「というわけで、とりあえず一回帰るわ。すぐに来るから待っててくれな」
「そう言えばそうでしたね。急いで準備をしましょうか」
元々、暑い残暑を凌ぐために幽霊を求めて冥界に来たのだ。それも、寺子屋のテストを先延ばしにしてもらってまでだ。そろそろ補習を受けに、そして寺子屋に幽霊を持って行かないと慧音が怒る。説教は別に構わんのだが、頭突きだけは勘弁だ。
「子供達には、まぁ適当にこの子で良いでしょう」
「俺個人にはどいつを貸してくれるんだ?」
「えっと・・・この子を・・・・・・///」
差し出されたのは、妖夢の半霊ちゃんだった。
「・・・お前の半身だろ。良いのか?」
「あ・・・貴方になら・・・・・・///」
「・・・??」
まぁ、借りれるものは借りておこう。半霊を受け取って、大妖精の方を見に行く。まぁ、見に行ったところで持ってきたもの自体何も無いので、今朝の手伝いがどれほど進んでいるか程度だが。
「あ、バーダックさん。こっちは終わりましたよ」
「よし、そろそろ出発するぞ」
「はい!!」
「お気をつけて〜」
「私を連れてけぇぇぇ!!!!」
気持ちの良い出迎えもあり、勢い良くトバす。寺子屋は人間クラスの始まる時間が、異様に早い。正午を境に、2刻もの間を人外クラスになってる辺り、人間クラスも2刻の勉強をしているのだろう。逆算して、人間を少し尊敬しそうになった。
「まさか丸3日居ないとはね・・・そこまでは聞いてなかったな・・・」
「そりゃ、向こうに行ってから決まったことだし」
「連絡も無しに勝手に決めたのか・・・」
「腕をバッサリ斬られて、すぐに帰って来いって無理だろ」
「なにゅー!!??見せなさい!!腕を見せなさい!!」
「もう治ったわ!!引っ張るな!?」
ギャーテーギャーテー!!!!帰って早々騒ぐバーダック。人間クラスの時間に合わせて来たため、人間の子供達の前で騒ぐ先生の図が出来ており、教育上よろしく無い。
「とにかく!!君にはテストをバッチリと受けてもらうよ!!言語漢文数学妖怪絵巻日本神話地学生物!!1日で終わらせなさい!!」
「今更言うが、俺専用の科目おかしいだろうが・・・」
開始時は、確かに言算地生の4科目だったはず。算数が数学にスキルアップしてたり、博麗の巫女候補娘専用のコースまでやらされるとは。アレか?博麗の神主にでもさせるつもりか?俺は自由に過ごしたいのによ。
伊邪那岐命伊邪那美命の夫婦により国産みされた神は30柱末っ子の火之迦具土神を生む際にその身を娘の業火に焼かれ病を患う苦しむ最中に排泄した吐瀉物尿糞からも神が誕生した結果イザナミは病に負け死去妻の死に流したイザナギの涙からもまた神が創造される妻がいる黄泉に迎えに行くイザナギだが黄泉の住人となったイザナミはもう地上に戻ることは出来ぬ身となる必死の説得にイザナミは黄泉神と相談を取り計らう覗かぬよう釘を打たれたが待てど待てど妻は戻らぬ魔が差し覗いてしまったイザナギは体が腐り蛆のたかる最愛の妻の悍ましい姿を見てしまう醜い姿に慄き逃げるイザナギをイザナミは黄泉醜女に追わせるイザナギは葡萄と筍とグリコで彼女の足を止めるイザナミは8柱の雷神と黄泉軍を追っ手に増援する十拳剣で振り払い逃げるイザナギは黄泉と地上を結ぶ黄泉比良坂で桃を投げ悪霊を追い返すこの桃も神となった最後にはイザナミ本人も追いかけてきたイザナギは大岩で坂本に蓋をし悪霊の進行を押し留めた悲しみに打ち震えるイザナミは地上の生きる者に死の呪いをかけるイザナギは地上が滅びぬ様に生の加護を与えた黄泉で汚れた身体を洗い流すと両の眼と鼻から3柱の神が誕生した左目の天照大御神に高天原を右目の月読命に夜の食国を鼻の建速須佐之男命に海原を守るよう委任した
コレで神話の冒頭の冒頭の更に冒頭。これを始めに全てを覚えろと言い出しやがった。序章でコレとか勘弁してもらいたい。『昔々ある所でイザナギとイザナミの夫婦が喧嘩をして離婚しました。その後、イザナギの命で3柱の神が世界を守ることになりました』うん、これで良いだろう。覚えやすいし。
