第09話〜あぽときしんでご入学?〜
「後・・・2分くらいか・・・火の強さは、もう少し弱めて・・・」
大きめの鍋に白い液体。所々に赤や緑の物が浮かんでいる。気泡がポコポコと湧いてきた。
「仕上げに塩を・・・これ位か・・・・・・(省略)・・・そろそろか?・・・お、いい感じだ。後は火を消して・・・15分蒸らす・・・(省略)・・・どうだ・・・ペロッ・・・良い感じだな。ルナルナ料理長、出来たぞ〜」
バーダックシェフ(見習い)のクリームシチューの完成!!皮剥きから牛乳の熟成まで、全て自分で作ったクリームシチュー。長かった。ここまで出来る様になるまで、ざっと一ヶ月弱かかった。一般的な成長速度なんか知らん。とにかく、バーダックにとってこの一ヶ月は長かった!!
「・・・うん、流石バーダック様ですね。上達がお早いです」
「うげ、コレで早いって・・・通常だとどれ位だ?」
「知識ゼロで皮剥きから始めたとして、目分量で出来る様になるまで・・・・・・5倍はかかりそうですね」
「一ヶ月で済んで、本当に良かったよ・・・・・・」
「お疲れ様です」
「あぁ・・・コレであのガキ共も落ち着けば良いけどさ・・・・・・」
「あはは・・・」
現在紅魔館では、絶大な姉妹喧嘩が行われている。咲夜にパチュリーその他紅魔館メンバー(妖精メイド含む)で、何とか収めようとしたが、中々上手くいかない。と言うか、日を追うごとにエスカレートしていく。
そもそも、喧嘩の内容が下らない。その議題は・・・
「良い加減、【超サイヤ人レミリア】って認めなさい!!」
「うっさい!!【超サイヤ人フランドール】よ!!」
カカロットの変身の果てに、【超サイヤ人ゴッド】(以下、超サイヤ人神)と言う名前が付けられていることを知り、スカーレットデビルの魔力を帯びた変身に名前を付けようとなった。そして、主様たちがこのザマである。
「紅魔館の主は私よ!!命名権は私にあるわ!!」
「何よ!?魔力は私の方が上でしょう!!あの時の魔力は、私の分が多かったわ!!」
「旨い物で何とか落ち着かせる方法・・・今更無理な気もするけどな・・・・・・」
この調子がいつまで続くのだろうか。本人達は真剣なんだろうが、正直どうでも良い。条件的に満月時の紅魔館内でしかなれない上に、なる事があるかどうかも不定なのだ。名付けられたところで、もう一度変身するか知らない。
なのに、本気になって言い争っている。鉢合わせになる度にこうなってしまう。どうしたものか。
「内容が内容なんだよな・・・俺が名付けたらあっさり終わるんだろうけどな・・・・・・」
「俺が名付けちゃダメか?」
「ダメよ。身分をわきまえなさい」
「俺、執事長だよな。館内での順番は?」
「私>フラン>パチェ>咲夜>美鈴>アンタね」
「あ、良かった。案外下だったんだな、俺。責任が軽くなった」
つまりは、主要メンバーでは一番下である。どうせ却下される。
「咲夜、どうするよ?正直面倒クセェ」
「これ以上長引くと、ワイン造りに支障が・・・」←目が死んでる
「そんなにヤバイか・・・経営・・・・・・」
紅魔館の私益は、ワインと人里にオープンした洋菓子店。店は妖精メイド達が錐揉みしている。ルナルナも時々チェックに行ってる。だが、酒の需要の方が高く、値段もかなり違う。ワインが止まると、紅魔館の経営も紅く・・・もとい、赤くなってしまう。そりゃ、精神に来るよね。
誰もが、困惑している。このままでは、館の威厳が・・・。
しかし、意外なところから救いの手が差し伸べられた。
「バーダック、貴方、紅魔館から出て行きなさい」
「・・・・・・は?」
パチュリーから、解雇処分を受けてしまった。夕食の場で。TPOどこ行った。
「ちょ、パチェ!?いきなり何言うのよ!?」
「アンタ等のケンカを収めるためよ。後、解雇じゃなくて休暇扱いね」
「おじちゃん居なくなっちゃうの!?」
