始まりのサイヤ人が幻想入り   作:白藍ハートネット

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第11話〜尸解仙の太子様 戯れは終わりじゃ!!〜

「よーし、今日はここまでだ。今日は歓迎会なのだろう?だから、復習の時間は無しだ。各自準備するように。以上、解散!!」

 

「ぃやったー!!」

 

「あ、チルノちゃん待ってよぅ」

 

 

 

明日の寺子屋は休日。今日1日は夜遅くまでハメを外せる。生活習慣がどうとかって、夜空をのんびりと眺める事が出来なかった。折角紅魔館を出てきたんだ。出来る内に堪能しておこうか。因みに、こころは今回は来れないそうだ。何でも、能楽の最終調整だとか。一度見せてもらったが、紅魔館の踊りと大きく違っている。これが妹紅の言ってた、洋と和の違いなのだろうか。

そう言えば、最近洋食と和食の違いも何となく分かった気がする。洋食は、牛乳を熟成したクリームやソースでの味付けで、和食は糠や出汁など直接食べない食材を使ったり、旨い感覚をダイレクトに感じる。と言ったところか。人里は基本和食で成り立っているようだ。

 

 

 

「各自で色んな美味いものを持ってきてくれるって、言ってたな・・・」

 

 

 

俺も何か持って行った方が良いか?家・・・正確には妹紅の家だが、ある食材といえば・・・うん、筍以外にある訳ないか。炊いたらすぐに調理しなければ味が薄れると言ってた。鍋と糠を持って行って、向こうで炊いた方が良いだろうな。一旦帰るか。

 

 

 

「俺も食い物持ってくる」

 

 

 

一言言って、人里を突っ走る。人間の速さで。だいぶ勉強した。里はあくまで人間の場所。里側の妖怪といえど、人間に不安感を感じさせてはいけない。という事で、ブッ飛ばして良いのは、里を囲う門をくぐってから。

子供の姿で弱体化してはいるが、それでも元々の性能が高いので、数分で家に着いた。家に入ると、妹紅が座禅を組んでいた。

 

 

 

「珍しいな。アンタが精神統一みたいな事するなんてよ」

 

「バーダックか。今夜は週一の決闘の日だからな」

 

 

 

決闘?週一って結構な頻度じゃないか?コップをとって、聞いてみた。

 

 

 

「誰とどんな決闘をするんだ?」

 

「輝夜と殺し合いだ」

 

「ぶっ!?」

 

 

 

飲みかけた水を思いっきり吹いてしまった。妹紅の顔面めがけて。

 

 

 

「何する、少年・・・」

 

「いや、何言う姐さん・・・」

 

「あいつと私は不死身だからな。勝負はどっちが先に死ぬか、だ。先に一度息絶えた方の負けというルールだ。今は、1,422勝1,406敗。勝ち越しだ」

 

「多いな!?いつから続けてるんだよ!?」

 

「決闘ルールを決めたのが大体50年くらい前か?ルール無用の殺し合いはいつからか忘れたな」

 

「うん、もう聞かない。聞かない方が身のためになる事もあるよな」

 

「うん、確かに若造には荷が重いな」

 

「アンタ、いくつだよ・・・」

 

「忘れたな。まあ、数百年は超えてるだろうな」

 

 

 

やはり、これ以上話すと、頭が狂ってしまいそうだ。不死身だから死んでも蘇生する?今から食事会だってのに、嫌なものを想像してしまったじゃねえか。軽く運動してから行くか。

 

 

 

「よ・・・ふっ、ふっ、ふっ・・・」

 

 

 

指一本で腕立て伏せを始めるバーダック。字面では稀によくある光景だが、一箇所部分があり得ない形になっている。使用しているのは、【半利き手左手の薬指】。最も動かしにくいはずの指を使ってトレーニングを開始した。

 

 

 

「君も、充分にバケモノなんだよ・・・」

 

 

 

こっそり見てた妹紅も呆れている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

糠を入れた鍋を両手で持ち、背中のカゴに5つの筍を入れたバーダックが寺子屋に向かうと、大妖精が1人待ってた。他の奴らが見当たらない。

 

 

 

「大妖精、みんなは?」

 

「里のはずれに屋台を置いているので、そっちに行ってます。私が迎えに行くように言われたんですが・・・」

 

「何で前もって教えてくれなかったんだよ・・・」

 

「分かりませんよ、私も場所を知ったのはさっきですし・・・」

 

 

 