「全ての神を空で言えるようにしてやるから、覚悟しなよ」
「俺は不良だからテストなんか適当にやって終わりだね」
「寺子屋切ってのNo. 1が何を言う!?エリートになるまで離さないからな!!」
「そりゃ、俺は大人だからガキ共をあっという間に蹴散らすのは簡単だったな」
「うがー!!!!」
教師と教え子とは心底思えない会話だ。
結局のところ、バーダックは気分次第で適当に応じる。慧音先生は武力行使で徹底的に鞭を打つ。結果、バーダックは無理矢理教育させられるのであった。
「俺、紅魔館出て行くからよろしく」
白玉楼の壁の修理も終わり、グロッキーの魔理沙が紅魔館に赴いて、姉妹喧嘩を終わらせた3日後に行われた夕食の席で突然のカミングアウト。バーダックの新たな変身とネーミングに仲良くなり笑顔が戻った姉妹の顔が再び曇った。
「いやいやいや!?急にどうしたのよ!?辞めるって!?」
「イヤ!!おじちゃんと折角遊べるのに、もうバイバイなんてイヤ!!」
「一応言うが、館での仕事は続ける。通いでな」
「あ・・・は?どういう事よ?」
「俺もそろそろ独立するんだよ。適当なところで家建ててそこで過ごす」
「あぁ、そういう事ですか。良かったですよ。今になってバーダックさんを雇わないとなると、とてもじゃないですが・・・」
「咲夜、言いたい事はハッキリ言いなさいよ・・・」
「良いんじゃないかしら。仕事以外はなんでもやってくれるココじゃ、グータラになるからね」
「どういう意味よ、パチェ!?」
「たまには遊び相手になってやるから、良いだろう、フラン?」
「よく分かんないけど、遊ぶ時間もちゃんとあるんなら良いよ♪」
「う・・・分かったわよ!!今後のあんたの扱いはそれで決定!!諸々は咲夜と話し合って」
まあ、あっさりと即決した。コレでいよいよ自分で適当に生活する事が出来る。
その後、週2日の休みと、寺子屋の終わる時間に合わせて、夕方から翌朝までの勤務時間を貰った。館で住まわせてもらった事に関しては感謝しているので、翌朝に紅魔館と白玉楼の厨房を合わせたスペシャル料理を振る舞った。妖精メイド達も全員無理矢理座らせた。ルナルナ料理長にかなり暖かい目で見られたが、後で改めてお礼の言葉を伝えておくか。
パチュリーには変身薬を強化したものを貰った。若返り薬改め、年齢詐称薬。赤い液体と青い液体を混ぜ合わせ、比率に応じた年齢になる。肉体に負担がかからないように、【自分を含めた周囲の者全てに映した幻を見せる】効果があるらしい。視覚に留まらず、触覚(大きさの違い)聴覚(声や体から鳴る音)等、五感全てにおいての幻覚。よく分かんねえな。
「どっか適当に良い場所ないもんかねぇ・・・井戸は無理として、川か湖にそこそこ近くて、山に近い場所・・・」
バーダックは異様な格好で外を歩いている。衣服と小さい食器と包丁が入った風呂敷を左肩に担いでいる。右肩には、斜めに紐がかかっている。背中側にフライパン、土鍋、蓋がぶら下がっている。器用に穴を開け、紐に通している。ずり落ちないように途中で穴より大きい結び目がある。様々な工夫のオンパレードだが、まとめて持つとなんだか間抜けだ。夜逃げでもしている感じに見える。
まずは家造り。その為に、建てるのに適した場所を探す。とりあえず、里を横切る川から、上流に向かって歩を進める。尚、現在もまだ子供の姿でウロウロしている。シャクではあるが、探索には足元をしっかり見る為に小さい体の方が都合が良いのだ。川は迷いの竹林に続いている。入ったらまた迷子になりそうだったので、竹林に入らずに上空へ高く飛んで行った。400mまで上昇して、ようやく竹林全体が視認出来た。こんなに広い中、磁場が狂ってしまっては、そりゃ迷う。
周囲を見渡すと、川の水が流れ出る場所から2刻前の方角に、竹林に流れる川を見つけた。アレが竹林の上流だろう。竹林の空域に侵入しないように迂回して行く。
「ここから先は何も知らない、未知のエリアか。徒歩で行こうか」
