東方家族録   作:さまりと

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第19話【睡魔と格闘】

午前4時

 

 

 

「ふあ~。よく寝た。」

『4時間しか寝てないぞ。』

「今日は昼寝もするつもりだからな問題ない。」

 

明渡家の朝は早い。とはいってもこんなに早く起きるのは恭助から上のやつだけだ。幼いうちから朝練は成長によくない。けど、休みの日でも全員6:30までには起きるので健康的だ。

 

『1つ聞いていいか?』

『ん?どした?』

 

顔を洗い歯を磨いていると共が質問してきた。

まあ、疑問になるのも無理はないが。

 

『家ってこんなに広いものなのか?』

『多分こんなにでかい家はなかなか無いだろうな。』

 

明渡宅はとてもでかい。紅魔館よりもでかい。正確には広い。道場もあり庭もあり、客室も相当数ある。初めて来た客人は基本的に迷うレベルだ。

 

『父さんが俺が3歳の時に宝くじで6億当ててな、その金で結構でかい山を買ってそこにこの家をたてたんだよ。親戚も結構多いから広い方がいいって。』

『お前の兄弟は飛べないんだろ?出掛けるとき大変じゃないか?』

『大変だが、お陰でみんな強靭な足腰と無尽蔵の体力を手に入れました。』

 

説明しながら移動してると道場についた。

 

「ん?静おはよう。早いな。」

「おはようございます、お兄さん。」

 

いつもは信が一番なのだが、今日は先客がいた。

 

「稽古はサボってないな。」

「むしろみんなお兄さんがいなくなった日からすごい頑張ってましたよ。」

「帰ってこない方がよかったかな?」

「……はぁ。そんな事みんなの前では絶対言わないでくださいよ?本当に死んじゃったんじゃないかって心配してたんですから。」

「すまんすまん。それより誰もまだ来てないし、試合してみるか?」

「そのつもりで来ましたから。」

「そうか、じゃあアップ終わったらやろう。」

 

 

 

「今日は何を使うんですか?」

「今日は護道の気分。相手がいないと実感わかないし。」

「相変わらず余裕ですね。」

「余裕は常に100%力を出すために必要なことだ。油断するのとは意味が違うからな。」

「もう何回も聞きました。」

「何回でも言うさ。」

「では、参ります!!」

「来いっ!」

 

 

 

 

 

 

 

 

静「参りました。さすがにまだ勝てませんね。」

信「一生負けないつもりだよ。だが本当に頑張ってたみたいだな。1週間前に比べてキレも増して速くなってる。」

静「お兄さんに言われると自信がつきます。」

信「そりゃあよかった。」

真「信にい俺ともやってよ。」

愛「真の次私!」

恭助「じゃあ俺が最後か。」

 

静との試合中に来た3人が争うことなく順番を決める。明渡家ではこういうことはいったもん勝ちにしている。

 

信「なんなら全員いっぺんにかかってきてもいいぞ?」

真&愛&恭助「「「タイマンでやりたい。」」」

信「そういうと思ったよ。1人10分だ、完全無傷で終わらせてやる。」

 

 

 

 

・・・・・30分後・・・・・

 

 

 

 

真「いつになったら勝てんだろ。」

愛「しかもこっちも無傷だからね。」

恭助「清々しいほどの完敗だよ。」

信「一生負けんさ。そろそろ朝飯の準備しにいってくるよ。お前らはまだ続けてていいぞ。」

真「献立は?」

信「お楽しみだよ。」

『全員分信だけで作るのか?』

『あぁ、量を作るのはそんなに苦じゃないしな。』

 

道場を後にして朝食の準備に取りかかる。時刻は5時。7時位に完成させる予定でいいかな。

 

 

 

・・・・・調理中・・・・・

 

 

 

「フンッフンッフン♪フンフフッフン♪コロコロ転がす~♪」

四つ子「「「「おはよ~。」」」」

風人&華「「おはよーーっ!!」」

信「おはよう。」

 

6時くらいに四つ子と末っ子組が起きてきた。いつもに比べちょっと早い。

 

