第34話~絶たれた希望 大妖精勇気の大行進~
「はっ!?」
見覚えのない天井を視界に捕らえ、意識が覚醒したのは、大妖精だった。衣服は、いつものワンピースではなく、少しだぼついた河童のソレであった。
「お。目が覚めたかい、妖精ちゃん。水でも飲むといい。ここの川はとても澄んでいてね。寝起きには健康に良」
「チルノちゃん!!!!!!!!」
僅かな時間で大変なことを思いだし、ちょっと胡瓜臭い布団から飛び上がる大妖精。
「保護とお布団ありがとうございます!!お礼はまた後日に必ず!!!!」
「ちょっと!?」
扉を開けようと乱暴に突進する。が。
「ふげっ!?」
「それ、横引き戸だよ」
「すみません!!」
すぱーんっ!!と戸を開け、飛んでいく妖精。
「あ。あの娘着替えてない」
「うぅ~・・・寒いぃぃ・・・・・・」
「私にくっつく理由では無いと思うんだけど・・・」
「だってみすちー暖かいんだもん」
寺子屋の一室。普段慧音が寝泊まりしている部屋で番をする二人の小さな妖怪。身体を寄せ合い、暖を取っている。大異変の最中、湯たんぽの替えを作ることすら危険だ。特にやかんの音。
そもそも何で寺子屋に隠れているのかという話になるが。稗田亭の結界は、八雲藍が張ったものである。まだ完全でない式神の結界なため、他の妖怪が内側に入るとするとノイズが発生してしまう。故に、里でも表立って活動できる少ない妖怪の隠れ家、天狗や命蓮寺神霊廟の警護の休憩の場として、慧音が提供した。こちらには、天狗の隠れ蓑を応用した護符を巡らせているが、音だけは気を付けなければならない。
「すぅ・・・すぅ・・・」
「ぐっすり寝てるね」
「姫は私が守るから」
「担いで逃げられる?」
「出来るもん」
「ペット達は私が守ってあげるからね」
小さな話し声がちらほらと確認できる。隠れ家側の精神状態が気がかりではあったが、杞憂のようだ。少なくとも、今日明日で均衡が崩れるのは無いだろう。
「さて。そろそろ出るか」
神子は静かに退室していった。
「これが・・・霧の湖なの・・・・・・?」
朝日に照らされて大妖精の眼に飛び込んだ光景は、いくら今が真冬で冷えきっているとしても【不自然】という言葉を拭えない。あっても水面が凍りつき、氷塊がちらほらと見える程度の筈だ。
水が湖底まで全て凍りつくなんて誰が思うだろうか。
湖の中心付近には、小さな島があるはずである。その亀裂にチルノちゃんが消えていったのを確かに覚えている。例え視力が落ちていたとしても、例え記憶の乱れが起こっているとしても、例え私がバカになってしまったとしても、要塞と見間違える事は絶対にあり得ない。
「扉っぽいのは・・・・・・あそこかな?」
紅魔館の門でよく見る、両開きの横引き戸。縦横の比率に違和感は否めないが、あそこ以外に検討もつかない。
扉の前に降り立つと、府快音を放ちながら開いていく。まさかこの規模で自動ドアだなんて。入っていいのかな?
「えっと・・・・・・お邪魔しまーす・・・」
ゆっくりと歩いていく大妖精。
はっきり言おう。恐い。一人で勇んで助けに来てみたものの、絶望的な恐怖が襲いかかる。冷や汗で背中がベタベタになった事なんて1度もない。そもそもそうなり得ることを初めて知りました。
「うぅ・・・寒い・・・河童さんに何か借りれば良かったなぁ・・・」
河童さんの衣服、何でこんなに薄手なのですか。河童だから濡れるのが好きなのかな?こんな時期に?風邪引かないのかな?
と、開けた所に出てきた。大きな柱と複数の出入口に階段まで揃っている。紅魔館と似た造りとするならば、中央ホールだろうか。
ぎゅぅあん!!!!
と、イヤな音と共に何かがこちらに飛んでくる。ギリギリで躱すと、ソレは床を深く抉ってから止まった。
「ひっ!?」
蹴鞠よりも大きな球体に4本の針が手裏剣のように並んでいる。床の抉られ方。これ、高速に回転してたってこと?
「いったいどこから・・・・・・うそん・・・」
見上げてみれば、ホールの天井付近で球体が大量に浮かんでいる。不自然に光が反射しているのは、やっぱり針が原因なのだろう。
そしてそれらは、大妖精目掛けて集団で襲いかかる。
「ふいがゃああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」
右へ左へ上下に前後。縦回転に横回転。その様は正に、サーカスで慌てふためくピエロのアクロバットの如し。逃げては針玉同士の衝突で粉砕を繰り返すこと、15分は超えただろうか。
「ぜひゅー・・・・・・ぜひゅー・・・・・・ぜひゅー・・・・・・」
もう何がどうなってどう避けたのか、記憶することすら困難を極めた。呼吸の度に喉から歪んだ笛の様な音が漏れる。本気でヤバイレベルの疲労だ。
四つん這いで休憩する大妖精だが、周囲の違和感に気付いた。
(私の周りだけ、影がある・・・・・・!!!!!!!!)