とりあえず、場所は分かったのでそこへ向かう2人。もちろん、里の中なので歩きで向かう。

 

 

 

「・・・なんか悪いな。色々と庇ってくれてよ・・・」

 

「いえ、バーダックさんには本当に申し訳が無くって・・・チルノちゃんもルーミアちゃんもその姿だから謝ろうともしませんし・・・」

 

「それはこっちもだ。この姿だから怖い思いさせたことを謝れねえ・・・」

 

「ふふ、お互い様ですね」

 

「いつも苦労してるようだし、せめてお前には色々尽くしてやるよ」(ブレーキの補佐的な意味で)

 

「あ・・・えへ・・・」(真意がきちんと伝わっている)

 

 

 

現在、里は仕事帰りの大人たちが帰路に着いている。幼い男女2人で並んで歩き、話の内容がコレ。またしても自分達の立場が面倒くさくなっている。聞こえた大人から妙な笑みを向けられる。もちろん、余程の事でも無いので、その視線に気付かないバーダックと大妖精。これはもしや、勘違いの噂が里中に知られるのでは無いのだろうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ミスチー、炭のストックどこ〜?」

 

「ん〜?車輪の下に無い〜?」

 

「うぅ〜・・・火が点かない・・・ミスチー、こんなんで火って起こせるのか〜?」

 

「14・・・・・・15!!バケツ15杯でタライいっぱい!!えっと・・・5リットルが15杯で・・・・・・きゅぅ」

 

「あ、チルノが知恵熱にやられた」

 

 

 

子供達で屋台の準備。何とも微笑ましい。妖怪の山から流れる川は、竹林(永遠亭)→人里→霧の湖と続き、里から少し歩いた川に沿った道のはずれに屋台が設置されている。まだ夕日が届く間に火を起こさないと作業が進まなくなる。ルーミアがやってみたいと言い出したが、そろそろ交代しないと灯りが消えてしまう。

と、バーダック等が合流してきた。

 

 

 

「へぇ、随分と立派なこった」

 

「ゴメンね、遅れちゃった」

 

「バーダック君、火打石使ったことある?」

 

「ひうちいし・・・・・・火を打つ石・・・石で火を起こせるのか?」

 

 

 

論外だった。洋館から妹紅の家に移ってまだ四日。知識がある筈も無かった。

 

 

 

「ルーミア、もう良いでしょ?返しなさいよ〜」

 

「出来るまでやる〜」

 

「ミスティア、やらせてやんな。灯りなら、ホレ」

 

 

 

蝋燭の芯を指先でつまみ、力を込める。電磁波が発生し、火がついた。

 

 

 

「おぉ!!そんなことも出来るんだ!!」

 

「気・・・って言っても、俺も最近初めて知った事だが、気には【火】【水】【風】の3つの基本要素が含まれるみたいだ。こいつ等を掛け合わせて完成したのが気だ。達人は体内で練った気を分けて放出する事も可能だ。俺はまだ不完全で、火にしか分離する事が出来ない。使い方だと、水を生成する事も出来るぞ」

 

「あー、バーダック君。話してる所悪いけど、チルノがまた知恵熱でクラクラしてるんだけど・・・」

 

「ふぁ・・・ひぃ・・・ふぉぉ・・・・・・」

 

「・・・・・・川で冷ましてやってくれ・・・・・・」

 

 

 

このムードブレイカーめが。この後、妖怪でも修行次第では使えるようになると言って、今後の便利さを教えてやろうとしたのを。かと言って、この空気で続きを言うのもどうかと思う。仕方が無い。後でミスティアだけに教えてやるか。

準備も着々と進んできた。空は日の入りを迎え、徐々に暗くなっていく。すると・・・

 

 

 

 

 

「ここだね。ばぁだっく殿の歓迎会会場の屋体。合ってるかな?」

 

 

 

 

 

凛とした綺麗な声が聞こえた。その方向には、3人の影があった。その内1人はよく知る者だ。

 

 

 

「ようやく来たか、布都。準備に遅れたから、お前は甘味無しな」

 

「何じゃと!?」

 

「はい、良いから、その2人を紹介しろよ」

 

「うむ、我らが主君の尸解仙様、聖徳王の太子様だ!!」

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」ドヤァ

 

「名乗ってください」

 

「分かりました」

 

「なにゅーっ!?」

 

 

 

何でこいつはちょいちょいズレるかな。一番伝えて欲しい箇所だけを器用に抜いてやがる。逆に凄いぞ。

 

 

「私の名は、豊聡耳神子です。他は布都の申した通りです」

 

「私は蘇我屠自古。布都の教育係りだ」

 

「屠自古〜!?」

 

「良い加減、奇声を辞めんか!?」ガツンッ

 

 

 

やった!!保護者の眼の前でやった!!流石バーダック!!怖いもの無し!!

