BRAVE10S~二つの力   作:花札

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こうするしかないの……貴女を守るには、こうするしか……

『母さん、何で泣いてるの?』

ごめんね明日花……傍にいてあげられなくて

『母さん、また会えるよね?』

えぇ。明日花が良い子にしてたら(もう会えないの……許して、明日花)

『もう離れたくない……明日花母さんと父さん二人と一緒がいい!』

それは無理よ……


強くなったら、また会えるわ。

だから、それまで頑張って……明日花。


隊長と副隊長

戦いの手を止める優助と紫苑……

 

 

「あの子は元気?」

 

「……」

 

「答えてよ……優」

 

「それは、自分の目で確かめなさい」

 

「……」

 

 

ふと優助の後ろに、紫苑は目をやった。

甚八の隣に座る明日花……目元だけの面を着け、頭に黒い布を巻き、ジッと自分達を見ていた。

 

 

(……明日花)

 

「分かりますか?あの子が今、どのような目をしているか」

 

「……」

 

「分かりますか?あの子が、どういう気持ちでここへ来たか」

 

「……やめて」

 

「分かりますか?あの子が、どれだけ」

「やめて!!」

 

 

槍を突く紫苑。その槍を優助は棍棒で抑え、彼女を睨んだ。

 

 

「やめて……それ以上は、もう」

 

「……僕は言いました。

 

八年前、あの子は僕の傍にいるより君の傍にいた方がいいと……

 

幸村様は、徳川に就いていない……一族の血を引く君と一緒に彼の元へ行く方が、どれだけ安全かを……」

 

「今更昔の事を引きずり出さないで!!

 

私が徳川に行けば、あの子は」

 

「全てを隠せると思いましたか?

 

そんなの、只の甘い考えです」

 

「っ」

 

「もうバレています。

 

これ以上、あの子を隠して生きていくのは限界です」

 

「……」

 

「まだ隠す言うのであれば、あの子は貴女の一族に預けますが?」

 

「……」

 

「……あの子の自由を、奪うんですか?」

 

 

その言葉に、紫苑は槍を分解し柄の部分を振り回した。優助も彼女と同様に、棍棒を分解し振り回し攻撃を防いだ。

 

 

「本当、苛々するわ……

 

昔っから、固い野郎だって思ってたけど……ここまでだったとはね!」

 

「男手で子供を育てるのは、大変なんですよ?」

 

「少しは男も、自分の子供の面倒くらいみなさいよね」

 

「子供と言うより、あの子は弟子のような者ですよ?」

 

「あら、そうですか」

 

 

槍を組み立てた紫苑は、高く跳び上がり落ちていく勢いのまま槍を突いた。突いてきた槍を、優助は素早く棍棒を組み立て振った。

 

 

“キーン”

 

 

互いぶつかり合った槍と棍棒は、二人の手から離れ地面に突き刺さった。

紫苑は宙で回転すると、その勢いのまま踵落としをした。彼女の踵落としを優助は受け止め、紫苑は受け止められた彼の腕を台にして飛び着地した。

 

 

「さぁ、お次は?どうなさいますか?」

 

 

紫苑は脚に着けていたケースから、鉄扇を取り出し攻撃した。その攻撃を、優助は腰のケースから短剣を手に取り攻撃を防いだ。

 

 

「鉄扇?!」

 

「あの人等、いくつ武器を扱えるんだ?!」

 

「あと一個」

 

「?」

 

「二人が使えるの、あと刀だけ」

 

「本当か?」

 

「だって明日花が習ったの……槍に棍棒に短剣に、鉄扇に火縄銃に刀に弓」

 

「どんだけ習ってんだよ!?」

 

 

「鉄扇を出したという事は、三日間続けるつもりですか?」

 

「そんなわけ無いでしょ!

 

それに、貴方も私も……年取ってるか、そこまでの体力無いでしょ?」

 

「あぁ……そういえば、そうでしたね。

 

それでは、さっさと終わらせますか」

 

 

手から水を出した優助は、その水を発射した。紫苑は地面に踵落としをやり、その地面から木の根が生え水の攻撃を防いだ。

 

 

「貴方、そういうセコい攻撃変わらないわね」

 

「君も君で、対応が早いですね」

 

 

「紫苑!!技を使うなと」

「源三郎は黙ってなさい!!」

 

「幸村様、申し訳ありませんがこの女に勝つためには、技を使います」

 

「別に構わぬが……」

 

 

「甚、あの二人……」

 

「完全に遊んでるな……」

 

「……ズルいぃ!」

 

 

「光坂流火術棒線火!」

 

 

無数の火の棒を紫苑は口から出した。優助は手から水を出し、自身の前に水の盾を作り防いだ。防ぎ終えると、空いていた片方の手に、雷の玉を作り出し電撃を放った。紫苑は鉄扇に火を纏わせ、その扇で雷を払い避け後ろへ引いた。

 

 

「一族でもないのに、よく技が使えるわね」

 

「使えなきゃ、隊長は務まらないでしょ?」

 

「それは同感。私も副隊長としてはこれくらい当然よ」

 

「あ、そうだ……一つ言い忘れてました。

 

あの子も色々使えますよ?技」

 

「……」

 

「まぁ、ちゃんと使えるのは水と雷ぐらいですがね」

 

「……そう。

 

けど、あの子はまだあるはずよ?あと三つ」

 

「すみませんが、僕そこまでのことは分かりません」

 

 

再び口から無数の火の棒を紫苑は放った。

 

 

(二度も来るとは……いや、この攻撃は確か)

 

 

振り返る優助……目の前に、木の根が生え伸び彼の面を擦り傷を付けた。間一髪避けた優助は、足を崩し地面に尻を着いた。

 

 

(あ、転けた)

 

「あー、ビックリ」

 

「前だけじゃなく、後ろも警戒しなきゃ駄目じゃない」

 

「そうでしたね。

 

油断してました」

 

 

そう言いながら、優助はゆっくりと立ち上がった。そして袖口から数本のクナイを取り、紫苑に向けて投げた。

 

 

「そんな只のクナイ」

「山本流水術熱湯」

 

 

クナイに湯気の立った水が纏い、紫苑はそれを見た途端ヤバいと思ったが、それはもう遅かった。クナイは彼女の手脚を擦り飛び紫苑は熱さの余り、その場に尻を突いてしまった。

 

 

「後ろだけじゃなく、前も警戒しなきゃ駄目じゃ有りませんか?」

 

「!!

 

あーもう!!遊びはおしまいよ!!

 

優助!さっさと終わらせるわよ!!」

 

 

そう言いながら、紫苑は鉄扇をケースにしまい刀を抜き取った。優助は少しため息を吐きながら、短剣をケースにしまい刀を抜き取った。

 

 

「……あ」

 

「?どうしたの?明日花ちゃん」

 

「本気だ……」

 

「え?」

 

「紫苑と優助、本気出してきた」

 

「確かに。さっきと空気が少し違う」

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