始まりのサイヤ人が幻想入り   作:白藍ハートネット

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京都アニメーションの事件に巻き込まれた方々にお悔やみ申し上げます。貴重な過去作品の資料や、将来お披露目される予定だった作品たち。そして何よりも、日本が世界に誇る未来の名クリエイターの方々総勢34名の失われた命。
ご冥福を心よりお祈り致します。


第36話~EXルーミアVS洗脳チルノ!? 涙の激突!!~

「・・・・・・この空気の震えは・・・」

 

 

 

紅魔館の門前にたたずむ華人小娘は、気の乱れを感じ取っていた。よく知る妖精と妖怪の気が激しくなったり弱くなったりを繰り返してる。何かと戦っているようだ。しかも。

 

 

 

(かなり近い・・・・・・湖底からなのか?)

 

 

 

霧の湖と呼ばれているものの、濃霧が長期間に渡って廻り続けることは無かった。閻羅騒動のすぐ後でこれか。無関係では無さそうだが、どうする?調査に向かおうにも、門を無断で離れるわけにもいかないが。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

考えていたら、館からよく知る気の乱れが。また何か癇癪起こしたかな?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「バカな・・・あの娘の変わり様は・・・!!」

 

 

 

キシーメの電磁鞭の異変に気付いた直後には、もう遅かった。移動・回避・撹乱に特化した筈のキシーメの腹部をあっさりと貫いた黒い腕の主に目を奪われる。

 

 

 

「ル・・・ルーミア、ちゃん・・・?」

 

「まさか・・・何が起きたの・・・」

 

 

 

あの仲間二人の反応から、向こうにも状況が理解出来ていない様子だが。氷仙人といい、この地の幼子は凄まじい可能性を秘めておるようだ。

 

 

 

「どうしたデカブツ?その図体で肝っ玉は豆粒なのか?」

 

「なっ!?調子に乗るなぁ!!!!」

 

 

 

エビフリャーが、黒い少女に突撃する。その巨体とスピードから出る圧倒的な破壊力の筈だが。

黒い少女は、華奢な腕一本でその推進力を相殺してしまった。

 

 

 

「力だけのバカにさっきまで押され気味なのが、腹立たしいな」

 

「何を・・・・・・っっ!!??」

 

 

 

重く鈍い破壊音がしたと思えば、エビフリャーの腕が明らかにおかしくなっている。肘と手首の関節から大量の出血をしたと思えば、それぞれあり得ない方向に180度ずつねじ曲げられている。見た目だけなら肘から手首までの下腕にしか違和感を感じないが、その事実が黒い少女の恐ろしさを如実に表していた。

 

 

 

「安心しろ。すぐに痛くなくなる・・・」

 

「な・・・ぐぎゃあああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ・・・ぁぁぁ・・・・・・ぁ・・・」

 

 

 

何処からともなく出現した黒い塊がエビフリャーの巨体を覆い隠し、骨や肉がひしゃげる音と大量の血が噴出した音が、徐々に消え行く断末魔に混ざって響く。不気味な程に静かになり、黒い塊が消えた後には、血液だけを残し、肉片一つ見当たらなかった。

 

 

 

「ルーミアちゃん・・・ぅぷっ!おげぇぇえっ!!」

 

「大ちゃん!!」

 

 

 

あまりの衝撃的な光景に動けなかったレティが、すぐさま大妖精のもとへと駆け寄る。純粋で心優しい大ちゃんに、この惨状はもうトラウマだ。嘔吐した大妖精を確認したルーミアは、ちょっと後悔している。もう少しマイルドなやり方にすれば良かったな・・・。

 

 

 

「さて、と。爺さん。チルノを還してくれないか?これ以上友達の精神をズタズタにしたくないんだが・・・」

 

「・・・・・・ワシを惨殺する行為には躊躇無いのか?」

 

「あると思うか?」

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

静寂の空間に大妖精の嗚咽と息切れだけが響く中、ルーミアとコーチンの睨み合いが凍えるホールを更に凍りつかせる。莫大な冷気でブーストしてるだけの弱小妖怪であるレティはこの緊張に飲み込まれてしまい、脳が脚の震えを停止させるだけの余裕が一切無い。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい~す。ただいま~」

 

 

 

瓢箪片手にへべれけな萃香が神社に帰宅した。藍は優しさ皆無のジト目で睨みを効かすが、どうも威嚇の才能も皆無な為か、麟の目にはとても可愛らしく映ってしまった。

 

 

 

