風が擦れるような鈍く弾ける音ともに、バーダックの立っていた場所に、早苗が現れた。
「っぷはぁ!!これが・・・霊夢さんが言ってた、完全憑依・・・・・・」
(俺は見るのも聞くのも初めてだ。簡潔に説明できるか?)
「要点だけまとめると、戦いながら瞬時に入れ替わることが出来ますよ」
(接近は俺・遠距離はお前と使い分けることは?)
「可能です。お互いの得意を伸ばし、不得手を補えば・・・」
(よし、やってやろうじゃねぇか。俺の狙ってることを頭に入れとけ)
「む・・・これは・・・・・・」
(これで、あいつを倒せるはずだ)
「でしたら、こっちの方が確実ですが・・・」
(まさか・・・そんなことが出来るのか?)
「私だけでは出来ませんが、貴方となら・・・」
(よし、乗った。そんじゃ・・・・・・)
ぎゅぁあん!!
「一気に畳み掛けるぞ!!」
(はい!!)
再びバーダックに戻る。スレイブのオーラが溢れ、ミジャグジを睨み付ける。
「へぇ。あんた、そんな癖があるのか」
「っ!?」
早苗と共有した記憶から、諏訪子の人柄や癖が流れるように分かってきた。それは、諏訪子の戦い方や得意な型を理解したと同義である。ミジャグジにとっては、バーダックに対して持っていたアドバンテージが大きく失われたことになる。
「まずは・・・【旋風】リフレクトルネード!!」
大量の全方位弾をばらまき、同時にレーザーを撃った。VSスカーレット姉妹に使ったのをハードとするなら、今回はルナティックだ。
「ぬ・・・だが、この程度はまだ避けられるぞ」
ミジャグジは身体をダイナミックに捻り、回転を含みながらステップを組む。4回目の回転で、視線からバーダックを逃すも、すぐさま構える。
しかし。
「諏訪子様は気合避けの際、左寄りです」
「なに!?」
「では、ゼロ距離からの【秘術】グレイソーマター・・・」
「甘い!!」
背後に回られ、すぐさま回し蹴りで応戦するも。
「真後ろへの回し蹴りは」
ぎゅぁあん
「右回り!!」
軌道を完全に読みきったバーダックが、追いかけるようにミジャグジの背後に回る。一瞬の技後硬直を狙い、
「【道連】スピリット・スピア!!!!からの」
ぎゅぁあん
「改めての【秘術】グレイソーマタージ!!!!」
自分ごとミジャグジを気の槍で押さえつけ、共に身動きが取れない状況でのゼロ距離スペルが直撃した。
3度バウンドしたミジャグジ。すぐさま体勢を整えるも、
「脳を揺すられた後、」
ぎゅぁあん
「左手で頭を押さえる!!」
小指の先が左目に少しかかり、僅かに出来た死角からバーダックの蹴りを脇腹に喰らう。
「ぐぅうううう!!!!己ぇえええ!!!!」
負けじと3度目の大蛇で特攻する。ソレさえも、
「あんたが大技かます時、」
ぎゅぁあん
「フェイントが2つです!!」
前方の攻撃に集中させ、後方からの攻撃の察知を送らせるも、それも囮。あえて直撃コースを外して体勢を崩した元へ渾身の1発!!この流れですら見事に読まれ、早苗の片手であっさりといなされた。
「まさか・・・こんな事がぁ!!」
「祟り神さん。貴方の力も充分驚異です。上位クラスの神ですから。それでも、その体は正真正銘諏訪子様のものです!!」
ぎゅぁあん
「数百年かけて作り上げた型を、長年肉体を持たなかったあんたが宿主の癖を憑依1日でどうこうできるか?」
「黙れ!!人間が我に意見するな!!」
ミジャグジは逆上。鉄の輪を両手に持ち、真っ直ぐに飛び掛かってくる。
「バカが。その軌道は・・・・・・」
突然地面が割れ、巨木が現れた。蔦や枝でミジャグジを取り込むように急成長し、どっしりと構えている。
そして、ミジャグジはこの木に嫌な思い出しかない。
「ぐ・・・タケミナカタぁああああああ!!!!」
「ふふ・・・オンバシラの種にすら気付かなかったのか、ミジャっち?」
「さて、こっちも応急処置も完了だ」
