BRAVE10S~二つの力   作:花札

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翌朝……


亀裂

井戸で顔を洗う大助……

 

 

「あ!

 

手拭い忘れた……」

 

 

「はい、どうぞ」

 

「!ありが……

 

 

え……わぁああ!!」

 

 

叫び声に気付いた佐助達は、すぐにその場に駆け付けてきた。

 

 

「大助様!!」

 

「どうなされましたか?」

 

「何事だ!」

 

「凄い声だったぞ!」

 

 

「あら皆さん、おはようございます」

 

「!!」

 

 

腰を抜かし尻餅を突いた大助の前に、手拭いを手に持って立つ半蔵……

 

すると、そこへ刀を持った明日花が、大助の前に降り立ち、半蔵を睨んだ。

 

 

「何で……

 

何で、お前がここに!!?」

 

「痛いなぁ……」

 

「貴様!!服部半蔵!!」

 

「あ~……

 

ですよねぇ……

 

 

そういう反応しなりますねぇ」

 

「何故、此奴が上田に!?」

 

「即、殺す!!」

 

 

槍をしまい、明日花は刀を抜こうと束に手を翳した。

 

 

「明日花、止めなさい!」

 

「?!」

 

「十蔵、清海、落ち着いてください。

 

詳しい話は若が、なさいますので……

 

 

明日花、今すぐ刀から手を離しなさい」

 

「何で?!だってこいつ」

「明日花」

 

 

名を呼びながら、優助は姿を現した。

 

 

「父さん……」

 

「今すぐ、刀から手を離しなさい」

 

「父さんまで!?どう」

「いいから、早く」

 

「!」

 

 

睨むようにして、鋭い目付きをした優助に明日花は黙り、刀の束から手を離した。

 

 

その後ろで、立ち上がった大助は、心配そうな顔で明日花を見た。

 

 

「明日花の姉ちゃん……」

 

「……!

 

大助、大丈夫か?」

 

「う、うん」

 

「なら、いい」

 

 

大助に目を向けた明日花は、笑みを溢すと先に行った優助の後を追った。

 

 

幸村の部屋へ来た佐助達……

 

 

「挨拶が遅れてすみません!

 

昨夜から、火の勇士になりました、服部半蔵です!よろしく!」

 

 

笑みを浮かべ、手を差し伸べながら挨拶をする半蔵……

 

 

「火の勇士!?」

 

「何で、こんな奴が!!」

 

(アラ無視……)

 

「此奴は徳川の忍!!

 

その上二度も上田に、攻め入った輩ではありませんか!!」

 

「昨日の敵は今日の味方……と言うわけだ」

 

「伊佐那海を狙った男を、仲間にするなど、拙僧は認めん!!

 

見ろ!現に伊佐那海が怯えておる!」

 

「何で仲間にすんの!?こんな奴!!」

 

「明日花」

 

「だって、火の勇士なら……大助が」

 

「皆の気持ちもわかる……

 

が……

 

弁丸は勇士の器ではなく、類稀なる『将棋』を備えておる。

 

その弁丸が抜けた今、『業火』の半蔵が上田に舞い戻った……これは宿命」

 

「宿命って……」

 

「それに半蔵は昨日、曲者にさらわれかけた大助を救ってくれておる。

 

悪意があって、上田に来たわけではあるまい」

 

「それも此奴の、手かもしれんのではないか!!」

 

「俺から補足申し上げますが……

 

現在は完全に、自由契約で徳川とは何の繋がりもありませんから、その辺お気になさらず」

 

「狸と繋がりが無くたって、お前は!!」

 

「明日花、止めなさい!」

 

 

半蔵に殴り掛かろうとした明日花を、優助は慌てて抑えた。

 

 

「父さん!!アイツは!!」

 

「忘れよとは言わぬ。

 

 

が、服部半蔵は火の勇士として、迎え入れる!」

 

(だと思った)

 

「しかし、我等もだが……

 

伊佐那海は……」

 

「……アタシは」

 

 

心配した清海は、後ろに座っている伊佐那海に振り向いた。伊佐那海は、口を籠らせながら、才蔵の方を見た。

 

 

「そうだ!才蔵はどう思う?