今までとはなんとなく違う感じのする地面を踏みしめて川を辿っていく。少し歩くと、柵に囲われた敷地らしきものが向こう岸の少し登った場所に見えた。秋を彩る花がたくさん咲いている。誰かの花畑だろうか?少し探りを入れると、中々強い力を感じた。興味は俄然湧いてくる。が、しかし。
(今は家を作るのを優先するか・・・場所は覚えたし、また今度で良いだろ)
バーダックは淡白であった。
20分歩き続け、ようやく柵の角が見えた。なんともデカイ敷地を持ってるということは、余程の権力者なのだろうか。
上流に向かう足を速めようと、バーダックは視線を高台から川に戻した。
「・・・はぅ〜・・・気持ち良い・・・」
異様な光景が目に入ってきた。1人(1匹?)の女(?)が、川岸の大岩で日向ぼっこをしている。『1人の女』と断言できないのは、もちろん理由がある。足が無い。正確に言うと、足があるべき場所に違う何かがある。アレは魚の尾びれだ。あの服は確か浴衣だっけ。浴衣の上とまとい、帯で結んでいる。その下から、魚の下半身(で良いのか?)が生えている。
「・・・・・・よう、アンタ誰だ?」
流石に声をかけずにいられなかった。さっきの花畑とは違い、面妖な身体を直接見てしまったからには、興味の持ち様が段違いだ。こちらの存在に気づいた魚女は、姿を見るや否や、警戒した目つきで睨んできた。
「・・・・・・どちら様ですか・・・」ビクビク
「・・・・・・バーダック。自分の家を作ろうとヤキになってる、可哀想な外来人だよ・・・・・・」
「え・・・外来人?ふわぁ、初めて見た・・・」
「んで、アンタは?」
「あ、えっと、申し遅れました。わかさぎ姫です。人魚です。こちらは、赤・・・アレ?蛮ちゃん!?どこ!?」
「アンタ1人のだったが・・・」
「ウソっ!?」
お友達が1人いたようだ。お昼寝中に少し席を外したのだろうか。アワアワしているわかさぎ姫は、下半身(と言って良いのか?)をビチビチさせており、見た目の可愛さ倍増だ。バーダックの目には妙ちくりんな奴としか見えていないようだが。
「さっきまで居たのなら、すぐ近くにいるだろ。喚くなうるせえ」
「うぅ・・・・・・」ビクビク
「・・・・・・・・・」
1人だと不安しか無いのか、警戒の色が一層濃くなってる。何か打開策は無いか周囲を軽く見渡すと、枯れた百合の花が点々と生えていた。
「・・・簡易菓子でも食うか?」
「え・・・お菓子・・・?」
百合の茎の根元に手を突っ込み、根を掘り出す。3個掘ったら、根だけを切り、茎より上部分を捨てる。綺麗な平たい石を見つけると、その上で根をすり潰す。細かくなったら、背中にかけていたフライパンを紐から外し、百合の根と川の水を入れる。まずはこれで良し。少しの間水に晒しておく。
「根っこなんて、お菓子になるんですか?」
「まぁ、待ってろ。お友達の分も作ってやるから。・・・・・・お前ら2人か?」
「む・・・そうですけど・・・・・・」
「なら充分だな。少し放置だから、寝る。お友達とやらが来たら起こせ」
「え・・・え・・・?」
バーダックはわかさぎ姫の返事を待たず、さっさと寝てしまった。自由にも程がある。
「・・・・・・逃げようかな・・・でも、お菓子は気になるし・・・」
意外とチョロいお姫様のようだ。
「よっほーい姫〜。採ってきたよ野苺・・・誰その子?」
「あ、蛮ちゃん。お帰り。えっと・・・お菓子作ってくれるバーダックさん」
「お菓子って・・・・・・どこ?」
「あのフライパンの中。アレで少し放置って言ってた」
「フライパンに入れて放置って、初めて聞いたね」
「取り敢えず起こして来てくれる?陸は行けなくて・・・」
苺をわかさぎ姫のために採取して帰ってきた赤蛮奇が、昼寝中のバーダックの元へ駆け寄る。
「お・・・おーい、君、起きてよ・・・」
「ぅ・・・む?あー来たのか。さて、調理再開と行くか」
起きてすぐにフライパンと向き合うバーダック。持ち手を持ったかと思いきや、左の掌に乗せた。わかさぎ姫も赤蛮奇もこの奇行の意味が分からずに首を傾げて眺めていた。だが、程なくして、異変に気付く。フライパンの中の水から湯気が昇り始めてきた。