フランにとって、バーダックはとても優秀な遊び相手。多少過激に扱っても、壊れることは決して無い。本気を出して良いので、より楽しめる。
レミリアにとって、バーダックはフランのオモチャ。この男が居ないと、彼女自身がフランの相手をしなければならず、面倒くさい。
つまり、いきなり居なくなると、2人にとってデメリットなのだ。
「レミィ、流石に経営状態は分かるわよね。フランも、このままだとケーキも食べられなくなるわよ」
「うぐ・・・」
「ええ!?ヤだ!!ケーキ食べたい!!」
おいコラ、主共。あっさり言いくるめられてるじゃねえか。この間のあの件は何だったんだよ。
「しばらく、バーダックを紅魔館から遠ざけるわ。貴女達のケンカが終わるまでね」
「ええ〜!?」
「パチェ・・・流石にそれは・・・」
「家計簿でも見る?」
「ぁぅ・・・・・・」
何だこのザマは。姉の威厳ゼロかよ。
「イキナリ出てけって、どうやって過ごせば良いんだよ?」
「ツテは取ってあるわ。しばらくはそこで住まわせて貰いなさい」
「仕事早いな。んで、何処だ?」
「藤原妹紅の家よ」
「・・・・・・確か、試合の時に来てた奴だっけ?」
「そう、竹林のはずれに家を建てているの。そこで厄介になる事」
「あいつとねぇ・・・」
バーダックは、嫌そうな顔をした。仕事も徐々に板についてきたし、フラン相手に体を動かすなど、充実した生活を送っている。館のためというのは分かるが、唐突過ぎた。
「ついでに、貴方の有り余る力を無理矢理抑えさせて貰うわ」
パチュリーは魔法で1本のフラスコを召喚した。赤い液体が入って、煙を出している。変な汗が出てきた。
「なあ・・・一応聞くぞ。その液体は何だ?」
「力を抑える薬。ある特殊効果も追加してあるわ。効力は1本で2週間。定期的に飲んでもらうわよ」
「・・・・・・・・・・・・」
「何よ・・・イヤなの?」
「うん」
即答した。力が脅威になる事は重々理解している。対処としては合理的である。でも、怪しげな薬を飲めとか、断るしか無いだろう。誰だってそーする。バーダックだってそーする。煙を沸かしてる時点でイヤな予感しかしない。
「なら、本当に解雇してやる」
「んな!?」
紅魔館の主って、本当はコイツなのでは無いだろうか。なんか、目がヤバイ。
「・・・分かったよ・・・よこせ」
渋々フラスコを手に取るバーダック。生乾きした服の臭いがする。お世辞にも良い匂いでは無い。コレを飲めと。2週間に1回。
「・・・・・・んっ!!」
思い切って、飲んだ。舌に残す事の無いように、口にした瞬間喉に通した。苦酸っぱい感じが一瞬したが、勢いで誤魔化す。・・・無理だった。目の前にある自分のクリームシチューを一気に掻き込んだ。うん、美味い。流石俺。ルナルナ料理長のお墨付きだ。
「はぁ・・・はぁ・・・コレでどうなる・・・・・・・・・」
「おじちゃん?どうしたの?」
「・・・身体が熱い・・・うぐぅ・・・・・・何飲ませたんだよ・・・」
「すぐに分かるわ」ニヤニヤ
イラつく。その薄ら笑いがものすごくイラつく。今にも殴りかかりたいが、身体中を襲う熱が邪魔する。
「あが・・・ぐぅぅぅ・・・」
胸を強く掴み、もがくバーダック。その光景に、息を飲むメンバー達。
〜10分後〜
「・・・・・・・・・」
そこには、10歳程度の男の子が座っていた。ぶかぶかの月の装束を着ている。
(((((・・・・・・メチャ可愛い!?)))))
ショタバーダックの姿に、全員の目がハート型になる。バーダックは苦しみから解放されたので、周りの様子を今確認した。
「・・・・お前ら、デカくなった?」
「アンタよ!!アンタが小ちゃくなってんのよ!!」←いつもより高い声
「あぁ・・・やっぱりそうなのか・・・・・・鬱だ・・・」
バーダックと女勢でテンションの差が激しい。
(何よ、コイツ・・・子供になると、こんなにも可愛くなるの!?)
