東方家族録   作:さまりと

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第21話【ハイペースに前向きに】

帰ってきてから弁当箱を洗い、晩ごはんを食べ、風呂に入り、じぶんの部屋に行った。

 

『信、あんまり自分を責めるな。チルノも平気そうだったじゃないか。』

 

その通りだ。自分を責めていてもなにかが変わるわけでもない。だが許せない。自惚れていた自分が。浮かれていた自分が。

 

「信にい、ちょっといいか?」

 

恭助が来たようだ。だけど...

 

「今は1人にしてほしい。」

「失礼しまーす。」

「おいっ。」

 

拒否したのに関係なく入ってきた。

 

「なんか向こうであったの?」

「色々あったんだよ。」

「もし、その色々で自分を責めてるんだったら話してくれよ。」

「よくわかったな。」

「信にいが本気でイライラしてる時は基本自分に対してだからね。明渡家では常識だよ。」

「...チルノって知ってるだろ?」

「うん。」

 

チルノの冷気のことについて。そして何を引き起こしたのかを話した。

 

「ふうん。」

「俺はどうすればいいんだろうな。」

「チルノと約束したんでしょ。さっさと果たせばいいじゃん。」

「簡単にいってくれるな。」

「でも、それしかないでしょ?信にいが納得できるやり方って。」

「その通りなんだが、また間違えたらどうしようと思っちゃうんだよ。怖くて怖くてしょうがない。」

「『石橋は砕いてから渡る』だっけ?信にいの座右の銘。」

「あぁ。」

「じゃあさっさと砕いて渡っちゃいなよ。今の信にいは叩くどころか渡ろうともしてないんだから。『常に余裕をもって』でしょ?」

「・・・。」

「早く立ち直ってよ。みんな心配してるんだから。」

「・・・恭助。」

「ん?」

「チルノって能力持ってるか?」

「やっぱり信にいはそうでなくっちゃな。チルノの能力は『冷気を操る程度の能力』だよ。もしかしてもうなにか思い付いた?」

「いやまだだ。だから今日はもう寝る。」

「本当に切り替え早いな。それじゃ、おやすみ。」

「あぁ、ありがとな。おやすみ。」

 

恭助が部屋から出ていき、部屋には信一人となった。

 

(失敗を引きずってる場合じゃないよな。)

 

方法を考えるために布団に潜り込む。そして意識を夢の世界に飛び込ませる。

 

(やっぱり考え事をするならここだな。)

 

信は明晰夢を見ることができる。だからいつもは寝ているときに勉強の復習をやっていたりする。たまになにかじっくり考えたいときも寝て、夢の中で考える。

 

『お前はこんなこともできるんだな。』

 

真っ白い空間のなかに共が現れた。

 

(そっちこそ、人の夢に普通は入ってこれないだろ。)

『あいにく普通じゃないからな。』

(無理して付き合う必要はないんだぞ。)

『私がじぶんの意思で付き合うんだ。それならいいだろう?』

(・・・ありがとな。まずは情報の整理からしよう。)

 

共と一緒にどうすればいいかを文字通り、一晩中考えた。

 

 

 

 

 

(これがやっぱり一番だな。)

『...やっぱりそれは信に負担がかかりすぎるんじゃないか?』

(これくらいはしないとな。)

『...無理はしないでよ?』

(もちろんだよ。...そろそろ朝だな。行ってくる。)

 

夢から覚め、時計を確認する。時間は午前4時ぴったりだ。

 

『というか寝たことになるのか?』

「多分...。頭使ってるのになんで疲れがとれてるのか不思議だけどな。」

 

今更な不思議を思いつついつも通りの朝をすごす。

 

恭助「おはよう、信にい。」

信「おはよう、恭助。昨日は悪かったな。」

道場に向かう途中で恭助と一緒になった。

恭助「なにかいいアイディア思い付いた?」

信「あぁ、さっそく今日試してみようと思う。」

 

道場に着くとまだ誰もいなかった。

 

信「お礼といっちゃなんだが、今日は稽古の相手になるよ。護道はあまりみんなに知られたくないんだろ?」

恭助「助かるよ。それじゃあ、よろしくお願いします。」

 

 

 

 

 

信「これくらいにするか。」

恭助「ありがとうございました。」

 

もうそろそろ真達が来てもおかしくない時間帯だ。護道は切り上げていつも通りの組手に移る。

 

愛「2人とも早いね。」

 

愛が丁度やって来た。切り上げておいて正解である。

そのあと真と静も来てみんなで朝の稽古をいつも通りやった。3人も昨日のことを気にしていたようだが、信が立ち直ったのがわかりすぐに稽古に集中した。

 

信「そろそろ朝飯の準備してくるよ。」

 

時間になると稽古を終え、手際よく朝食の準備をする。

 

一同「「「いただきます。」」」

 

準備を終えみんなが集まってから食べ始めた。

 

広美「信にいもう平気なの?」

信「あぁ、もう大丈夫だよ。」

空「強太たち昨日の信にいを見て怯えちゃってたんだよ。」

強太「そんなことないよっ!」

深太「でも確かに昨日の信にいは怖かった。」

高太「常に無表情はさすがにな~。」

海「ゴンさんみたいだったからね。」

信「わるかったよ。でもゴンさんはいいすぎだろ。」

 

恭助の行った通りみんな心配していたようだ。

 

(しっかりしなきゃな...。)

 

昨日のことを話ながら食べ進めた。

 

一同「ごちそうさまでした。」

信「風人、華、いくぞー。」

風人&華「「はーい。」」

信「それじゃあ、行ってくるよ。」

静「無理はしないでくださいね。」

真「先に言われた...。」

信「大丈夫だよ。留守番よろしく。」

 

責任をとるため幻想郷へ向かった。

 

 


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