 

 

 

「うぅ〜・・・」

 

「お〜、子供にど突かれてやんの、バ解仙」

 

「尸解仙じゃ!?」

 

「ばぁだっく殿、うちの布都がご無礼を働き、誠に申し訳ございませんでした」

 

「太子様までもが!?」

 

 

 

 

うーむ。まさか家の中でもこんな調子なのか。ちょっとばかし可哀想に思える。子供も保護者も。てか、この人(?)もカタカナに弱いらしいな。どういう家庭だ。

 

 

 

「んでさ、尸解仙って何だ?」

 

「はい、お教えしますね」

 

 

 

 

 

〜聖徳王説明中〜

 

 

 

 

 

「1400年・・・大丈夫か?・・・賞味期限・・・」

 

「そこ!?」

 

「誰が腐っておるとな!?」

 

「お前だお前」

 

 

 

だから、言語がちょくちょく引っかかる訳だ。

まだ、誰も一口も口にしていないのに、賑やかだ。バーダックも、幻想郷の文化だと諦めた。

 

 

 

「さてと。メンバーも全員集まったし、私主催の歓迎会、始めるよ〜♪」

 

「イェイ!!待ってました!!」

 

「わはー!!」カチカチ!!

 

「やはー!!」カチカチ!!

 

「まだ火起こしやってたんだね・・・」

 

「ほい、布都さんもコップ持って」

 

「うむ、行くぞ!!」

 

 

 

カンパーイ!!

 

 

 

「エンジン全開だな。主役の俺を置いて、よく楽しめるもんだ」

 

「ふふ、子供達は子供達で楽しませておこうではないか?」

 

「良いのか?あんたのトコの弟子、早速飲み干した。潰れないのか?」

 

「私達2人が潰れなかったら、大丈夫さ」

 

「既に、認知されてんのか・・・可哀想に・・・」

 

 

 

周囲の連中も、今更・・・という事を知り、さらに同情する。子供も保護者も。

 

 

 

「ばぁだっく殿。君の身体から放たれる力は、1ヶ月程前の、事件によく似ている」

 

「っ!?」

 

「どういう事か、教えてくれるかい?」

 

 

 

少し身構えたが、よく考えたらこのに人まで隠す必要はないか。あの時は妖精2人は気を失ってたらしいし、槍から里を守ろうとした善人だ。

 

 

 

「ガキ共には言うなよ・・・」

 

「ふふ、怖い眼だねぇ。これは、黙っておくしか無いようだ」

 

 

 

なんかイライラする喋り方だな。茶番っぽいというか、三文芝居臭がするというか・・・。

 

 

 

「あの事件の犯人は、俺さ。力が暴発してな。夜中だったから、迷惑かけたな」

 

「ふむ、否定しないんだね。そういう所は、中々魅力的だね。」

 

 

 

そこに、お猪口を3つ持ってきた屠自古が加わった。

 

 

 

「バーダック殿。大人組で、ゆっくりと呑もう。良いかい?」

 

 

 

何で主以上にカタカナに強いのだろうか。屠自古が注いだ酒で、盃を交わし、一口飲む。そう言えば、紅魔館の洋酒しか飲んだことが無かった。正直言って、アレはジュースだ。美味しいのは美味しいのだが、酔うには少し欠けるというか。日本酒を飲んで、強い刺激を感じた。聞けば、今飲んでる酒は標準的らしい。もっと強い酒があるらしい。

 

 

 

「君も酒には強いようだ。潰れない程度に、じっくり呑もう」

 

「ふん・・・」

 

「フフッ・・・」

 

 

 

少し突き放すように言ったバーダックだが、威嚇が通じない。やはり、この体では無理があるのだろうか。

 

 

 

「どうにもスッキリしねぇな・・・舐められてる気がするんだが・・・」

 

「ふむ。君は私をどの様な印象を持ってくれたのかな?」

 

「・・・面倒クセェ連中・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

内容スッカラカンの話がそろそろ辛くなったので、ふと違う方向を見てみると、ものの1時間で子供組が潰れてしまっていた。酒に弱いのに、無茶するものだ。

 

 

 

