東方家族録   作:さまりと

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前回から結構間を開けてしまいました。ごめんなさい。

吹き出しの前に名前をつけることにしました。



第33話【式神】

信「ぷはーっ!うまい!」

 

酒を飲み干した信は初めての酒の味に素直な感想を述べた。

 

信「ギン、どうだ?」

ギン「うん。別のところから力が流れ込んでくる感じだ。元々自分の力みたいに違和感がなし、これなら本能も抑えられそうだ。」

手下「本当ですかっ!」

ギン「ああ。心配かけたな。」

信『お前が俺のなかにいるからかもしれないな。』

魔鬼『元々あいつは俺だからな。』

ギン「信、誰と話しているんだ?」

信「えっ?」

ギン「あいつは俺だとか誰かと話してるだろ。」

 

はっ!と思い反射的に意思を遮断する。

 

ギン「ん?今度はなにも聞こえなくなったな。」

信(そうか。意志疎通ができるようになったから魔鬼達との会話がだだ漏れなのか。でも遮断もできる...か。)

ギン「さっきの声はなんだったんだ?」

信「...いい機会だし話しておくか。紅魔館のみんなも聞いてくれ。」

 

宴会には紅魔館のメンバーも来ていた。今はレミリアも日の光が害の無いようにしている。

 

フラン「どうしたの?お兄さま。」

信「いつかは話さなきゃいけないことだし今話しちゃおうと思ってな。今回のギンのこと、前回のフランのことで色々あった結果、今俺の中には俺以外の人格が何人かいる。」

美鈴「どういうことですか?」

信「説明すると面倒だから見せるな。」

信『共、頼む。』

共『分かった。』

咲夜「見せるって一体な..に..を...。」

先程まで信がいた場所には全く別の人物がいた。

フラン「...え?私?」

アリス「信がフランになった!?」

共「正確にいうと少し違うがな。」

レミリア「で?あなたは誰かしら。」

共「私の名前は明渡 共。元々はフランドールのなかにいた狂気だ。」

レミリア「...本当に仲良くやってたのね。」

共「信も変わったやつでな。...フランドール。」

フラン「ん?」

共「これを機に謝っておきたくてな...すまなかった。私はお前の500年を奪った張本人だ。許してくれなんて言わない。ただ、私にできることがあったら言ってほしい。」

フラン「...別にいいよ。」

共「...え?」

フラン「あなたが私の中にいたときからなんとなく分かってたの。『壊したい』っていう私の感情の他に、別の誰かがなにか訴えてるのが。私はあなたがお兄さまに移ってからやっとそれが誰なのか分かったの。狂気だったあなたが必死に自分の存在を示していたって。」

信『やっぱりフランも気付きかけてたのか。』

共『知ってたのか?』

信『なんとなくな。』

フラン「ごめんなさい!あなたに気付けなくて。」

共「謝るのはこっちだ。それでも私はあんなに長い間...」

フラン「じゃあこれでチャラ!」

共「ひゃうっ!」

突然フランが共の胸に両手をつきだした。

フラン「やっぱり私が何かしないと気が収まらないと思うの。だからこれでおしまい。」

共「...気を使わせて悪かったな。でもなんでこれなんだ?」

フラン「私が将来こうなるかもしれないと思ったら気になっちゃって。」

共「そういうことか。気が済むまでやってくれ。」

フラン「うん!」

 

 

~~~5分後~~~

 

 

フラン「・・・・・・。」

共「・・・・・・。」

 

 

~~~10分後~~~

 

 

共「...長くないか?」

フラン「ごめん、もうちょっと。」

 