「藍さん、あんなに可愛らしい表情するんですね」

 

「うん♡藍様、時々スッゴく可愛くなるの♡」

 

「お前ら・・・・・・」

 

「まあまあ、土産話も沢山あるよ~。新しく出てきた敵の正体とか、山の神が脱落したとか、バーダックと紫が消えたとか」

 

「紫さまああああああああああああああああ!!!!!!!!」

 

「うおっ!びっくりした!」

 

「藍さん、紫さんの現実から必死に目をそらしてたんですけど・・・・・・」

 

 

 

紫の式神として、紫と定期的に同調してる藍。そのシンクロが完全に途絶えた時から、藍の精神はあっという間に不安定になってしまった。紫様の身にどんな恐ろしいことが起きても、シンクロで助けを求められることは片手で数えきれる程度だがあったのだ。声が届かないどころか、送信すら空振ってばかり。まさか・・・。まさか!

 

 

 

「んー・・・悪いことしたか?」

 

「さっきの落ち着きまでに、井戸と倉庫と賽銭箱が半壊・水瓶と障子と霊夢さんの湯飲みが修復不可です」

 

「おぅふ・・・・・・」

 

 

 

もう一度落ち着かせるまでに、畳四枚と茶碗まで駄目にしやがったこいつ。異変後の宴会の献立にキツネうどんが出たら合掌くらいしといてやろうか。

 

 

 

 

 

「人の物を壊したらいけないって教えてくれたのは誰でしたか?」

 

「はい・・・私です・・・・・・」

 

「橙が紫様のお皿を割ったとき、紫様以上にお説教したのは誰でしたか?」

 

「はい・・・私です・・・・・・」

 

「しかもこの茶碗、前に霊夢が持ってったマヨヒガの茶碗ですよね。これ私にプレゼントしたのは誰でしたか?」

 

「はい・・・私です・・・・・・」

 

「一度うちのペットになったのにあっさり裏切ったのはどこの狐さん?」

 

「はい・・・私です・・・・・・」

 

「危険な時にこそ冷静にって麟ちゃんを連れて来るように命じたのは誰でしたか?」

 

「はい・・・私です・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

「・・・・・・・・・」

 

 

 

中々見ることの出来ない貴重な下克上シーン。特にこの2人の場合はレア中のレアだ。萃香も麟も笑いを堪えながら眺めている。

 

 

 

「この茶碗、なんだかんだで霊夢も気に入ってて、毎日の様に愛用してたんです。どう説明するんですか?」

 

「ごめんなさい・・・・・・・・・」

 

 

 

そろそろ助け船を出してやろうと麟が口を出すが、まさかの藍に止められた。

悪いことをしたしたのは自分なので、情けで助けてもらおうとは思わない。非がある以上、部下相手にも頭は上げられないし、この件を決めるのは霊夢で有るべき。橙の教育のためにも、私を許さないでほしい。と。

変な意味でも真面目過ぎた藍の心の底からの謝罪に、若干引く麟。橙は藍を理解している故に呆れているようで、萃香は爆笑。

紫苑がご飯が炊けた事を報告しに来た為、取りあえずこの話は一時停止。食事を始めることに。

人参入りの甘い味噌汁に、全員のなんとも言えない表情も解けていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「おら、歩け」

 

「ぅぐ・・・・・・」

 

 

 

Dr.コーチンの喉元にサバイバルナイフサイズの闇を突き付けるのは、突然雰囲気がガラリと変わったルーミア。身長や髪型も対して変わってはおらず、目の僅かなつり上がりとリボンが無い程度。たったそれだけなのに、ど偉い変わりようである。

通路を歩く2人の少し後ろを歩くのは、大妖精とレティ。

 

 

 

「ルーミアちゃん。大ちゃんも少し怯えてるし、歩きながらで良いから話してくれないか?」

 

「ん・・・怖いか?」

 

「・・・・・・・・・」

 

「簡潔に言うと、二重人格だ。厳密には違うが、一番近いのはこれだな」

 

「どこがどう違うの?」

 

「お前らが知ってるルーミアは、これを自覚していない。故に今の私・・・ルーちゃんと言うことにするが、ルーちゃんの事は分からない」

 

 

 

ルーミアの記憶や趣味嗜好、友達への大好き度はそのままに、性格だけが変わった状態がルーちゃんだ。ルーちゃんが深い眠りにつけば、大妖精達のよく知るルーミアにいつでも戻るとの事。

 

 

 