神奈子と天魔がミジャグジとバーダックの間に降り立つ。二人ともすでに満身創痍で血が滴りながらも、その表情には余裕があった。
「はん。あんたらがまたここに立つのか。やれんのか?」
「ん、やれないね」
「うん、無理」
ぎゅぁあん
「じゃあ、何で来るんですか!?」
「そうだね。サイヤ人の坊やに命預かって貰うからさ」
「バーダックさんに・・・?」
「彼の存在は、実力以上に安心する。君たち二人がいれば、絶対に大丈夫だよ」
「ほら、何か秘策があるんだろ?私らに任せて、後衛に専念しなさい」
「・・・・・・・・・」
(・・・・・・・・・)
「早苗ちゃん、早く!!」
ぎゅぁあん
「精々、47秒持たせな!!」
バーダックは、3人から大きく距離を取った。
残された者達は、文字通りの妖怪の山トップ3の実力者だ。睨み合うだけで地面にひびが入っていく。ミジャグジは大木を抉り、裂くように脱出した。
「はぁ、はぁ、はぁ・・・負け恥を晒しながら、まだ来るか・・・!!」
「今更恥なんざどうでも良いさ」
「はっ!!なら、次こそ惨殺だ!!覚悟しろゴミがぁあああああああ!!!!」
ミジャグジは怒りに満ちている。さっきまで確かに有利だったのは間違いなくミジャグジだ。舞うように痛め付け、華麗に全てを躱し、確実な優勢を保っていたはずである。それが、たった2人の餓鬼に一方的な醜態を晒したのだ。どれ程屈辱か!!
「まあまあ、落ち着かなくていいさ。お互いに無様同士、老兵は隠居しようぞ」
「早苗ちゃんに文ちゃん。若い世代は育ってるさ」
「んじゃ、やろうか。無茶通してのコンテニューさ。バッドエンドまでは悪足掻きさね!!!!!!!!」
破滅の門では、事態が悪化していた。
易者を嵌め込んだ人柱を中心に、紫・映姫と合流した隠岐奈でサークルを組んでいる。それらを囲む怨念の数といったら、もう数えようする思考を捨てたくなる。
「もう!!もう!!もう!!!!鬱陶しいにも程があるじゃないの!!」
「どうやったら、そんなに邪念を溜め込めるんですか!?黒!!黒!!黒ぉ!!!!」
「引きこもりの不健康をいたぶるな!!痛い!!痛い!!あ、吐きそう!!」
「出せー!!帰らせろー!!助けてー!!ママー!!」
「「「役立たずうるさい!!!!!!!!」」」
「酷い!!!!」
こんなに騒々しい防衛は無い。易者は泣いた。巫女に割られ(原作)、色んな所で出る度に割られ(二次)、割れた後に頭から埋められ(本作)、もう散々である。1発キャラで完結しておきたかった。
「この邪念の数も明らかに異常ですが、気付いてますか!?」
「候補なら幾つかある!!タイミング的に閻魔が言うのは恐らく、こいつらの矛先か!?」
「摩多羅隠岐奈!!言ってみなさい!!」
「鍵となるキーワードは、間違いなく・・・・・・」
「憎い!!憎い!!憎い!!憎い!!憎い!!」
「己ぇえええええええええ!!!!」
「サイヤ人がああああああああ!!!!」
「サイヤ人か!!!!」
「摩多羅隠岐奈!!どう思いますか!?」
「最近話題の新参者にそんなのが居たが、関係あるのか!?」
「彼自信も、記憶が曖昧のようですが、八雲紫の見解はどうですか!?」
「恐らくですが、これが彼が無意識に導いた【絶望への道しるべ】!!そのシナリオこそが!!」
「破滅の門の解放か!!!!」
「嫌だああああああああああ!!!!怖いいいいいい!!!!」
「お姉ちゃああああああああああん‼︎‼︎」
「「「気が散るうるさい!!!!!!!!」」」
「人権侵害だ!!」
紫の頭では、仮説のピースがパズルの空白を埋め尽くしていく。完成が近づくごとに、かつて無い恐怖が思考を襲う。
3人でのスペル宣言はなお終わらない。かれこれ一時間はぶっ通しだ。流石に閻魔や賢者と言えども、集中力が切れてくる。
そして遂に、映姫の膝が崩れ落ちた。
「ぐっ・・・デスクワーカーを酷使し過ぎです!!」
「閻魔!!紫、サポート出来るか!?」