 

~~~15分後~~~

 

 

フラン「ふぅ~。堪能した。」

レミリア「そんなによかったの?」

フラン「うん。できればもっと触ってたかった。」

レミリア「ふ~ん...。」

共「あの...その手は一体...。」

レミリア「いえ、私の妹がこうなるんだったら私もそうなってもおかしくないでしょ?そう思ったら気になっちゃって。」

魔理沙「そうだぜ。フランが認めるその感触はみんなで共有するべきだぜ。」

レミリアと魔理沙が手をワキワキさせながら近付いてきた。

共「いやっ、フランドールには色々あったから触らせたけど他の奴にやらせる気はないぞ?」

魔理沙「堅いこと言うんじゃないぜ。」

共「だ、誰かこの2人を説得してくれないか?」

 

そう言いながら周りに助けを求める。しかし...

 

霊夢「いいじゃない減るもんじゃあるまいし。」

アリス「それにそうなった魔理沙を止めるのは難しいからね。」

共「ぐっ...こ、紅魔館のみんなはいいのか!?主が破廉恥なことしようとしてるんだぞ!」

咲夜「お嬢様のご意志ならば仕方がありませんので。」

美鈴「止める理由もそれだけでは不十分ですしね。」

 

現実は非情だった。

 

レミリア「さ、観念しなさい。」

魔理沙「悪足掻きはよすんだぜ。」

共『助けてくれっ!!』

信『なんかいっつもこうなるな。』

共『頼むから早くしてくれ!!レミリアと魔理沙がすぐそこに!!』

信『分かったよ。それじゃあ魔鬼、次はお前の番だ。』

魔鬼『了解。』

レミリア&魔理沙「「覚悟っ!」」

2人が共の胸めがけて手をつきだした。

魔理沙「...あれ?」

レミリア「固い...。」

魔鬼「あまり共をいじめないでやってくれ。」

魔理沙「うわっ!」

華奢な美少女が突然巨体な男の姿に変わっていた。

魔鬼「明渡 魔鬼だ。共と同じく名前は信につけてもらった。」

ギン「さっき信と話してたのはお前か。」

魔鬼「ああ、俺はお前の中にいる本能の一部だ。」

ギン「やっぱりか。」

魔鬼「あんまり驚かないんだな。」

ギン「正直、信なら何があってもおかしくないと思えてきた。」

信『ひどい話だ。』

魔鬼「それは俺や共も同意見だな。お前の中の俺はどんな感じだ?」

ギン「今も暴れようとしてるよ。信のおかげで抑えられるが。」

魔鬼「やっぱりか。今のお前なら多分静かにできると思うぞ。」

ギン「別れたとはいえ自分が抑えられるのはあんまり気が進まないんじゃないか?」

魔鬼「妖怪の本能が言うことじゃないかもしれないが、誰かと接する喜びは格別だからな。それをそっちの俺にもしってほしいと思っただけだよ。」

信『完全体になれればー』

フェリーチェ『すぐ支配してやるのにー』

魔鬼「...そういうわけだからそっちの俺にもよろしく頼む。」

そういった魔鬼は姿を変えて信に戻った。

魔鬼『フェリーチェエエエエ!』

フェリーチェ『ハハッ♪』

共『やれやれ...。』

信「ま、こういうわけで俺の中はとても賑やかになってる。」

フェリーチェ『私は紹介してくれないの?』

信『お前の存在は結構でかいからな。あんまり簡単に口外しない方がいいと思う。』

魔理沙「信っ!共に代わるんだぜ!」

共『絶対ダメだからな!』

信「本人がいやがってるから勘弁してやってくれ。」

魔理沙「なら段幕ごっこだぜ。今日こそ勝ってやるんだぜ!」

信「俺用事があったんだ、そろそろ戻るよ。ギン、なんかあったらすぐに呼べよ?」

ギン「分かってるよ。色々助かった。」

信「それじゃあな。」

魔理沙「あっ!待て信逃げるんじゃないんだぜ!!」

信に向かって手を伸ばすも、そのまま空を切った。

霊夢「残念だったわね。」

魔理沙「くぅー。こうなったらとことん飲んでやるんだぜ!ギンッ!!付き合うんだぜ!」

ギン「喜んで。」

 

 

 

コトの元に移動したら玄関に着いた。どうやらペット組はお昼寝中らしい。

 

信「ふぅ、ただいま。」

コト「主っ、おかえり...な...さい。また何かやったのですか?」