 

この男にはお主は、一番悩まされたであろう」

 

「……勝手にしやがれ」

 

 

投げ捨てる様に、才蔵は幸村の部屋から出て行った。

 

 

「才蔵……」

 

 

去っていく才蔵の背を見つめていた明日花は、優助から離れると一目散に部屋を飛び出した。

 

 

「じゃあ朝ご飯にしましょうかね!

 

こんな大人数で、食べるなんて伊賀の里にいた頃以来ですよ!」

 

「すみませんが、朝食は別室で取らせて貰います」

 

 

怒りに満ちた目で、彼を睨みながら優助は部屋を後にした。

 

 

 

「何があったの?弁丸の部屋で」

 

 

部屋へ戻ってくると、明日花は紫苑に抱き着いていた。そんな彼女を、紫苑は優しく撫でながら戻ってきた優助に話し掛けた。

 

 

「以前徳川に就いていた敵が、僕等の仲間になったんです」

 

「っ!」

 

「……

 

 

母さん」

 

「?」

 

「主が決めたことって、絶対なの?」

 

「……」

 

「ねぇ」

 

「そうね……絶対ね」

 

「僕等も、同じですから」

 

 

そう言いながら、優助は明日花の頭を撫でた。




森へ来た才蔵……


(いつも、勝手に決めやがる!!

弁丸の事も半蔵の事も!!

それにいつもあの態度!!殿様だろうが何だろうが!!


ムカつく)


「由利鎖鎌奥義一目連!!」


突然目の前、大風が吹いたかと思いきや、その中から鎖を才蔵の腕へと巻きつけ、満面な笑みを溢しながら鎌之介が出てきた。


「飯時で邪魔がいねぇ!!

今が好機!!殺ろうぜ才蔵!!」


手に絡まった鎖を、才蔵は引っ張り鎌之介を引き付けた。


「やっとその気になったか!!

由利鎖鎌奥義巨旋風!!」


才蔵目掛けて風を起こす鎌之介……


「テメェと殺るには、最初っから上げてかねぇとな!!

行くぜ!!行くぜ!!行くぜ!!」


風の中を潜り、鎌之介は鎌を才蔵に振りかざした。


「殺ったぁ!!」


やったと思い込む鎌之介……


すると才蔵は、鎌之介の鼻に掌手を喰らわせた。鼻から血を出した鎌之介は、一瞬よろけその足に才蔵は足払いをした。


(速ぇ!!)


倒れた鎌之介に、才蔵はクナイを投げつけた。鎌之介はすぐにその攻撃を避け立ち上がり、風を起こした。


「ヒャッハァ!!

奥義、破裏剣」


風を起こす鎌之介……

だが、目の前にいたはずの才蔵は、そこにいなかった。

すると、鎌之介は後ろから只ならぬ殺気を感じた。


後ろへ回った才蔵……

才蔵は、鎌之介の首に蹴りを入れた。


(全っ然……

見え……

ねぇ!!)


倒れ込んだ鎌之介に、才蔵はクナイを取り出し投げた。

クナイは倒れた鎌之介の体に、突き刺さった。


「フヒッ!!

たっまんねぇ!!」


声を上げて喜ぶ鎌之介の口を、才蔵は手で塞ぎ見下ろした。


「こんな力量で、俺と殺り合うだと?

ギリギリの瀬戸際だと?


殺ろうぜ殺ろうぜ、うるさく言うわりには、まるで相手にならねぇじゃねぇか!!

テメェなんかとじゃ、滾りもしねぇ!

一人で勝手に善がってんじゃねぇよ!!


気分転換にもならねぇ!面白くねぇよ鎌之介!!(クソ……)」


鎌之介の口から手を離し、才蔵は去って行った。
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