「うぇ〜ぃ・・・」

 

「はぅ〜・・・」

 

「ぬぉ〜・・・」

 

「うゅ〜・・・」

 

 

 

なお、一匹足りないのは、溶けてしまったから。

 

 

 

「フフッ。子供達はお休みの時間か・・・」

 

「こんな形でも俺は大人だ・・・。あいつらと一緒にすんなよ・・・」

 

「屠自古、まだ行けますか?」

 

「にゃふふ。まだ考え事をする余裕ありですよ〜」

 

 

 

本当かよ。にゃふふの時点で、アウトの気がするぜ。

 

 

 

「フフッ。子供の戯れは終わりじゃ・・・ここからは大人の時間と行こうではないか。どうだね、ばぁだっく殿?」

 

「太子様、ここに」

 

「コレは・・・」

 

 

 

屠自古が懐からある物を取り出した。

 

 

 

「へっ・・・上等・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「フフッ・・・中々良い感じではないか・・・」

 

「ヘヘッ・・・何人も相手にしてきたからな・・・」

 

「ふむ、ではココはどうかな?」

 

「うぉ・・・まさかそんな手を使うなんてな・・・やられたぜ・・・」

 

「でも、バーダック殿も粘るな。余裕はあるのかな・・・」

 

「まぁな・・・これならどうだ」

 

「おっ・・・コレは予想外の攻めだ・・・その顔でコレだと、ぎゃっぷがスゴイね・・・」

 

「中々上手い・・・だが・・・こっちがお留守だよ・・・」

 

「んな!?俺の金・・・が・・・」

 

「ツメが甘いようだね・・・大丈夫かい?」

 

「ヘヘッ・・・ココで負けたら、男が廃る・・・反撃だ・・・」

 

「くぁ・・・私の・・・中に・・・強引だな・・・」

 

「主導権を握られっぱなしじゃ、癪だ・・・ここからは、俺が攻めるぜ・・・」

 

「バーダック殿・・・そういうの、キライじゃないよ・・・?」

 

「さて・・・どう出るかな・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ちっ・・・まさかあそこで更に切り返されるとはな・・・俺の負けだ・・・」

 

「でも、君もソコソコ強かったよ・・・将棋・・・」

 

 

 

接戦の末、神子が勝利を勝ち取った。バーダックも妙な攻め方をされ、どうにも自分の調子を狂わされた。飛車角をほとんど使わず、銀や桂馬、と金でチマチマ攻められ、イライラもあった。むしろ、洋館の初心者や山の十代を相手にしかしておらず、本物のプロ(?)を相手に、勝てる要素が薄いのも理由だ。

 

 

 

「さて、私たちもこれ以上遅くなっては、生活習慣が乱れてしまう。そろそろ帰らせてもらおうか」

 

「あぁ・・・お疲れ様だったな・・・布都、持っていけるか?」

 

「ああ。むしろ、子供達をどうするかだけど・・・どうなんだい?」

 

「チルノが溶けちまったからな・・・ココで待つしかねぇだろ・・・妹紅の家に寄ってもらって良いか?今夜は帰らねえって・・・」

 

「うむ、心得た」

 

「よっと・・・行きましょう、太子様」

 

「ふみゅぅえぇぇいぃ・・・」

 

 

 

3人の尸解仙が帰路に着いた。全員眠ってしまい、1人残ったバーダックは、リグルの持ってきた飴を一粒頬張り、食べ残された鰻や筍、山菜(大妖精持参)を温め直す準備を始めた。

 

 

 

「偶には、一晩中起きて、空を見る酒も一興だな・・・」




よう、バーダックだ。最近、何となく体が鈍ってきたな・・・トレーニングじゃ間に合わねぇかもしれん。実践も偶には入れておかねぇと感覚がおかしくなりそうだ。どっかに手頃な相手が居ないもんかねぇ・・・お、強そうなヤツがこっちの方向にいるな・・・行ってみるか!!
次回、始まりのサイヤ人が幻想入り
【鬼現る!! 酒呑童子が大暴れ!?】
絶対に見てくれな!!



まさかの15タグ・・・大妖精との絡みでないのが悔やまれますが、こういうのは「会話の内容でそういう空気を捏造する」といった感じなので、大人のお姉さんキャラ限定とします。時々こんな茶番を挟みます。尚、将棋の銀桂馬と金の攻めは、作者の本人談です。
次回は、久しぶりのバトルを展開しますので、楽しみにしていて下さいな。
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