信「え?別におかしいことはやってないよ。」

コト「主の力の流れがまた変化しています。絶対なにかやったでしょう!」

信「まあ、式神を契約してきたけど...。」

コト「式神ですか?」

信「ここじゃなんだし俺の部屋にいこう。移動しながら話すよ。」

 

昨日の異変の事と今日のギンのことについて話しながら自室に移動した。。

 

信「...と言うわけだ。」

コト「...るいです。」

信「ん?」

コト「ズルいです!私も主の式になりたいです!」

信「簡単に言うけどさっき説明した通り式神になったら一生逆らえないんだぞ?」

コト「? それだけでしょう?」

信「それだけって...。ギンもそうだが軽く考えすぎじゃないか?」

コト「主だからですよ。それだけで覚悟を決めるには十分です。」

 

誰もがあの場でギンの言葉に共感できてしまったのはそういうことである。誰かのために寝る間も考え、誰かのために身体を張り、誰かのために全力を尽くす。それはそう簡単にできることではない。だからこそみんなは信の事を信頼できるのである。

 

信「...そこまで言われて断ったら男じゃないな。コト、俺の式になってくれるか?」

コト「もちろんですっ!」

信「どんな方法にする?」

コト「ギンとやらと同じ方法でお願いします。」

信「じゃあもう一回向こうに行かないとな。」

コト「ここでは出来ないんですか?」

信「ギンとやったのは酒を交わす方法だったからな。コトも人型モードのほうがいいかな。」

フェリーチェ『信、君は本当に何者なんだい?よく見たらあの子は神狼じゃないか。』

信『昔拾った。』

フェリーチェ『そんな事は普通ないと思うけど...。』

信『でも拾っちゃたんだから仕方ない。あのまま放っておくなんて論外だったし。

信「しかし不便だな。いちいち身体を変化させる度に服を脱ぎ着しないといけないなんて。」

コト「仕方ないですよ。」

フェリーチェ『それなら私が入ってたネックレスを使うといいよ。』

信『これか?』

フェリーチェ『ネックレスから出ようとしていじってたら妖精とか幽霊とかだけじゃなくて物体も入るようになっちゃったんだよね。それに私がずっと入ってたせいで入り口が緩くなっちゃったから霊力とかを流せば簡単に出し入れできるはずだよ。』

コト「それでは着替えますね。」

信「コト、ちょっと待ってくれ。」

 

そう言いながら信は自分の首につけられているネックレスをコトに着けた。

 

コト「なんです?これ。」

信「ちょっとそれに霊力流してみてくれ。」

少し前にこさえたコト用の服を近付けながらそういう。

コト「?分かりました。」

 

するとコトの服が消えた。

 

コト「えっ?えっ!?」

信「おっ、本当にできたな。じゃあ次は人型になる瞬間にもう一回霊力を流してみてくれ。」

コト「あっはいっ、分かりました。」

 

言われるがままにコトは姿を変える。すると...

 

コト「これは!」

信「成功みたいだな。」

ちゃんと人型のコトが服を着ていた。

コト「主っ!どういうことですか?」

信「そのネックレスは特別製らしい。今みたいにすれば自由に人型になれるぞ。」

コト「主!ありがとうございます!」

 

嬉しそうに感謝したコトは人型になったり狼になったりしている。。

 

フェリーチェ『ところで彼女の服は信の趣味?』

信『どうしても家にコトにピッタリの服がなかったんだよ。だから俺がこさえるからどんなのがいい?って聞いたら〈あれがいいです。〉って。』

 

コトが着ている服は黒を中心にした上着とズボンにに白いYシャツをインナーとした服。要するにスーツである。

 

信『まあ、確かにやたら似合ってるけどな。』

 

コトの人型は女性にしては身長が高く、容姿も整っていてスタイルもいい。さらにスーツを着ているため仕事ができる女上司のようである。叱られたい。

 

信「コト、そろそろいこうか。」

コト「はい、主。」

 

 

