かつて、才蔵達を苦しめた者……
「どうも、こんにちは」
(服部半蔵!!)
その姿を見た才蔵は、剣の束を握り半蔵に攻撃しかけてきた。
何かの気配を感じ取ったアナスタシア……
「おーい!聞いてんのか?
俺様が熱烈に、愛を囁いてるっつーのに、どこ見てんだよ!?」
その気配のもとへ、アナスタシアは向うべくその場から立ち去った。
「!!
おい、アナ!!」
「?」
「!」
紫苑の煙管を弄っていた明日花は、その手を止め外を見た。同じ様にして優助も、手入れをしていた刀を置き、空を見上げた。
「二人共、どうかした?」
「……嫌な気配」
「二度と、感じたくもない気配……」
剣を振り回す才蔵……
その剣を半蔵は、右腕で難なく受け止めた。
(硬い……義手!!)
右手にはめられていた義手の堅さに驚いていると、半蔵は剣の束を引っ張り飛び上がり剣の上へと乗った。才蔵はされるがままに、その場に倒されてしまった。
すると、そこへ奇の幹を蹴った佐助が半蔵に飛び掛かった。そんな佐助に気付いた半蔵は、才蔵から離れ攻撃を避けた。
「これが、助太刀に入った人間に対する態度ですか?
俺よりそっちでしょ、そっち!」
「……」
「ね!」
笑みを浮かべる半蔵……
転がっていた袋を、佐助はすぐに口を開け大助を出した。
「プハァ」
「ご無事か!?」
「さらわれてんじゃねぇよ!くそガキ!!」
「っ……」
「才蔵!!」
「お怪我がなくて、よかったですね!
この俺のおかげ!ね!」
大助に笑みを浮かべる半蔵に、大助は状況を掴めず、半蔵を見上げた。
「我、大助様連れて、帰城する。
後、任せた」
「応」
大助を抱え、佐助はその場から立ち去った。
佐助が居なくなると、半蔵は才蔵に手を伸ばした。
「お宅の若様の所に、連れて行ってくださいよ!
信用してねぇでしょうから、手縛ってどうぞ!」
「……テメェが助太刀とか気色悪ぃ……
オッサンに何の用だ?何が目的だ?」
「再就職先を、探してるんですよねぇ」
「……」
「俺、雇い主に対しては、死んじゃったことになってるんですよ。
ま、ずっと勝手に動いてたうえに、しばらく姿晦ませてたんで、当然ちゃ当然ですけど!
で、あの狸(徳川家康)、さっさと別の忍を召し抱えちゃいまして、仕事熱心で有能なのに、俺は正式に解雇って訳です。
可哀想でしょ?」
「ハァ!?」
「雇われが私欲で、動いちゃうとこうなるんですよねぇ……
しかもこの世情でしょ。先行き不安で、物価は上がるし……
いやぁ参りました!近頃は懐事情が苦しくって」
「完っっっ全に、自業自得じゃねぇか!!」
「それで、何かと縁がある真田に、再就職しようかなぁと」
「縁なんかねぇよ!!
一方的に攻め込んできただけじゃねぇか!!」
「何を怒ってるんです?
その時はそれが、お仕事だっただけですよ?忍なんだから」
「テメェ……ふざけるのも(こいつのせいで、俺達は!!)」
「抜かないんですか?」
「……
ここで斬りたいのは山々だが、まずはオッサンに……」
半蔵と話していると、辺りの空気が突然冷え込み異様な風が吹き出した。
「おや?」
その時、何かが割れるような音が響き、それと共に木の上からアナスタシアが姿を現し、半蔵に飛び掛かり乗った。
「アンタ!!何で!!」
「こんにちは。
氷漬けにして、殺したと思ってました?
残ぁぁ念!」
その言葉に、キレたアナスタシアは手に冷たい空気を集めた。
(ヤベェ、巻き込まれる!!)
「伊賀亜流氷術!!永久凍士(ヴェーチナ・ミヨールズスチ)!!」
半蔵を氷漬けにしたアナスタシア……
その氷の山を、甚八は近くの森から見ていた。
「なーんだ?ありゃ」
氷漬けになった半蔵から、離れ一息つくアナスタシア……
「俺まで氷漬けにする気か!!……!?」
突然アナスタシアは、降りてきた才蔵の服にしがみ付いてきた。
「どういうことなの!?
どうして、あの男が生きていたのよ!!」
「落ち着けよアナ。
俺も良く分かんねぇんだ」
才蔵の服を握るアナスタシアの手は、震えておりそれに気づいた才蔵は、アナスタシアの顔を見た。
「お前……」
「火術迦楼羅炎!!」
氷漬けにされた半蔵は、火を放ちアナスタシアの氷を溶かしでてきた。
(アナの氷が!!)
「知らなかったでしょ?
俺の『業火』。
ま、忍は手の内を全部明かさないもんですよ、敵にも味方にもね」