(これがおじちゃん・・・弟が出来ちゃった・・・)
(コレは・・・想像以上だわ・・・・・・)
(この・・・湧き上がる衝動は・・・コレが母性本能・・・?)
(うーん・・・お姉ちゃんのタイプだなぁ)
(はっ!?今更だけど、朝の太極拳がまた1人になるのですか!?)←真っ先に冷静になった。
(うごぉ・・・ショタっ子が目の前に・・・ヤバ・・・本能が・・・)←サキュバス
やはり思う事はそれぞれだ。約1名、18タグを付けられそうになり、バーダックは悪寒を感じた。
「・・・ったく・・・何すんだよ・・・」
そっぽを向いて、ぶっきらぼうに言い放つ。その瞬間。
プツンッ
一斉にバーダックに飛びかかった。すぐさま反応して逃げるバーダック。振り返ると、妙なオーラを放つメンツがいた。このシーンを漫画で表現した場合、ハートマークが大量に飛び交っているだろう。知識性格変わらずのバーダックは、本能で身の危険を感じ、一目散に逃げ出した。
「ぐ・・・早く飛べねぇ・・・はあ!!!!」
薬の影響でパワーダウンしたバーダックは、超サイヤ人になってスピードを上げる。今はなんとか逃げられそうだが、変身による消耗が危機感を更に深める。
翌朝、妹紅が迎えに来るまで、鬼ごっこは続いたようである
「成る程ね・・・苦労したんだな・・・」
「言うな・・・・・・」
バーダックと妹紅は、歩いて歩きで竹林方向に向かっている。尚、バーダックは子供用の月の装束を着ている。なんでも、永琳も子供化薬を狙ってたらしく、輝夜も面白そうと言い、子供サイズも作っていたようだ。更に身の危険を感じるバーダックだった。
「幻想郷って、恐ろしいな・・・」
「いや、一部だけだからな?ほとんどはきちんとしているから」
どうだか。紅魔館と永遠亭と湖しか知らないバーダックにとって、どうも不安だ。よくよく考えると、一ヶ月暮らして、館から出たらダメってどうなのだろうか。ずっと姉妹喧嘩に付き合わされていた為、敷地内から出ること無く生活してきた。初めてのお出かけ・・・外出である。一ヶ月分の給金である、二文を所持している(後書き参照)。幻想郷の相場を知らないので、コレがいい値段なのか知らない。
「・・・お、アレ何だ?」
「人里に着いたようだな。昼時だし、昼食にしよう」
「人里・・・人間が主に暮らす場所だっけ?」
一応、給金一ヶ月分の二文を所持している。幻想郷の相場を知らないので、コレがいい値段なのか知らない。いつ紅魔館に帰れるか知らないので、なるべく節約しておこう。
門をくぐると、活気の良い賑やかな声があちこちから聞こえる。確かに人間が殆どを占めているようだ。美鈴との修行で、気を探る業を僅かだが使えるようになった。強い力を所有しているかどうかしか分からないが、それ故に人里はほぼ力の無い人間が生活している事が分かった。
案の定、バーダックが人里に入ってから、尻尾に視線が集まる。やはり、妖怪だと思われているのだろう。人間に友好的な妖怪もいるにはいるが、新顔は警戒されて当然だろう。まあ、妹紅と共にいれば、騒ぎまでは行くまい。
「お、妹紅じゃないか。こんな時間に珍しいな」
橋を渡る最中に声をかけられた。向こう側に青い服の女性がいた。確か、あいつも試合の時にいたはず。なんか、途中からツノ生えてたけど。
「慧音か。実は・・・」
「ん?この子・・・」
「えっと・・・慧音って呼ばれてたよな?」
「まさか、バーダック殿か!?どうなって・・・」
「変な薬を飲まされた」
「あぁ・・・ご愁傷様だな・・・」
「しばらく、うちで預かる事になったんだ。この姿で」
紅魔館が絶賛喧嘩中という事を伝え、3人で茶屋に入る。
「お松さん、団子を3人前よろしく頼む」
「慧音は、本当に記憶力が良いな。里の人間の名前、全部覚えてるんだろ?」
「まあ、記憶は得意だしね。みんな友好的だよ」