~~~~移動~~~~

 

 

 

ケン「あっ!信さん。どうしたんですか?」

魔理沙「戻ってきたなら弾幕ごっこだぜ。」

信「悪いけど後にしてくれ。こいつが俺の式になりたいっていうから儀式やりに来たんだ。」

コト「はじめまして、コトと言います。」

霊夢「信とはどういう関係なのかしら?」

信「ん~...コト、狼モード。」

コト「了解。」

 

突如姿を変えたコトにその場の皆が驚いた。

 

信「昔この姿で弱ってたこいつを見つけてな、それからずっと一緒に暮らしてるんだ。神狼だってことは俺も最近知ったんだ。」

アリス「本当になんでもありね。」

信「それよりもう一回盃と酒貸してくれないか?」

霊夢「これでいいのかしら?」

信「ありがとう。それじゃあコト、始めるか。」

コト「はい。」

 

再び人型に戻ったコトに盃を渡し、酒を汲む。

 

コト「主、本当にあの時助けてくれてありがとうございます。」

信「どうした?急に。」

コト「主に助けられてから明渡家の皆さんとずっと過ごしてきて、私はとても幸せです。これ以上にないくらいにです。そして今は、消えてなくなるはずだった命を助けてくれた恩人に、この身をもって尽くすことができる。どの幸せも、あの時主が私を見つけてくれたからです。」

信「改めて言われると照れるな。...俺にずっとついてきてくれるか?」

コト「もちろんですっ!!」

信「これからもよろしく頼む。」

コト「こちらこそ。」

 

2人は注がれた酒をゆっくりと飲み干す。その身に染み込ませるように、ゆっくりと。

 

信「ふぅ~、うまい。」

魔理沙「すごいんだぜ。2人ともそれをイッキ飲みなんて。」

信「ん?どういうことだ?」

魔理沙「今2人が飲んだ酒はここにあるなかで一番強いんだぜ。」

信「...俺はなんともないけど...。」

コト「...ヒック...。」

信「...コト?」

コト「なんれふかあ?主。」

 

酒を飲み干したコトは顔を真っ赤に染めていた。

 

コト「らいたいなんれふか主は。かへってふるたびにぼろぼろになって。そひたらこんろはなんれふか!どほの馬の骨ともしらあいやはらをしひがみにしてふるなんて。」

 

ベロンベロンに酔ったコトは信に対して持っていた不満を惜し気もなく吐露し始めた。

 

信「お、おう。」

コト「らいらい、しひにふるならまずわらひでしょう!ろこれす?主のもうひろりの式は。」

信「ギン...ちょっと来てくれ。」

ギン「...わかった。」

コト「あんられふか、主の1人目のひきがみってのは。

ギン「はい、ギンです。」

魔鬼『なんで敬語になってるんだよ。』

コト「すぎたことはもうろうにもなりまへんから順番のほとについれはもんくは言いまへん。ですが、あなたに主の式になる覚悟が本当にあったのですか?」

ギン「もちろん!」

コト「...ならいいれふ。これはらは主の式神どうしなはよくぅ..。」

信「コトッ!」

 

最後まで話さずに倒れたコトはどこか安心したように眠っている。

 

ギン「信頼できる人だな。」

信「ああ。だけどもう酒は飲ませられないなっと。」

 

眠っていることを信は軽々と持ち上げた。

 

信「騒がせて悪かった。」

霊夢「今回の異変解決者がなに言ってるのよ。」

魔理沙「なんなら弾幕ごっこでもっと騒ぐんだぜ。」

信「それはまた今度な。」

魔理沙「大切にしてやるんだぜ?」

信「もちろんさ。じゃあみんな、またn「あのっ!」。」

 

帰ろうとする信をひきとめる人物がいた。

 

信「どうしたんだ?ケン。」

ケン「あの...そのっ...。」

慧音「ほらっ、信ならちゃんと聞いてくれるさ。」

ケン「あ、はいっ。信さんっ!お願いがあります。」

慧音に後押しされて、ケンは腹を決めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ケン「僕に...武術を教えてください。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




一気に2人も式神が増えましたね。
でもまだまだたくさんオリキャラは出すつもりです。
この後は日常編が続きます。ですから妖夢とかまだ出せないですね。
次回もお願いします。

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