「す・・・素手で熱している・・・」
「な・・・何て光景・・・」
湯気の勢いは次第に強くなっている。だが沸騰はしていない。温度調整も出来ているようだ。
熱すること更に待つ。湯気の量が徐々に減り、遂には止まってしまった。
「完成だ。ほら、『ユリ根モチ』とでも言っておこう。熱いうちに食べろ」
差し出された物は、名前通り餅のように白く柔らかい。植物の根っこを、こんな簡単な加工で食べられるのか不安に思うが、差し出された以上食さねば無礼になってしまう。わかさぎ姫は、思い切って餅を口に運んだ。それを見た赤蛮奇も焦って口に入れた。
「はむ・・・・・・?」
「んむ・・・・・・?」
「暫く噛み続けてみな。すぐに飲み込むんじゃねえぞ」
言われた通りに少しの間咀嚼していると、徐々に甘くなってきた。それは、本物の餅のような米に似た甘さで、2人の表情が、疑問から笑顔に変わった。
(うん。何か面倒くさい時は、美味いものを食わせるに限る)
「家、ですか」
「この辺りで良い場所って言われてもねぇ・・・」
バーダックは2人に事情を話し、物件探しを始めている。今3人が食べているのは、赤蛮奇が採ってきた苺だ。
「そうだな。半永久的に頑丈な造りにしたいから、岩壁とか地層とかそういった場所が好ましいんだが、心当りねえか?」
「地層か。それなら、もう少し上流だね。川から少し離れるが、それで良いかい?」
「それで頼む。川に近すぎると、大雨で詰む」
交流で、早速家を作る場所の候補を確保したバーダック。赤蛮奇の案内で、わかさぎ姫も一緒の3人で目的地へ向かう。道中で、ユリ根とエンカウントして行くので、5個に1つの割合で採取しながら歩き進める。8個目に入ろうとした辺りで、赤蛮奇が進路を変えた。
「コッチだよ。姫ちゃんは・・・悪いけど待っててね」
「うぅ・・・私も見たいのに・・・・・・」
「・・・・・・よっ」
「ふぁ!?」
何を思ったか、バーダックはわかさぎ姫をお姫様抱っこで抱えた。2人とも目を丸くしている。
「コレでこいつも見に来れるだろう。ほら、案内の続き頼む」
「あ・・・うん・・・」
動揺しながらも、口出しせずに案内を再開する。30m程歩いたところで、目的の地層が並ぶスペースに到着した。高さは4m弱。砂岩と泥岩が殆どを占めており、硬さも申し分なさそうだ。見た所、かなり昔に断層を起こして盛り上がっている様だ。
「良いんじゃねえの?場所も文句無しだ」
「ここまで案内したは良いけど、地層だよ?どうやって家にするの?」
「ま、寺子屋で充分知識を頭に埋め込んでいるからな。イメージは固まってるから大丈夫だ」
拠点となる場所は決まった。これより、バーダックは新たな技術士『建築家』として、作業を始めようとしていた。
よう、バーダックだ。早速家造り開始だ。水場水はけ風通し調理スペース道具置き場寝床その他と、まあまずはこれくらいで良いだろうな。後で簡単にリフォームが出来るような物件は・・・・・・まず壁材はアレだな。他はソレがこーなってどれがそーなって・・・・・・まぁ1人でも何とかなるか。
次回、始まりのサイヤ人が幻想入り
【働くサイヤ魂 繊細な建築家】
絶対に見てくれな。
ユリ根は10分以上は必ず水に晒して放置ですよ!!アレは毒素を根から溶かすためなので、身体に害が欲しくなければ、マニュアル通りにお願いしますね。自主アレンジされても、そこだけは絶対にいじるな。という事で。
バーダックもどんどん業を覚えていきますね。前回のネタゲストさんもあながち間違ってないんだよね。家を完成させるまでがショタ冒険編となっております。わかさぎ姫、赤蛮奇。影狼ちゃんは次回出しますので、ケモナーの方々はご期待ください。
今後も閲覧よろしくお願いします。
はぁー・・・恒例のアレを入れるのを忘れた気がする・・・・・・何だったかはよく覚えてないが、何となく編集しました。・・・・・・何だったんだろうか?