「大好きな友達が突然得体の知れないナニかに変わってしまったかも、という恐怖は捨てろ。私はちょっと荒々しくなっただけのルーミアだ。数日もすれば元に戻る。あの妖怪巫女の保証付きだ」

 

「霊夢さんの・・・?」

 

「頭のリボンな、あれ札なんだよ。元々凶暴で凶悪な妖怪を封印するためのな。ま、眠ってる間にどれ程甘くて楽しげな夢を見ていたのかはお前も知ってる通りのはずだ」

 

 

 

振り替えるルーちゃんの笑みは、どこか不気味でちょっと怖かったけど。つり上がったその眼は、とても暖かかった。

 

 

 

「・・・・・・興味深い話ばかりだな・・・」

 

「黙って歩け」

 

「ぐぁ・・・・・・」

 

 

 

闇を少し強めに押し付け、奈落の感触を僅かに流し込む。コーチンは軽い目眩と脱力感に襲われるが、ここで膝をつけば余計に闇に飲まれると必死に抵抗した。

ふらつきすら許可しないルーミアはコーチンを無理矢理歩かせる。

と、1つの扉の前で足を止めたコーチン。

 

 

 

「ここだ・・・」

 

「開けろ」

 

 

 

すぐ横のキーボードをほんの2秒弄り、扉を開ける。そこには巨大な機械やコードの束にビーカースクリーンと、頭が痛くなりそうなものばかり。赤と黄色の点滅が非常に目に悪い。

と、大きなビーカーの中で覚えのある青色に目が止まる。

 

 

 

「チルノちゃん!」

 

「あのビーカーを開けろ」

 

「ぬぅ・・・・・・」

 

 

 

少し離れたパソコンまで誘導し、少し弄れば、蓋が開けられる。

 

 

 

「おい。あの拘束具も外せ」

 

「あ、あれは本当にただの鎖じゃ。引きちぎるしか無い」

 

「ちぃ・・・レティ。こいつを見張ってろ」

 

「あ。分かった」

 

 

 

コーチンの首に氷の刃を当てるレティと入れ替りで、チルノへと近づくルーミア。雁字搦めの鎖を1本ずつ素手でちぎっていく。ようやく囚われた友達が助けられる。と、ルーミアもレティも安堵した。

だが、ただ一人。大妖精だけ違和感を抱いていた。

 

 

 

(何であんなにあっさりチルノちゃんを解放するの?)

 

 

 

追い詰められたのであれば、解放するふりをしてルーミアちゃんを退治する様に仕向けるのでは無いか?首もとに刃物を当てられていても、例えば、新手を解放してこの部屋に解き放つとか。これだけ大きな要塞ともなれば、そういった仕掛けもあるはずだ。素直に人質解放なんて、どういうこと?

 

 

 

(ん?あれは・・・・・・)

 

 

 

鎖をちぎり続けるルーミアちゃん。右往左往する合間に見えるチルノちゃんの姿。胸元に可愛らしい向日葵が咲いており、腕や脚に蔦が巻き付いている。いつもの透き通る白い肌ではなく、褐色に近い。そして、チルノちゃんの冷気が氷の結晶を作り出し・・・・・・

 

 

 

 

 

小さなナイフを形成しt

 

 

 

 

 

「ルーミアちゃん!!危ない!!!!」

 

「っっっ!!!!????」

 

 

 

大妖精の声でギリギリの所で気付けたルーミアが、跳躍でチルノから大きく距離をとる。その服が縦に大きく裂け、柔肌に赤い筋が描かれていく。

動揺するレティの隙をついてナイフ圏内から逃れるコーチン。そして。

 

 

 

複数の鎖を気合砲で粉砕するチルノ。

 

 

 

「ふははははは!成功だ!」

 

「貴様ぁ・・・チルノに何をした!!!!」

 

「少しばかり洗脳を施したに過ぎん。電磁波で脳の一部の破壊も試みたが、どうも構造そのものが違ってのう。それでも、我らの駒としては充分じゃ!!!!」

 

 

 

目眩でその場に座り込む大妖精。大粒の涙が止まらず、声も出ない。レティも真っ青な顔に絶望の感情が浮かび上がる。

そして、怒りを覚えるルーミアのもとへと。

 

 

 

「【氷符】ソードフリーザー」

 

「っっ!!!!【闇夜】ダークネスクライスト!!!!」

 

 

 