重い身体を翼で引っ張りあげ、掌から弾幕を大量に放出させる。反動で吹っ飛んだ直後に、軽い地響きが発生。転がりながら、ほんの1秒前の自分の居場所を見てゾッとする。
黄色の巨漢が現れ、その足場はひび割れていた。
(あぁ・・・無理っぽい・・・・・・)
妖精も過労死するのだろうか?そんな絶望感に苛まれながら突破口を探そうと周囲を見渡すと、意外な影を2つ見つけた。
「よし・・・・・・頑張ってみよう・・・!!」
大妖精の心は、まだ折れていない。
「どうして止められなかったんですか!?もぐもぐ」
「自分守るのに精一杯だったんだよ!!もぐもぐ」
「てゐに何かあったら大変でしょう。もぐもぐ」
「生きてるだけで幸せです。もぐもぐ」
映姫に、バーダックの件で事情聴取からの尋問を受けている妹紅・輝夜・てゐ。四人とも煮物を咀嚼している。
「バーダックさんが居ない今、もはや防戦一方です。八雲紫も居ない為、スキマで呼び出すことも出来ません。摩多羅隠岐奈の背中の扉も存在しないとなっては、どうしようもありませんね。む、この筍美味です」
「そうだろうそうだろう。筍は、大地の産んだ素晴らしい恵みだ。輝夜の母ちゃんにゃもったいないな。バーダックのやつ、そんな大層な鍵だったのかよ。鍵穴作るのも大変だな。主に頭部」
「んぐんぐ、ごくん。妹紅しつこい!!ガーリックJr.だっけ。不死身で面倒だったとはいえ、あいつ1人の代償がバーダックさんって、全然釣り合わないわね。あ、永琳おかわりちょうだい」
「あいつの誘いにホイホイ釣られたのも、それだけ安心してたって証拠なのか。拠り所が消えるとこんなに不安になっちゃうのね。あー人参美味しい♡」
和気藹々と食卓を囲む4人に。
「いい加減にしなさいよ!!!!何を暢気に寛いでんのよ!!!!」
「「「「1回くらい現実逃避したって良いでしょう!!!!」」」」
性格も考え方も何もかもが違う4人の息がぴったり噛み合った奇跡。誤差、改め誤字は一字も無い。割りと本気でイラついてた霊夢も、この威圧に怯まされる。
「うぅ・・・バーダックのご飯、凄く楽しみだったのに、これが最後だなんて・・・・・・」
「妹紅も可哀想・・・有能な舎弟が居なくなって、貧相生活に逆戻り・・・」
「やかましい!!!!」
「バーダック・・・やっぱり私は兎みたいだね・・・人参・・・・・・美味しいよぅ・・・」
「あぁ・・・お地蔵時代が懐かしい・・・・・・」
それぞれがそれぞれで面白い具合に壊れてしまっている。もちろん文はファインダー越しに覗き終わったところである。
(さてと。次の治療の準備に入りましょう。優曇華は・・・叩き起こすか)
永琳は、袖をまくりながら静かに退室していった。
「はぁ・・・はぁ・・・」
あの人ズルいよ。攻撃を全部ゴムの反動みたいに跳ね返すんだもん。パンチキック等の打撃だけならまだ良いよ。弾幕まで跳ね返すとかルール違反でしょうが。打ち返しとかならともかく。
煙幕に紛れて、柱や瓦礫の影に隠れながら移動を繰り返すが、どれだけ時間を稼げるだろうか。
「ゴム・・・・・・・・・」
スペルカードを持たず、攻撃手段が大きく限られる大妖精だが、頭はキレる方だ。僅かながら稼いだ時間の中で、道筋を作り上げていく。そして。
「覚悟ぉ!!うりゃああああああああああああああ!!!!」
瞬間移動を重ねながら距離を詰め、その腹部へと突進をかます。
「ぐひひひひ!!自棄になったか!?」
案の定、ゴムの身体に埋まっていく大妖精だが。
「ここだ!!!!」
身体から炎弾を無数に放射し、突進のスピードと同じスピードで同空間へ瞬間移動し続ける。
熱によりゴムの伸縮性が上がる。更に、連続瞬間移動で移動時の摩擦が大幅に減少し、パチンコのゴムの様に巨漢の後方へと一点集中で伸びていく。
「ぐ・・・うおおおおおおおおおお!!!!」
予想外の展開だが、巨漢はまだ余裕があるように見える。その場で踏ん張り、大妖精の体力が切れ、弾き出されるのを待つ。
それが、間違いだった。
伸びていく身体を、凍気が襲いかかる。合計三ヶ所。熱で伸びた箇所が急激に冷やされ、伸縮性と共に頑丈さまで落ちる。そこへ1つの人影による爪と牙の引き裂き攻撃が襲いかかる。
伸びきった脆いゴムへの引き裂き。
その結果。
ばりぃいいい!!!!