歴史を食べる程度の能力の副産物だろう。一度覚えたモノは全て記憶出来るということか。
「・・・・・・・・・・・・」
「・・・何だよ、慧音・・・何見てんだ?」
「君は幻想郷について、どれだけ知っている?」
「紅魔館しか知らねえな。外出させて貰えなくてな。良い機会だし、色々と見て回りたい」
「・・・・・・・・・・・・」
「何だよ・・・」
「ルールもまともに知らないようじゃ、許可を与える訳にもいかないのだよ。まして、そんな格好ではね」
「はぁ・・・勉強しろってか?面倒くせえよ・・・」
「いや、勉強してもらおう。私は寺子屋の教師だ。君には知識をしっかり与えないとダメな気がするよ」
「ぐ・・・知識、知識ねぇ・・・」
紅魔館で生活して一ヶ月。仕事の事しか教えて貰えず、外出もさせて貰えなかった。慧音の言う通りなのは認める。だが、しかし。
「ガキ共と一緒にお勉強とかゴメンだね」
「君も子供だろう?」
「・・・・・・」
何も言い返せなかった。今の姿が要素に加わっては、もはや文句の付けようが無い。紅魔館で、幻想郷のルールに従うと宣言した以上、慧音の言う通りにするしか無かった。団子を食べ終わった後、寺子屋の場所を教えられた。幸い、人間のガキと一緒なのは避けられた。どうも、人外組に入れるとか何とか。チラッと、何時ぞやの魚泥棒組の青いガキが見えたが、多分幻覚だな。うん。
「着いたぞ。ここが私の家だ」
「・・・・・・貧相・・・」
「あの館と比べるな!?」
妹紅の家は、小さな一軒家。かまどに繋がる煙突が伸びている。人里を横切り、更に歩き続けた。一気に飛んでも良かったが、色々見て回りたいということで時間をかけ歩いてきた。
「なあ、バーダックは洋食しか口にしてないんだろ?」
「洋・・・何だよ、ソレ?」
「やっぱり、そこからだよな。教えてやるよ、醤油の素晴らしさをな」
「はあ・・・」
筍の下準備がかなり手間がかかるというので、早速作業に入り始めた。糠?で炊かないと食べられないとか何とか。その後で米を洗い、筍と醤油と一緒に、もう一度炊く。こんなにも手間がかかるのか。わしょくと言うものは。これで旨く無かったら家出してやるか。野宿ぐらいいくらでも出来る。
「これから、40分かかるから、待ってな」
「更に待つのかよ・・・」
待つのは嫌いだ。イライラがどんどん募る。
そして、40分後。破壊神ビルスのお墨付きである、地球の食事にあっさり堕ちるのはやはり必然なのだろう。
俺は始まりのサイヤ人、バーダック。雇い主で吸血鬼のレミリアの命で紅魔館で働いていた俺は、スカーレットデビルの壮大な姉妹喧嘩に巻き込まれた。騒動を収めるのに夢中だった俺は、パチュリーや永琳の陰謀に気付かなかった。俺はパチュリーに毒薬(毒ではありません)を飲まされ(結局自分で飲みました)、苦しみから目が覚めたら・・・身体が縮んでしまっていた!!
俺、バーダックがこのまま紅魔館にいると、姉妹喧嘩はエスカレートし、紅魔館の経営に被害が及ぶ。パチュリーの助言でしばらく紅魔館を出る事になった俺は、慧音に寺子屋に誘われ、NOと答えられず、新しい生活のために藤原妹紅の家に潜り込んだ。
次回、始まりのサイヤ人が幻想入り
【先生の頭突きに要注意 クラスメートのおバカ共】
小さくなっても誇りは同じ!!弱さ知らずの超戦士!!伝説は・・・いつも一つ!!!!
ああ、疲れた。再現するのって、かなりしんどいですね。↑のヤツに10分位かかりました。バカバカしく笑ってくれると嬉しいです。因みに、無印悟空は12歳ですが、あんなにチビだとショタ萌えしないので、セル悟飯より、やや高い位です。
また、所持金の2文は、日本円にして、およそ60,000円です。一文=1,000銭で、一銭=30円とします。
ご閲覧、ありがとうございました!!