氷の剣と闇の剣が正面からぶつかり合い、凄まじい不快音と衝撃波を辺り一面に無差別に撒き散らす。ビーカーが中の臓物ごと弾け、羊水が床一面に浸される。コードや機械もいくつかが破損し、これ以上の研究はもはや望めないだろう。

 

 

 

「ははははははははは!!!!!!!!素晴らしい!!!!この地は、無限の可能性を秘めておる!!!!」

 

 

 

狂ったかの様に笑い飛ばすコーチンを横目に、ルーミアは、チルノを睨む。

 

 

 

「・・・・・・・・・・・・・・・・・・」

 

 

 

その瞳に普段から見る抑揚だらけの光は全く確認出来ず、誰よりも鍛えられたはずの表情筋さえもが無言であった。無表情の殺意を正面から浴びたルーミアは、ゾッとする。

 

 

 

(素直で自由な妖精が感情を根こそぎ奪われたら・・・)

 

 

 

妖精とは、自然そのものの化身。妖精が元気であればあるほど、自然も活発になる。そんな妖精がこうなってしまっては。ましてや、チルノは妖精の中でも圧倒的に飛び抜けた力と影響力を持つ個体だ。何をしたのか知らんが、今のチルノは間違いなく霊夢や魔理沙達と遜色の無いレベルまでの更なる強化をされている。

 

 

 

(一回休みさせるか?いや、感情が抜けた妖精なんて前例が無い!復活出来る保証なんて無い!かといって、この状態で時間が経てば、幻想郷にどんな悪影響を及ぼすか!チルノの行動範囲は広すぎる!!!!)

 

 

 

倒すも駄目。放置も駄目。撤退なんてもっての他。どの選択肢を選ぼうが、チルノの安全はもはや皆無だ。洗脳を解こうにも、闇と氷と妖精だけではどうすることも出来ない。儀式や前準備も一切無く解決出来るであろう霊夢は使い物にならないし、紫はどこにも気配がない。

どうすればチルノを助けられるんだ!?

 

 

 

「【雪符】ダイアモンドブリザード」

 

「待て待て待て!!ここでその出力でそのスペルは色々とヤバイ!!!!!!!!」

 

 

 

ルーミア必死の叫びも虚しく、スペルが展開された。超高密度の氷の結晶が、縦横無尽に飛び交い、辺り一面をひたすらに破壊しまくる。辛うじて生き残った機械たちも一瞬でただの鉄屑へと変えられていく。柱さえも壊され、天井が続々と崩れ落ち、衝撃音だけで阿鼻叫喚の戦場となってしまう。

 

 

 

「ま、待て!氷仙人!一旦落ち着・・・・・・!!!!!!!!」

 

 

 

無差別に襲いかかる瓦礫と氷に、為す術なく断末魔をあげるDr.コーチンだが、感情を失ったチルノの耳には届かない。

 

 

 

「バカ氷精!!!!マジで止めろ!!!!!!!!」

 

「うわだだだだ!!!!????」

 

 

 

逃げ惑うルーミアとレティだが、凄まじい弾幕を前にして、自分が逃げるだけで精一杯だ。

 

 

 

「チルノちゃん・・・・・・チルノちゃあああああああああああああああああん!!!!!!!!!!!!!!!!」

 

 

 

更に崩れ落ちる瓦礫の雨に、悲痛な叫びが押し潰されていった。




どうも。冴月麟です。大役いただきました!いつも里でも元気で大人気のチルノさんが、あんな眼をするなんて・・・・・・もう助けられないなんて嘘ですよね?きっと何とかなりますよね?そうだと言ってください!!!!
次回、始まりのサイヤ人が幻想入り
【勇気と決意のアイシクルフォール】
次回も、どうぞよろしくお願いします。



なんでよりにもよって、このタイミングで執筆完了してしまうんですか。精神的にもネタに走れませんので、今回はおちゃらけ無しでお送り致します。
この状態でも言える事だけ言って終わりますか。

2年近く凍結していたツイッターを再開しました。何となくの現状や時事ネタや気になったツイートへの反応など、色々やってますので、どうぞよろしくお願いします。
@gdL4JG0KvfaxbZ4
です。

ただいま無職です。退職からの再就活中で、現在面接終わりの連絡待ち状態です。待ちって結構辛いですね。応援よろしくお願いします。

今回はここまで。
皆様も、悲しみの心を忘れないでください。人の死に涙を流すことが出来れば、それはとてもとても素敵な事です。
被害者の方々もゆっくりで構いません。心も身体も回復出来るよう、心からお祈り致します。
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