隠岐奈の声ははっきりと聞こえた。そして、目の前に突然現れた更なる恐怖が、紫を蝕む。
「そろそろ、敗戦の様ですね・・・・・・」
「紫!?何を言って・・・・・・っっ!!??」
「八雲紫・・・貴女らしく無・・・・・・はぁ!!??」
3人の視野を埋め尽くす巨大な邪念。大きさも濃さも桁違いだ。周囲の怨念を吸い始め、更に成長していく。映姫も隠岐奈も、抵抗の力を出せなくなってしまう。それほどまでに力の差がありすぎた。
「・・・・・・・・・」
ただ一人、紫は真っ直ぐとソレを見つめている。
「紫・・・もう、どうしようも無くないか?」
「ん~・・・そうでも無いかもしれませんね」
「はい!?」
恐怖に支配されながら、まだ落ち着いている様子だ。彼女をよく知る隠岐奈ですら、何故そこまで冷静なのかが分からない。
「これが彼の【絶望】ならば、対抗出来るのも彼の【希望】ですわ。なら、私たちが無茶してやる必要も無いでしょう」
「何を言ってるんだ!?紫!!何を一人で納得してるんだ!?」
「話してる時間はありません。パズルの完成形を預けます。貴女は、それを幻想郷へ届けて頂戴」
「八雲紫!?貴女は何をするつもりですか!?」
紫は寂しそうにはにかみ、二人へと向き合った。
「私の出来る最善策を実行します」
その一言を最後に、紫は巨大な邪念に飲み込まれた。
「くたばれ!!タケミナカタ!!」
「どうした!?初戦の方がよっぽど強かったぞ!!相当疲れてるな!!」
「黙れ!!神が人間と対等だと!?よくもそんな無様な事を!!!!」
「言えない事もないさ!!少なくとも、早苗ちゃんの素質も器も、諏訪子ちゃんより大きい!!」
「神も妖怪も持ち得ない、人間の強みが早苗にはある!!!!」
「何が!!あるというのだ!!!!!!!!」
ミジャグジの頭に、【冷静】という言葉が完全に抜け落ちている。逆上のために、目の前の敵しか見えていない。早苗とバーダックの術ですら、忘れてしまっている。
「さて。始めるぞ、早苗」
ぎゅぁあん
「はい!!」
早苗は目を閉じ、大幣を構えた。
現在、閻羅の恐怖により、ミジャグジの信仰は無限に溢れている。
同時に恐怖に狩られ、助けを求める人間たちの祈りも溢れている。
『助かりたい』
それだけの思いを胸に、奇跡を信じて神に祈っているのだ。
早苗の能力が、その祈りを力に変えていく。信仰は神の源。風祝の早苗に、奇跡の力が流れ込んでくる。見習いの神が受けるにはあまりにも重すぎる。
それをバーダックの能力が緩和する。完全憑依を通し、早苗の身体の負担を大きく減らす。まさに、2人の能力が見事に噛み合った神業だ。
そして。
「出来ました!!」
(すげぇ・・・・・・これがお前の力か)
「バーダックさんが居ないと、ここまで形にはなりませんよ」
(そんじゃ、奇跡をお届けしますか)
「定時は、間もなくですよ!!」
早苗は力強く跳躍した。妖怪の山トップ3が混戦する場へと、距離を詰める。
「お、完成したな!!」
「宣言通りの時間だね!!」
「なっ!?あれは・・・!!」
早苗の力にようやく気づいたのか、ミジャグジが動きを一瞬止めてしまう。神奈子と天魔は、すかさずミジャグジを押さえ込む。
「ぐ!!離せ!!」
「そうは行くか!!」
暴れるミジャグジと押さえ込む神奈子・天魔。ここで、天魔の力が尽きてしまった。天魔を振りほどき、左腕かフリーになり、鉄の輪を装備した。
「真っ直ぐに突っ込めば、カウンターなぞ容易いわ!!」
「やばっ!!右側で手一杯なのに!!」
「バーダックさん!!どうしますか!?」
(構わず行け!!!!)
「はい!!」
ミジャグジは、失望した。カウンターを当てられると分かっていながら、なお突っ込む素人の考えに。
そして、振り上げた腕は、
突然停止した。
「なっ!?バカな!?何故!?」
(頭に血が上って、簡単な方程式も解けなくなったの!?)
