目を覚ますとフランの部屋のベットの上にいた。床の上で倒れていたのを移動させてくれたのだろう。
何はともあれ、これで紅い霧を止めてもらえるはずである。しかしそれとは別にフランたちの問題も解消しなければならないと、体を起こしフランの姿を探す。
「フラン」
「あ、お兄さま。おはよう~」
「あぁ、おは…よ……う。お兄さま?」
「私のこと妹みたいにっていってくれたでしょ?だったらそう呼びたいな~って。ダメ?」
うるうるとしながら上目遣いで聞いてくる。
「大丈夫だ、問題ない」
「やったー!お兄さま~。」
(今さら妹の1人や2人変わんないか)
「レミリアのところにいくか」
「……うん」
「やっぱり少し怖いか?」
「お兄さまのことは信用してるけど、それでもやっぱり怖い」
「でも、心の準備はできてるんだろ?」
「うん」
「なら善は急げだ。レミリアにお前の本音を聞かせてやれ」
2人はレミリアがいた部屋に向かう。移動中も部屋についてからも、やはりフランに緊張の表情が見て取れ、そのたびに頭に撫でてやり安心させようと試みる。
「緊張してるか?」
「ちょっと」
「大丈夫だ。ちゃんと話せばレミリアはわかってくれる。さあ、行ってこい!」
無言で頷き、フランは部屋に入っていった。ここからは姉妹の問題だから手出しは無用。だが少し心配だから聞き耳を立てようとフランの視覚と聴覚を共有する。
どうやら部屋には咲夜とレミリアがおり、
『おの……お姉さま』
『あなたが来ることは分かってたわ。なんの用なの?』
(おいおい。そんな態度だとフラン余計に怖がるぞ)
『お姉さまは……・・・なの?』
『はっきり言いなさい』
『お姉さまは、私のこと嫌いなの?』
『ッ!?』(ファッ!?)
『もしかして私っていない方がいいって思っt『バカなこと言わないで!!』』
『あなたは私のたった一人の私の妹なの!嫌いになんてなるわけないでしょ!』
『お姉さま……』
『あなたこそ、私のことを嫌いなんじゃないの?』
『そんなことないよ。だってたった一人の私のお姉さまだもん!』
『そう……良かった』
(不安と緊張が募って混乱しかけてたがうまいこといったな)
『お姉さま。私、外に出ていろんなこと知りたい。もっといろんな人と話したい』
『それは……』
「その事ならもう心配ないぞ」
「信!」「お兄さま!」
「多分、フランの狂気を心配してるんだろ?それは俺が取り除いたから大丈夫だよ」
「でもいったいどうやって?」
「俺の能力だよ。取り除いたってよりか『奪った』の方が正しいけど」
「平気なの?」
「ああ。何はともあれ、これでは条件達成だな。紅い霧を取り除いてくれ」
「もう消したわよ」
「……マジ?」
「あなたが言った後、博麗の巫女と白黒の魔法使いが来てね。負けちゃったのよ」
「それに、お兄さまが眠ってる間に霊夢も魔理沙も一回部屋に来てたんだよ」
「本当かよ……」
「それと伝言も頼まれたわ。『早く戻ってきて宴会の準備を手伝いなさい』って」
「宴会?」
「知らないの?この幻想郷では異変を解決したとき、その首謀者たちも含めて宴会を開くのが恒例らしいのよ。」
「無茶苦茶だな」
「無茶苦茶よね……」
「名指しなら断るわけにはいかないしな。博麗神社でいいのか?」
「そういってたわ」
「今夜は楽しみにしとけよ。腕によりをかけて飯を作るからな」
「あら、あなたが作るの?楽しみにしてるわね」
「おう」
「お兄さま……狂気は大丈夫?」
「大丈夫だよ。仲良くやってる。それじゃあ行くよ。また宴会でな」
信が出ていった後、それまで無言だった咲夜にレミリアが質問を投げ掛けた。
「良かったじゃない咲夜。共通の話題ができて」
「なんのことでしょうか」
「わたしが気付いてないとでも?」
「え?どういうこと?お姉さま、咲夜!」
「いい、フラン。咲夜はn「わああああああああ!!!」」
「冗談よ。誰にも話さないわ」
「あまりからかわないでください///」
「???」
「フフッ♪ここでの生活は楽しくなりそうね」
side change
『信。私のことは話さなくて良かったのか?』
『そのうちはなす機会があるさ。しかしお前のその姿はどうしてなんだ?』
『おそらくフランドールの中にずっといたためだろう』
『でもなんで成長した姿なんだよ!?』
『そりゃあ、495年もたったら成長くらいするだろ』
『それはそうだが……』
『幻想郷では常識が通用しないんだろう?』
『言うじゃないか。まあその通りだな。考えとわからんことは仕方ないしな。早く帰ろう』
狂気に新しく「共」という名前をつけ、その姿はフランが成長したらこんな感じになる、という姿に変わっていた。髪は腰くらいまで伸び、背も160ちょいくらいにまで高くなり、胸も膨らんでいた。とりあえず今はフランと同じような服を着てもらっている。
(流石に予想外だったな)
そんなことを思いながら信と共は博麗神社に向かった。
次回もゆっくりお願いします。