信「今日は早いな。」

広美「昨日はみんなのすぐ寝付いちゃったからね~。」

深太「今日は信にいがご飯つくんの?」

信「そだよ。出来るまで時間あるからモコとコトの散歩にいってくれないか?」

双子「「いくっ!!」」

強太「ご飯何時頃に出来るの?」

信「7時くらいだよ。それまでには戻ってきてくれ。」

高太「はーい」

深太「いってきまーす。」

信「いってらっしゃい。車に気をつけろよ。」

(散歩コースに車が通る道なんて無いけどな。)

『狼に散歩なんて必要なのか?』

『コトはともかく、モコは必要だな。狼って言っても実際は犬としてあんまり変わらんらしいし。』

 

 

三つ子「「「おはよー。」」」

10分後に三つ子が起きてきた。

信「おはよう。空、海、寝癖すごいぞ。」

海「まあね✨」

空「これもまたよし。」

信「良くないよ。陸、直してやれ。顔もついでに洗ってこい。」

陸「了解。空、海、行くよ。」

空&海「「はーい。」」

 

 

 

信「よし、完成っと。」

愛「信にい~、ごはんできてる?お腹減った~。」

信「丁度よかった。今完成したから運ぶの手伝ってくれ。」

風人&華「「ただいまーっ!!」」四つ子「「「「ただいまー。」」」」

信「おかえり。もうすぐ準備できるぞ。」

 

 

 

 

一同「「いただきます。」」

静「さすがですね信お兄さん、美味しいです。」

信「そう言ってくれると嬉しいよ。そういえば今日警察の人がくるんだろ?いつ来るんだ?」

真「1時くらいに来るらしいよ。信にいが帰ってきたの連絡しといた方がいいかな?」

信「頼むよ。俺午前中は向こうに用事あるからさ、昼飯も頼む。」

真「了解。」

愛「わかったけど、向こうで何かあるの?」

信「俺慧音の寺子屋で働いてるんだよ。夏休み中はずっと行こうと思ってる。」

恭助「絶対やってると思った。」

静「風人と華も連れていくんですか?」

信「うん。あいつらにもいい機会だと思うしな。」

海「勉強の魔の手がついに華達にも・・・。」

空「それもまたよし。」

陸「それ気に入ったの?」

信「ごちそうさま。じゃあ準備してくるよ。後始末よろしく。」

真「了解」愛「がってん。」静「わかりました。」恭助「了解。」

信「風人、華、食べ終わったらチルノ達のところにいくぞ。」

風人「ふぁーい。」

華「むん。」

 

風人と華は口いっぱいに頬張りながら答えた。癒される。

 

 

 

信「行ってきます。」

華&風人「「きまーすっ!!」」

 

準備を整え慧音の所へ移動する。

 

「おはよう慧音。」

「うわっ!なんだ信か。心臓に悪いな君の能力は。」

「誰かのところじゃないと移動できないっぽいんだよな。」

「さすがに万能というわけではないか。...確か華に風人だったな。おはよう。」

「「おはようございますっ!!」」

「今日はこいつらにこれからしばらく授業受けさせてもらってもいいか?まだこいつら勉強したこと無いんだ。」

「構わないよ。よろしくな。私のことは覚えてるか?」

「「けいねおねえさんっ!」」

「フフッ、元気がいいな。ここでは私のことは慧音先生と呼ぶんだ。わかったか?」

「「はいっ、けいねせんせー。」」

「かわいいやつらだな。1人くれないか?」

「やらん。」

「冗談だよ。そろそろ行こうか。」

 

慧音と共に教室に向かった。その道中で華と風人は珍しいものを見るようにキョロキョロしていた。

 

「授業を始める前に今日から少しの間仲間が増えることになった。」

「あけどはなです。よろしくおねがいしますっ!」

「あけどかざとです。よろしくおねがいしますっ!」

「みんな仲良くしてやってくれ。2人はあそこに座ってくれ。」

 