「き、貴様は!!」
(あたしの身体を使うなら、あたしの意識を常に押さえ込むべきだったね!!)
「諏訪子か!?丁度良い!!押さえとけ!!」
(よくもまあ、あたしの身体をそんなに乱暴に掴めるね!!あとでお仕置きだよ!!)
「貴様らあああああああああああ!!!!」
2柱の神に押さえつけられるミジャグジ。またしても意識がそちらへ向き、忘れてはいけないモノを忘れてしまう。
暴れるミジャグジ。その身体を狙って!!
「(【奇跡】超信仰玉!!!!!!!!)」
早苗の奇跡は、諏訪子の身体を貫かず、ミジャグジの邪念だけを貫いた。
ボロボロの身体で倒れ込む2柱の神。
「はぁ、はぁ、助けるのが・・・遅いよ・・・」
「邪魔したのは、そっちだろ?」
「あははっ♪久しぶりの戦争だったね」
「随分と楽しそうだな」
「完全に力尽きるまで戦ったこと無いもん」
「ま、今回の騒動も、お前のネイティブフェイスに免じて許してやるよ」
こうして、第二次諏訪大戦は、終息した。
「あー疲れた!!もう身体を保つのも無理っぽいな!!」
「早苗~いる~?」
「はい、こちらに!!」
完全憑依が完了し、早苗バーダックは二人に戻って神の元へ来る。
「身体が消えそうだから、依代頂戴」
「依代って・・・そんなのどこにも・・・」
「あたしは蛙の髪飾りに入りたい」
「私は蛇を頼む」
「あんたら、そんなんで良いのか?」
「神が望めば、それで充分。それとも、早苗は嫌かい?」
「そんなことありません!!」
必死に頭を横にブンブン降る早苗。そして、2柱の神の身体が消滅した。
(はぁ~落ち着く~)
(ようやく隠居生活の始まりか)
「そんなこと無いですよ!!お二方の力が凄くたぎってきます!!」
(あまり乱用するなよ?家賃は払うが、回数制限あるからな)
「分かりました。それでは・・・」
その直後、早苗はバーダックをぶっ飛ばした。
「べぎゅぼがなああああああエアあああ!!!!!!!!」
5度のバウンドを経て、バーダックが大地に突き刺さった。
((・・・・・・・・・は?))
「それでは成敗します!!女の子の身体に憑依するなんてハレンチな男に粛正を!!」
「((アホかああああああああああああああああああああ!!!!!!!!))」
諏訪大戦は終わった。そして、神の加護を私用に使う早苗。(仮)ではあるが、新たに加わった3柱目の神も一緒に、現代っ子を説教することに。
そのはじっこ。半壊した守矢神社では、天魔がお茶を入れて啜っていた。
「ほぅ・・・・・・若いって、良いねぇ・・・・・・」
よう、バーダックだ。新たな超サイヤ人の力、最高だ!けど、コレ体力がごっそり持って行かれるな。今後はあんまり使わない方が良さそうだ。む、紫からのメッセージ?俺は忙しいから、誰か聞けるやついないか?
次回、始まりのサイヤ人が幻想入り
【幻想郷の大異変! 賢者の覚悟】
絶対に見てくれな!!
自分で疲れてるなぁ・・・と思う時
その3
汗拭きシートが切れてコンビニで購入。吹いていると、どうも泡っぽい?コレなんだ?
【メイク落とし】
・・・・・・俺、何にも味付いてない、素材まんまなんだが・・・・・・
遂に登場!超サイヤ人神!!皆さんとしては、やっぱりこの変身を一番楽しみにしてたでしょう!!遂にお披露目出来て、私も嬉しい!!
でも、コレにも問題はあります。まず、バーダックの身体がついていけません。今回は早苗の素質でなんとかなりましたが、今後一人で変身しても、ただ立っているだけで10秒持つか怪しい、と言った具合です。ぼくはそっちの方が燃えるんですがね。
他には、輝針城のハードですね。前話投稿して、翌日に針妙丸ちゃんまで到達しました。耐久スペルが凄まじく、中々突破できません。ボムのゴリ押し?足りない!!
今回はもう、やりたかったバーダックの神が出来たことだし、後書きの薄味はこのままで良いや。ダメな人は、クレームつけても構いませんよ。それではここまで。さよならちゃーん♡