達の宇宙の異変に気付き、爆発の現場に移動していた。
「おい、ウイス。あの妙な気は何者だ?そろそろ着く頃だろう?」
「おかしいですね・・・・・・気の性質から、恐らくサイヤ人と思われるのですが・・・」
「ですが・・・?何だよ?」
「現在サイヤ人は、ここから約2光年ほど離れた場所で、暮らすのに最適な星を探していて、全てのサイヤ人が共に活動しているはずです」
「ここに、1人だけいるのが不自然だって事か?」
「ええ、それにこの個体は、発展中のサイヤ人とは思えないほどの力を所有しています。恐らく、今の宇宙では我々と界王神を除けば、宇宙最強の実力者です」
「界王を凌ぐのか。そいつが、僕の宇宙に余計な事をした訳だ・・・気に入らないな・・・・・・」
「如何致しますか?」
「面倒ごとになる前に、消してしまえ。何なら、どこか別の宇宙にでも飛ばしてしまえ。いや、12の宇宙から追い出しても良い。勝手な事をする奴は、あの世にも地獄にも居られるとイライラするからね・・・・・・」
「分かりました」コンコン
ウイスと呼ばれた者が、杖を2回鳴らし、エネルギーをブラックホールの様な穴に放り投げた。
「これで、ひとまずは宇宙に傷を入れる事を阻止しました。どうします?帰りますか?」
「そうだね。そろそろ、寝る時間だ・・・・・・サイヤ人か・・・・・・」
バーダックは、意識が朦朧としていた。視界がぼやけ、ほとんど何も見えない。力を込めて、目を開けると、そこは、緑あふれる、綺麗な場所が見えた。あの世なのか異世界なのか分からない。バーダックは、力を使い果たし、意識を失った。
少女は夜の空を見上げて、お茶を啜った。雲も無く、ロウソクの灯と、鳥居の提灯しか無い暗い神社では、星がとても綺麗に見える。神社そのものが高い場所に建ててあるので、山や木で空を覆うものは無い。最も綺麗に見える夜景を独り占めするのは、とても気分が良い。風も静かで、自分だけの世界の様に思えて、何とも言えない気持ちになれる。
「・・・・・・嵐の前の静けさ・・・・・・」
少女は、持ち前の勘でポツリと呟いた。
「嵐か。何が始まるって言うんだ?」
神社の襖を開けて、金髪の少女が酒瓶を持って現れた。
「何度も言ってるけど、無断で家に入るのはマナー違反よ・・・」
「貧乏神社から盗る物は無いだろ?」
「梅酒を漬けてあるわ。私の物よ」
「今から呑もうと言ってるんだよ」
「まだ、完成してないのよ。中身を瓶に戻してきなさい・・・」
金髪の少女は、諦めて瓶を置き、黒髪の少女の隣に座った。片手で団子1つを摘み、口に運ぶ。
「喰い逃げも犯罪よ。何かを置いていきなさい・・・・・・」
「そう言うなよ・・・・・・んで、嵐って何だ?雲ひとつ無いのにか?」
「物理じゃ無いわ、近いうちに何かが起こる・・・・・・」
「異変か?今回は私が全て解決するから、神社でお寝んねしてろよ」
「そんなの、私の勝手よ・・・」
2人は、言い争いながら、最後の団子を片手同士で取っ組み合いしている。器用だ。
「あ・・・流れ星だ! 願い事言ってなかったな」
「・・・・・・結界を何かが超えてやってきた・・・」
「・・・・・・あの、流れ星か?」
「今のところ、嫌な感じはしないけど、調べる必要があるわね・・・」
「競争だな、霊夢」
「魔理沙は、引っ込んでなさいよ・・・」
いつまでたっても、団子の取り合いは終わらない。団子1つに、どんな思い入れがあるのだろうか。2人ともカンフー映画の様な滑らかで複雑な動きを、ノールックで行っている。達人にでもなったつもりなのだろうか?
結局、26分の格闘の末、霊夢と呼ばれた黒髪の少女が勝利した。
どうも、白藍です。自分で考えた名前ですが、先約がいた様で、苗字を付けて投稿しました。ドラゴンボールの大好きなキャラクターで、どうしても作りたかったです。初心者ですが、今後ともよろしくお願いします。