2人の席は丁度チルノと大妖精の後ろの席だった。昨日一緒に遊んだこともあって嬉しそうにしている。人見知りがあまりない2人なら他の子達ともすぐに仲良くなるだろう。

 

「よしっ、はじめるぞ。まず今日は...」

 

 

 

「今日はここまでだ。おつかれ。」

 

今日の授業が終わった。風人と華がなにかを探すように辺りを見回しいていた。

 

「どした?」

「フランちゃんどこにいるの?」

「あぁ、フランか。ここにはいないよ。」

「なんで?」

「あいつはここに通ってないんだ。家庭の事情で。」

「じゃあ一緒に遊べないの?」

「今連れてくるよ。弁当食って待ってなさい。」

 

そう言いながら作っておいた弁当を渡す。

 

「ちょっといってくるな。」

 

紅魔館の門のところに移動した。

 

「っと。よう、美鈴。ちょっと中入っていいか?」

「・・・。」

「美鈴?」

「zZZ」

「・・・お邪魔しまーす。」

 

寝ている美鈴をスルーして門をくぐった。

 

「誰かいませんかー?」

「お嬢様のお客様ですか?」

 

背中からチルノ達のような羽を生やしたメイドがいた。

 

(妖精かな?)

「フランに用事があるんだ。今どこにいる?」

「妹様方は今食堂にいらっしゃいます。こちらです。」

 

妖精メイドに案内されて食堂に向かった。だんだんと食欲がそそられるいい匂いが充満していった。

 

「こちらです。少々お待ち下さい。」

 

止まったところには他の部屋とは違う形状をした扉があった。ここが食堂のようだ。

 

「お食事中失礼します。お客様をお連れしました。」

「お邪魔しまーす。」

 

食堂にはいるとみんなはもうすでにデザートを食べていた。

 

「あっ、お兄さま!」

「あなたを招いた覚えは無いんだけど?」

「勝手に来たからな。」

「それで、何のようかしら?」

「そうだった。フラン、遊びに行こう。」

「えっ、でも...」

「今は行かせられないわ。」

「どうして?」

「私たち吸血鬼は太陽の光が弱点なのよ。だから昼間から外にはあまり出られない。」

「それなら俺の能力で平気にできるぞ。」

「えっ!?」

「ほんとにっ!!」

「本当だよ。それなら問題ないだろ?」

「え、えぇ...。」

「フラン、いくぞ。」

「うんっ!」

 

デザートだったプリンを食べ終え、信のもとに駆け寄った。

 

「いってきます!」

「楽しんできなさい。」

「行ってらっしゃいませ、妹様。」

「そうだ咲夜、美鈴門の前で寝てたぞ。」

「...わかったわ。」

 

職務怠慢を報告して信はフランと共に消えた。

 

「お嬢様、少しの席をはずさせていただきます。」

「いってきなさい。」

 

咲夜が姿をその場から消した。能力を使い美鈴のところに行ったのだろう。

部屋の中にはレミリアとパチュリーと小悪魔だけが残った。

 

「レミィ、あなたはよかったの?」

「たしかに魅力的な話だったわね。でも今はいいわ。」

「どうして?」

「なんだか嫌な予感がするのよ...。」

 

その予感は的中することになる。

 

 

「っと、連れてきたぞー。」

「みんなっ!」

 

フランはチルノ達の所へ駆け寄っていった。日の光も問題無さそうだ。

 

「風人、華、あんまり遠くに行くんじゃないぞ。」

「「はーい。」」

「お兄さまは一緒に遊ばないの?」

「俺向こうで用事があるんだ。悪いけどみんなと遊んでてくれ。」

「...うん。」

 

納得はしたようだが少し寂しいそうな顔をしていた。

 

「用が終わったら戻ってくるさ。そしたら一緒に遊ぼう。」

「うんっ!」

 

嬉しそうな顔をしてみんなと一緒に遊びにいった。

 

(いくか。警察の人に何て説明しようか。)

 

言い訳を考えながらコトと座標を共有した。

 

 




どうしても登場人物の出る回数に差が出てしまいます。難しい。

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