BRAVE10S~二つの力   作:花札

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「殺し合いって……」

「そのままの意味……」

「始めるってことか」

「雷之介!止めに行こう!!

もしかしたら晃三の奴、私を人質に父さんと母さんを動かしてるかもしれない!!」

「雷を起す!!その隙に行け!!」


印を結び、雷之介は両手を地面に付けた。すると空から雷が落ち、久久能智神を攻撃した。彼女が雷の対処をしている隙を狙い、明日花は走り出し境内を抜け森の方へ走って行った。


「しまった!!」

「アバよ!」


煙玉を投げつけ、煙が漂う中雷之介は彼女の後を追いかけて行った。


生かす者

大木に立ち、徳川の城を眺める優助と晃三……

 

 

「徳川はまだ動いていない……

 

防備が手薄の今、攻めろ」

 

「……」

 

「嫌だと言うなら、明日花の命はない」

 

「……分かりました」

 

 

下へ降り、立て掛けていた刀を腰に着け、傍に置いていた面を手にした。ふと何かの気配を感じた優助は、後ろを振り返った。そこには狐の面を着けた紫苑が、腕を組み立っていた。

 

優助は手に持っていた面を顔に着け、紫苑と共に徳川の城へ行こうとした……

 

 

その時だった。

 

 

 

突如、二人の前にクナイが飛んできた。その方向に目を向けると、面を着けた光坂一族の者達がいた。

 

 

「頭……」

 

「待つのだ紫苑、優助」

 

「お頭さん……」

 

「お主等二人がやろうとしていることは間違っている。

 

徳川を消すのは正しいとは言わん……だがな、真田を消すのだけは間違っておる!」

 

「……」

 

 

「邪魔すんな、頭」

 

 

茂みの中から、晃三と彼の後ろに仲間が集まっていた。仲間の数を見せられた頭の仲間は、咄嗟に攻撃態勢を取った。

 

 

「晃三」

 

「その二人が力を合わせて、徳川の城に攻めればすぐにやられる。そして真田を攻めれば、信濃は俺達のモノになる」

 

「そんな事をして、何になるんだ!!

 

武田は信濃を真田に任せた!信濃を守るなら、真田に仕えよ!!」

 

「それはこっちのセリフだ!!

 

テメェ等も、真田に仕えてないじゃねぇか!!」

 

「頭達は明日花に仕える!!彼女が成長するまで、待っていたのよ!!」

 

「明日花に仕えるだと?」

 

 

紫苑の言葉に、晃三は耳を傾けた。

 

 

「あの子は真田に仕える……

 

真田軍の隊長として」

 

「そして、俺の後を継ぐ」

 

 

紫苑に続いて、頭はそう言った。

 

 

「馬鹿馬鹿しい。

 

あのクソガキに、何が出来るっていうんだ」

 

「クソガキだろうと何だろうと、明日花は僕等の子供です。

 

それ相応の器です」

 

「そうは見えねぇが」

 

「元から見えてない晃三に、言われてもねぇ」

 

「テメェのその目、潰してやろうか?」

 

 

 

森の中……息を切らしながら、手を膝に付ける明日花。彼女の後ろには、同様に息を切らす雷之介が立っていた。

 

 

「……追ってきては、ねぇみてぇだな」

 

「ハァ…ハァ…ハァ…

 

全く、人に走らせるなって!あの神、今度会ったら殺ってやる」

 

「どうぞ御勝手に……?」

 

 

何かの気配を感じた雷之介は、辺りを警戒しだした。彼に続いて、明日花も辺りを見回しながら警戒した。

 

 

「雷之介……」

 

「分ーってる(ザッと二十人か……)

 

光坂流雷術百雷白虎」

 

 

四方に雷を放つと、隠れていた者達が皆姿を露わした。

 

 

「スゲェ……さすが雷之介!!」

 

「他人のこと褒めてる暇があるなら、態勢を取れ」

 

 

雷に当たっても平気だったのか、木の後ろから面を着けた忍達が、数名姿を現した。

 

 

「え?!何で?!」

 

「雷など、我等の得意技」

 

「裏切り者の雷之介如きに、やられるものか」

 

「雷之介如きねぇ……」

 

 

振り返りながら明日花は目で合図を送った。雷之介は軽くため息を吐きながらヤレヤレと手を挙げ、それを見た明日花はにやけながら飛び上がった。

 

 

「逃げる気か?!」

 

「逃げないよ!

 

山本流水術五月雨!!」

 

 

空から雨が降り、一族の忍達は皆手を出し雫を見た。その隙を狙い、雷之介は印を結び雷を全員に落とした。当たった忍達は、全員倒れた。

 

 

「水は雷を通す。

 

それくらい常識!」

 

「ガキに倒されて、どうすんだが……」

 

「……!」

 

 

弱い風に気付いた明日花は、何かの気配を感じたのか、辺りを見回した。

 

 

「どうかしたか?」

 

「……いる」

 

「?」

 

「母さんと父さんがこの近くにいる!」

 

 

そう叫ぶと、明日花は駆け出した。そんな彼女の後を、雷之介は慌てて追い駆けていった。

 

 

 

「いい加減退け!!」

 

 

道を塞ぐお頭側の忍達は、晃三達が向かおうとしている方面の道を防ぎ足止めしていた。

 

 

「何度も言っているだろ!!

 

今ここで、徳川を倒して更に真田を倒すなど無理がある!!」

 

「ここにいる紫苑と優助なら、そんなもん楽勝だ」

 

「また二人に重荷を背負わせる気か!!晃三!!」

 

 

両者共に退こうとしない……その時、弱い風が吹いた。その風に、紫苑と優助はふと空を見た。

 

雲一つ無い青い空……

 

 

「よく晴れてますね、今日は」

 

「そうね……

 

明日花も、同じ空を見てるのかしら」

 

「さぁ……

 

君の噂話が正しければ、見ているでしょう」

 

 

 

『明日花が!?』

 

 

晃三達から離れた優助は紫苑の話を聞いて、思わず驚き声を上げた。紫苑は声を抑えるようにと人差し指を立て口の前に当てた。

 

 

『声が大きい!』

 

『ご、ごめん。

 

けど、本当に明日花は晃三さん達の所にいないんだね?』

 

『あくまで噂よ。

 

源三郎の所を去った後、ちょくちょく耳にしたからね。

 

『顔に大きなバツ印の傷が刻まれてた男と黒いフードを被った子供が、殿の首を取った』って』

 

『大きなバツ印の傷……

 

まさか、雷之介』

 

『あり得るわ。

 

けど、問題はその雷之介が連れてる子供』

 

『……それが、明日花だとでも?』

 

『可能性はあるわ。

 

考えてご覧よ……あなた、起きてから明日花の姿を見た?本人に会った?

 

 

もしかしたら、明日花は晃三の傍にいない』

 

 

 

その時、茂みがざわついた。その音に晃三達とお頭達は辺りを警戒しだし、同時に紫苑と優助も面を着け武器を構えた。

 

 

ざわつく茂みは、彼等の元へ近付きそして……

 

 

“ガサガサ……バサ”

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