「うがあああああああああ!!!!????」
大妖精の突進がゴムの身体を貫いた。大穴を開けられた巨漢は、力なく倒れてしまった。
「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」
炎弾のお陰か、身体も少し暖まってきた様子。顔を少し上げ、2つの人影へとサムズアップする。その先では、同じくサムズアップで返してくるルーミアとレティの姿があった。
「・・・・・・・・・」
天界の一角。飛び降りれば、地上へと向かう崖っぷちに佇むのは、美しき緋の衣【永江衣玖】。一面に広がる雲海をただ見つめている。
「・・・・・・・・・」
「何を珍妙な雰囲気醸し出してんのさ?」
「総領娘様・・・・・・」
「気質が乱れたり、地響きが聞こえたりしたけど、地上で何かあったの?」
「何をワクワクされているのですか?」
「もしそうなら、今降りるととっても楽しいのでしょう?もう勉強続きでそろそろ鈍ってきた頃だし、存分に暴れたいの♡」
「では、降りますか?」
「・・・・・・良いの?」
「駄目って言っても聞かないでしょう?」
「よーし!!頑張っちゃうぞ♪」
どこに持っていたのか、緋想の剣をくるくると回し、ズドン!!と天界の大地に突き刺す。
「それ持参してる時点で、降りる気満々ですか」
「どうせなら、ド派手に行くわよ!!!!」
緋想の剣にエネルギーを遠し、崖になっている大地をへし折った。重力に負けた足場は、天子と衣玖を乗せたまま地上へと落ちていく。
「何やってるんですか」
「登場はより格好良く、インパクト優先ね!!!!」
「この下魔法の森なので、登場シーンを目撃出来る人非常に盛り上がる強運を持って片手で余裕で数えられますが良いですか?」
「良くないわよ!!??」
自由落下漫才は、受けるでもスベるでもなく虚しく落ちて行く。
『ミソカッツンの気が消えた・・・・・・敵は一体何者だ?』
「映像では、幼子二人と女が一人しか確認出来ませんな。こんな軟弱な者共が・・・」
『見た目で判断するのは愚か者だぞ。その3人からは気を感じられぬ。この青い娘と同じく人間ですら無い可能性もある。油断は禁物だぞ』
「氷仙人の様子は、非常に宜しいです。紋も安定値を超えております。戦闘能力を測れないのが不安ではありますが」
『まだ様子見をすべきだろう。エビフリャーとキシーメを配置しろ。それで退ければその程度ですむ』
「承知したしました。キシーメは電気触手の初陣ですからな。記録用にわしも同行したしますぞ」
『相手の力は、数値も種類も未知数だ。少なくとも格下と侮る事だけはするでないぞ』
「では、向かいます。Dr.ウィロー様」
おーっす!!伊吹萃香様だ。マジで!?あの妖精、マジでやりやがった!!あいつ多分幹部クラスだろ?妖精と思って侮ってはいたが、これは考えを改めないといけないねぇ。次はどんな突破をするのか、実に楽しみだね♪
次回、始まりのサイヤ人が幻想入り
【暗闇に落ちるリボン】
これは、また一波乱起きそうだ♡
よう、スマホやパソコンの前のお前ら!!興奮が止まらねぇだろ!!本当に大ちゃんが最前線で大活躍するなんて思ってもみなかったろ!?次回は、サブタイ通りあの娘のあれがあーなります。その前に、大ちゃんにはもう一暴れしてもらいましょう♡
皆さんは東方人気投票どのように投票しましたか?
僕はこうしました。
人妖部門
八雲藍
ドレミー・スイート
ナズーリン
大妖精
依神紫苑
鬼人正邪
多々良小傘
音楽部門
今宵は飄逸なエゴイスト
輝く針の小人族
クレイジーバックダンサーズ
星条旗のピエロ
シンデレラケージ
春の湊に
U.N.オーエンは彼女なのか?
真相へ繋がる枝葉
始原のビート
ピュアヒューリーズ
作品部門
東方輝針城
東方紺珠伝
東方鈴奈庵
東方憑依華
弾幕アマノジャク
となりました。皆さんはどんな具合になりましたかね?果たしてこれらが何位を獲得するのか楽しみです。去年の話題筆頭の紫苑お姉ちゃんやドレミーさんが特に気になるところ。楽しみと不安でお腹痛い。あと便秘気味でお腹痛い。
ドッカンバトルの天下一武道会もいい成績を収めました。寝る時間と龍石を惜しまず使いまくり、20000位以内に滑り込むことが出来ました!!報酬楽しみ♪
それでは、今回はここまで。最後の人気投票ですし、皆さんで大いに盛り上げましょう!!悔いの残らないように、各自好きなキャラを応援してあげてください。がんばれ♡がんばれ♡